行政保健師に看護師が転職する際の8つのポイント

行政保健師に看護師が転職する

行政保健師とは、各自治体に所属している保健師のことです。

行政保健師の職場は、

  • 保健所(都道府県の場合)
  • 保健センター(市町村の場合)
  • 市役所
  • 地域包括支援センター

等があります。

行政保健師は主に管轄する自治体で生活している市民に対して健康管理を行っています。プライベートと両立できる仕事環境であるため、大変人気の高い仕事となっています。

今回は、市町村の保健師として勤務していた経験を元に、行政保健師としての仕事内容やメリット・デメリット等について紹介していきます。

(行政保健師には2つの種類があり、市町村保健師と保健所保健師に分けられます。名称だけでなく勤務する施設も業務内容も異なっています。)

1.行政保健師になる方法・試験対策

試験勉強をする女性

行政保健師になるためには、保健師の国家資格が必要です。

保健師の国家資格の受験資格を得る方法としては、

  • 看護系の四年制大学を卒業する
  • 保健師養成課程の短期大学などへ進学する

等があります。

 

行政保健師になる方法

行政保健師として働くには、各自治体の試験(公務員試験)を受けることが必要です。

地域によって異なりますが、近隣の市町村では試験日が重なることも多く、重なっている試験日の市町村を両方受験することはできません

 

試験通過は国公立大学の看護学部卒の保健師が多い

私は、高校を卒業してから全く数学・物理などの教科に触れておらず、公務員試験を受けることは大変厳しいものでした。

そのため、一般教養で一次試験を通過する保健師は、国公立大学の看護学部を卒業した保健師が多いです。

 

小規模な自治体は様々な試験問題がある

小規模な自治体の試験となると、

  • 保健師としての心構えを問われる
  • パソコンの知識の問題がある
  • 小論文が必要

等、様々な試験問題がありました。

 

ポイント!

ポイント

試験問題は、保健師とは全く関係ない一般教養など様々で、一次試験が振り分けられる大規模な自治体もあります。

 

公務員試験の対策

私の場合は試験対策として、

  • 本屋に売っている公務員試験の問題集を買って独学で勉強
  • 高校時代に使っていた参考書で勉強
  • 苦手分野は大学生である友人の妹から教わる
  • 公務員として働いている友人から勉強を教わる

等の方法で勉強していました。

 

時事を理解することを心掛ける

時事問題については、ニュースや新聞をよく見て治や世界情勢を知ることを心がけましょう。

よく出る問題としては、

  • 環境
  • 健康
  • 漢字の書き取り
  • ことわざ
  • 四字熟語

等があります。

公務員の採用試験では、地域によって条件が定められている場合もあるので、自分が働こうとしている自治体ではどのような状況なのか、事前に確認しておくことが必要です。

 

2.行政保健師の仕事と1日のスケジュール

行政保健師の仕事

行政保健師の仕事は、大まかに言えば管轄する自治体で生活している市民に対して健康管理を行うことです。

行政保健師の1日のスケジュール

8:30~ 始業
・ミーティング
・メールチェック
・午前の事業の準備
・パソコンでの資料作成等の事務作業
・上司や他機関との会議等
10:00~ ・午前の事業開始
(健診・訪問活動・健康教育・保健指導など)
12:00~ ・昼食
13:00~ ・午後の事業の準備
14:00~ ・午後の事業開始
(健診・訪問活動・健康教育・保健指導など)
16:00~ ・事業終了
・後片付け
・記録作業
・パソコンでの資料作成等の事務作業
・上司や他機関との会議等
17:00 終業

行政保健師は日々の事業内容により異なり、

  • 健診がある日は、朝から夕方まで健診業務に携わる
  • 事業がない日は、一日中パソコンに向かって事務作業をする
  • 1日中会議をする

等、様々な働き方をするため病院で働く看護師とは仕事内容が全く異なります

具体的にどのような業務があるのか確認してみましょう。

 

健康診断(健診)の実施とお知らせをする

行政保健師の仕事の1つに自治体が主催して行う健康診断などがあります。簡単に健康診断と言っても、ただ企画して実施すれば良いというわけではありません。

まずは、健康診断の対象である住民にお知らせを出さなければなりませんし、地域ごとに健康診断の日程が違っていれば、複数の日に分けて健康診断を行うなど調整も必要です。

 

