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バセドウ病患者の看護(症状・治療方法・看護計画・注意点・スキル)

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現役看護師 まりも
バセドウ病患者の看護(症状・治療方法・看護計画・注意点・スキル)

このページでは、現役看護師の方に向けて、バセドウ病患者の症状や治療方法、看護計画、注意点と求められるスキルについて紹介していきます。

1.バセドウ病の患者の症状

バセドウ病の患者の症状

バセドウ病は、甲状腺ホルモンの過剰分泌状態により甲状腺機能が亢進する疾患です。

それでは、バセドウ病患者の症状について見ていきましょう。

 

バセドウ病患者の症状

バセドウ病の特徴的な症状には、甲状腺腫・眼球突出・頻脈があり、これらをメルゼブルクの3兆候と言います。

患者本人の自覚症状としては、以下の表の通りです。

甲状腺ホルモン過剰の熱産生の増加による症状 ・発汗
・動悸
・息切れ
交感神経感受性の亢進による症状 ・疲労感体重減少
・無月経
・情緒不安定など

上記の他にも臨床所見として、頻脈、手指振戦などの症状が出現します。

 

補足説明!

補足事項感染や手術、糖尿病性ケトアシドーシス、出産やストレスなどを誘因として甲状腺機能亢進が重症化して多臓器不全に陥る甲状腺クリーゼへと進行する事や中等度の症状が持続する場合には、不整脈や心不全をきたし、最悪の場合には死に至るケースもあります。

 

2.バセドウ病患者の治療方法

バセドウ病患者の治療方法

バセドウ病は、まれに自然治癒や軽症で経過する場合もありますが、ほとんどの患者の場合は、上記に挙げたように甲状腺機能亢進症状が出現し、 長期に渡る治療が必要です。

現在、バセドウ病の根治療法は無く、対症療法として以下のような治療方法があります。

 

薬物療法

バセドウ病患者の治療方法の第一選択は、薬物療法です。

甲状腺ホルモンの合成阻害作用を持つ抗甲状腺薬(合成T4製剤、合成T3製剤)の投与が主流で、医師から指示された量を正確に内服し、定期的に甲状腺ホルモン検査を受けることが必要です。

薬物療法のメリット・デメリットについては以下の通りです。

メリット ・通院治療が可能
・女性の場合には妊娠、授乳中でも内服可能
デメリット ・内服治療は長期に渡る事が多い
・内服による副作用の出現がある

 

医師の管理の下、正確な内服や自己管理による甲状腺ホルモンが正常に保てることができれば、日常生活・運動・仕事・妊娠・出産も可能となります。

 

アイソトープ療法(放射性ヨウ素治療)

アイソトープカプセルを経口的に投与することも、バセドウ病患者の治療方法として挙げられます。

アイソトープ療法は、患者によってアイソトープの吸収率に個人差があるため、事前検査としてアイソトープ摂取率検査を受け、医師が投与量を決定します。

アイソトープ療法は、「内服治療でコントロール不良である場合」「甲状腺腫を縮小したい」「手術を望まない場合」等の選択肢の1つです。

 

アイソトープ療法は、「妊娠や授乳中の患者には禁忌となる」「治療の効果に個人差がある」「続発性甲状腺機能低下症の発症の可能性がある」等のデメリットもあります。

 

手術療法

バセドウ病患者の治療方法として、外科的に甲状腺を切除する手術療法があります。

薬物療法でのコントロール不良や副作用の出現により、「内服治療の継続が困難である場合」「甲状腺腫瘍を合併している場合」「早期に寛解を希望する場合」等の選択肢となります。

デメリットとしては、

  • 入院治療が必要である
  • 術後合併症の可能性がある
  • 甲状腺部位に術後瘢痕が残る
  • 残存した甲状腺による再発の可能性がある
  • 甲状腺ホルモンの内服が不可欠(全摘した場合は甲状腺機能低下症となるため)

等が挙げられます。

 

3.バセドウ病患者の看護計画

バセドウ病患者の看護計画

それでは、バセドウ病患者の看護計画について見ていきましょう。

 

♯1代謝亢進によるエネルギー消耗に関連した栄養状態の悪化

看護目標 ・栄養状態を低下させない
OP(観察項目) ・食事摂取状況(食事摂取量、食欲の有無)
・水分摂取状況(水分摂取量、口渇の有無)
・尿量(発汗の有無)
・ 栄養状態(検査データ、体重変動)
・ エネルギー消耗に伴う症状(頻脈、発熱、呼吸数の増加、血圧上昇、全身倦怠感、動機、疲労感の有無)
・ エネルギー消耗の原因の有無(日常生活動作、仕事、スポーツ、精神的な不安)
・ 疾患に関する理解の有無
TP(ケア項目) ・食事の援助 (摂取状況を見ながら、医者や栄養科と相談)
・ 水分の出納状態を確認しながら、必要時水分摂取を促す
・ エネルギーの消耗を最小限にし、安静を促す(必要時ADLの介助や環境調整)
EP(教育・指導項目) ・疾患による機能亢進により消費エネルギーが多い為食事療法の必要性を説明する
・エネルギー消耗を出来るだけ抑える為に、ADLの制限について説明する
・ 心身の安静、安楽の必要性について説明する

