著作者

佐藤ゆうき

正看護師

佐藤ゆうき

( 看護師 )

慢性呼吸器疾患看護認定看護師になるには?役割も解説。

公開:、更新:2018年05月02日
慢性呼吸器疾患看護認定看護師になるには

慢性呼吸器疾患看護認定看護師を知っていますか。

近年ではタバコによる害が注目され、禁煙外来を受診する患者が増加傾向にあります。

しかし、慢性呼吸器疾患患者は多く、適切なケアや指導が必要とされており、慢性呼吸器疾患看護認定看護師の需要はますます増えていくと言えます。

慢性呼吸器疾患とはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)・肺炎・喘息などの呼吸器疾患を総称したものです。COPDや肺炎などから肺腫瘍を発症するケースが増えてきたため、肺腫瘍も慢性呼吸器疾患の中に含まれるようになりました

慢性呼吸器疾患のうち、COPDに罹っている患者は530万人と推測されていますが、実際に治療を受けているのは26万1000人(厚生労働省平成26年「患者調査の概況」より)しかいません。

慢性呼吸器疾患に罹患していることに気付かない人や治療を受けない人が多く、病気に対する意識の低下や知識や情報量の低下が問題であると言えます。

今回は「慢性呼吸器疾患看護認定看護師になるには」「慢性呼吸器疾患看護認定看護師の役割」について紹介していきます。

呼吸器ケアに興味のある方は参考にしてみてください。

1.慢性呼吸器疾患看護認定看護師の役割

実際に慢性呼吸器疾患看護認定看護師の役割や仕事内容はどのようなものがあるでしょうか。

以下で詳しく説明していきます。

 

(1)患者自身に病気を知ってもらうようサポートをする

患者自身に病気を知ってもらうようサポートをする

慢性呼吸器疾患の患者は病気を自覚している人が少ないため、まずは病気や症状を知ってもらうことが必要になります。

特に、仕事をしながら治療を受けている患者は、少し息が苦しくても仕事を優先して無理をしてしまう事がよくあります。

そのため、病気の恐ろしさや合併症、症状が悪化した場合の様子なども詳しく説明し、少しでも治療に前向きになってもらうよう働きがけます

 

禁煙指導

禁煙指導はとても重要です。COPDはタバコ病とも呼ばれており、喫煙が一番の危険因子となります。そのためCOPDと診断されたらまずは禁煙指導を行います。

タバコは体に害があると分かっていても、なかなか禁煙ができない人が多いのが現状です。禁煙に失敗した人には以下のようなケースがあります。

  • 喫煙を辞めてしまうと禁断症状が出てしまい、それに耐えることができずにまたタバコを吸ってしまうケース
  • 禁煙できても何かのきっかけでまた喫煙を始めてしまうケース
  • 自分は禁煙できないだろうと最初から諦めているケース

そのため、患者の性格や状況に合わせた指導が必要となります。

また、本人だけでなく家族を含めた指導を行い、長期的に関わっていくことが重要です。

 

(2)呼吸リハビリの実施

呼吸リハビリの実施

慢性呼吸器疾患の症状は息苦しさ、喘鳴、チアノーゼ、咳嗽、喀痰などがあります。

患者が自宅で生活する上でこれらの症状と上手く付き合っていくためにも呼吸リハビリは欠かせません。特に、急性期の患者には呼吸機能を向上できるようなリハビリ、慢性期の患者には現状維持できるようなリハビリなど、患者の状態に合わせて進めていくことが大切です。

無理をしてしまうと症状が悪化してしまったり、合併症を併発してしまったりする可能性もあるため注意が必要です。

呼吸リハビリは具体的に以下のものが挙げられます。

  • 口すぼめ呼吸や複式呼吸などの呼吸法について
  • 苦しくなった時にとる姿勢について
  • しっかり痰を排出できるような喀痰方法痰について
    (痰を出しやすくするため、水分を多めに摂取することも指導します)

