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アンネ

現役看護師

アンネ

( 看護師 保健師 )

在宅緩和ケアクリニックへ転職する看護師のメリット・デメリット

アンネ
現役看護師 アンネ
在宅緩和ケアクリニックで働く看護師

在宅緩和ケアクリニックは、一般診療も行っているところがほとんどで「在宅看取りの件数」「疾患の種類、規模」等、様々なクリニックが存在します。

また、在宅緩和ケアクリニックには、訪問看護を併設しているところもあります。

今回は、在宅緩和ケアクリニックへ転職する看護師のメリット・デメリットについて紹介していきます。

1.在宅緩和ケアクリニックの看護師の仕事内容

診療の補助を行う在宅緩和ケアクリニックの看護師

在宅緩和ケアクリニックでは、対象者が幅広いため看護師は多様な疾患のプライマリケアから看取りまで対応します。

患者それぞれの疾患の経過を知り、

  • これから何が起こるか
  • どのようなサービスが必要になるか

等を先読みし、患者・家族にタイミングを逃さず情報提供できるように医師に提案することが大切です。

 

診療の補助を行う

在宅緩和ケアでは、訪問看護師がケアに入ることがほとんどであるため在宅緩和ケアクリニックで働く看護師の主な仕事は診療の補助です。

診療の補助の内容としては、

  • 医療処置介助
  • 点滴の実施
  • 患者・家族への指導

等を行い、療養上の世話でシャワー浴や排泄介助を行う場合もあります

 

空気を読むことと医師の特徴を知ることが必要

医師が主体のチームとして関わるため、看護師は空気を読むことや医師と患者・家族の邪魔をしないように振舞うことが大切です。

医師によっては、

  • 看護師からもっと意見が欲しい
  • 積極的に診療時に出てこないで欲しい

等、様々であるため医師の特徴を知って診療に関わるという姿勢も必要です。

 

その他の在宅緩和ケアクリニックで働く看護師の役割

在宅緩和ケアクリニックで働く看護師の役割は、

  • 医師の相談相手になる
  • 他事業所や他サービスとのやり取りを行う
  • 医師に気づいたことを提案する

等、様々です。

 

医療・介護制度をコーディネートして患者に提供する

在宅緩和ケアクリニックは、医療・介護サービスにおける在宅緩和ケアの司令塔であり、慢性期患者等に医療と介護の両方のサービスをうまく組み合わせて提供をします。

医療と介護の両方のサービスが上手く組み合わないと、

  • 急速に身体機能が悪化する
  • 患者を取り巻く全てのサービスが調和しなくなる

等の可能性があるため責任は重大です。

 

補足説明!

ポイント

患者が所属する医療・介護区分や、交付されている保険によって、医療・介護それぞれで受けられるサービスや施設の種類等、内容が細かく変わります。

 

電話対応を行う

電話は、視覚で状況を把握できない難しさがある仕事内容です。

在宅緩和ケアクリニックは病院や施設と異なり、

  • 患者・家族
  • 病院
  • 施設
  • 訪問看護
  • ケアマネージャー
  • 役所
  • 薬局

等、電話の相手は様々で緊急対応が必要だったり、症状緩和の相談だったり内容も様々です。

 

難しい判断が必要

電話の相手は、医療者とは限らないため、

  • 見えない相手の情報をどう質問して正確に引き出すか
  • 相手の叙述をどのくらい信用して訪問の必要性を医師へ説明・訪問依頼するか

等の難しい判断が必要です。

 

緊急の訪問診療の場合もある

場合によっては、緊急の訪問診療になり患者からの支払いが発生することになるため、

  • 患者の経済状況はどうか
  • 緊急訪問は必要か
  • 電話対応だけで済ませて良いか

等の判断を電話のみでするという難しさがあります。

 

