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黄昏のフクロウ

黄昏のフクロウ

( 看護師 )

小児神経科ってどんなところ?看護師の役割と必要スキルについて

黄昏のフクロウ
小児神経科 看護師

みなさんは小児神経科という科を目にしたことはありますか。

この科を看板に掲げている病院は全国的にみてもそんなには多くありません。

しかし、母子保健法に基づき市町村が行う乳幼児健診で、何らかの遅れや異常が指摘された場合、紹介されるのは小児神経科というのがほとんどです。

今回は、そんな意外と身近な小児神経科で働く看護師の役割と必要スキルについてご紹介します。

1.小児神経科で扱う疾患について

小児神経科の子どもの手を握る看護師の手

小児神経科で扱う疾患は、大きく4つに分かれます。

 

(1)てんかん・けいれん性疾患

てんかん・けいれん性疾患は、小児神経科において一番多く扱われる疾患です。発熱などの誘因がなく、

  • 運動異常
  • 意識レベルの変化
  • 精神・行動症状
  • 自律神経症状(腹痛・嘔吐など)

などの、多彩な発作を繰り返す慢性疾患です。

代表的な治療は薬物療法であり、重症な場合には外科的治療もあります。

幼少期にてんかん・けいれん性疾患を発症する場合は、入院と退院を繰り返すケースが多いです。

 

(2)神経難病

神経変性疾患・代謝性疾患などによる神経難病は、

  • ミトコンドリア病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊髄性筋萎縮症

など、多岐に渡ります。主な治療は対処療法(人工呼吸器の管理や理学療法など)となります。

根本的な治療は今現在も発明されていませんが、遺伝子治療や酵素補充療法など新しい治療法の開発が始まっています。

 

神経難病の子供は病院が家になっているケースが多い

神経難病と定義されるだけあって、診断も難しく、治療も積極的なものはありません。

そのため、生まれてからずっと入院していて、病院が家になっているケースも珍しくありません。

 

(3)筋ジストロフィーなどの筋疾患

筋ジストロフィーなどの筋疾患の多くは、ゆっくりと進行し、筋肉だけが萎縮していく病気です。

根本的な治療はなく、理学療法や呼吸器のリハビリに加えて、非侵襲的換気療法(鼻マスク人工呼吸)などの治療を行いながら生活のサポートをしていきます。

神経難病と同じく、生まれてからずっと入院しているケースと、呼吸器の機能低下が著明になってから入院するケースとがあります。

 

(4)発達障害

発達障害には、自閉症、注意欠陥・多動性障害・学習障害などが挙げられ、コミュニケーションと社会性の困難さを特徴とする障害と定義づけられています。

日本に「発達障害」という考え方が入ってきたのは1970年代と言われているくらいにまだまだ新しい概念で、現在、原因としては脳機能の障害と考えられています。

一部薬物療法が効果的なケースもありますが、生きやすい環境を本人と周囲の人々が共に考えていくような社会的な支援も注目されています。多くは外来で治療を行います。

 

2.小児神経科の看護師の役割

子どもを抱きしめる小児神経科の女性看護師

小児神経科に入院する患者は慢性疾患により一般的に経過が長く、また在宅での療養が簡単ではないため入院期間が長期化・遷延化するといった側面があります。

それらを踏まえて、小児神経科の看護師の4つの役割をご紹介します。

 

(1)看護師としての役割

小児神経科の看護師には、もちろん療養上の世話や診療の補助など、看護師の役割が軸にあります。

安全管理・栄養管理・呼吸管理・精神運動発達のアセスメントにそれらを促す働きかけ、そして、後述しますが家族看護にも携わる必要があるため、小児神経の看護師は忙しいと言えるでしょう。

 

(2)母親(もしくは主たる養育者)としての役割

小児神経科の看護師には、患者の母親もしくは養育者としての役割が求められます。

子どものこころの発達にアタッチメントという概念は必要不可欠です。

子どもは母親もしくは主たる養育者から無条件にケアされる経験を通して、相手とのアタッチメント(愛着)を形成していきます。

 

母親役を自覚的に演じる必要がある

入院中の子どもへの看護師による母親のような働きかけは、自覚的に行われないとなかなか難しいものです。

そのため、たとえそれが疑似体験であっても、母親役を自覚的に演じる看護師の存在は必要になってきます。

 

ポイント!

