急性・重症患者看護専門看護師になるには?役割と活動レポート

急性・重症患者看護専門看護師は、生命の危機に遭遇した、本人とご家族が、納得できる医療やケアを受けることができることを最大の役割としています。

そのため、急性・重症患者看護専門看護師は、患者さんへの直接ケアはもとより、看護スタッフと共にケアを行い看護師へのサポートや教育も行います。

また、救命だけに視点が囚われがち現場に流されることなく、倫理的問題はないか、活用できるリソースや、連絡すべき職種はないかなど冷静に判断し調整を行います。

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1.急性・重症患者看護専門看護師の役割

急性・重症患者看護専門看護師の役割

緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。

命にかかわる事故や病気急激な変化の只中にある患者・家族へのメンタルケアを含んだ支援と、治療とケアの狭間に揺れる医療者のジレンマに対し調整を行う急性・重症患者看護専門看護師。

「あなたは看護師として、その活動を目の当たりにしたことはありますか。」

急変時だからこそ、視野が狭くなりがちな場面だからこそ必要とされる急性・重症患者看護専門看護師の役割についてご紹介します。

 

(1)直接ケアだけでなく、看護スタッフをサポートする役割

緊急時や急変時のケアや処置は、医師・看護師などにとってもストレスフルな場面です。

専門看護師の役割である「相談」「教育」の視点から、自らが処置やケアを行うのではなく、看護スタッフと一緒にケアや処置を行い、スタッフが不足していたアセスメントやケアなどが、安全に患者さんに提供できるようサポート行います。

 

(2)視点はいつも患者・家族の心身のケア

視点はいつも患者・家族の心身のケア

急性・重症患者看護専門看護師は、場面の「点」ではなく、俯瞰して全体を捉える役割を担います。

救命だけでなく、

  • 患者さんの意思決定は明確であるか
  • ご家族の精神的支援は十分に足りているのか

など、医療者が「命を救う」ことだけに集中し、見えなくなっている患者さんやご家族の権利を擁護する役割を、急性・重症患者看護専門看護師は見落とさず支援する役割があります。

 

(3)倫理調整を行う役割

命の現場では、現場に近ければ近いほど、そのトラブルが、「家族が悪い」「主治医が悪い」といった表面的な問題に囚われ、本質的な問題が見えないまま、時間だけが過ぎて、納得できない最期を迎えてしまうこともあります。

急性・重症患者看護専門看護師は、「何が、問題の本質なのか」を見極める力を持っています。

そのため、医療とケアと家族・本人の間に生じた対立を冷静に見極め、必要に応じて医師・看護師・本人・ご家族に個別にアプローチすることで問題解決の糸口を見出していきます。

 

補足説明!

ポイント

急性・重症患者看護専門看護師は、必要に応じて繰り返し生じる倫理的問題の解決のためには、その部署全体でカンファレンスや事例検討などを行い、最善の解決方法を見出すための調整役を担います。

 

(4)多職種を結ぶコーディネーターとしての役割

多職種を結ぶコーディネーターとしての役割

急性・重症患者看護専門看護師は、その場の対応に追われがちな医師や看護スタッフの動きをみつつ、必要に応じて病院内にある多職種への連絡やチームの介入依頼を行っていきます。

急性・重症患者看護専門看護師は、病院内にある仕組みや、患者さんの命や希望を叶えるためのチームなどを適切に活用する役割が求められるのです。

 

(5)ご家族への精神的支援と意思確認を行う役割

急性・重症患者看護専門看護師は、生命の危機にある家族への精神的サポートを積極的に行います。

家族を失うかも知れない不安や恐怖に寄り添いつつ、家族が知っている本人の意思を確認し、その意思を医療者に伝え調整することも、急性・重症患者看護専門看護師の役割になります。

特に、終末期に対する意思表明や臓器提供の意思を示していることがわかれば、救命処置だけでなく本人の意思が優先されるよう働きかける役割も求められます。

家族が命の危機に置かれているのに、家族は蚊帳の外に置かれてしまうことはよくあり勝ちです。私も、何度か、家族の危機の立ち合い、ただ、ひたすら数時間も待たされ続けた経験があります。そんな時、看護師の一言や態度が、いかに家族の救いにも怒りにもなることを実感しました。

 

2.【活動レポート】実際に急性・重症患者看護専門看護師に話を聞きました!

【活動レポート】実際に急性・重症患者看護専門看護師に話を聞きました!

私が実際に「急性・重症患者看護専門看護師」に話を伺ってきました。

 

必要とされる部署で活動する

私が話を聴いた急性・重症患者看護専門看護師は、病院に求められ夜勤のサポ―トナースとして活動をされていました。

人手が少なくなる夜間帯で、重症患者のケアに不安がある病棟に赴き、スタッフと共に直接ケアを行ったり、急変した患者さんの状態をアセスメントしたりする活動を行っていました。

必要とされる部署に呼ばれること自体が、急性・重症患者看護専門看護師が信頼されているという証拠です。「重症患者さんや急変した時の対応で困った時は助けてもらえる」という安心感が、急性・重症患者看護専門看護師は所属長や医師、病棟スタッフに伝わっているのです。

専門看護師ラビウサラビウサ(40代後半/専門看護師)

 

動揺している家族への支援

突然の事故や病気で、家族が命の危機に見舞われた時、家族は時に怒りを医療スタッフにぶつけることがあります。また、DNARを確認したくても、家族間で言い争う事態になる場合もあります。

急性・重症患者看護専門看護師は、家族から足が遠のきたくなるスタッフの代わりに、家族の思いを確認し、意思決定支援を行うことを依頼されます。そんな時は、まずは怒りの感情を受け止め、医師からの説明をかみ砕いて説明しなおし、ご家族の思考の整理を行います。