診断結果をもとにさらに検査を勧める

健康診断の診断結果次第では、精密検査をはじめ更に検査を受けるよう勧めるということも、行政保健師の仕事です。

 

健康についての悩みを聞いてアドバイスする

管轄している地域住民の健康についての悩みを聞く、ということも行政保健師の大切な仕事です。生活していれは、誰でも健康について何かしらの不安を抱えていることや、心配になるような症状が出たりすることもあります。

ですが、その度に病院に行くのは気が引けてしまったり、金銭的な問題で行けなかったりなどということもあります。

補足説明!

ポイント

市民の不安や悩みをしっかりと聞き、適切にアドバイスをする、食事や生活の指導を行う、といったことも行政保健師の仕事の1つです。

 

予防治療がメインの仕事

怪我や病気の治療を行うというよりも、健康を維持するために必要な予防治療がメインとなっているのが、行政保健師です。看護師としての専門的な経験や技術はそこまで必要ではありませんが、看護師としての知識が役立つ場面は少なくありません。

 

3.行政保健師として働くのに求められるスキル

行政保健師にはパソコンスキルが必要

行政保健師は、行政で働く公務員となるため公務員としての一般的な知識はもちろん、デスクワークも多いためパソコンスキルは必須です。

例えば、

  • 広報に掲載する健康コラムを書くときはワード
  • 健診結果のデータ処理はエクセル
  • 健康教室の資料作成にはパワーポイント

等、パソコンスキルが求められます。その他のスキルは以下の通りです。

 

(1)幅広い年齢層とのコミュニケーション力

行政保健師はその自治体に属しており、住んでいる全ての住民を対象に看護をするため、どの年齢層の方とも話ができるコミュニケーション力が必要です。

 

行政保健師は対象者の問題解決が求められる

病院では、迷惑行為の患者を強制退院させることがありますが行政保健師は、いくら理解力が悪く家族や地域住民に迷惑をかけた対象者がいたとしても放置する訳にはいかず、問題を解決しなければなりません

 

ポイント!

ポイント

様々な年齢層の問題を解決するためには、対象者にわかりやすく何度も説明したり、訪問したりと様々な手段を使うことが必要です。

 

(2)対象者にサービスを活用・調整する力

地域では、様々な年齢層で問題がおこるため行政保健師は、対象者やその家族に対して地域のサービスを活用・調整する力が必要です。

例えば、認知症の症状のある独居高齢者の場合、

  • 地域のどこに介護保険の事業所があるか
  • どのようなサービスをしているか

等を知っておくことで、介護保険の利用を説明して申請を促すことやサービスにつなげることができます。

 

都道府県が保健所と連携して問題解決することもある

対象が子どもや精神疾患の方の場合は、どの対象者も地域で安心して生活が送れるようにするため、都道府県が管轄の保健所と連携して問題解決に努めることもあります。

 

補足説明!

ポイント

介護保険外のサービスとして地域の見守り活動を行ってもらう等、様々な制度を活用して調整することが必要です。

 

(3)プレゼン能力

行政保健師は様々な資料を作成し、

  • 上司に仕事内容を説明する
  • 会議の場で発表する

等をするため、プレゼン能力が必要です。

 

行政保健師の仕事をアピールすることも必要

行政保健師は、人数が少ない専門職種であるため住民にどのような取り組みをしているかを説明し、理解を得られなければなりません。

そのため、自分の仕事をアピールするプレゼン能力が必要です。

 

補足説明!

