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ゆきの

ゆきの

( 看護師 保健師 )

透析外来看護師へ転職!業務内容とメリット・デメリットとは?

ゆきの
透析外来看護師へ転職!業務内容とメリット・デメリットとは?

生活習慣などの変化により慢性腎臓病(CKD)患者は年々増加してきています。増加に伴い透析患者数も増え、2014年末の時点で32万448人(日本透析医学会調べ)にも上っており、透析看護師の需要も高まってきています。

透析外来は、給与が病棟並みに高いことや休日がしっかりとれることから、転職先候補に透析外来を視野に入れる看護師も少なくありません。

今回は、透析外来への転職を考えている看護師の疑問を解消するため、透析外来で働く看護師について詳しく解説します。

 

1.透析外来で働く看護師の仕事内容

透析外来で寝る男性

そもそも「透析」というのは、腎機能が低下した患者に対して機器を使用し「透析療法」を行うことで生命維持のお手伝いをすることです。

腎機能は濾過する働きをもち、排泄物・水分のコントロールを担っていますが、CKD(慢性腎不全病)を患っている患者は腎機能がうまく機能しません。そのため、「透析療法」に用いられるダイアライザという濾過機能をもつ機器に腎機能の代わりを果たしてもらい、生命維持していくのです。

腎機能は元に戻ることはありません。そのため、長期にわたり長くお付き合いしていかなければならない疾患となります。

では、そういった中で行われる透析看護師の仕事内容とはどのようなものがあるのでしょうか。基本的には以下にご紹介する6つが主な業務になります。

 

透析機器の準備

透析機器や透析にかかわる透析液の管理などは主にSEが行いますが、機器の回路接続と透析開始直前の回路チェックやプライミング(透析液や電解質液をダイアライザ・血液回路内を洗浄後に液を満たす)は看護師が行います。

 

ポイント!

ポイント

回路接続の間違い・接続部の緩みがあると患者を生命の危険にさらしてしまうため、間違いや見落としは許されません。各回路の動きや流れを理解しながら接続確認をしていくとスムーズです。

 

穿刺業務

一般病院で行うような留置針とは針の長さや太さが明らかに異なる針を主に以下の血管に刺します。

  • 自己の血管のみを用いて作られた「自己血管内シャント」
  • 人工血管を動脈と静脈の間につないで皮膚の下へ埋め込む「人工血管内シャント(グラフト)」
  • 動脈を皮膚下に移動させた「動脈表在化」

患者によって血管内の状態が様々であり、人工血管もスープ状やストレート状などさらに細分化されます。看護師は様々な血管に穿刺するのが仕事です。

 

ポイント!

ポイント

穿刺業務は、患者と信頼関係を築けたと判断された後に開始となることが多いです。穿刺の技術に関しては、時間をかけて経験をつむしかありません。

 

透析中の機器の操作

穿刺後、穿刺した針と人工透析機器にある回路を接続します。その後は透析が正常に開始されているのなど回路確認をしながら、機器の操作をしていきます。

血圧を見ながら必要に応じての除水量調整や、各患者に合わせた血圧の最低値を切らないよう警報タイマーをかけるなど透析開始後に様々な機器の設定を行っていきます。

 

透析中の患者観察とバイタルチェック

基本的には透析時間は3~4時間、体重の増加量や状態・状況によっては5~6時間透析を行う場合があります。

受け持ち患者が透析している間、血圧低下による意識消失・突然の嘔吐などの急変に対応できるよう、看護師は患者を常時観察・バイタルチェックを行う必要があります。

 

ポイント!

ポイント

しっかり観察し、適宜声掛けや事前に血圧低下を防ぐための対策が必要です。

 

透析中のトラブル対応

透析中の急変への対応はもちろんのこと、他にも血管内狭窄により血液の流量が減少し、透析に必要な血流が脱血できない「脱血不良」や、患者へ返血するための回路や針の向きなどによる「静脈圧上昇」などへの対応も看護師の仕事の1つです。

脱血不良の場合は血流量を一時的に下げる・穿刺部位の変更・穿刺針の再固定などの対応が必要です。静脈内圧上昇の場合は、単純に患者がルートを踏んでいる場合や折れ曲がっているなどの原因が考えられます。

ルートに問題がない場合には、穿刺針が血管壁に当たっていることが挙げられます。看護師は原因を素早く見つけ、問題を解決する必要があります。

 

ポイント!

