看護師が循環器病棟勤務で務める場合理解するべき基礎知識

循環器 基礎知識

新人看護師として、あるいは看護師として勤務して行く中で、もし循環器科の病棟への配属となったらどのように考え、学び、勤務していったらよいのでしょうか。

心疾患を発症する患者は、比較的性格がせっかちであり、いらだちをすぐ言葉や態度にあらわすといった「短気・攻撃的」といわれるタイプの性格を持たれる方です。

そういったタイプの方に、どのような言い方・伝え方が相手に伝わりやすいかといったテーマは、常日頃から他の看護師と話し合って切磋琢磨することが、業務全体を通して大切なことなのではないでしょうか。

某大学病院の循環器内科での勤務経験を持つ筆者と一緒におさらいして行きましょう。もちろんどこの循環器科でもこれだけ押さえておけば大丈夫というものではありません。あくまで自身で体験して考え、知識やキャリアを積み上げて行く上での一助としていただけたらと思います。

1.心臓の検査法5つとその意味合い

心臓の検査法には通常の心電図以外に、以下のような検査法があります。

  • 心負荷心電図
  • ホルター心電図
  • 心エコー
  • 心筋シンチ
  • カテーテル検査

それぞれの検査法を確認していきましょう。

大切なことは、各検査の結果としてその患者の心臓の状態がどのくらいの治療を要する段階にあるのか、イメージができるようになることなのです。様々な検査方法がありますが、このようにまとめてみると分かりやすいのではないでしょうか。

 

心負荷心電図とは

心負荷心電図とは、運動で心臓に負荷をかけながら心電図をとり変化をみる検査法です。

  • マスター→2段の階段に昇り降り
  • エルゴメーター →固定の自転車こぎ
  • トレッドミル →ベルトの上を歩く

循環器科で働く看護師として、この用語は必ず覚えておいた方が良いでしょう。

 

ホルター心電図とは

ホルター心電図とは、携帯型の心電図を着け24時間チェックして脈の状態をみるといった検査法です。

 

心臓超音波検査(心エコー)とは

心臓超音波検査(心エコー)とは、超音波を利用して、心臓自体の大きさ、血液の分布状態などをみる検査法です。

 

心筋シンチグラフィーとは

心筋シンチグラフィーとは、シンチカメラで心臓各部位の動き、心筋への血流などを調べる検査法です。

 

冠動脈造影検査(心臓カテーテル検査)

冠動脈造影検査(心臓カテーテル検査)とは、太い動脈からごく細いカテーテルを挿入して冠動脈を造影し、詰まりの程度を確認する検査法です。

 

2.心音と各弁、心音の聴取部位の理解が必要

心音 各弁 心音の聴取部位 理解

心臓の各弁の音がよく聴取できる部位をおさえ、また音を聞くことで、肺動脈→左心房→左心室→大動脈、大静脈→右心房→右心室→肺動脈と流れて行く心臓の血流のイメージがある程度つけられるようになると、より一層仕事が面白くなるはずです。

 

各弁の部位まとめ

煩を避けずにおさらいしますと、以下のようになります。

  • 大動脈弁:第2肋間胸骨右縁
  • 肺動脈弁:第2肋間胸骨左縁
  • 大動脈および肺動脈起源の音:第3肋間胸骨左縁(エルプの部位と呼ばれる)
  • 三尖弁:第4肋間胸骨左縁
  • 僧帽弁:左第5肋間と鎖骨中線の交点

検査結果と合わせて、その患者の状態をより深く理解する手掛かりにしていきたいものです。

 

3.心電図の理解が必要

心電図 理解 必要

心電図の異常、正常は当然押さえておく必要があります。心電図の異常については専門書を読んでみますと果てしなく専門的なことが書かれているものですが、心電図の基本として、P波からR波のはじまりまでが心房の収縮を意味し、R波が心室の収縮を意味します

つまりR波以降は全身へ血液がばらまかれている。といったざっくりした理解がまず飲み込みやすいと思います。

 

