HCU(高度治療室)への看護師転職を考えた時に知りたい6つのこと

HCU(高度治療室)とは、「high care unit」の略です。ICUは集中治療室ですが、HCUはICUほど重症ではないが、病棟よりは高度な治療や看護が必要な方が入室します。

病院により患者層や受け入れシステムは異なりますが、私が働いていたHCUは救命センターの中にあり、基本的には救急車で来院された方を受け入れていました。

また夜間に救急外来をウォークインで受診し、入院になった患者さんを受け入れ、次の日に各専門病棟に転棟して頂くというシステムもとっていました。

HCUは全部で20床。

働く看護師は約30名おり夜間は4人体制で行っていて病棟より手厚い看護が可能となっていました。

男性看護師も他の病棟より多く在籍し皆、勉強熱心で知識の習得には余念がなく、きびきび働く看護師が多かったです。

このページでは、私の経験から、HCUへの看護師転職を考えたときに知りたい情報、仕事内容や転職のメリット・デメリットについてお伝えしていきます。

ポイントを押さえて転職活動をスムーズに進めましょう。

【特集】看護師の3人に1人は転職に不満足で失敗!?

看護師の3人に1人は転職に不満足で<p>失敗!?成功するために! 転職を検討している看護師の方必見です。転職を成功するためには何が必要でしょうか。「転職が失敗した」「転職後にすぐに退職してしまった」「転職が不満足に終わった」などの回答をいただいた看護師に、失敗のポイントとは?

看護師の3人に1人は転職に不満足で失敗!?

1.一般的なHCUについて(High Care Unit:高度治療室)

一般的なHCUについて

急性の機能不全に陥った患者への治療は一分一秒を争うので、救急車などで運ばれた場合には病院のICUと呼ばれる集中治療室に搬送されます。

ドラマやドキュメンタリーなどでも医療現場の最前線として取り上げられる事の多いICUですが、病院の集中治療室には他にもHCUが存在します。

 

(1)「準」集中治療室という位置づけ

HCUは病院の中では準集中治療室という位置づけを持ちます。

準という言葉通りICUに比べると軽度な状態の患者を扱いますが、どちらも急性期の患者を扱うので設備や人材ともに病院でも最高度なものになっています。

 

(2)一般病棟に移る状態ではない患者や夜間救急など受け入れする場所

HCUに入る患者は、ICUでの治療を終えても、まだ一般病棟に移るレベルではない状態のケースや、ICUで治療を行うほど重篤な状態でない夜間救急など実に多彩なケースを包括する場所となっています。

 

補足説明!

ポイント

HCUでの治療は重篤な状態を脱している場合となりますが、元の状態に戻るためには気の抜けない看護が続くので、食事や排泄など日常的な機能を取り戻すために非常に重要なステップとなっています。

 

(3)看護師のキャリアアップには最適な職場

HCUでの仕事内容はかなり幅広い状況への対応力と精神力が求められるので、勤務経験は看護師に大きな武器となります。

そのため看護師転職や、新卒時や配属先希望でHCUに入り、長期的にキャリアデザインを行っていく看護師の方も多い特徴があります。

 

2.看護師の仕事内容と1日のスケジュール

看護師の仕事内容と1日のスケジュール

HCUには脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、心不全などの超急性期、COPDの急性増悪など、人工呼吸器やNPPVなどの機器を使用している患者など重篤な患者が多くいます。

また吐血、下血、目眩などの症状で入院となり、今後精査や治療を控えている方など様々な方が入院しています。

 

(1)HCUで働く看護師の主な仕事内容

HCUに入院しているどの患者層も急変のリスクが高く、モニター管理を徹底すると共に頻繁にバイタル測定を行い「異常の早期」に勤めていました。

主な看護師の仕事内容は以下の通りです。

  • 検査やオペ出し
  • 24時間緊急入院を受け入れ
  • 日中は転棟出し
  • 全介助
  • 清潔ケア
  • 排泄ケア

日中を問わず夜間においても検査やオペ出しも非常に多く、日中は転棟出しを行います。さらに全介助(動けないだけではなく、安静度が高い)の患者が多く、清潔ケアや排泄ケアも力だけでなく、状態を悪化させないよう神経を研ぎすませた看護を必要としていました。

仕事量としては非常に多い病棟と言えます。

 