ポイント

生まれてからずっと退院することが叶わず、家に帰ったことのない場合もあれば、発症により急に入院を余儀なくされた場合など、小児神経科の入院のケースは様々です。それら社会的背景や発達段階を踏まえた上で、ケアできるのが理想です。

 

(3)学校の先生としての役割

小児神経科の看護師には、患者の先生としての役割も求められます。

小児神経科病棟のある病院の場合、養護学校が併設・隣接されている場合が多いため、そこに子どもたちが出向く場合や、それが難しい場合はベッドサイドにてマンツーマンで授業してくれる場合もあります。

しかし、養護教諭の先生はカリキュラムにのっとって授業を行うため、看護師の方で代わって社会的な規範や最低限のルール、細かくは院内のローカルルールを教育できることが望ましいです。

 

(4)対等な関係の友人としての役割

入院している子どものなんでもない遊びができる相手や、どうしても目上に人には話しにくい本音もぽろっと話せる友人の役割を、小児神経科の看護師が担うと良いでしょう。

看護師、母親、先生、そのどれでもない対等な関係である友人は、患者にとって必要な存在です。

 

病棟内で看護師の役割を分担する

小児神経科病棟内で、「教育担当はA看護師、本音担当はB看護師」のように、役割がなんとなく決まっているとよいでしょう。

そんな簡単に、と思われるかもしれませんが、入院期間が長いとそういったことも自ずと定まってきます。要は自覚的にそういった役割を演じられるかどうかなのです。

 

3.小児神経科の看護師に必要なスキル

指を指す小児神経科の女性看護師

小児神経科で働く看護師に必要なスキルについてご紹介していきます。

 

(1)排痰のスキル

小児神経科で働く看護師には、排痰のスキルが求められます。

小児神経科であつかう疾患のうち、座位が取れなくベッド上で過ごす時間がどうしても多くなる神経難病や神経筋疾患で、死因に多いのが肺炎です。

 

理学療法士から排痰スキルを学ぼう

理学療法士がベッドサイドに来て排痰してくれることももちろんありますが、それは限られた時間内のことです。

それ以外の時間帯は、看護師が排痰の役割を担っています。

もちろんテキストからも学ぶことはできますが、実践レベルで身に付けるためには、理学療法士から直接学んだ方が良いでしょう。

 

補足説明!

ポイント

排痰スキルとともに、各病気に応じた呼吸機能の評価と管理ができることも求められます。

日本看護協会では慢性呼吸器疾患看護認定看護師を定めているため、興味のある看護師は一度調べてみてください。

 

(2)緻密な管理とリスク回避のスキル

小児神経科では、何事においても比較的緻密な管理が求められます。

小さなヒヤリハットやリスクを皆で大切に共有し、それを安全の母とする真摯な姿勢は、看護師になにより大切なスキルのひとつでしょう。

 

緻密管理な仕事とは・・・

例えば、小児神経科では一般的な補液管理も輸液ポンプ機で「一時間あたりに20ml」といった医師の指示のもと行います。

しかし、他の科の成人の場合は「500mlを5時間で」といった指示がほとんどであり、そう言った指示さえない場合もあります。

これら小児神経科医の指示は、心臓に負荷がかからないよう、かつ体重から計算された量であるため、内服と一緒で緻密に管理せねばなりません。

 

(3)家族看護のスキル

看護師が小児神経科で働くためには、家族看護のスキルが重要です。

法律上、未成年の子どもは親権者に服する立場にあるため、受ける治療の選択や意思決定、その他の責任は親権者にあります。

そのために小児神経科看護では、親権者である親が子どもの病気や障がいに対して深い理解を持ち、治療における意思決定を納得した形で行うための情報提供や、不安感や漠然とした恐れを最小限にすることのできるようなサポートがとても重要になってきます。

 

福祉や在宅療養の知識も必要

適切な家族看護を実施するために、小児神経科の看護師も障害年金などの福祉の知識を学ぶことも重要ですし、在宅療養についてイメージできるようにしておくことも必要です。

家族の中には、退院は難しくても、正月くらいは家に外泊させてやりたいという考えを持つ人は多いのです。

 

