著作者

くくる

執筆:看護師

くくる

( 看護師 保健師 男性)

病院内設備「中央処置室」で働く看護師の仕事内容とメリット・デメリット

公開:、更新:2018年05月29日

大学病院、公立病院や診療科が複数ある総合病院などの比較的大きな病院なら、外来診療科のひとつの部署として「中央処置室」が設置されており、各診療科からオーダーされる検査を一括して実施する部署になります。

外来診療で行われる各処置を一手に引き受ける部署のため、非常に忙しく、看護師が行う処置や仕事の内容も多岐に渡ります。

今回は実際に私が働いた中央処置室の看護師業務内容・仕事内容と、働く上でのメリット・デメリットなどについて説明していきたいと思います。

1.中央処置室での実際の仕事内容

初めに中央処置室では、検体検査や生理機能検査、感染症スクリーニングなどの各検査や、点滴や吸入処置、医師による処置介助などの業務が行われ、そこでは専任の看護師や臨床検査技師が配置されています。

それぞれの検査や処置については外来の各診療科で行われることも多いですが、そうなると外来看護師の業務量が増え、結果として患者の待ち時間の増加にもつながります。

それぞれの処置を中央処置室でまとめて実施することは、外来看護師の業務量の負担軽減となり、また患者さんにとっても落ち着いて処置や検査を受けることができるといったメリットがあります。

 

それでは、中央処置室で働く看護師の仕事内容について説明していきます。

 

(1)中央処置室の看護師は採血業務がメインの仕事

中央処置室の看護師は採血業務がメインの仕事

中央処置室では、どの診療科からの検査オーダーであっても、最も多いのは血液検査です。

したがって中央処置室で働く看護師の仕事内容の多くは、採血を実施することになります。

 

採血業務を実際に行った体験談

複数人の看護師で採血ブースに立ち、次々と患者を呼び込んで採血を行います。

中央処置室での業務分担を看護師同士でローテーションすることがありますが、特に採血担当となった日は、午前中はほぼ立ちっぱなしで採血業務のみで終わってしまうこともありました。

手順や感染管理対策などについては各病院でマニュアル化されており、マニュアル通りにひたすら同じ作業を繰り返していくことになります。

 

補足説明!

ポイント

外来患者数や採血スタッフ数、オーダーの違いになどもよりますが、私個人の経験では午前中の特に忙しい8時~10時で30人前後の採血を実施していました。

 

(2)末梢ラインの確保を行う仕事

中央処置室は治療として点滴を受ける方も多く、末梢ラインの確保と輸液管理も看護師の大きな仕事になります。

看護師は、

  • 刺入部の観察
  • 抗生剤使用の際のアレルギーチェック
  • 輸液ポンプの使用
  • 使用薬液のダブルチェック
  • タイマーをセットしての定期的な観察

など、同時にいろいろなことに気を配りながら仕事を行っていきます。

また患者さんの状態によっては医師の指示により輸血を行うこともあり、医師の穿刺介助を行います。

 

補足説明!

ポイント

留置針での点滴は、採血の穿刺より難しいですが、中央処置室の看護師はそれらを何十人の患者へ繰り返し行うこともあります。

 

(3)感染管理対策と環境整備

感染管理対策と環境整備

看護師の仕事内容として処置が多くなればそれだけ事故のリスクも高まります。

そのため、中央処置室で働く看護師は感染対策について常に意識をしておく必要があります。

例えば、針刺し事故、患者の体液による汚染などに対するマニュアルの整備と対応が必要となります。

 

環境整備や物品管理業務

中央処置室内の衛生材料や薬品類、その他物品の管理も看護師の大切な仕事です。

必要なときに必要な物品がすぐに使用できるように、常に看護師は準備しておかなければなりません。

 

(4)その他、看護師が行う処置の内容

時期や病院によっては、

  • 予防注射やワクチン接種
  • インフルエンザの簡易検査の実施
  • 大腸内視鏡検査の前処置
  • 浣腸、摘便、解熱剤などの薬剤投与

なども、中央処置室の看護師が行う仕事となり、病院内の診療科目が多ければ、それだけ実施される処置も多くなり、看護師の技術も必要とされてきます。

また、小児科がある病院では気管支拡張剤の吸入も多く実施します。

 