ポイント

狭窄が原因の場合、放っておくと突然シャントが使用できなくなることもあるので、トラブルが続く場合は早めに血管造影など検査依頼をだします。

 

食事指導や家族への対応

透析患者は食事制限と定期的な人工透析が必要なため、ストレスを感じてしまいがちです。看護師は、患者・家族ともにサポート・支援し、本人に合わせた食事指導と生活習慣指導をします。

 

2.透析外来で働く看護師の1日のスケジュールと求められる能力

時計

各施設により勤務形態は様々ですが、基本的に透析外来は夜勤がなく、日勤や遅出・早出がメインです。今回は日勤看護師の1日のスケジュールを紹介したいと思います。

時間 看護師の仕事内容
08:00~ 出勤後情報収集・全体申し送り
08:30~ すでに透析開始している受け持ち患者の状態観察

バイタルチェック・機器の準備・穿刺業務

09:00~ 1時間ごとのバイタルチェック・内服処方依頼や軟膏処置

必要時検査依頼や日程確認

11:30~ 交代で休憩
11:30~14:00 返血後透析終了・午後入室患者の機器の準備と穿刺介助
15:30~ 各自30分休憩
16:00~ 看護記録
17:30 業務終了

日勤看護師が受け持つのは午前入室の患者のみであるため、午前の患者を見ながら午後入室患者の準備や手伝いを行います。返血が重なる時間帯は慌ただしくなりますが、午後入室の患者がくる頃には受け持ち患者は透析終了し退室しています。

そのため、午後の手伝いをしながらでも記録をする時間を確保が可能です。日によりますが、終業時間がくるのを待つ余裕もあります

 

透析看護師に必要なスキルや能力

透析看護師は、主にプライミングなどの透析装置の扱いやシャントへの穿刺、透析開始から終了までの状態管理や食事指導などがメインの業務となります。

また、SEとの連携や患者家族とのコミュニケーション能力が要求されるなど、幅広い知識と能力が必要です。

透析では、腎臓のろ過機能を担うダイアライザというものを使用しますが、それでも本来の腎臓の機能の10分の1しか役割を担うことができないため、患者は週に3回、3~4時間の人工透析と食事療法が必要となります。

 

患者1人1人の症状や容態に合わせて判断する力

体格や年齢を考慮した適正な水分量の時の体重(DW)というのが医師により各患者に設定されていますが、人工透析患者の中には自己にて食事管理ができずに体重が大幅に増加して来院する患者もいます。

1回の透析で引ける水分量も個人により決まっているため、週の透析回数を増やすのか、普段より引く水分量を多めに設定し透析時間を延長するのかなど、看護師の判断にゆだねられる場面も多いので判断力が必要になります。

 

ポイント!

ポイント

透析中に血圧が変動し突然意識消失する患者もいるため、患者の個々の特徴をつかみこまめにバイタルチェックやその場に応じた対応を素早くおこなっていくことが必要です。

 

透析機械の操作スキル

透析外来では、透析機械の操作を覚える必要があります。現在は、機械操作が簡略化されておりさほど難しくはないと思いますが、機器の接続を間違えるだけで重大なミスにつながるので、ひたすら反復練習と確認を行い、機械操作のスキルを上げる必要があります。

 

穿刺スキル

穿刺は患者の状態やシャントや動脈表在化などにより多種多様に変わります。一般の留置針より太く長いため最初は慣れるまで苦戦するとは思いますが、患者の負担を少しでも少なくするために穿刺スキルを上げなければなりません。

 

高いコミュニケーション能力と忍耐力

長い期間人工透析をしているベテラン患者の場合、患者自身が個々の考えをしっかりと持っており、色々と勉強されている患者が多いです。

新人や入職したばかりで経験が浅いと怒鳴られることや、「あなたじゃなくて〇〇看護師さんがいい」「2度と穿刺してほしくない」などの言葉を言われてしまうこともあります。

ですが、最初に辛辣な言葉をなげる患者ほど看護師の成長や変化に気付いてくれるので、患者やその家族といかに上手くコミュニケーションがとれるかがとても重要です。

 

ポイント!