まずは話しかけやすい看護師になろう

まずは、どんなに煩雑な業務に追われていたとしても、話しかけやすい看護師になることが第一歩です。

患者の家族との間には、入院期間が長いため、目標を同じくする「同志」といった連帯感が生まれることも珍しくないです。

互いに「あまり疲れないようにしてくださいね」なんて声を掛け合いながら、看護師の方が家族に癒されるといったようなエピソードはよく耳にします。

 

4.やりがいは「患者や家族との関わり」にある

ベッドの子どもと話す小児神経科の女性看護師

小児神経科であつかう疾患の多くは長く付き合って行く慢性疾患です。

そのため、ドラマでよく見るような「退院おめでとう!」といった場面はなかなかみることがありません(検査入院ではありますが)。

また、意識レベルが低くそもそも会話のできない患者の病状の多くはいわゆる低め安定で、良くはならない代わりに悪くならなければいい、といった世界なのです。

看護師によっては、そこからやりがいを見つけるのは難しいかもしれませんが、私が小児神経科で働く中で見つけたやりがいは、子どもやその家族としっかり関わることができるということです。

 

日常を一緒に過ごすことができる

小児神経科の朝は、洗面と更衣から始まり、短時間でもいいからHR・SPO2モニタリングをしながら車いすに乗せ、日の当たる方に体の向きをセッティングして養護学校の先生の来訪を、患者に声をかけながら待ちます。

午後には家族の面会があり、そこで夜間と午前の状態を共有しつつ、家族の体調も配慮したり、ほかの兄弟の話を聞いてみたり(小児神経科病棟では、中学生以下の子どもの面会は感染症の問題で禁止されている場合がほとんど)します。

外出や外泊までの日数を、患者とベッドサイドで一緒に指折り数えてみるなどもしました。

 

亡くなった患者の家族が後日挨拶に来てくれた

重度の脳の疾患を持っていた1歳のA君が病棟で亡くなりました。その時、A君の両親は「やっと一緒に家に帰れるね…やっと一緒に…」と安堵の表情をみせていました。

A君は入院での管理が必要だったため、生後一日も家に帰ったことがなかったのです。

両親はご遺体をバギーに乗せ、葬儀までの時間を家で過ごすと話していました。

その数か月後、両親があらためてご挨拶に病棟まで来てくれたこともありました。

 

5.看護師の身体的・精神的負担とは

腰を押さえる小児神経科の女性看護師

ここでは、小児神経科で働く看護師が感じる負担についてご紹介します。

 

腰痛に悩まされるという身体的負担

小児神経科の看護師は、更衣・清拭・排痰などどうしてもベッド上でやる看護が多いため、腰痛になることが多いという身体的負担があります。

私は腰を冷やさない工夫や、片膝だけベッドの端に乗せてしまうなどして腰痛のリスクを回避していました。

 

コミュニケーションを取るのが難しいという精神的負担

意識レベルの低いラポールのとれない患者とのコミュニケーションで悩む小児神経科の看護師は多くいました。

また、会話はできても患者に構音障害があり、初対面では何を言われているか分からないなどということもあります。

これらの悩みには「石の上にも三年」のことわざが意味を持つ気がします。要は、看護師は焦らず患者と向き合う時間を多く作る必要があります。

 

まとめ

小児神経科で働く看護師の役割・スキルをご紹介してきました。

長い経過をもつ疾患ばかりであるため、看護師と家族の付き合いも長くなります。そこで学べることも多くあります。

興味のある看護師は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。


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この記事を書いた人

都内の国立病院(小児科・脳外科)で7年、その後都内の学生数3,000人の専門学校の保健室や老人保健施設、都内の民間の精神科の単科病院で勤務。

現在は、今までの経験を活かして看護師ライターとして活動しております。

看護師のみなさんの転職を有意義なものにできるようお手伝いできる、そんな情報を発信して参ります。

年齢
  • 東京都・奈良県/40歳
  • 元看護師
職務経験
  • 総合病院
  • 専門学校保健室
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この記事を書いた人:黄昏のフクロウ
(公開日:)(編集日::2017年11月16日)

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