心の動揺に理解を示しつつ、これから起こることを一緒に考える中で、リビングウィルや臓器提供カードを家族から示されることもあるそうです。緊急時のケアに精通する急性・重症患者看護専門看護師だからこそ、家族の記憶から本人の意思表明を引き出すことができるのです。

専門看護師ラビウサラビウサ(40代後半/専門看護師)

 

3.急性・重症患者看護専門看護師になるには

急性・重症患者看護専門看護師 資格取得の流れ

急性・重症患者看護専門看護師は平成16年(2004年)に認定された専門看護分野で、当時はクリティカルケア看護と呼ばれていました。

平成19年(2007年)7月13日に、広く一般の人にもイメージのしやすい急性・重症患者専門看護師と名称が改められ、2017年12月現在では全国に251名の急性・重症患者看護専門看護師がいます。

 

(1)急性・重症患者看護専門看護師数の推移

2005年7名
2006年13名
2007年16名
2008年26名
2009年42名
2010年63名
2011年85名
2012年114名
2013年147名
2014年178名
2015年211名
2016年225名
2017年251名

直近3年前後では毎年、20名~30名ほど増えている専門看護師資格です。

 

(2)急性・重症患者看護専門看護師の資格取得条件

専門看護師の基本条件

  • 日本国の看護師の免許を有すること
  • 実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修(※1)であること
  • 日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
  • 認定審査(書類審査・筆記試験)に合格
  • 専門看護師認定証交付・登録
  • 5年ごとに更新(看護実践の実績、研修実績、研究業績等書類審査)

急性・重症患者看護専門看護師に限らず、専門看護師の基本条件は実務研修以外、同じになります。

 

急性・重症患者看護専門看護師の実務研修(※1)におけるフィールド

  • クリティカルケアを要する患者が50%以上を占めている病棟等でのクリティカルケア看護の実務研修
  • 1年以上は成人領域とする

(クリティカルケアとは、生命の危機状態(クリティカル期)にある重症患者のケアを指します。)

クリティカルケアを要する患者が50%以上を占めている病棟は、ERやICU(集中治療室)、急性期の外科病棟などが該当します。

 

専門看護分野のその他実務研修

  • 個人、家族及び集団に対する直接的な看護実践
  • 看護職を含むケア提供者に対するコンサルテーション
  • 必要なケアが円滑に行われるための、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーション
  • 個人、家族及び集団の権利を守るための、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる倫理調整
  • ケアを向上させるための、看護者に対する研修会、研究指導及び講演会等での活動を含む多様な教育的機能
  • 専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるための実践の場における研究活動

現在、常勤、非常勤勤務を問わず実践を行っていること。

 

(3)急性・重症患者看護専門看護師に必要な単位について

日本看護系大学協議会による「専門看護師教育課程の審査」は、2020年までに旧基準の26単位から38単位の専門看護師教育課程基準に意向されます。

  • 2023年以前の専門看護師資格者は追加履修の必要はない
  • 2024年度から38単位のみでの申請となる

専門看護師の教育課程基準が変更になり、単位取得に約2年程度かかるため、2020年までは26単位で可能、2021年からは36単位で取得した方が良いでしょう。

 

(4)急性・重症患者看護専門看護師の単位取得ができる大学院一覧

北海道札幌医科大学大学院(*38単位)
札幌市立大学大学院(*38単位)
栃木県自治医科大学大学院(*38単位)
東京都聖路加国際大学大学院(*38単位)
東京医科歯科大学大学院(26単位)
東京女子医科大学大学院(*38単位)
日本赤十字看護大学大学院(*38単位)
杏林大学大学院(38単位)
東京慈恵会医科大学大学院(26単位)
神奈川県北里大学大学院 (*38単位)
東海大学大学院(*38単位)
山梨県山梨県立大学大学院(26単位)
愛知県愛知医科大学大学院(*38単位)
大阪府大阪府立大学大学院(*38単位)
兵庫県神戸市看護大学大学院(*38単位)
兵庫医療大学大学院(*38単位)
関西国際大学大学院(38単位)
奈良県奈良県立医科大学大学院(38単位)
広島県広島文化学園大学大学院(38単位)
山口県山口大学大学院(*38単位)
高知県高知県立大学大学院(38単位)
福岡県日本赤十字九州国際看護大学大学院(38単位)
福岡大学大学院(38単位)

(*は26単位から38単位へ変更)(2018年4月1日現在)

奈良県立医科大学大学院が新規認定となり、27大学院で受講できます。認定看護師資格の中では6番目に受講できる大学院があります。

 

(5)急性・重症患者看護専門看護師にかかる費用について

入試検定料約5万円
2年間の学費220万円
教材費約10万円
専門看護師の登録費用約5万円
   合計約240万円

※ここに記載してある費用に加え、無給となる2年間の生活費用も考慮する必要があります。

専門看護師を目指す看護師の方は「専門看護師支援がある病院への看護師転職で知りたい6つのポイント」を確認してください。

 

4.まとめ

急性・重症患者看護専門看護師は、危機的状況の時間が限られる中で、最大限に患者さんやご家族の権利を守り、医療スタッフのジレンマの解決を図りながら、最適な医療とケアが提供できるように活動し続ける看護師なのです。

 

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はたらきナース

監修者

亀岡さくみ看護師
監修 亀岡さくみ看護師
  • 2011年3月:日本赤十字看護学校卒業
  • 2011年3月:看護師免許取得
  • 2011年4月:日本赤十字医療センター入社(3年間勤務)
  • 2015年3月:株式会社peko勤務
  • 2015年4月:はたらきナース監修

現在は、今までの経験を活かし「はたらきナース」を執筆・監修を行っています。

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