実際に呼吸方法を指導するのは作業療法士や理学療法士ですが、慢性呼吸器疾患看護認定看護師も一緒に患者のリハビリの進み具合をチェックし指導を行います。

 

(3)誤嚥性肺炎を予防する

誤嚥性肺炎を予防する

高齢者が起こす肺炎の約半数以上が誤嚥性肺炎です。

誤嚥性肺炎は唾液や食物が間違えて気管支や肺に入ることで起こるもので、簡単に罹ってしまう恐れがあります。そのため、慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、すでに誤嚥性肺炎で入院している患者のケアだけでなく、誤嚥性肺炎に罹りやすい患者を予測し、予防行動を促していく必要があります。

予防行動としては、以下のものがあります。

 

口腔ケア

誤嚥性肺炎を予防する一番の方法が口腔ケアと言われています。口腔内の細菌が繁殖しないよう歯磨きをしっかり行う習慣をつけます。

 

食事摂取方法

食事中にむせ込み誤嚥性肺炎になることがあります。そのため、食事は一口ずつゆっくり摂取することや、頻回にむせてしまう場合はとろみをつけたり、ゼリー状の飲み込みやすい食べ物を勧めたりするなど、食事方法について指導を行います。

誤嚥性肺炎は誰でも起こりやすく重症化しやすいため、患者やその家族が誤嚥性肺炎の予防方法について理解できるよう指導を行っていくことが重要です。

 

(4)退院指導の実施

退院指導の実施

退院後またすぐに再入院してしまわないよう、日常生活において何に注意しなければならないかを指導するのも慢性呼吸器疾患看護認定看護師の大きな役目です。退院指導で特に重要なものを紹介します。

 

呼吸リハビリ

先ほども記載しましたが、退院後もリハビリは続けていく必要があります。そのため、自宅でもできるリハビリ方法について指導します。

 

自覚症状

慢性呼吸器疾患の症状は息苦しさ、喘鳴、チアノーゼ、咳嗽、喀痰などですが、どのような症状があれば病院へ連絡した方がいいのか、重大な症状はどのようなものなのかについて説明します。

また、症状が現れたら無理をせず、まずは体を休めることを指導します。

 

感染予防行動

風邪やインフルエンザなどの感染症にかかってしまうと、重症化しやすくなります。そのため、うがいや手洗いの感染予防をするように指導します。

また、インフルエンザが流行している時期は予防接種を行い、なるべく人混みを避けるように説明します。

 

歯磨き

歯磨きの必要性を説明し、毎日行うよう指導します。また、虫歯があった場合、早期に発見できるよう定期的に歯科受診するように説明します。

 

HOT(在宅酸素療法)導入をサポート

患者によっては入院中、HOTを導入し、退院する人もいます。患者が移動する時は常にHOTを持ち歩く必要があるため、中には嫌がる人もいます。

そのため、まずはHOTの必要性を説明し患者自身がきちんと受け入れることができるよう支援しなければなりません。

また、HOTの使用方法についても指導します。特に、患者が高齢であることや、1人で使用するのが難しいと判断した場合は家族にも説明を行います。

 

(5)チーム医療で患者を支える

チーム医療で患者を支える

慢性呼吸器疾患患者をサポートする医療スタッフは医師、看護師だけでなく、栄養士、薬剤師、理学療法士、作業療法士など様々です。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師はその中心となり、医療スタッフ全員が同じ目標に向かって治療・指導していけるように、定期的にカンファレンスを実施し情報交換を行います。

 

(6)看護師への教育・指導の実施

看護師への教育・指導の実施

慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、病棟看護師の知識・技術の向上を図るため、勉強会や講習会を開き、看護師が自信を持ってケアを実施できるように働きがけます。

また、実際に各病棟をラウンドし看護師の疑問に直接答えたり、誤嚥性肺炎になる恐れのある患者がいた場合は、予防方法や看護ケアについて病棟看護師に指導したりします。

 

2.慢性呼吸器疾患看護認定看護師になるには

慢性呼吸器疾患看護認定看護師になるには

慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、2010年に特定され、2012年6月に認定看護師が誕生した最近の認定看護師資格です。