HCUの看護師は患者の観察も重要な仕事

HCUでの看護師の仕事内容は主に患者の観察になります。

具体的には、

  • 患者に心電図と酸素
  • 呼吸回数モニターのチェック
  • 患者の傷の状態、全身の循環運動をモニターで管理

などの患者とモニターの観察があげられます。

観察の結果、通常の状態から逸脱すると医師の指示に従い看護師が投薬、補液、酸素吸入、吸痰など行います。

 

手術の翌日に患者が一般病棟に帰る準備をする仕事もある

手術の翌日は患者が一般病棟へ帰るための準備をします。手術後の患者の状態ごとに、看護師の対応は異なってきます。

  • 水が飲める患者には飲水と離床を行う
  • 歩行可能な患者は一般病棟へ戻す準備を進める

手術後、患者をHCUから一般病棟に返す時も、全身のモニター管理をしながら進めていきます。

 

ポイント!

ポイント

HCUで働く看護師は、患者の手術後の傷と全身の状態と患者自身の状態を簡潔明瞭にまとめて申し送りもします。

 

(2)HCUで働く看護師の1 日のスケジュール

簡単にHCUで働く看護師の1日のスケジュールと主な仕事内容を日勤、夜勤ともに表にして紹介します。

 

日勤で働く看護師の1日

8:15出勤し、今日の手術の予定と受け持ち確認する
8:30・申し送りスタート
・医師回診もこの時間に重なることが多い
9:00・受け持ち患者の検温や清拭
・ドレーンの廃液など
10:00・本日の手術患者の申し送り
・患者の家族へのHCUの説明
・術後の患者のベッドづくり
11:00一般病棟へ退床する患者の申し送り
12:00休憩
13:00・手術終了のコールと手術室へ患者を迎えに行く
・バイタルサインの測定や記録
・次の手術が終了した場合は手術室へ患者を迎えに行く
15:00・翌日の点滴の準備
・翌日の手術患者のリストアップ
16:45夜勤の看護師への申し送り
17:00仕事終了、帰宅

HCUは一般病棟よりも定時の時間で終わることが多く、残業はあまり無い職場が多いです。

 

夜勤で働く看護師の1日

17:00~夜勤開始(日勤退勤)
18:00~検温、経管栄養、食事介助
(随時、夜間救急外来からの入院受け開始)
22:00~検温
02:00~検温
06:00~検温、採血、マウスケア
07:00~経管栄養、食事介助
08:30~・日勤と引き継ぎ、記録
・申し送り
09:00~夜勤退勤

1日を通して救急車来院患者の受け入れを行います。各患者の状態に応じて随時バイタルチェック、最低でも4時間に1回の頻度で実施していました。

 

3.HCUで働く看護師に必要なスキル

HCUで働く看護師に必要なスキル

HCUで働く看護師には、多岐にわたる看護知識、看護技術、そして現病歴だけにとらわれず、全体像をしっかり把握し、異常を早期に発見出来る力が必要であると言えます。

 

(1)様々な疾患に対する幅広い知識

HCUには様々な疾患の患者がおり、疾患に対する幅広い知識が必要となります。

 

補足説明!

ポイント

年齢は0歳から高齢期まで。妊婦や産褥期など特殊な科の入院もあります。HCUの看護師は全疾患、全年齢に対応できる知識や技術が必要と言っても過言ではありません。

 

(2)心電図や血ガスの解読技術が必要

HCUの看護師には、外科で求められるスキルはもちろんのこと、更に心電図や血ガスの解読技術を持っていることが求められます。もちろんモニターでも異常波形は診断します。モニターを解読する技術は必要になってきます。

 

(3)異常を検知する観察力と看護師の五感が必要

急変をしてもおかしくない状態の方が多く、「異常」に敏感になることが肝要です。患者の検温一つにしても、じっくり観察を行います。

HCUでは機器による管理がICUのフルモニター(動脈圧も脳圧も常時観察すること)が出来ません。

さらに、医師も常駐しておらず、看護師の五感を大いに働かせて患者の看護にあたる必要があります。

 

HCUの看護師には先を読むスキルが必要

先を読むスキルとは、どの看護師にもあって損はないのですが、五感と共にHCUではとても大切な要素です。手術後の患者へは先を読みながら離床を進めないと症状悪化に繋がる場合もあります。

  • 身体のどの部分がどのように痛がるのか
  • 離床時に何メートルくらい歩行ができるのか
  • 歩く際に何が邪魔だと感じるのか
  • 痛みが激しいと循環にどう影響があるのか

