災害看護専門看護師の資格取得条件とポイント5つ

災害看護専門看護師の資格取得条件

災害看護専門看護師をご存じですか?

災害看護専門看護師は、2017年12月誕生予定の新しい分野の専門看護師のことで、2017年9月現在3か所の大学院がその育成を担っています。

日本は災害が多い国であり、東日本大震災のように数年にわたり不自由な生活を強いられ心身に影響を与え続ける災害が起こる可能性が今後もあります。そんな中で、災害看護のプロフェッショナルとして、実際にどのような活動が期待され、実践できるのでしょうか。

災害看護専門看護師に期待される役割と活動、資質とメリット将来性について、ご紹介します。

【災害看護専門看護師の資格取得条件】

  • 日本国の看護師の免許を有すること
  • 実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修(※1)であること
  • 日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
  • 認定審査(書類審査・筆記試験)に合格
  • 専門看護師認定証交付・登録
  • 5年ごとに更新(看護実践の実績、研修実績、研究業績等書類審査)

(※1)災害急性期から中長期、備えの時期における個人、家族、集団に対する災害看護の実務研修。

日本看護協会:資格認定制度「専門看護師」参照

【専門看護師の資格取得にかかる最低限の費用】

入試検定料 約5万円
2年間の学費 220万円
教材費 約10万円
専門看護師の登録費用 約5万円
   合計約240万円

※ここに記載してある費用に加え、無給となる2年間の生活費用も考慮する必要があります。
病院によっては資格取得の斡旋をしてくれる施設もあります。詳しくは専門看護師支援がある病院への看護師転職で知りたい6つのポイントをご参照ください。

1.災害看護専門看護師とは

災害看護専門看護師とは

災害看護専門看護師とは、被災時には、様々な災害の特性を理解し、限られた人的・物的資源の中で、被災者及び救護者などのメンタルヘルスを含む看護ケアの提供とシステム作りを行います。

また、平常時から防災・減災に向けて、自施設のみならず、地域や行政を巻き込んだ多職種との連携・協働を図りながら、マニュアルやシステム構築のための活動を行う役割を担うとされています。

日本は災害国であり、災害ナースやD‐MATなどの活動もシステム化されてきています。ですが、その活動は、災害急性期から亜急性期に特化されています。災害看護専門看護師は、災害急性期にとどまらず、備えから復興期までの災害サイクルの応じた、被災者個人・家族・集団に対して必要な看護ケアを提供する役割を担うことになります。

 

2.災害看護専門看護師が職場で期待される役割

災害看護専門看護師が職場で期待される役割

災害看護専門看護師が実際の職場で期待させる役割について説明していきます。

 

(1)急性期を脱した後の仕組みづくり

被災時に、病院職員としてどのように対応すべきかを明確にするために、多くの病院が災害時マニュアルなどを作成しているますが、それはどちらかと言えば、受け入れ態勢の明確化とトリアージ、救急対応に視点が置かれています。

急性期を脱した後の心のケアや、慢性疾患を抱えた患者のサポートに対する仕組みづくりまでには考えが及ばないのが現状です。

 

看護の視点を入れた仕組みを作ることが期待されている

災害看護専門看護師は、災害時の「命を救う」現場での活動だけでなく、被災したことがきっかけで病状が悪化する恐れがある患者や、治療継続に支障が生じる可能性がある患者の抽出および支援方法を、看護の視点を入れた仕組みを作ることが期待されています。

 

(2)被災者でもある医療者への心理的サポート

災害看護専門看護師は、被災者であり救護者である看護職をはじめとする医療スタッフの心理的サポートと、具体的な支援システムの構築などが求められています。

東日本大震災地での体験談

東日本大震災地での災害拠点病院の看護師達は、私も被災者でありながら救護者としての役割も求められました。

看護師達は、平常時であれば、自分達がケアする立場の患者を他の施設に搬送しなければならないジレンマと、被災した家族と共にいられない罪悪感の中働き続け、そして看護師を続けることができなくなった方もいました。

そんな時、看護師の視点になって、患者と自分の家族と看護師である自分の悲しみを理解し心理的サポートができる仕組みがあれば、もっと苦しみを共有し、看護師を続けられたかも知れません。

 

3.災害看護専門看護師に必要な資質

災害看護専門看護師に必要な資質

災害看護専門看護師を目指す場合に、執拗な資質を考えていきましょう。資格を取得することはもちろん大事ですが、資質も大事な要素です。

 

(1)俯瞰できる能力

災害時は、想定外の事態が同時期に発生します。そして、普段であれば目の前にいる患者とその家族の支援が中心になるところを、限られた資源を有効に効率よく活用しなければ、二次的被害が発生する場合もあります。

災害看護専門看護師は、常に現象を俯瞰できる目と、自分自身の気持ちをセルフコントロールできる能力が求められます。

 

(2)コミュニケーション能力

災害看護専門看護師は、自施設にとどまらず、地域や行政、NPO、市民活動家などの様々な立場にある専門家と協働しあう必要があります。

そのためには、どの立場の方に対しても自分の考えや意見を伝え、相手の意見や考えを聴くことができるコミュニケーション能力が求められます。

 

(3)リーダーシップ

災害看護専門看護師は、災害急性期以外の災害サイクル時期に必要な看護支援を見出し、周囲にその必要性を訴え、システム構築を行うことになります。そのためには、自らがリーダーとなり、情報を集め、ケアシステムの構築と周知する必要があります。

リーダーとして、活躍できる能力も、災害看護専門看護師の資質の一つです。

 

4.災害看護専門看護師になるメリット

災害看護専門看護師になるメリット

災害看護専門看護師は新しい資格になるため、資格取得のメリットを考えていきましょう。

 

(1)災害についての知識と技術が身につく

災害看護専門看護師は、災害に関する知識と、被災時に役立つ技術を学ぶことができます。

それは、自分や家族にとっても有益ですし、多くの場面で役立てることができます。

 

(2)活動の場は、全国にある

日本は災害が多い国です。そのため災害に対する備えの部分から、どの病院の看護師も、看護師の視点で見る災害支援の在り方を知りたいと考えています。

 

補足説明!