2.中央処置室の看護師に必要なスキルとは

中央処置室の看護師に必要なスキルとは

中央処置室の看護師業務は、単調でルーチン化された業務が多いです。

しかし、

  • 「常に患者の状態観察に神経を集中させておかなければならないこと」
  • 「患者急変時には迅速な対応ができること」

などが必要になります。

その点から中央処置室で働くためには、看護師としての十分な経験や知識、救急対応への場慣れ、診療科ごとに異なるさまざまな処置を熟知していることなど、急性期病棟などでの看護経験が数年あるほうが望ましいと思います。

以下で細かく必要なスキルについて説明します。

 

(1)正確な採血を実施するスキル

中央処置室で働く看護師は、採血に関する手技的スキルは何より必須です。

次々と出てくるスピッツや、廊下に並ぶ患者さんのプレッシャーを受けながら、すばやく正確に採血を実施していきます。

またそれらの業務を淡々とこなしていく精神的な強さも必要です。

 

ポイント!

ポイント

検査オーダーによって採血量やスピッツの数も異なるので、シリンジでの採血よりも採血量が調整できる真空管のほうが処置室での採血には向いています。できるだけ一回の穿刺で成功できるように、また無駄な動きをせずに、スピーディーに行うのがポイントです。マニュアル化された動きに慣れ、それを繰り返すことが大切になります。

 

(2)処置後の患者アセスメント能力

採血などの処置を実施している間や、処置後の患者の状態観察は、看護師にとって非常に大切な能力です。

採血をしている間、または医師の穿刺介助をしている最中も、手元だけを見るのではなく、常に患者の顔色や全身状態を確認しなければなりません。

そのため、患者の細かな変化に気づく能力は、中央処置室においてとても大事です。

 

(3)急変時の対応は必須スキル

中央処置室での処置終了後、患者によっては迷走神経反射による軽い気分不良を訴える場合や、急激な血圧低下によるショック状態を引き起こす場合などがあります。

それらの急変時の対応も中央処置室の看護師の大きな役割であり、必要なスキルとなります。

 

補足説明!

ポイント

中央処置室では医師への緊急コールを行うような事態はめったに起こりませんが、緊急事態が起こったときに、冷静にすばやく必要な対応ができることが看護師に求められます。

 

3.中央処置室で働く3つのメリット

中央処置室で働く3つのメリット

中央処置室では、ひとりの患者を担当することや、長く接するということがなく、次から次へと患者を捌いていきます。

そのため、コミュニケーションをとることを多少苦手に感じる看護師にも適した部署だといえます。

以下で、中央処置室で看護師として働くメリットを3つご紹介していきます。

 

(1)看護師のワークライフバランスに優れている

中央処置室が稼動しているのは、基本的には外来診療が行われているときのみです。

そのため、多くの場合、看護師は日曜日と祝祭日は休みになり、土曜日も休みか午前中のみなどが多いです。

中央処置室はワークライフバランスに優れている理由ではないでしょうか。

 

基本的に日勤のみで残業もほとんどない

勤務は基本的に日勤のみで残業はほとんどありません。

病院によってシステムは異なりますが、早出・遅出など時差出勤を設ける、残り当番をローテーションでまわす、救急診療部の夜勤看護師に時間外の対応を依頼するなど、残業が必要最小限になるように工夫されています。

 

(2)看護師としての基本的な手技についてマスターできる

中央処置室に勤務する看護師は、採血や末梢血管の確保など、看護師としての基本的な技術が確実にマスターできます

また、急変時などの臨機応変な対応もあるので、ひととおりの手技的技能は身に付けることができるでしょう。

 

(3)パート勤務希望の看護師には最適な職場

仕事内容としては非常に楽な部類で、ルーチンワークがメインであり、技術的には高いレベルが求められますが、病棟などのように煩雑な業務は少ないため、パート勤務希望の看護師には最適な職場といえます。

中央処置室での業務のコアタイムは午前中です。

そのためフルタイムの看護師求人よりも、午前中だけといった短時間勤務の募集も多いです。

 

4.中央処置室で働く看護師のデメリット

中央処置室で働く看護師のデメリット

中央処置室では、針を刺す、という医療行為を一日に何十件と看護師が行うため、医療事故のリスクも高い現場といえます。

また看護師自らが針刺し事故等により、患者体液に曝露するリスクも高いことがデメリットとして挙げられます。

以下でその他のデメリットを2つ説明します。

 

