著作者

M

執筆:看護師

M

( 看護師 )

がん検診で働く看護師の仕事と役割

公開:、更新:2018年09月28日
自治体のがん検診業務 看護師 役割 注意点 

日本人の死因1位を長年持続しているがんですが、がんの早期発見は、今後の日本の大きな課題です。医学の進歩で、がんは早くみつければ治るがんとなりました。もちろん、がん検診ではなかなかみつかりにくいがんがあるのも事実です。

しかし、有効性の高いがん検診もあるので、がんで死亡する人を減らすためには、がんの早期発見が欠かせません。そういう意味において、がん検診に従事する看護師の役割は今後ますます重要になることが考えられ、やりがいのある仕事ともいえるでしょう。

1.がん検診は企業と自治体が実施している

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がん検診とひとことでいっても、がんの種類によって検診方法や検査の内容は異なります。また、がん検診を実施している主体がどこなのかによっても多少違ってきます。がん検診というと、通常思い浮かべるのが、検診車に乗ってさまざまな場所に行って、検診を行うタイプのものだと思います。がん検診は大きくわけると、自治体が行う「がん検診」と企業などが行う「健診」とにわけられます。

 

企業が行う健診の場合

企業が主体で行う健診は、がんに限らず生活習慣病なども含めた健康を維持するために必要な全ての検査を行うことが多く、「人間ドック」の一貫としてがん検診を取り入れている場合も少なくありません。通常は、企業が指定する病院やクリニックなどの施設に社員が人間ドックなどを受けに行くことが多いようです。女性であれば、婦人科検診として子宮がん検診や乳がん検診がオプションとして追加されることも多くみられます。企業が行う健診の場合は、対象は働きざかりの若い年代の人が受けることになります。

 

自治体が主体となる場合

自治体が主体となって行うがん検診は、国民健康保険に加入している人が対象となります。つまり、会社を退職した高齢者や自営業の方、それとサラリーマンの妻で、夫が勤務している企業が行う健診を受けられない方などが対象となります。実施場所は、公民館など公共の施設で行われることがほとんどです。ですから、検診車に乗って所定の場所に出向いて検診を行うのは、この自治体検診の場合に多くみられます。

 

2.自治体が行うがん検診の特徴

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自治体が行うがん検診は、日程を決めてさまざまながん検診を同時に実施することが多いようです。自治体によっては数日間、続けて行うというところもあります。住民が多ければそれだけ日数も長くなりますし、また、その自治体の力の入れ方によっても違います。

 

高齢者対応が中心となる

自治体が行うがん検診は、通常高齢者が多いので、受診者の中には耳がよく聞こえなかったり(難聴)、老眼だったりする方が受けに来ることが結構みられます。そのため老眼鏡の準備をしていることがほとんどですが、それでも見えないという場合には、受診者の代わりに看護師が問診票に必要事項を記入することなどもあります。

 

検査内容を理解できるような配慮が必要

難聴でよく聞こえないという場合には、大きな声で説明をするといった配慮が必要となります。がん検診の中にはしっかりと理解してもらう必要のある検査もあるので、本当に受診者が検査に対して理解しているのか、十分に確認をすることも看護師の重要な役割となります。

 

看護師が検診に付き添うこともある

高齢者が多い場合には動作が緩慢となるため、看護師は検診がスムーズに流れるように、時間配分にも十分考慮しながら検診を進めていく役割も担っています。なかなか理解してもらえない受診者がいる場合には、看護師が付き添って検診を受けてもらうこともあります。

 

自治体の保健師と連携をとる

自治体検診の場合は、地域の保健師さんと連携をとりながら行うので、そういう意味においては、コミュニケーション能力が必要ともいえるでしょう。報告を指示された場合には、忘れずに自治体の保健師さんに伝えなければなりません。

 

全体的な流れを把握しておく必要がある

子宮頸がん検診や胃がん検診などは、検診車の中に診察台やレントゲン器機が備え付けられているので、とぎれず効率的に検査が行えるように配慮することが看護師の重要な仕事のひとつとなります。自分が担当している検査だけでなく、全体的な流れを常に頭の中で把握しておくと、検診がスムーズに進むでしょう。

 

医者の性格や特徴をとらえる

検診では、日替わりで医師が変わることが多いので、それぞれの医師の性格や特徴をとらえることも検診を滞りなく進めるためのポイントとなります。特に、婦人科検診では、医師によって早かったり、遅かったりと、やり方が異なることがあるので、医師のリズムに合わせて受診者を誘導する配慮も求められます。ただ、パートなどでの勤務では、不定期に従事することになり、それぞれの医師の特徴を把握するのが難しいので、そのあたりは長く勤めている同僚などから情報を得るといいでしょう。