ポイント

災害看護専門看護師が自分の知識と技術を用いて、災害に対する備えの段階から、多くの人々に、自分の知識と技術を教育できる場所と機会は全国にあります。

 

(3)災害に関わる多職種と出会える

災害看護専門看護師になることで、災害に関わる多くの人と出会うことができます。

自分が住む地域に限らず、日本全国、世界中の災害救助に関わる人と知り合うことができます。

そして、人脈の輪が広がるとともに、自分の視野や、自分が目指す看護の意味を更に理解することができます。

 

(4)他の分野の専門看護師と連携できる

専門看護師は、どの分野も人数としては多くありません。ですが、その分、全国の専門看護師同士は、何等かの形でつながっており、それぞれの看護課題を解決するために連携しあっています。そして、どの領域も、被災者と救護者の具体的な支援方法を模索している最中です。

全国にいる他領域の専門看護師と協働することができることも、災害看護専門看護師になるメリットです。

 

(5)災害救助体験を研究成果へ

災害支援ナースや-D-MATなどの活動実績は、とても素晴らしいものです。ですが、その活動が求められているものは「現場での実践」であるため、現場に関わった人の一人ひとりの体験を形にすることは難しいのが実情です。

 

災害看護の向上に役立てることができる

災害看護専門看護師は、ともに現場に入り、支援するスタッフの声を集め、分析し、研究として発表する役割を担うことができます。

研究することで、大学や行政との連携も進みやすくなります。実践と研究を積み重ねることで、災害看護の向上に役立てることができます。

 

5.災害看護専門看護師の将来性

災害看護専門看護師の将来性

災害看護専門看護師の資格取得後の将来性について考えます。

 

(1)亜急性期から復興期でのリーダーシップ

災害支援ナースや-D-MAT、自衛隊などの活躍により、災害急性期の援助は構築されつつあります。もちろん、災害看護専門看護師として、この部分でリーダーシップを発揮し、実践を積むことも大切な役割の一つです。

 

心と体の問題をサポートすることも大切な役割

災害は、亜急性期から慢性期・復興期へと、支援が減少した後に残された被災者に発生する心と体の問題をサポートすることも、看護師として大切な役割です。

災害看護専門看護師は、被災者が災害後も健康で暮らせる環境を作るためにリーダーとして活躍ですることが期待されています。

(2)救護所、避難所での調整役割

災害支援マニュアルは整備されていても、初めての災害支援体験は、医療者やボランティアと、被災者とのマッティングがうまく行かないことがあります。

支援が必要な人に対し、適切な医療やサポートを提供するために、災害看護専門看護師の調整力が期待されています。

 

(3)全国レベルでの災害支援活動

一人の災害看護専門看護師だけでは、活動に限界があります。だからこそ、全国にいる災害救助に携わる医療者との連携しつつ、災害時の対処法についての知識を広めることで、災害看護専門看護師がいない地域でも同じケア対策ができる仲間を増やすことができます。

 

ポイント!

ポイント

災害看護専門看護師として、災害サイクルのどの部分の支援を強化したいのかを明白に活動することで、全国レベルでの活躍の場が広がっていくはずです。

 

まとめ

専門看護師としての活動の中で、被災時から慢性期の患者支援の必要性を感じるようになりました。しかし、私自身は災害看護の知識が少ないため、自分達が必要性を感じた課題を解決する方法を見出すことが難しく、災害看護専門看護師の誕生を待ちわびています。

東日本大震災、広島土砂災害、熊本地震などの現場では、多くの看護師・認定看護師・専門看護師が、自分達のできる看護を提供していました。

しかし、その声を集約するには、実践だけでなく、現場での活動とその声を拾い上げ、研究成果としてまとめる力がある災害看護専門看護師の力が必要です。

日本は、地震や土砂災害をはじめとする災害が多い国です。

日本の各地で、その専門的な知識と技術を活かすことができます。

災害看護のプロフェッショナルである災害看護専門看護師となって、自施設での実践に囚われずに、全国レベルで活動してみませんか?

専門看護師を目指す看護師の方は「専門看護師支援がある病院への看護師転職で知りたい6つのポイント」を確認してください。
ラビウサ

【40代後半・資格:看護師(がん看護専門看護師)、消化器内視鏡技師、心理相談員】

看護師をして20年以上になります。外来・病棟・検査室・クリニックなど、いろいろな場所での業務を経験しました。ですが、一時は看護師をやめようと思ったほど、心身共に追い詰められた時期もあります。現在は、看護師も続けつつ、ライターやカウンセラーとしても活動しています。今までの経験を生かして、いろいろな体験談も書いていこうと思っています。

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