医師からの指示で、手術後1日目離床と書いてあっても、上記のように患者のアクションひとつひとつを確かめ、起こり得る症状と対応を想定しながら看護を行います。先を読むことで、患者も看護師にも負担の少ない看護が提供できるのです。

 

(4)患者の急変に対応する看護スキル

患者に急変が起きてしまった時に対応出来る力も看護師として必須です。

主に、

  • 心臓マッサージ
  • 挿管介助
  • バックバルブマスクでの換気

などが必要な場面は一般病棟い比べ、日常的と言えます。(熱傷の処置など外傷患者のケアもあります。)

 

(5)情報を簡潔明瞭にまとめる能力も必要

HCUでは医師の指示や患者について、本当に膨大な情報であふれています。HCUで働く看護師は、その膨大な情報を簡潔明瞭に申し送ることも仕事のひとつであるので、情報をまとめられる能力も必要なのです。

 

4.HCUへの看護師転職のメリット

HCUへの看護師転職のメリット

HUCで働くためには多くの知識を必要とするため、とても勉強しましたが、何より様々な症例を経験する事が出来るため、どの科に異動になっても戦力になります。

そのためHCUの看護師転職は、スキルアップの観点から言うと看護師が技術を磨くことができる最高の職場といえます。また、看護師としてやりがいを感じながら仕事できる点においても言うまでもありません。

 

(1)全身のフィジカルアセスメントが上達すること

HCUはフィジカルアセスメントが非常に重要であり、その基礎を身につける事が出来るため、例え病名がまだ未確定である患者でも全身をくまなく観察し、異常の早期発見が出来ること、そしてそれを治療や看護に繋げることが出来るようになります。

 

ポイント!

ポイント

多様な診療科を経験するので、自分の得意、不得意を知ることができるのもメリットの1つといえます。私は呼吸器に興味を持ち、呼吸療法認定士を取得。院内の呼吸サポートチームのコアメンバーを経験しました。

 

 

(2)仕事の不明点や問題点を相談しやすい職場が多い

病院ごとの職場にもよりますが、たいていの場合、HCUでは先輩看護師や後輩看護師とペアになって働きます。そのため、不明点や問題点があっても相談しやすく、日々勉強と看護技術の習得することができます

そのため、慌ただしい職場でも看護師としてのモチベーション高く、働けます。

 

ポイント!

ポイント

コミュニケーションが欠かせない病棟でもあるので、先輩看護師や後輩看護師と仕事の話の他にも冗談や世間話ができる和やかな職場が多いです。

 

(3)子育て中の看護師も働きやすい職場が多い

病院の忙しさにもよりますが、HCUは比較的残業が無く時間で仕事を終わらせることができる職場がほとんどです。そのため、子育て中の看護師としても働きやすいと言えます。

 

職場の教育体制も整っているため働きやすい

HCUで働く看護師は仕事上、覚えることも勉強することが多いでが、教育体制が下記のように整っている職場が多く、初めてHCUに転職する場合でも心配はいらない場合が多いです。

  • 医師が勉強会を開いてくれる
  • 先輩看護師がきちんと丁寧に仕事を教えてくれる

HCUで働くために必要なスキルはたくさんありますが、学ぶ姿勢とスキルアップしたい強い気持ちがあれば、看護師として転職する価値は十分ある職場と言えます。

 

5.HCUへの看護師転職のデメリット

HCUへの看護師転職のデメリット

看護師としての「やりがい」や、スキルアップできるHCUでも、当たり前ですがデメリットも存在します。

 

(1)患者を最初から最後まで看ることができない

HCUは一時的に入院する病棟です。そのため患者を最初から最後まで通して看ることが出来ません。

回復され退院されたのかなど経過がわからず、逆にやりがいを感じにくいと思う看護師もいます。

 

補足説明!