ポイント

本当に嫌がらせがしたいだけの患者もいるので、その場合は真に受けたり悩んだりせず聞き流すか、先輩看護師に相談しましょう。

 

3.透析外来看護師として働くメリット

指差しをする女性看護師

機器の扱いなど様々な知識が必要となり、一癖二癖もある患者が多い透析外来看護師ですが、転職時には人気があります。それほどに、看護師にとって多くのメリットがあるためです。メリットをご紹介します。

 

専門性を高めることができ、スキルアップにつながる

透析看護師は専門性の高い分野です。スキルアップし、さらに透析を極めたいと思えば、透析療法指導看護師や透析看護認定看護師、透析技術認定士などの資格を取ることもできます。

今は外来のみならず人工透析室が併設されている病院もあり、求人数も多くあります。そのため、専門性を高めておくと再就職希望の時も有利です。

 

夜勤がなく日勤のみで高収入

病棟では夜勤手当てが含まれますが、透析外来は夜勤がないのに平均で20万~25万の収入が見込めます。もちろん、病院に併設されている透析室などは夜勤がある場合もありますが、ほとんどがシフト制で夜間0時までの勤務です。

 

ポイント!

ポイント

シフト制のため基本的には残業もなく定時であがれますが、施設によってはスタッフの人数が少なく定時であがれない場合もあるため、勤務体制について事前に確認しておきましょう。

 

ルーティンワークのため楽に仕事できる

人工透析は、透析開始前の体重チェックから始まり、バイタル測定と穿刺、人工透析器の操作、全身状態の管理や抜針を行います。こうしてみると一見大変そうですが、透析が開始されれば機械が3~4時間回してくれるため、その間に他の業務や処置を行うことができます

処置に関しては、透析患者の中には血流が悪く壊死や褥瘡など発生する人もいますが、他病院で治療していることがほとんどのため処置も消毒のみなど簡単で、透析外来医師がデブリードメントなどすることもめったにありません。そのため業務の流れを立てやすく、慣れてくるとルーティンワークになります。

基本的には在宅で生活し通院できる患者ばかりであるため難しい処置などもなく、ケアなどに時間を取られることもありません

 

ポイント!

ポイント

ルーティンワークが苦手という看護師は、年数を重ねるごとに病棟が恋しくなるかもしれません。

 

夜勤・残業がない

透析外来では病棟勤務のように夜勤はなく、日勤・早出・遅出がメインとなります。病棟のように受け持ち患者がずっと病院にいるわけではないため、14時頃にはメイン業務が終了します。

午後は、午後入室患者の介助がメインになるので、記録さえ終わっていれば残業せず定時上がりができます。

 

透析外来看護師はプライベートの充実を図りやすい

基本的に透析外来では日曜定休の場合が多いです。不規則な病棟勤務で周囲とのスケジュールが合わず苦労する看護師もたくさんいると思いますが、日曜固定休の場合は休みを合わせやすくなります。

プライベートの充実が図ることができ、仕事への意欲へとつながるのではないでしょうか。

 

4.透析外来看護師として働くデメリット

困った顔をする女性看護師

透析外来は、他の分野に比べてかなり特殊です。収入が高く魅力的ですが向き・不向きがはっきりしているため、定着率が低めということもあります。透析外来を視野に入れている看護師は、メリットのみでなくデメリットも踏まえたうえで、転職を検討するようにしてください。

 

他のスキルが身に付きにくい

透析外来は専門性が高く透析に関する知識・技術を主に求められるため必然的に一般的な医療行為を行う機会は少なくなり、病棟で行う看護スキルがほとんど身につきません。

業務もルーティンワークになってしまうため、看護師としての様々なスキルを身につけるには難しく、病棟で培ったものも使う場面がなく忘れていきます。

 

透析分野以外に転職する場合苦戦する可能性が高い

透析外来看護師は一般的な医療行為をする機械がほとんどないため、透析看護師としての年数が長いと他分野での転職が難しくなってしまいます

 

透析患者とのコミュニケーションが大変

癖が強い患者・看護師顔負けのベテラン患者・看護師の話を聞き入れてくれない患者が多く通院してきます。

特に入職したばかりだと、話を聞いてもらえるようになるまでに時間がかかります。患者の中には辛辣な言葉を投げる患者もいるので、うまくコミュニケーションをとれない苦労します。

 

ポイント!