 

どんなに受診者が多くても、時間内に終了させる

自治体検診に限らず、企業検診でも同じですが、検診の時間は決められているため、その時間内で終了させる必要がありあます。どんなに受診者が多くても、時間内に終了させなければなりません。そのため、いくつか複数の検診を1日で行う場合などは特に、受診者が途切れなく流れるような検査の順番を判断する判断力も必要となります。

 

検診車の運転手と仲良くしておこう

検診機関が行う検診では、検診車の運転手さんが手伝ってくれたりすることもあるので、仲良くしておくと、助けてもらえることが期待できます。いずれにしても、チームとして動くので、どの業種の方とも良好なコミュニケーションをとっておくことは大切です。

 

3.自治体が行うがん検診の種類と看護のポイント

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自治体が行うがん検診には主に以下にあげるようなものがあります。

 

  • 胃がん検診
  • 子宮がん検診
  • 子宮頸がん検診(20歳以上の女性)
  • 乳がん検診
  • 肺がん検診(喀痰検査・レントゲン検査・CT検査など)
  • 大腸がん検診(便潜血検査)

どの検診に従事するかは検診機関が決めるので、基本的には、それぞれの検診内容をよく理解しておくことが必要です。看護師が特に従事するがん検診は胃がん検診と子宮がん検診と乳がん検診ですので、以下、簡単にそれらの検診内容を説明します。

 

胃がん検診

胃がん検診は、多くの場合バリウムによる検査になります。バリウム検査は、受診者にバリウムという白い液体を飲んでもらった後にレントゲン技師が胃のレントゲンを撮る検査です。胃がん検診における看護師の役割としては、バリウムが撮影時に丁度いい具合に胃に到達するタイミングを見計らってバリウムを飲ませることにあります。

 

バリウムを飲ませるタイミングは重要

前の受診者の撮影状態をみながら、まず胃を膨らませる発泡剤を飲んでもらいます。そのあとにバリウムを飲んでもらいますが、バリウムを飲むのが早すぎても、遅すぎてもレントゲンにうまく画像が写りません。

そうなると、その先医師が行う読影で正しい判断ができなくなるので、看護師の役割はとても重要になります。バリウムが早く流れてしまうと、受診者に再度バリウムを飲んでもらわなければならないといった負担をかけてしまうことがあるのでバリウムを飲むタイミングやレントゲン技師さんとの連携は大切になります。

 

レントゲン技師さんの性格やくせなどにも配慮して進める

撮影が長引いて予想していたタイミングがずれたりすることもあります。この時も再度バリウムを飲んでもらわなければならないので、受診者に負担をかけてしまいます。極力、検査は一回で終了できるように配慮するのが看護師の役割となります。そのため、バリウム検査では、レントゲン技師さんとのコミュニケーションをとることが重要といえるでしょう。 余裕があれば、レントゲン技師さんの性格やくせなどにも配慮して進めるとスムーズな検査ができると思います。

 

バリウムを飲みやすくする工夫も仕事の1つ

受診者の中にはバリウムの前に飲む発泡剤やバリウム自体をどうしても飲めないという受診者もいます。その場合は残念ですが、検査を受けることはできません。最近のバリウムは、昔のものと違って、飲みやすくなっていますので、受診者に不安を与えない配慮やバリウムを飲みやすくする工夫などをして、受けられないということがないよう努めることも看護師として求められる仕事のひとつです。

 

帰宅後の注意点もしっかり伝える

胃がん検診では、バリウムを飲んだ後の説明も大切です。検査の後に白いバリウムがちゃんと便として排出されているか確認をしてもらうよう受診者に伝えなければなりません。バリウムが排出されずに腸の中で固まったりすると大変なことになるので、バリウムが出ない場合の説明なども忘れずに伝えなければなりません。このあたりは、各検診機関が独自のマニュアルを持っているので、マニュアルを十分に読まれるといいでしょう。

 

子宮がん検診

子宮がん検診には子宮頸がん検診と子宮体がん検診がありますが、一般的に子宮がん検診といったら、子宮頸がん検診のことを指しています。子宮頸がん検診は、子宮頚部の組織を綿棒でこすりとって細胞を顕微鏡で確認する検査方法です。検査は簡単で、受診者に検診車の中に備え付けられている診察台に横になってもらい、医師が綿棒を使ってこすりとった細胞をプレパラートにすりつけて終わりです。早ければ2〜3分程度の検査ですが、その一連の介助をするのが看護師の主な役割です。