そのため、2017年7月時点では、272名の認定看護師しか存在していません。

2013年 115人
2014年 171人
2015年 220人
2016年 244人
2017年 272人

(日本看護協会 認定部より2017年7月データ)

 

慢性呼吸器疾患看護認定看護師の資格取得条件詳細

  • 日本国の看護師免許を保有していること
  • 看護師としての実務経験が通算5年以上あること
  • 通算3年以上、慢性呼吸器疾患患者が多い病棟を中心とした看護実績を有すること
    (その間、外来、IRCU、または在宅ケア領域での実践を含んでよい)
  • 慢性呼吸器疾患の増悪期から回復期にある患者の看護を5例以上担当した実績を有すること
    (入院から退院まで担当した経験、またはそれに準じる内容であること)
  • 現在、慢性呼吸器疾患患者の看護に携わっていることが望ましい
  • 日本看護協会が認定している認定看護師教育課程を修了(6ヶ月・615時間以上)

注意したい点として、慢性呼吸器疾患患者は「COPD、間質性肺炎、気管支喘息、気管支拡張症、肺結核後遺症、非結核性抗酸菌症、肺線維症、睡眠呼吸障害等。神経・筋疾患による呼吸障害を含む」ことです。確認しておきましょう。

また、2016年から資格取得条件が一部変更になっているため注意しましょう。(上記は変更後の資格条件です。)

 

日本看護協会が認定している慢性呼吸器疾患看護認定看護師の教育機関一覧

東京都 日本赤十字看護大学地域連携・フロンティアセンター
(2018年1月時点:休講)
福井県 福井大学大学院医学系研究科附属 地域医療高度化教育研究センター看護キャリアアップ部門
(定員数:30名)

(2018年4月1日現在)

東京都で受講できる教育機関は現在休講中です。教育機関または、看護協会に確認しましょう。

 

注意しよう!認定看護師にかかる費用について

以下は最低限かかる費用の計算を独自に行っております。詳しくは受講する教育機関、または日本看護協会に確認をしましょう。

入試検定料 約5万円
入学金 約5万円
授業料 約70万円
実習費 約10万円
認定審査費用 約5万円
認定費用 約5万円
   合計約100万円

※ここに記載してある費用に加え、無給となる6ヶ月間の生活費用も考慮する必要があります。

 

3.まとめ

参考:日本看護協会

その他参考:

慢性呼吸器疾患は患者数が多く、特に誤嚥性肺炎は高齢者の誰しもが罹る可能性のある疾患とも言えます。

そのため、さらに高齢化が進んでいくと予想される現在において、慢性呼吸器疾患看護認定看護師はどの職場で働いても必ず活用できる資格であり、これからますます期待される認定看護師の1つです。

この記事を読んでいただき、少しでも慢性呼吸器疾患に興味を持った方は慢性呼吸器疾患看護認定看護師を目指してみてはいかがでしょうか。

 

効率的に認定看護師支援を受けて資格取得を目指す方へ

効率的に認定看護師支援を受けて資格取得を目指す方へ

認定看護師を目指す看護師の方は「認定看護師支援がある病院への看護師転職で知りたい6つのポイント」を確認してください。

 

自転車旅行が大好きで、しまなみ海道を縦断してきた30代の看護師です。

都内の総合病院で約6年、その後クリニックで約2年勤務しました。現在は1児の母として子育て奮闘中ですが機会があればまた働きたいなと思っています。

病院で働いている時は人間関係に悩みましたが、なんとか6年間頑張ることができました。

自分が今までに経験したことをどんどん発信して、少しでも皆様のお役に立てればと思います。

看護師としての経歴

保有資格 ・正看護師
出身/年齢 ・千葉県/31歳
職務経験 ・総合病院・クリニック
診療科経験 ・呼吸器外科、呼吸器内科・消火器外科、消化器内科
・循環器内科・心臓血管外科・婦人科・小児科・眼科


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