患者・家族からの電話で疾患の経過等を把握する

患者・家族からの電話の際は、

  • 各患者の疾患と経過
  • 家族構成
  • キーパーソンの特徴
  • 指示と処方内容

等を電話で話を聞きながら把握していきます

 

訪問前準備を行う

在宅緩和ケアクリニックで働く看護師は、患者訪問時に使用する医療処置物品を医師へ確認し、訪問へ出発する前に準備を抜かりなく行うことが大事です。

 

忘れ物は多くの人の迷惑になる

在宅緩和ケアクリニックは、病院や施設のように忘れたからすぐ取りに行けるような距離ではなく、訪問看護師は医薬物品を持たないことになっています。

患者・家族・医師・訪問看護師に迷惑をかけないためにも、忘れ物をしないことが重要です。

 

ポイント!

ポイント

点滴の種類や症状緩和のために必要な医薬品・医療機器などは、患者の状態を聞いただけで大体予想がつきますが、医師によって使う道具が多少異なることがあるため確認しながら行いましょう。

 

病状が悪化する患者に今後の話をする

病状が徐々に悪化する患者に、これから過ごせる場所の選択肢がどのくらいあるのか等の話をすることは在宅緩和ケアクリニックの医師の仕事ですが、患者と信頼関係があり事前に医師と打ち合わせができていれば看護師が話をすることもあります。

 

疾患により病状の進行具合は異なる

在宅緩和ケアクリニックでは、完治しない疾患を抱えた患者をケアすることがほとんどですが、進行も早かったり遅かったりと疾患により異なります。

 

補足説明!

ポイント

在宅緩和ケアクリニックでは、それぞれの医療・介護施設の役割や機能の知識が自然と身に付き、病院では出会えないような地域の中の限られた患者と疾患に出会えます。

 

2.在宅緩和ケアクリニックの看護師に必要なスキル

訪問する地域を調べる在宅緩和ケアクリニックの看護師

在宅緩和ケアクリニックで働く看護師の仕事は、診療の補助であるため自分が表に立つことはありません

医師と患者・家族を尊重し診療がスムーズに進むように、

  • 場面をよく観察する
  • 次に起こる展開を予測する
  • いいタイミングで必要なことをする

等のスキルが必要です。

 

対象地域に精通していることが必要

在宅緩和ケアクリニックの医師が患者を緊急訪問するときは、一刻が大事になる場合が多く早く患者宅にたどり着けないと患者・家族の不安も増すため、看護師は訪問診療前に道路状況など地域の把握することが必要です。

看護師は地域の特徴として、

  • 人口
  • 平均年齢
  • 世帯収入
  • 自治体の方針
  • 施設の種類と数
  • 訪問看護事業所の数・規模・得意分野・分布
  • 道路の混雑状況・抜け道の把握

等を知っておくと、患者ケアの選択肢も広がるでしょう。

 

ポイント!

ポイント

住宅街は、特に迷路のように細い道が入り組んでいるため、自分が運転する場合はあらかじめ地図で場所とルートを把握しておきましょう

 

ある程度の臨床経験が必要

在宅緩和ケアクリニックは、新卒看護師が1人前に臨床をこなせるようになるまで成長させるような教育プログラムがなく、体制も整っていません

そのため、常に即戦力が求められ、ある程度の臨床経験として特にがん緩和ケアの経験があった方が良いでしょう。

 

3.在宅緩和ケアクリニックへ転職する看護師のメリット

在宅ケアを行う女性看護師

在宅緩和ケアクリニックで働く看護師は、生の延長上に死があるという自然の摂理を自然に受け入れることができるようになります

 

難しい選択を考えることができる

緩和ケア病棟は、今のところ対象疾患が悪性腫瘍とHIVに限られていますが、在宅では全ての疾患が対象になります。

例えば、

  • 悪性腫瘍
  • COPD
  • 筋ジストロフィー
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 認知症

等、時に症状緩和が難渋したり、工呼吸器増設や胃瘻増設などの難しい選択を考えたりできることは在宅緩和ケアクリニックで働く看護師の良いところでしょう。

 

補足説明!