 

すぐに検査できるよう、受診者の体制をととのえておく

看護師は、まず受診者を確認して診察台に横になってもらい、医師がすぐに検査できるよう、受診者の体制をととのえます。検診車の中は、通常はふたり同時に検査を行うことができるようになっています。そのため、私が勤務していた検診機関では、一方は偶数番号、他方は奇数番号といったように振り分けて順次検査を行っていました。

 

患者の取違いがないよう細心の注意をはらう

診察台はカーテンで仕切られているため、受診者の顔は見えません。受診者と医師や看護師は顔が会わないよう配慮されているからです。でもだからといって、受診者を間違ってしまうと検診の意味がなくなってしまいますので、取り違いがないよう細心の注意を払う必要があります。先ほどの、検診車の中で奇数と偶数に分けていたのも、受診者を間違わないためのひとつの工夫だったようです。

 

ポイント!

ポイント

基本的なことですが、受診者を間違えないためにも、当然のことだと簡単に思うのではなく、くどいくらいに確認をする習慣をつけることをお勧めします。

 

診察台からの転倒・転落に要注意

検査の後は、受診者が安全に診察台から降りたことを確認することも看護師の役割です。冒頭でお話したように、住民検診は高齢者が多く、子宮頸がん検診も70歳や80歳の方も受診することがありす。検診車の中の診察台は、少し高めに設定されているので、受診者が上がるのが少し大変な場合があります。診察台から落ちてけがなどしないよう、配慮するのも仕事の一貫となります。

また、人によっては、検査の後に多少の出血を伴う場合もあるので、受診者が心配しないよう、検査の後の説明も忘れてはいけません。

 

子宮頸がん検診後の後片付けは大仕事

子宮頸がん検診の場合は、検査の後の片付けが結構大変です。クスコと呼ばれる子宮内に挿入する器機を洗って消毒するまでが看護師の仕事です。洗い場は検診車の中に装備されているので、車内で洗浄と消毒をすることができます。十分に洗浄されていないと次の検診で器機が使えないこともあるので、要注意です。

また、その日の受診者数は事前に分かっているので、どの程度の数のクスコが必要なのか、消毒済の器機を準備するのも子宮頸がん検診に従事する看護師の役割となります。クスコと同様に、消毒済の綿棒の準備も行います。

 

ポイント!

ポイント

子宮体がん検診は検診車などでは通常は行われません。多少の出血や腹部の痛みを伴う場合があるので、固定の施設で行うのが一般的です。

 

乳がん検診

今では、多くの自治体がマンモグラフィー検診を取り入れています。マンモグラフィーは乳房専用のX線検査です。そのため、撮影はレントゲン技師さんが行います。マンモグラフィー装置は、検診車の中に搭載されているので、ここでも受診者の氏名と受診番号に間違いがないか、確認を行うのが看護師の主な役割となります。マンモグラフィー検査は、すぐに結果が出るものではありません。検査結果までに多少の時間がかかることを受診者に伝え、説明するのも看護師の仕事となります。

 

マンモグラフィーが安全に行われるよう配慮していく

私が業務にあたっていた時には、「胸が小さいけど受けられますか?」といった様な相談を受けたことがあります。マンモグラフィーは男性でも受けることができるので、安心して受けてもらえるよう説明することも求められます。

また、豊胸のためインプラントを挿入している場合は、事前に申告してもらうことも大切です。インプラントを入れていることを知らずに乳房に強い圧力をかけてしまうと、インプラントが破裂することがあるからです。こういった、マンモグラフィーを受ける前の事前の確認も看護師の仕事となります。

 

不安を抱える人を放置しない

不安を抱えて検査を受けに来る方もいるので、ケースバイケースで対応しなければならないこともあると思います。自分で判断できない場合には、地域の保健師さんに相談するとか、あるいは所属する検診機関の責任者の看護師に相談するといいでしょう。検診に慣れてきて、地域の保健師さんとのコミュニケーションがうまくとれているようであれば、その場で保健師さんに直接報告することで引き継いでもらうこともできると思います。

受診者が不安に感じているようであれば、そのままにせずに、誰かに伝えることも忘れないようにして下さい。決して放置するようなことだけはしないようにしましょう。

 