ポイント

行政保健師は、住民の健康のための事業を開催しますが公務員であるため費用対効果がどうであるかも求められます。

 

4.行政保健師の平均年収・平均給与

平均年収・平均給与

行政保健師は、市町村や都道府県が設置している保健センターや保健所で勤務している公務員となるので、その給与も公務員の給与体系に準じている場合が多いです。

ただ、全国で統一がなされているわけではないので、勤務する自治体が詳細を決定してるので注意が必要です。

一般的に専門学校卒業、短大卒業、大学卒業というような年齢によって、初年度からその給与には差が出ていることが多いです。

 

平均年収は600万円程度

年々昇給していきますので、30代後半で約500万円から約600万円の年収となり、月収で見れば約30万円ほどです。

行政保健師全体として見ると、平均年収は約600万円と言われていますが、自治体や年齢など様々な要因で変動しますので、就職したいと考えている自治体での状況は、きちんと調べておく必要があります。

5.行政保健師への看護師の転職メリット

プライベートが充実する行政保健師

行政で働くと夜勤がないため、決まった曜日の習い事に通うことができるようになる等、看護師をしていた頃に比べるとプライベートが充実します。

そして夜勤をしない生活は、

  • 持病の腰痛が治まる
  • 睡眠不足が解消される

等、健康的に過ごせます。

 

(1)看護師より安定して働く事が出来る

行政保健師は公務員であるため、

  • 産休・育休制度を多くの行政保健師が取得している
  • 有給休暇が取りやすい
  • 基本的には土日が休み

等の福利厚生も充実しています。

 

注意点!

ポイント

土日であっても「健康まつり」等のイベントがある日は出勤の場合があります。

 

(2)交友関係が広がる

私は、今までは看護師・医者の世界に没頭していましたが、行政保健師として働くと上司や同僚が事務職であるため交友関係が大きく変わりました。

私の場合は、

  • 医療系ではない大学を卒業した人
  • 過去に一般企業で働いていた人
  • 元教師
  • システムエンジニア

等、様々な人と知り合うこと・一緒に働くことができました。

行政保健師になることで、様々な経歴がある上司や同僚から話を聞くことができ「自分は今まで狭い分野で生きてきたんだ」と気づいて非常に視野が広がりました

 

(3)育児に優しい仕事

公務員ということもあり、産休・育休などの休暇制度も充実していますから、女性にとっては出産、子育てがしやすい点で働きやすい環境となっています。

多くの市町村や県において、育児休暇は3年間まで取得することができ、男性の保健師の多くも女性が出産や子育てで休暇を取ることに理解があります。

 

(4)体力的にも長く続けやすい仕事

病院で働いていた看護師が行政保健師を目指す時にメリットになるのが、病院のように夜勤がない上に給与が安定しているということです。

保健師の業務の中に健康診断があり、1日中立ちっぱなしで仕事をしなければならず、早朝の健康診断もありますが、頻繁ではないため生活のリズムは安定しやすいと言えます。そのため、体力的にも長く続けやすい仕事である、とも言えます。

 

6.行政保健師への看護師の転職デメリット

事務作業をする行政保健師

看護師であれば、「人間関係や仕事内容に疑問を感じて他の病院に転職する」ことはよくありますが行政保健師は、正規雇用の枠が少ないため転職を繰り返すことは難しいです。

そのため、人間関係につまずいたとしても同じ自治体に所属しているため顔を合わせなければなりません。

さらに働いていた感じた以下のようなデメリットがあります。

 

(1)事務作業・雑用が多いこと

行政保健師に限ったことではありませんが、保健師は事務作業や雑用が多いことがデメリットです。

例えば、

  • ガーゼが足りなくなった時に買いに行く
  • パソコンで支払い事務をする
  • 健診で使用したタオルを洗濯する

等があります。

 

補足説明!

ポイント

私が勤務していた所は、人手が少なかったため様々なことをしましたが大規模な自治体では保健師の業務に専念できる所もあるようです。

 

(2)正職員の採用枠が少ないこと

行政での勤務は安定し、退職する人は少ないため行政保健師の募集枠には、非常勤があっても正職員はありません。

行政保健師の実際の現場は、常に産休・育休の保健師がおり代替として非常勤の保健師が採用されますが正職員にはなれず、任期が満了すると次の職場を探さなければなりません

 

公務員採用試験の難易度が高い

行政保健師として働くために必要な公務員採用試験は非常に難易度が高い試験であり、競争率は自治体にもよりますが約5倍から10倍となっているので、採用されるのがかなり難しいのです。

一旦採用された人は、長い間勤務する傾向も強いために、募集枠は必然的に更に少なくなります。

 