理解が浅いうちはハンドブックの持ち歩きがお勧め

心電図を見慣れないうちは、異常波形がまとめてあるハンドブックなどを持ち歩いて、実際の波形と見比べてみることをおすすめします。

もちろん、VT(心室頻拍)、VF(心室細動)、心室補充収縮などの緊急性のある不整脈は最優先で鑑別できるようでなければなりません。ということを付け加えます。

 

不整脈の分類も抑えることが大切

不整脈の分類をしっかり押さえておきましょう。人工ペースメーカー埋め込み適応となる不整脈とその波形はどのようでしょうか。このあたりの知識は国家試験の勉強においても必ず出てくる内容だと思いますので詳しい説明は省きます。

 

4. 各治療の意義や特徴について

各治療の 意義 特徴

循環器の病棟では、心臓カテーテル術など他科にはない治療の前後のお世話をすることになります。各病棟において、治療前後の看護手順を覚え込むことに手一杯ではあるかもしれませんが、各治療法の意義や特徴はぜひ整理して覚えておきましょう。

心臓バイパス術は、再狭窄が少なく、完全血行再建率が高い、しかも一度の手術で済むというメリットが言われています。その代わり全身麻酔下で開胸をするので身体的負担は大きいといえる、といった整理の仕方をすると覚えやすいのではないでしょうか。

 

心臓カテーテル治療のメリット・デメリット

心臓カテーテル治療は、他の心臓手術などと比べ短時間で済み、以後再狭窄しても再度治療することが比較的簡単であるというメリットが言われています。

デメリットとしては、やはり心臓バイパス術などと比較すると再狭窄しやすいことです。病変が細かいなど、数多くある場合の治療が難しいでしょう。X線被ばく、造影剤による腎障害の可能性があり、強い抗血小板薬を飲むことによる出血の危険などがいわれます。

 

5. 心不全の理解が必要

心不全 理解

循環器の病棟で、必ず診ることになるのが心不全の患者です。よく知られている通り「心不全」とは厳密には病名ではなく心臓の動きが不十分であるため、心拍出量を維持する仕組みが低下し、身体の色々な部分に負担がかかり症状が出現した状態をいいます。

様々な原因により発症する「心不全」ですが最終像として呼吸、循環動態に負担がかかり生命を危険に陥れるという点は共通しています。その危険をどう防いでいくのかを中心にみていくと心不全の治療は理解しやすくなると思います。

 

心不全を理解するためのお勧めの本

心不全に関しては、ぜひ日本循環器学会が出している「心不全治療のアルゴリズム」を確認しながら実際の患者をみてみると格段に理解がしやすくなるでしょう。

アルゴリズムと照らし合わせることで、心不全のどの段階であり、どういった理由でその治療薬が使われているかがよく見えるようになります。

 

まとめ

循環器科 理解

基本的なことですが、循環器疾患は、わが国の心疾患で亡くなる方は悪性新生物(がん)に次いで死因第2位と非常に多いことは厚生労働省発表の人口動態統計が示す通りです。

他科の病棟・外来などへ行っても基礎疾患に循環器疾患を持っている患者は多いと言えます。しっかりと循環器疾患への理解を深めておくことは今後の看護師人生にとって様々な場面で役立つことは間違いありません。

狭心症、心筋梗塞の違いと急性冠症候群や心不全といった生活習慣病ともいえる心疾患の危険因子、引き金となる因子は自分の言葉で説明ができるよう。それも誰に対してでも説明ができるよう、自分の「言葉」に磨きをかけて行くイメージを持つとまた日々の業務が面白くなるかと思います。

当然、個人としての業務への向き不向きはあると思いますが、チャンスがあればぜひ循環器科での経験は積んでおくことをお勧めしたいです。

猫人

【東京都/30代・資格:看護師】

猫人=「ねこじん」と読みます。猫好きのナース男子です。30代・既婚です。大学病院、総合病院の経験を経て、現在は介護施設で勤務しています。看護師や医療に携わる人間のあるべき姿勢はどのようであるか?これからの時代にどのような対応が求められるのか?といったテーマに関心があります。日々の業務の細かなことからも、考えて発信する手がかりを探っていけたらいいなと思っています。

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