家族支援専門看護師の資格取得条件と役割を看護師がレポート

家族ケアの必要性は判っているけれど、まずは目の前の患者さんを中心に支援を考える習慣がありませんか。

家族支援専門看護師は、疾患に限らず、患者さんの心身の回復を促すために、本人だけでなく家族も支援することで患者さんやご家族の持つ力を引き出し、自分達が抱える問題を解決するための方法を見つける役割を担います。

家族全体を支援する家族支援専門看護師について詳しくご説明します。

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1.家族支援専門看護師の役割とは

家族支援専門看護師の役割とは

家族支援専門看護師の専門資格を取得する前に、役割を確認していきましょう。

詳しく説明していきます。

 

(1)本人と家族のセルフケア力を高める

家族の中の一人が病気や障害を負うことで、家族全体に動揺が走ります。

特に、重い病気や障害を負った患者に、家族が罪悪感や同情心を強く感じることで、患者自身が本来持っているセルフケア能力さえも家族が必要以上に手を出すことで低下させてしまうことがあります。

家族支援専門看護師は、病気や障害に対するセルフケア力が低下している患者さんに対して、本人だけでなく家族に対しても支援を行うことで、家族が抱える葛藤の本質を見極め、家族を含めた支援プランを立てます。

病気や障害を抱えても、家族が共依存するのはなく、お互いが自律しあい、サポートしあえる新たな家族力が作り出せるように支援することが、家族支援専門看護師の役割の一つになります。

 

(2)危機に面した家族への支援を行う

突然の事故や病気により家族の誰かが生命の危機に遭遇した時、家族は本人の代わりにDNARの決定を下す役割を突然負わされることになります。

しかし、家族の生命に関する意思決定を行うことは、家族にとって苦痛を伴い、家族間での意見の対立が発生することにありがちです。

家族支援専門看護師は、家族の危機的状況に介入し、家族の精神的支援と置かれた現状についての整理を行い、家族の意思決定支援をサポートします。

 

家族が出した決定を支援する役割

たとえ、患者さんが重い障害を負ったり死亡したりした後でも、家族は未来を生き続けなければなりません。

家族支援専門看護師は、病気や事故などによって家族の形が大きく揺らぎ、自分達だけでは意思決定が困難になった時に介入し、家族が深く傷つかないように一緒に最善の解決策を見出すとともに、家族が出した決定を支援する役割を担います。

 

(3)問題のある家族と医療者との間を取り持つ

病棟や外来などで、患者本人ではなく家族による問題行動によって適切な医療やケアが患者さんに提供できないなどの問題が発生することがあります。

家族支援専門看護師は、家族に振り回られ困惑している医師や看護師からの依頼を受け、家族と本人が抱える問題についてアセスメントを行い、「何が問題の本質であるか」を見極める役割を担います。

家族支援専門看護師は、家族に関するアセスメント方法や理論を使うことで、患者を中心に置きがちな現場の医師や看護師等のスタッフが見落としがちな問題を見出していきます

 

補足説明!

ポイント

場合によっては、家族支援専門看護師が直接家族や本人に面談を行うこともあります。しかし、それだけでなく、家族問題に巻き込まれてしまった現場のスタッフたちが、自分達の力で解決策を見出すことができるようにサポートすることも、家族支援専門看護師の役割の一つです。

 

(4)倫理調整を行う

家族問題の背景には、倫理的問題を抱えていることも多くあります。

本人の意思に反して、家族が患者の代わりに治療の意思決定権をもとうとする場合もありますし、虐待などの問題を抱えている場合もあります。

しかし、現場のスタッフだけでは、倫理的問題を抱えている事に気が付いても、解決策や支援方法を見出すことができない場合もあります。

家族支援専門看護師は、

  • 患者と家族の間に倫理的問題が発生していないか
  • 虐待などの問題が隠れていないか

などを見極め、必要に応じて適切な職種や施設・機関に働きかけ、解決策を導き出します

患者を通して、家族が抱える倫理的問題を解決するために、様々なリソースと協働することができることも家族支援専門看護師の役割の一つになります。

 

2.聞いてみました!家族支援専門看護師の仕事内容活動レポート

聞いてみました!家族支援専門看護師の仕事内容活動レポート

家族支援専門看護師と一緒に働いた経験がある私と、その他の看護師の方に仕事内容や活動をレポートしていただきました。

 

問題とされる家族と面談を行う

家族支援専門看護師は、看護師や医師にとって問題とされる家族に対して直接面談を頼まれることが多くあります。

医師や看護師は、患者さんを中心に物事を考えるため、それまでの患者さんとご家族の関係性まで配慮できないことがあります。しかし、家族にとっては、今までの関係性を本人が病気や障害を背負ったからといって「はい、そうですか」と患者さんの介護をできない事情を抱えている場合もあります。

そんな家族の苦悩に寄り添いつつ、新しい家族の関係性の構築のために、家族への計億的な精神的サポートと今後の在り方について相談・支援を行っています。

専門看護師ラビウサラビウサ(40代後半/専門看護師)

 

家族と病棟スタッフとの橋渡しのような役割

子どもの病気に対して自責の念を抱く親はたくさんいます。そういったケースの中で鬱になる家族もたくさんいました。

家族支援専門看護師はそういったケースに介入し、家族全体をみて看護介入についてのアドバイスをしてくれました。

時には、自らが患者・家族の話し相手になり、思いを引き出すことで病棟スタッフに情報をくれました。

退院後も、外来で継続的に患者・家族のサポートをしてくれており、再度入院となったときには患者・家族と病棟スタッフとの橋渡しのような役割をしてくれていました。外来に通院していたときの状況まで把握してくれていることは、病棟スタッフとしては心強かったです。