ポイント

患者は色々と疑問を投げかけてくるので、信頼関係を築くためにも様々な疾患や内服に対する知識が必要となります。

 

最初は覚えることが多くて苦労する

透析外来の看護師は、透析機器の操作・穿刺業務・各患者で設定されているDW(目標体重)へ向けての除水量・除水速度の調整や急変時の対処法など覚えることがたくさんあります。

一般病棟では関わることのない分野のため、一から学びなおすことになるので大変です。人工透析装置については、今は簡略化され昔に比べて扱いやすくなりましたが、中には扱いが難しいメーカーもあり、覚えるのにも一苦労します。

 

ポイント!

ポイント

ちょっとしたミスが大重な事故につながるので、常に緊張感を伴います。

 

看護師同士トラブルになりやすい

透析外来は基本的にワンフロアで行われます。病棟のように入り組んでいないため、病室にいて姿が見えないということはありません。そのため、看護師同士動きがよく見えることから、言動が目についてしまい、看護師同士でのトラブルにつながりやすいこともあります。

 

血液感染のリスクがある

透析外来は常に血液を扱うところであるため、血液暴露による感染のリスクは付きまといます。その代わり、危険手当の一種として「透析手当」が月に平均して1万~3万程つきますが、病棟での夜勤手当がない分を考慮すると、給与面はさほど変わりません。

日勤業務や外来での勤務として考えるなら他分野より高給与と感じるかもしれませんが、常時血液感染のリスクがつきまとうのは人によってはとても大きなデメリットではないでしょうか。

 

5.透析外来で働く看護師の楽しかったこと・辛かったこと

話している女性看護師

透析外来で働く看護師の楽しかったこと・辛かったことをご紹介します。

 

透析外来で働く看護師の楽しかったこと

透析機器の操作がスムーズにできるようになり、各回路や機器の役割を理解し状況がわかるようになったことに楽しさを感じます

透析外来に興味があって入職した看護師であれば、透析機器を触ることや操作を覚えることは楽しいことでしょう。

 

透析外来で働く看護師の辛かったこと

透析外来で働いて辛かったことは、気難しい患者とコミュニケーションをとることです。患者と深く関わることのない医療施設で看護師をしていたのであれば尚更辛いと感じるでしょう。

患者側は看護師の言動をよく覚えており、ミスをした際に「前回も怒られたこと覚えてないの?」と言われたこともあります。患者からの厳しい目線や言葉は本当に辛かったです。信頼関係を築けるようになるまでは本当に苦労する職場です。

 

まとめ

透析外来の特徴をまとめると以下の通りになります。

  • 日勤のみで高収入が見込める
  • 他の科に比べて特殊な分野である
  • 専門性を極め、キャリアアップにつなげることができる
  • プライベートの充実を図ることができる
  • 一般病棟などからの転職の場合は覚えることが数多くあり、努力が必要
  • 患者とのコミュニケーションがうまくいかず、離職する看護師が多い
  • 日々勉強をしなければならない

透析外来は分野・業務内容ともに特殊なため、個人で向き・不向きがはっきりしています。収入面や待遇がいいからと転職を決めるのではなく、自分の能力・適正を考慮した上で検討していくようにしましょう。

難しい面も多々ありますがやりがいも多く感じることができるので、この記事を通して少しでも透析看護師に興味をもってもらえたら嬉しいです。

最後までご確認いただきましてありがとうございました。


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はじめまして。急性期病棟・慢性期病棟を経て、回復リハビリテーション病棟、人工透析外来を経験しました。現在は、現場を離れて在宅ライターとして過ごしています。ひよっこなので、新人のころの気持ちもまだまだ忘れていません。それを活かして、新人看護師さんに関する記事や自分の体験を書いていけたらと思っています。よろしくお願いします。


カテゴリー:看護師業務内容の特徴


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この記事を書いた人:ゆきの
(公開日:)(編集日::2017年07月27日)

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