ポイント

患者・家族の意思決定には、医師の意向が強く関わると言われており、その医師の意向に影響を与えられる立場に在宅緩和ケアクリニックの看護師がいます。

 

患者の価値観をすべて受け入れられること

緩和ケアの目標は、患者QOLの維持・向上であるため、患者の考え・価値観を尊重することは大事な要素です。

在宅緩和ケアクリニックでは、患者の価値観をすべて受け入れて様々な信念を尊重し、それに添って治療方針や援助の仕方を変えていきます。

 

補足説明!

ポイント

在宅緩和ケアクリニックでは、病院から入院を拒否された方のケアもするため大変なこともありますが、多様な価値観を理解していく過程は今後の自分の人生にも役立つでしょう。

 

在宅でできる・できないことがわかる

在宅緩和ケア診療を1度経験しておくと、

  • どんな風に患者が自宅で過ごすことができるか
  • どんな医療処置が不得意か

等を知ることができます。

施設を超えたつなぎ目のないケアを提供して、安心して患者を送り出すために在宅緩和ケアクリニックの看護師としてできることは何かを知ることは、とても重要なことです。

 

訪問看護よりも的確に把握できる

訪問看護でも可能ですが、事業所によっては医療より介護の側面が強いところもあるため、在宅緩和ケアクリニックだとより的確に把握できるようになるでしょう。

 

注意点!

ポイント

看護師が病院のみなど1種類の施設に勤務する場合は、退院調整が遅れることやタイミングを逃して患者の希望を叶えられない場合もあります。

 

各疾患の知識を増やすことができる

在宅緩和ケアクリニックで働く看護師は、直接医師と訪問するため、患者それぞれの疾患についての医学的な知識を増やすことができます。

 

補足説明!

ポイント

緩和ケア診療を行う医師は、緩和ケアの基本を理解していますが、もともとのバックグラウンドは様々で得意分野が異なります。

 

インシデント・アクシデントレポートとは無縁

在宅緩和ケアクリニックの看護師は、

  • 患者の生活に不利益が起きないように最善の対策を行う
  • 医師と共に行動するため伝達ミスもほとんどない

等のため、インシデント・アクシデントはほぼ起きません。

 

在宅緩和ケアクリニックでは患者の自由が尊重される

在宅緩和ケアクリニックでは、患者を管理するという視点ではなく、生活する患者・家族を支えるという視点から関わり自律して生活する人をケアするため、患者の自由が尊重されます。

そのため、安全管理に関してインシデント・アクシデントという概念がありません。

 

4.在宅緩和ケアクリニックへ転職する看護師のデメリット

患者の家に訪問してケアを行う女性看護師

在宅緩和ケアクリニックは、医師中心のチームとして診療にあたるため看護師が主体的に患者・家族に関わることは稀であるため、看護師として存在する意義を感じるのが難しい場合もあるでしょう。

 

様々な家に訪問すること

在宅緩和ケアクリニックの対象患者の多くは、身の回りのことを自分でできない方々であるため、訪問する家がいつも綺麗で快適な家ばかりという訳ではありません。

対象患者は、独居の場合や同居家族がいたとしても健康状態が悪い場合があり、

  • 汚い
  • 臭い
  • ペットがたくさんいる
  • エレベーターのないアパート
  • 暑い
  • 寒い
  • 自分が入る隙間がないほど狭い

等の家もあります。

そのため、「動物アレルギー」「タバコの臭いで不快になる」「汚い環境が受け入れられない」等の看護師にはつらい仕事と言えるでしょう。

 

ポイント!