かぴさん女性看護師かぴさん(愛知県/25歳)

 

問題を抱える医療者へ支援を行う

家族問題は、時に、医療者の心に葛藤を起こすことがあります。その葛藤が原因で、適切な家族ケアが現場でできなくなってしまうことがあります。

家族支援専門看護師は、医療者が感じる家族への不満や葛藤がなぜ起こっているのかをアセスメントし、問題の本質について見極めていきます。

時には、医療者が持つ価値観や過去の家族関係が原因で、患者と家族の問題を冷静に見ることができなくなっている場合もあります。そんなときは、医療者側に働きかけ、その人自身が抱えている問題の解決にも相談に乗ることがあります。

専門看護師ラビウサラビウサ(40代後半/専門看護師)

 

3.家族支援専門看護師になるには

家族支援専門看護師になるには

家族支援専門看護師は、2008年4月から認定開始した新しい分野の専門看護師として始まり、2017年では、52名の家族支援専門看護師が誕生しています。

【家族支援専門看護師数の推移(2017年12月)】

2008年3名
2009年5名
2010年8名
2011年14名
2012年21名
2013年29名
2014年37名
2015年44名
2016年52名
2017年57名

毎年数名単位で家族支援専門看護師は増え続けています。

 

(1)家族支援専門看護師の資格取得条件

専門看護師の基本条件

  • 日本国の看護師の免許を有すること
  • 実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修(※1)であること
  • 日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
  • 認定審査(書類審査・筆記試験)に合格
  • 専門看護師認定証交付・登録
  • 5年ごとに更新(看護実践の実績、研修実績、研究業績等書類審査)

家族支援専門看護師に限らず、専門看護師の基本条件は実務研修以外、同じになります。

 

家族支援専門看護師の実務研修(※1)におけるフィールド

  • 看護師の資格取得後、実務研修が通算5年以上であること
  • そのうち通算3年以上は専門看護分野の実務研修をしていること
  • 患者を含む家族を対象として研修できる病棟、外来、その他施設、地域、在宅等とする

 

専門看護分野のその他実務研修

  • 個人、家族及び集団に対する直接的な看護実践
  • 看護職を含むケア提供者に対するコンサルテーション
  • 必要なケアが円滑に行われるための、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーション
  • 個人、家族及び集団の権利を守るための、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる倫理調整
  • ケアを向上させるための、看護者に対する研修会、研究指導及び講演会等での活動を含む多様な教育的機能
  • 専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるための実践の場における研究活動

現在、常勤、非常勤勤務を問わず実践を行っていること。

 

(2)家族支援専門看護師に必要な単位について

日本看護系大学協議会による「専門看護師教育課程の審査」は、2020年までに旧基準の26単位から38単位の専門看護師教育課程基準に意向されます。

  • 2023年以前の専門看護師資格者は追加履修の必要はない
  • 2024年度から38単位のみでの申請となる

専門看護師の教育課程基準が変更になり、単位取得に約2年程度かかるため、2020年までは26単位で可能、2021年からは36単位で取得した方が良いでしょう。

 

(3)家族支援専門看護師の単位取得ができる大学院一覧

茨木県筑波大学大学院(38単位)
神奈川県東海大学大学院(*38単位)
愛知県愛知県立大学大学院 (*38単位)
大阪府大阪府立大学大学院(*38単位)
兵庫県神戸大学大学院(*38単位)
高知県高知県立大学大学院(*38単位)

(*は26単位から38単位へ変更)(2018年4月1日現在)

家族支援専門看護師は他の専門分野よりは比較的新しいため、全国で6大学院のみで勉強することが出来ます。

 

(4)家族支援専門看護師にかかる費用について

入試検定料約5万円
2年間の学費220万円
教材費約10万円
専門看護師の登録費用約5万円
   合計約240万円

※ここに記載してある費用に加え、無給となる2年間の生活費用も考慮する必要があります。

専門看護師を目指す看護師の方は「専門看護師支援がある病院への看護師転職で知りたい6つのポイント」を確認してください。

 

4.まとめ

家族支援専門看護師は、患者本人だけでなく、家族に対する支援を通して、患者・家族のセルフケア力の強化を図ります。

また、生命の危機に面した患者・家族の意思決定が適切に行われるように、家族を精神的にサポートする役割も担います。

同時に、家族問題に巻き込まれ一緒に動揺しているスタッフに対して、適切な家族アセスメントを行い、問題の本質を見極めていきます。時には、スタッフ自身が心に抱える問題についても相談や支援を行います。

家族支援専門看護師は、患者も家族も自律した人間として未来を前向きに生きるために、疾患や年齢に関わらず、家族という集団が抱える問題を解決する役割を担う看護師です。

専門看護師を目指す看護師の方は「専門看護師支援がある病院への看護師転職で知りたい6つのポイント」を確認してください。

 

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はたらきナース

監修者

亀岡さくみ看護師
監修 亀岡さくみ看護師
  • 2011年3月:日本赤十字看護学校卒業
  • 2011年3月:看護師免許取得
  • 2011年4月:日本赤十字医療センター入社(3年間勤務)
  • 2015年3月:株式会社peko勤務
  • 2015年4月:はたらきナース監修

現在は、今までの経験を活かし「はたらきナース」を執筆・監修を行っています。

この記事は「」さんが執筆しました。

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