地域によっては視触診検診を行っているところもある

自治体によって乳がん検診の内容も多少異なりますが、地域によっては視触診検診を行っているところもあるようです。この場合、看護師が介助することになりますので、少し触れておきます。視触診とは、ことばの通りで、医師が乳房にしこりなどがないかを確認する検査方法です。

医師によってやり方もさまざまですが、視触診の場合、しこりなどがあって医師の判断で「要精検」となった場合には、看護師が受診者に指導しなければなりません。自治体が受診可能な専門の施設(病院やクリニック)のリストを持っているので、どこの施設を受診する予定であるのか、またいつ頃行けるのか、などについて確認を行います。

 

異常があった場合は、その場で検査に行くように促す

医師にその場で書いてもらった紹介状を受診者本人に渡して、検査の時には紹介状を持参することも忘れずに伝えます。受診者によっては、この時点でとても心配される方がおられます。要精検になったからといって、必ずしも乳がんというわけではないので、その辺の説明をきちんと行うことも看護師に求められています。

また、たまに精密検査に行かない人もいるので、必ず検査に行くように促すことも看護師の役割となります。

 

ケースバイケースでの判断が求められる

私が実際に経験したことですが、高齢の方で、自分でしこりがあることに気づいていたけれど、怖くて病院に行けなかったという人がいました。ちょうど、自治体の乳がん検診があるので受けに来たという方でした。しこりはもうすでに5㎝以上になっていたので、医師とも相談して至急、病院を受診するように促しました。

ご本人が高齢だったので、自治体の保健師さんにも報告して、ご家族の方にも説明をしてもらったということがありました。要精検にも、心配のないものから、急を要するものまでさまざまです。ケースバイケースで判断が求められる仕事です。

 

4.検診業務に携わる際の注意点

検診業務に携わる際の注意点
これはとても重要なことなのですが、検診はとにかく朝が早いです。検診機関が自宅から近いのかどうかということも多少左右されると思いますが、出向く場所によって朝の集合時間が決められます。電車の始発前ということは私の場合はありませんでしたが、始発に乗らなければ間に合わないということはありました。

 

前日にはきちんと時間と場所を確認しておく

集合場所については、住んでいる場所や検診機関の意向などもあって、現地集合ということもありますが、通常は検診機関の検診車が出発する場所に集合することが多いです。連携している病院の医師が診察にあたる場合は、その医師が勤務する病院(だいたい大学病院が多かったですが)に集合ということもあり、さまざまです。毎日のように集合時間も集合場所もメンバーも違うので、前日にはきちんと時間と場所は確認しておく必要があります。

 

集合時間には絶対に遅れないこと!

最も重要なことが、「集合時間には絶対に遅れないこと」です。検診は看護師をはじめ、医師や臨床検査技師やレントゲン技師などチームで行うものなので、ひとりでも遅刻すると、検診全体が遅れてしまいます。私の経験上、遅刻する人は必ずいました。そうなると、出発時刻も、検診の開始時刻もズレこんでしまいます。(すると、自分が帰る時間も結果的に遅れてしまいます)

 

早起きが苦手な人は複数の目覚ましをセットしておこう!

私は朝が早い時はいつも、目覚まし時計を3つから4つほど使っていました。時計も絶対に壊れないといえないからです。電池が丁度切れてしまうかもしれませんし、何らかの理由で鳴らないこともあるかも知れないと考えてしまうからです。心配しすぎかも知れませんが、複数の目覚まし時計をセットすることをお勧めします。

 

まとめ:がん検診業務は幅広い知識が求められる

検診業務はメンバーが毎回違うので、いつも新鮮な気持ちで仕事をすることができます。コミュニケーションをとるのが大変と思うかも知れませんが、マンネリ化しないので、緊張感もほどほどにあるので、変化を好む人にはいいかも知れません。ただし、検診業務は完全にチームプレイとなりますので、遅刻するようなことだけは絶対に避けるようにしましょう。

また、がん検診に携わる看護師には幅広い智識が求められるため、受診者に不信感を与えないためにも、業務にあたる前には充分予習しておくようにしましょう。検診業務について更に詳しく知りたい方は検診センターで働く看護師の仕事内容と平均年収・平均給与看護師の検診クリニックと巡回検診の仕事についての記事をご参照ください。


(編集・構成・管理者:亀岡さくみ

看護師の資格をとってから、気がつくともう数十年が経っていました。振り返るとあっという間です。これまでの経験が誰かのお役に立てばいいなと思っています。よろしくお願いします。

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