ポイント

訪問看護師のように1人での訪問はないため、閉鎖空間での身の危険はなく、つらい体験を医師と分かち合えることは在宅緩和ケアクリニックの特徴と言えます。

 

他人の家に入るという緊張があること

在宅緩和ケアクリニックは、相手のフィールドに自分たちがお邪魔させてもらうという立場になります。

そのため、靴の脱ぎ方や身なり、立ち振る舞い等はよく見られ、緊張します。

特に緩和ケア領域では、患者・家族の心理的快適さも重視され、患者の死期が近いぶん1回1回の訪問が非常に大切です。

 

ポイント!

ポイント

看護師の行動が医師と患者の信頼関係を崩す一因にもなりかねないため、患者・家族からみた印象や自分の発言の1つ1つを考えて行動することが必要です。

 

問題解決を積極的に行う必要がある

組織が小さい在宅緩和ケアクリニックでは、医師は毎回診療に集中して疲労も強いため看護師は「全ての問題点を自ら解決する」くらいの気持ちで業務を遂行することが必要です。

 

理想を目指しつつ妥協点を探すことが求められる

在宅緩和ケアクリニックで働く看護師は、理想を追いかけながらも資金やスペース等の制約を考慮し、妥協点を見つけていくことが求められます。

 

補足説明!

ポイント

在宅緩和ケアクリニックは、麻薬・感染管理や指示出し等、改善すべき箇所が多くありますがクリニック同士で情報交換の場はなく、独自の方法で工夫しながら診療体制を整えているところが多いです。

 

看護師全員に疼痛管理等の専門資格があるわけではないこと

在宅緩和ケアクリニックの医師・看護師は、ある程度専門知識を持ち合わせていますが全員が緩和ケアや疼痛管理、グリーフケアに関して専門資格があるわけではありません。

在宅緩和ケアクリニックでは特に、「創傷治癒」「ストマ管理」「感染管理」「精神・家族看護」等に関しての知識が必要ですが知識の有無は看護師それぞれにより異なります。

看護師は、患者に最も合ったものを提供し続けるために、最新知識を多分野にわたり獲得していくことが大切です。

 

ポイント!

ポイント

看護協会が社会資源として地域に提供している専門・認定看護師は、ほとんどいないため病院のように困ったときにすぐにアドバイスをもらえるスペシャリストはいないと考えた方が良いでしょう。

 

自ら最新の知識を獲得しに行く必要がある

大きな組織では、勉強会を組織内で頻繁に開いたり、最新の知識が業務手順に反映されたりしますが、小規模事業所になるとその環境がほぼなくなります

そのためクリニックに所属すると、自らで発信することや近隣の病院や団体、学会が主催している会に参加することなどを行わない限り、最新の知識を得ることは困難です。

 

5.まとめ

私の所属していたクリニックは、病院で亡くなることを選択された方の数は除いて、毎日のように在宅看取りがありました。

仕事内容は、外来もありましたが在宅・施設への訪問診療がメインで毎日5~6人の医師が訪問に回り、訪問看護を併設しない施設でした。

在宅緩和ケアクリニックの看護師は、表に立たない補助的な役割となりますが、訪問診療をスムーズに進めるために重要な役割を担っています

そして、医師や他施設との調和が求められ、看護師から現状を改善していく積極性も必要です。

在宅緩和ケアクリニックへの転職を考えている看護師は、是非参考にしてみて下さい。


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この記事を書いた人

がん専門病院で勤務後、がん・緩和ケア分野リーダーシップコース修士課程を海外で修了。その後、年300件以上の在宅看取り件数のある在宅緩和ケアクリニックで勤務。施設訪問も経験あり。現在は臨床研究をメインに活動中。少子高齢化に伴う経済状況の悪化、医療崩壊を懸念中。
看護師になった後も、どう仕事をしていくか選択肢は幅広くあります。道の作り方は自分次第だと思っています。嫌なことも、迷うこともたくさんあると思うので、皆さんに少しでも役立つような情報を発信できればと思います。


カテゴリー:クリニック

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この記事を書いた人:アンネ
(公開日:)(編集日::2017年07月13日)

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