著作者

小平 希

執筆:看護師

小平 希

( 看護師 保健師 海外の看護師)

オーストラリアの病院で看護師として働く方法とメリット・デメリット

公開:、更新:2017年06月20日
オーストラリア 看護師 資格取得

オーストラリアは日本と同様、高齢化社会に向かっていることもあり、海外看護師の需要はどんどん高まっています。永住権も比較的取りやすい職種に挙げられています。

海外で安定した仕事をして暮らしたい人にはオーストラリアで看護師になることを強くおすすめします。

今回は、私の経験を踏まえて、オーストラリアで看護師として働く方法やメリット・デメリットをご紹介します。

1.日本とオーストラリアの看護師の違い

様々な人種の医者や看護師

まず、日本の看護師とオーストラリアの看護師の違いをご紹介します。

 

養護教育の方針の違い

日本とオーストラリアでは看護教育の方針が異なります。

日本の看護教育は看護観を育てることを大事にしています。よって日本の看護師は患者の視点に立ち、とても気が利き、きめ細やかなケアを提供できます。

オーストラリアでは日本の看護のようなケアの部分に重点を置いた教育というよりも薬理学、病理学、疾患の治療に力を入れた教育のため看護の視点が少し違います。

 

ポイント!

ポイント

日本の看護師から見たらオーストラリアの看護師は業務重視に見えてしまうかもしれません。

 

看護師の責任の大きさの違い

オーストラリアの看護師は日本の看護師よりも、業務内容が侵襲的であるため責任が大きいです。

 

薬や病態に関する知識とその場の判断力が重要

例えば、配薬は日本のように患者別になっていないため、看護師が医師のオーダーを見て薬を箱から出して小さな容器に入れて患者に配薬します。配薬のミスがあった場合は医師の指示が間違っていたとしても、その間違いに気づかなかった看護師の責任となります。

 

補足説明!

ポイント

看護師に過失があった場合はインシデントの大きさにもよりますが、看護師免許に制限が付き、他の看護師の監視下でしか薬をあげられなくなるなどの条件が与えられる場合があり、最悪免許停止もありえます。

 

看護師の業務範囲の違い

オーストラリアの看護師は、主なドレーンの抜去ができ、看護師の判断で一部の薬(市販の痛み止め、下剤など)が投薬できるなど、日本の看護師ができない範囲の行為ができます

 

2.看護師の給与事情とオーストラリアの物価事情

オーストラリアドルとオーストラリアの国旗

次に、オーストラリアの看護師の給与事情と、オーストラリアの物価事情についてご紹介します。

 

看護師の給与は日本より高い

公立病院の正看護師の給与は、1年目から8年目まで時給が一定に上がります。正看護師の時給は約30から40ドルです。

8年目以降に給与を上げたい場合は一定のコースや大学院を修了し役職につくことが必要です。

スペシャリスト(専門看護師) 時給:43ドル~59ドル
エディケイター(病棟専属の教育者) 時給:45~59ドル
マネージメント(看護師長など) 時給:52~85ドル

などのように、かなり高額のためこれらの資格を取る価値は十分にあります。時給は全てニューサウスウェールズ州の公立病院の給与表を参考にしています。

 

補足説明!

ポイント

私は現在看護師のアシスタント(AIN-Assistant in Nursing:日本の看護助手や介護士に近い職種)として病院で働いていますが、AINの平均時給は約20から25ドルです。看護学生が主にアシスタントとして実習先の病院で働いていることが多いです。

 

時間外手当が高額である

給与は時給制となります。基本時給の他に、

午後シフトは時給 12.5%増
夜勤 15%増
土曜 50%増
日曜 75%増
祝日 150%増

というように手当が付きます。

公立病院の看護師はこれらの手当が守られているため給与が私立病院の看護師よりも高いとされています。例えば、2年目看護師の基本時給が30ドルとしたら、土曜に働けば時給45ドルとなります。

 

物価は給与以上に高い

オーストラリアの看護師の給与は、年収にすると日本の2倍ほどになりますが、物価と比べるとあまり高い給与とはいえません。

 

家賃が給与のほとんどの出費を占めている

家は一人で部屋を借りるととても高いため、シェアハウスが一般的です。シティから近い1ベッドルームアパートメント(日本の1DK)の場合、家賃は月に最低でも15万円ほどします。

また単身用のアパートが日本のように沢山ないので探すのが大変です。よって、例えば3部屋あるアパートメントを3人でシェアをすれば月に8万円以下に抑えることが可能です。

家族と住む人は、家賃が比較的安いシティ郊外から通勤をしている人が多いです。

 