 

#2甲状腺腫、眼球突出などのボディイメージの変容による不安や混乱

看護目標 ・疾患による、外見上の変化を理解し、悲観的な言動が聞かれなくなる
OP(観察項目) ・ 甲状腺腫の有無、程度
・ 眼球突出の有無、程度
・ るい痩の有無、程度
・ 発汗、手指振戦の有無、程度
・ 睡眠状況、不眠の有無
・ 食欲、食事摂取量
・ 外見上の変化による患者の言動や反応
・ 疾患や症状に関する理解度
・ 他者との交流や家族の協力の有無
TP(ケア項目) ・ プライバシーを保ち、感情を十分表出できるような環境を提供する
・ 患者の想いを傾聴する
・ 社会との繋がりがもてるように、キーパソンを中心に疾患や症状に関する理解を深める支援をする
EP(教育・指導項目) ・ 外見上の変化が見られる場合でも治療により改善することを説明する
・ サングラスやスカーフなどの利用を提案する
・家族やキーパソンに病状や疾患に関する説明をする

 

#3甲状腺機能亢進による全身状態悪化の恐れがある

看護目標 ・全身状態悪化(甲状腺クリーゼ)を予防し、安楽に入院生活を送ることができる
OP(観察項目) ・バイタルサイン
・ 検査データ
・ 心不全兆候
・ 消化器症状の有無
・ 食事、水分摂取状況
・ 体重変動の有無
・ 睡眠状況
・ 患者の言動、行動
・ ADL制限の有無
TP(ケア項目) ・指示された内服薬を確実に与薬できるように患者と確認し、自己管理に向け意識づける
・ 不安やストレスに対し精神的な援助をする
① プライバシーを保ち、感情表出しやすい環境作り
② 患者の想いを傾聴する
・ 必要時(安静指示時)ADL援助
EP(教育・指導項目) ・ 疾患、病状に関連し、内服治療の説明や指導を行う
・ 自覚症状がある場合には、報告するよう説明する

 

4.バセドウ病患者の注意点

バセドウ病患者の注意点

バセドウ病患者の注意点については、以下の通りです。

 

中毒症状が進行して急変の可能性があることに注意

バセドウ病患者の多くは、薬物療法や病状コントロール目的であるため、甲状腺機能亢進自覚症状を経験した事がありますが、他覚的な症状や発症初期の患者にとっては、症状が出現していても患者自身が気がつかない事もあり、中毒症状が進行し急変の可能性もあります。

そのため、バイタルサインや検査データ、症状の細かな観察を行うと共に患者への疾患・症状・対処方法など教育的な説明も重要です。

 

5.バセドウ病患者の看護に求められるスキル

バセドウ病患者の看護に求められるスキル

バセドウ病患者を看護する際に求められるスキルには、どのようなことが必要であるか、以下で確認していきましょう。

 

精神的な援助スキル

バセドウ病の多くは、長期に渡る治療が必要であり、患者が疾患や治療の必要性を正しく理解するためには、精神的な援助が欠かせません。

そのためには、看護師は患者と信頼関係を築き、ありのままの感情を表出できる環境を作り不安の軽減に努めることが必要です。

些細な患者の変化を見逃さずアセスメントし、異常の早期発見が重要な役割となります。

 

補足説明!

補足事項治療により病状コントロール不良の場合、入院治療・手術・妊娠出産の時期等を一定期間禁止にしなくてはならないといったライフプランに関わることもあるため、バセドウ病と診断された患者は、闘病生活や病状によるボディイメージの変化に対して大きな不安を抱えています。

 

まとめ

まとめ

参考文献は、以下の通りです。

バセドウ病患者の看護で重要な事は、患者の精神的な不安を受けとめ、孤立する事なく、前向きに闘病生活を送ることができるように援助していく事です。

疾患や治療に関する教育的な指導についても、家族などのキーパソンを含め協力体制を作り患者1人1人に合わせた指導を行うことが必要です。


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埼玉県内の看護学校を卒業後、同県内のリハビリ病院に3年勤務。

その後、都内の総合病院で3年勤務後、結婚出産などを経て都内のリハビリ病院へ管理職として2年半勤務。現在は子育て中心の生活を送りながら、今までの経験を生かして看護師ライターとしてデビューし、新たな挑戦にドキドキしながらも微力ながら同じ志を持った方々の役に立てればと思う日々。

看護師の仕事にやりがいを感じており、またいつか臨床現場で働ける日を心待ちにしている。

看護師としての経歴

保有資格 ・看護師
年齢 ・東京都 /33歳
職務経験 ・国立リハビリ病院・都立総合病院・ディサービス
・訪問看護 ・訪問入浴 ・検診センター ・有料老人ホーム ・老健 ・イベント
診療科経験 ・神経内科 ・内分泌代謝科 ・皮膚科 ・眼科 ・歯科口腔外科

記事の内容に関しては、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用をお願いいたします。
カテゴリー:内科系の疾患

(公開日:)(編集日::2018年03月21日)

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