非常勤でも勤務時間が選べない

非常勤で採用されたとしても9時~17時までの勤務時間となることが多く、子育て中の保健師にとっては難しいと言えます。

看護師のように午前だけの勤務を希望する等、柔軟に勤務時間を選べません。

 

(3)業務範囲が幅広く残業もある

行政保健師の業務には保健活動だけでなく事務的な業務も多いので、夜勤がないとは言っても残業は多い傾向にあります。

育児放棄や登校拒否など、様々な家庭内の問題に行政指導することも業務内容に含まれますが、そのことで逆恨みされてしまう可能性もあります。

業務の範囲が非常に幅広いために、その対応に追われてストレスの原因となることもあります。

 

7.働いて楽しかったこと・辛かったこと体験談

健診に来た住民と話す行政保健師

私は行政保健師として働き、健康教育や保健指導、健診等に来た住民と様々な話をして、仲良くなったり時には頼ってくれたりして嬉しかったです。

 

行政保健師として働いて辛かったこと

行政保健師でなくてもできる事務仕事が非常に多く、1日中事務をしていることもありました。

例えば、「健康教室を開催するチラシ作りの場合は1からパソコンで作成、輪転機で印刷する」「新聞折り込みをする場合は、新聞業者に持ち込む」等、とにかく事務仕事が多く非常に辛かったです。

 

補足説明!

ポイント

私が事務や雑用に慣れない頃は、「こんな印刷仕事ばかりするために保健師になった訳じゃないのに」と涙が出たこともありました。

 

8.行政保健師の求人の探し方・ポイント

行政保健師の求人の探し方

自治体や都道府県によって問題の傾向、日程などが違いますので、自分が転職を希望している勤務地の動向については、普段から気をつけておいて動向を掴んでおくのが大切です。

 

(1)正社員を目指す場合は少し遠くの自治体も受けることが必要

正職員の保健師になりたければ、自宅から通える範囲だけでなく、少々遠方の自治体の試験を受ける覚悟が必要です。

私の場合は、自宅からは遠い自治体で正職員の保健師になったため1人暮らしを始めました。

 

(2)正社員にこだわらなければ非常勤募集もある

ただ、正職員にこだわらないのであれば、産休、育休の職員の代わりの職員を募集することもありますし、非常勤の募集もあります。このような募集は、どこの地域でいつ出るか、まったく分かりませんので、転職サイトなどの募集サイトなどに登録しておくと見逃すことが減ります。

 

(3)5~7月は希望する自治体のホームページを要チェックすること

5~7月の間は、受験を希望する自治体のホームページを随時、確認するようにしてください。臨時募集の場合は別として、多くの自治体は、この時期に求人情報と募集要項を掲載しています。

また、自治体によっては非常に倍率が高いところもあるため、受験する自治体は1ヶ所に絞り込むのではなく、複数目途をつけておくようにしましょう。

 

大学や医療系雑誌も合わせてチェックする

募集要項は大学などで出ることがありますので、チェックできる環境にある場合はチェックしておくことです。その地域の医療系雑誌などでも掲載されることがありますので、目を通しておくようにします。

 

まとめ

ここ最近は看護大学も増え、看護師と保健師両方の資格を取得している看護師も多いため、今後の進路の1つとして行政保健師の仕事の内容をお伝えしました。

行政保健師は、病院での看護業務とは全く異なった仕事をするという認識をして下さい。

実際に、私も病院勤務から転職して行政保健師となったため、病院での勤務から転職を考えている保健師資格を持っている看護師は、進路の道も開けるでしょう。

行政保健師へ転職を考えている看護師は、是非参考にしてみて下さい。

みーた

【大阪府/41歳・資格:看護師、保健師、ケアマネジャー】

大学病院の看護師をしていましたが保健師になりたいと思い、意を決し退職。保健師養成学校へ進学し、保健師の道へ進みました。看護師、保健師のキャリアは同じくらいあります。現在は結婚し、出産のため退職。子育てに大忙しで、なかなか常勤として仕事復帰できていません。今後のテーマは「仕事と家庭の両立」です。観葉植物に癒されながら日々を過ごしています。

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