3.オーストラリアで働くメリット・デメリット

笑顔の女性看護師

日本人看護師は、他の海外看護師の中でも働き者であるためスタッフや患者からとても喜ばれます。

オーストラリアは労働者が守られた国であるため福利厚生がしっかりしているのもメリットの一つです。一方では、異文化であるからこそ感じるデメリットもあります。

メリット 休暇を使って日本に長期で帰ることができる
日本より教育が充実している
日本より病欠が取りやすい環境である
デメリット オーストラリアでの残業はマイナスに判断される
アジア人が多く価値観の違いを感じる

以上のメリット・デメリットを説明していきます。

 

メリット(1)休暇を使って日本に長期で帰ることができる

オーストラリアでは、看護だけでなくどの職種も長期休暇が保障されています。

夜勤をしている看護師は有給休暇を年に6週間(日勤のみ看護師は4週間)取ることができます。まとめてとってもいいですし、分けて取ることもできます。

 

ポイント!

ポイント

1年のうち1か月を日本で家族や友達とのんびり過ごすことも全く夢ではありません。もちろん、リフレッシュのために海外旅行に出かけることも可能なのです。

 

メリット(2)日本より教育が充実している

オーストラリアでは勤務時間内に院内の勉強会があります。教育担当者が勉強会を開催するため、病棟看護師が業務時間外に勉強会を企画から運営まですることは一切ありません。

 

勉強と業務の両方に集中できる

勉強日手当てというものがあり、外部の勉強会やセミナーへの参加も有給で参加できます。

また、これらの勉強会に参加した時間数を、毎年看護師免許の更新時に必要な20時間の学習として申請することもできます

 

メリット(3)日本より病欠が取りやすい環境である

例えば、勤務の前日夜になって熱があり、とても翌日仕事に行くことができないとなった場合でも、時間外のマネージャーに電話で病欠をしたいと連絡することができます。

マネージャーは朝の勤務開始までに派遣看護師を自分の代わりに送ってくれるため、自分が休む事で業務に差し支えることがないので心配せずに休むことができます。

シフト制の看護師は体調を崩しやすいものですが、日本にはない仕組みかと思います。

 

デメリット(1)オーストラリアでの残業はマイナスに判断される

勤務は時間内に終わることがほとんどであるため、残って仕事をしているとタイムマネジメント能力が低いと判断され、自分の評価が下がることがあります。

 

ポイント!

ポイント

完璧に仕事をしようとするのではなく、時間内に出来ることをするというスタンスで働くと気持ちが楽かもしれません。

 

デメリット(2)アジア人が多く価値観の違いを感じる

オーストラリアの看護師はオーストラリア人よりもアジア人看護師(フィリピン、インドなど)が多いです。西洋人とばかり働くと思っていると職場の雰囲気が少し違うかもしれません。

 

異文化を尊重しながら働く

日本人のように真面目に働く人種は稀です。他国出身の看護師との働き方の違いにイライラすることもあるかもしれません。

完璧主義を求めないことが重要です。

 

4.日本からオーストラリアの病院で働く方法

勉強する人々

オーストラリアで看護師になるまでの道のりは、日本での学歴や経験によって異なってきます。

今回ご紹介する過程は以下の通りです。

  • 日本で看護大卒かつ看護師経験ありの場合
  • 日本で看護短大もしくは看護専門学校卒かつ看護師経験ありの場合
  • 日本で看護学以外の学位がある場合
  • 日本で高卒の場合

どの過程を通るにしても看護師登録前に英語試験(IETLSスコア7以上もしくはOETスコアB以上)は必須です。

以下で、それぞれの場合の道のりについて詳しくご説明します。また、これらの過程は2017年6月現在の情報ですので必ずご自身で最新情報を調べてもらうことをおすすめします。

 

(1)日本で看護大卒かつ看護師経験ありの場合

日本の看護大卒で看護師の経験が一定年数あれば、オーストラリアの大学に行かなくても看護師資格が取得できるため、この道が最短です。

 

高度な英語力が求められる

英語試験に合格できないと看護師登録申請が開始できないため、通常は語学学校から始める必要があります

申請結果が出るまでに約半年かかり、それから指定のコース(オーストラリアの医療従事を取り扱う団体が認定する学校のブリッジングプログラム)に申し込むことができます。

 

補足説明!