(1)病棟の看護師より給料の減少する

中央処置室では残業がなく、夜勤も基本的にありません。

そのため、給料は通常の病棟看護師などに比べて減少することが予想されます。

また、中央処置室は特別な手当てもつかない場合が多いですので、しっかり稼ぎたい看護師には向いていないかもしれません。

 

(2)処置を失敗できないプレッシャーがある

私自身も経験がありますが、採血予定の患者ファイルが山のように積まれていたり、廊下にずらっと患者さんが並んでいたりすると、早く採血してしまわないといけないプレッシャーを感じます。

ただでさえ待ち時間が長く、患者のクレームも多いのに、採血に失敗でもしようものなら更に緊張した雰囲気になります。業務中はほぼ休みなく緊張の連続となり、精神的なプレッシャーも多く受けることになります。

 

補足説明!

ポイント

これらの処置は数をこなすことで自信もつきますし、そのうちにどんな患者さんでも採血できるようになります。

 

5.中央処置室へ転職時の注意点

中央処置室へ転職時の注意点

中央処置室へ転職を考える看護師の方は、まず病院内を見学することが一番のポイントといえます。

仕事内容や業務内容を聞くだけで転職を決定してしまうと、「思っていたことと違う!」というイメージを受けるからです。

以下で、転職を決める上での注意点を説明していきます。

 

(1)病院内の中央処置室と救急診療室の位置関係が大事

病院によって異なりますが、中央処置室と救急診療室はそれぞれ独立して設置されていることが多いです。

しかし、中にはこの「中央処置室」と「救急診療室」が隣り合っていたり、病院によっては、ほぼ一緒のフロア内に設置されている場合もあります。

経験上この二つの部署が隣り合った位置関係にあるとき、看護師の業務分担について明確な違いはなく、普段は処置室担当で急患が来た場合には救急室を担当するといったことも良くあります。

 

「中央処置室」と「救急診療室」を兼ねることになり業務量は増える

上記の場合、看護師の業務量は増え、内容もかなり複雑になります。

すると中央処置室で働くメリットであるはずの定時帰宅や、ルーチンワークがメインであるといったことがなくなってしまう場合があります。

中央処置室での専任業務を望んでいるならば、事前の病院見学や転職コーディネーターなどを通して、中央処置室の設置場所について確認しておくことをお勧めします。

 

(2)求人は少ないので根気よく探す必要がある

規模が大きな病院でないと、中央処置室がひとつの部署として独立しているということは少なく、転職する看護師にとって狭き門になります。

また、実際の求人でも常勤で中央処置室専任の看護師を募集することは少なく、外来看護師としての募集がほとんどになります。

そのため、中央処置室の看護師求人はかなり根気強く探す必要がある求人であることを理解し、必要であれば看護師転職サイトなどを利用して探していきましょう。(看護師転職サイトは、常勤だけではなく、パート看護師の求人も紹介してくれます。)

 

まとめ

中央処置室では、看護師の勤務体制の選択肢がいろいろあることも特徴のひとつです。

正看護師でも准看護師でも働くことができ、常勤か非常勤、フルタイムか短時間のパート看護師など、様々な勤務形態の選択が可能な部署です。

そのため、家庭や育児とのバランスもとりやすく、残業が少ないことや、夜勤がないためにライフワークバランスは良いと言えるでしょう。

中央処置室で働く場合のメリット・デメリットをよく考慮したうえで、転職の際にはできるだけ中央処置室での業務を優先して行いたいとの希望を伝えるのが良いでしょう。


(編集・構成・管理者:亀岡さくみ

アラフォーの男性看護師です。国立大学の看護学科を卒業し、看護師と保健師を取得しました。卒後は脳外科病棟で急性期看護を学び、数回の転職を経て、現在は民間の総合病院で保健師として働いております。
看護師としてのキャリアアップと、ワークライフバランスとの両立に関心があり記事で皆様にお伝えしていきます。

看護師としての経歴

保有資格 ・正看護師・保健師・第一種衛生管理者・人間ドックアドバイザー
出身/年齢 ・沖縄県/男性/40代前半
職務経験 ・総合病院・訪問看護師・治験コーディネーター
診療科経験 ・脳神経外科・ICU・呼吸器内科・睡眠時無呼吸症候群専門外来
・健診センター・ペインクリニック・糖尿病専門外来・内視鏡センター

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