ポイント

亡くなってしまう方も多く、精神的なタフさがないと続けて行くことが困難な場合もあります。

 

(2)他の職場より緊張感やプレッシャーが大きい

患者の様子を24時間チェックし、病状の変化の変化を見逃さないように、常に注意深く観察することが看護師に求められます。

そのため、緊張感やプレッシャーは一般病棟に比べると大きいと言えるでしょう。

HCUに転職した看護師で、緊張感が続き、疲労やストレスを感じる方も少なくありません。

 

モニター音が頭から離れない症状に陥ることもある

術後の患者は循環動態が変化しやすく急変もあります。

帰宅後も急変時のモニター音が頭から離れず、辛く感じる看護師もいます。自分に自信が付き、率先して急変患者にも対応できるようになるまでモニター音の空耳が消えない看護師もいるほどです。

 

(3)患者にストレスを感じることも多い

HCUに入院している患者は、自由に動くことが出来ない故に、看護師にその苛立ちをぶつける場面も多く見受けられます。

HCUでは看護師と患者が密に接することになるため、患者の性格によっては看護師が強いストレスを感じることも多いのです。

 

補足説明!

ポイント

ICUの患者はほとんど意識のない状態が多ですが、HCUの患者は意識がはっきりとしている状態がほとんどといえます。

 

6.HCUへの看護師転職求人の探し方注意点

PCで求人を探す女性看護師

HCUへの看護師転職を希望する際、どういった方法で求人を探していけばよいのでしょうか。探し方の注意点を説明いたします。

 

(1)HCUがある病院をピックアップすること

まずHCUやICUといった治療室を持つのは、規模が大きな病院であることが多いです。

また、ICUを備えている病院はたくさんありますが、HCUがある病院はそれほど多くはありません。

よって、大規模な病院かつ、そこにHCUがあるかどうかを調べる必要があります。

 

(2)HCUでの主な治療分野について確認しておくこと

病院によって脳血管障害の治療が主なHCUや、心臓疾患に力を入れているHCUなど、その病院よっても特徴が異なります。高度な医療だからこそ、自分自身の能力や専門性にあった病院を選ぶ必要があるのです。

 

(3)配属希望を転職時に条件交渉すること

HCUがある病院は比較的大手の病院であるため、転職時に以下のようなことが起こります。

  • 希望の病棟(HCU)へ配属されない
  • HCUに配属されたが3ヶ月で部署移動された

病院の人員や経営状況、方針によって、HCUの看護師として働けるかどうか決まってます。そのため、転職面接時の内定前に、必ず条件面を交渉する必要があります。

 

条件交渉は転職会社を利用すると便利

求人を行っている病院自体を探すことは簡単ですが、HCUに絞り、なおかつそれ以外にも細かな条件をつけるとなると、自分個人では難しい場合も多いです。

そのため、以下のような転職会社を利用して、担当者に病院側に交渉をした上で面接に臨み、その際にも確認することでHCUの看護師として働くことができます。

【条件交渉を行ってくれて対応が良い転職会社】

地域や担当者で多少の良い、悪いが存在します。3社登録をして、求人も担当者の質も自身で比較してください。

キャリアアップ転職が楽に行うことができますが、書面で条件面を貰うことを忘れないようにしましょう。

 

まとめ

HCUは退院まで患者を継続して看ることが難しいですが、あるとき一般病棟に患者の転棟に行った際、HCUで意識もなく管だらけだった方が元気に歩行されているのを見かけました。

その患者はHCUにいたときのことは全く覚えていない様でしたが、私はその姿を見た時に、あの時頑張って良かったと心から思う事が出来ました

ただ、多くの知識や技術を必要する場所で、重症度の高い患者を看なければならないため、緊張感は常につきまといました。

ここで判断を間違えたら悪化させてしまうかもしれない、という選択をどんどんしなければならない現場でしたので、ストレスは大きかったように思います。

しかし、私はHCUで働くことができて本当に良かったと思っています。

ICUでもない、病棟でもない、そんな曖昧な定義の場所ではありますが、私はこのHCUで働き多くのことを学ぶ事ができました。

看護師である自分に自信や誇りを持つことが出来、本当に素晴らしい日々を送ったと今も思っています。

もし、HCUで働かれなくても、病棟間での連携を円滑にするためにもHCUってこんな場所だと知識として知って頂けると幸いです。

※この記事は正看護師の「aotomama」さんの記事をスタッフが編集しています。

監修者

亀岡さくみ看護師
監修 亀岡さくみ看護師
  • 2011年3月:日本赤十字看護学校卒業
  • 2011年3月:看護師免許取得
  • 2011年4月:日本赤十字医療センター入社(3年間勤務)
  • 2015年3月:株式会社peko勤務
  • 2015年4月:はたらきナース監修

現在は、今までの経験を活かし「はたらきナース」を執筆・監修を行っています。

この記事は「」さんが執筆しました。

運営会社 ・記事等に関する問い合わせ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。