ポイント

指定のコースの学費が毎年上がっており、私が行ったシドニーの学校ではコースの期間が11週間で費用は日本円で約100万円です。(2017年6月現在)

 

(2)日本で看護短大もしくは看護専門学校卒かつ看護師経験ありの場合

日本での看護学位がない場合、オーストラリアの看護大学の、最短で1年間のコンバージョンコース(海外で看護師経験者の為のコース)で看護学位をとる必要があります。大学入学にIELTS6.5以上が必要です。

 

(3)日本で看護学以外の学位がある場合

日本で看護学以外の大卒であれば、オーストラリアの看護大学の2年のコンバージョンコースに行き、看護学位をとる必要があります。

2年のコンバージョンコースは卒業後の就職活動に有利な卒後ビザが取得できることから、日本で看護学位がある人のなかにはこちらのプランを選ぶ人もいます。大学入学にIELTS6.5以上が必要です。

 

(4)日本で高卒の場合

日本で高卒の場合、オーストラリアの看護大学に3年間通い看護学位の取得が必要です。

日本の看護大学は4年制ですが、オーストラリアでは3年制です。大学入学にIELTS6.5以上が必要です。

 

5.オーストラリアでの就職活動の流れ

グッドサインをするスーツを着た女性

オーストラリアの就職事情として、日本とは違い経験者が優遇されます。専門分野があればそれだけ就職の確率は高まります。

 

応募から採用までの流れ

オーストラリアで就職活動をする際の流れは以下の通りです。

  1. 州の公式サイトから募集を見てオンラインで応募
  2. 自分のアカウントに履歴書を貼り付ける
  3. オンラインの審査に通った候補者が面接に呼ばれる
  4. 面接は個人面接で、自分の臨床経験やこのポジションに期待することを聞かれる
  5. 面接から2週間以内にはメールにて合否の連絡がある
  6. 合格すれば契約書がメールで送られ、それらにサインをすると正式に就職となる

 

応募の注意点!「就労ビザが必須である」

オーストラリアで働く場合には就労できるビザが必要となります。ビザの規定は頻繁に変わるので移民局のサイトで日頃から確認しておくと良いでしょう。

 

ポイント!

ポイント

看護師は永住権が申請できる職業リストに入っているため、永住権取得の可能性はとても大きいです。

 

まとめ

私は日本で看護師経験があり、大卒であったため最短で登録できるコースを受講することができましたが、医療英語試験(OET)に合格するまでにオーストラリアに来てから2年以上かかりました。

コースは短いため「すぐ看護師になれる」と思う人もいるかもしれませんが、日本での英語の勉強と費用の準備がいかにできたかで登録までの期間は大きく変わってくることを知っておいてください。

それまでの道のりは長いかもしれませんが、達成したときには自分の可能性が広がり、充実した海外生活が送れます。


(編集・構成・管理者:亀岡さくみ

日本で看護師として3年間総合病院で働き、海外に住みたい夢を叶えるためオーストラリアに看護留学へ。2017年に念願のオーストラリアの正看護師になりました。日本の看護の良さを海外にもっと広めていきたいと思っています。海外看護師、海外医療に関する記事を中心に書いていきます。

看護師としての経歴

保有資格 ・正看護師・保健師
出身/年齢 ・群馬県/30歳・現在海外在中
職務経験 ・総合病院
診療科経験 ・整形外科・消化器外科・内科・腎臓内科・腫瘍内科
・デイサービス ・訪問入浴・イベントナース・検診車・旅行添乗ナース

【看護師による】転職求人サイト口コミ評価おすすめランキング

1位  ‣看護のお仕事
 【全国対応】【求人12万件以上】
 →看護のお仕事口コミへ
2位   ‣ナースではたらこ
 【全国対応】【担当質高・求人数高】
 →ナースではたらこの口コミへ
3位   ‣マイナビ看護師
 【全国対応】【担当者質高】
 →マイナビ看護師の口コミへ
4位   ‣ナース人材バンク
 【全国対応】【求人数高】
 →ナース人材バンク口コミへ
5位   ‣ナースフル
 【全国対応】【コンサル高】
 →ナースフル口コミへ

現役看護師の口コミを元に、看護師求人サイトをランキングしています。口コミには個人差がありますので、登録しながら比較することが、転職成功への近道となります。

口コミランキング

【Pick up!注目の記事】

関連記事

3 コメント・感想

  1. Saki Yoshida より:

    こんにちは。
    私はただいまオーストラリアで看護師になりたく英語の勉強中です。
    年々看護師なる方法が難しくなっているように思います。
    大学入学に必要なIELTSポイントも上がり、学費も上がってきているようで看護師になるのは大変やなと感じます。
    個人的に看護師なったて良かったことややりがいのあった経験等があればシェアしてもらえると嬉しいです。

  1. […] ます。ライター記事はこちら […]

応援メッセージまたは記事へのコメント

メールアドレスが公開されることはありません。