ICUで新人看護師が成長していくためのポイント

ICUで新人看護師が成長していくためのポイント

ICUに配属された新人看護師は、配属が決まったときは期待や嬉しさよりも、驚きと緊張や不安の方が大きいのではないでしょうか。

重篤な患者ばかりのICUでは、自分の知識や技術がいかに未熟かを思い知らされますが、ロールモデルとなる先輩を見つけ、真似て技を盗みながら少しずつ努力を積み重ねていくことが大切です。

ここでは、ICUに配属された新人看護師が持つ不安や重圧を少しでも軽くして、知識面でも技術面でも着実に成長していくための方法をご紹介します。

1.ICUの新人看護師が立てるべき目標

目標を立てるICUの新人看護師

新人看護師には、プリセプターや新人教育責任者がついているため、知識や技術の習得状況を見ながら無理のない達成可能な目標を一緒に考えてくれます。

それでは、「大体どのような経過で成長していくのか」「入職3か月後・6か月後・1年後それぞれでどのような姿が求められるのか」を以下に説明します。

 

入職3ヶ月後の目標

入職3ヶ月後では、先輩看護師のフォローのもと安定している患者を1人受け持つようになっているかもしれませんが、立てるべき目標としては「緊張せずに朝のカンファレンスに出席でき、1日の流れを把握できている」というくらいの目標で構わないでしょう。

私は配属が決まった瞬間から、緊張感と焦りがあり、辞令を受け取ったその日に本屋へ行って参考書を買ってしまいましたが、「早く専門知識を勉強しなければならない」「技術を覚えなければならない」等、と気負う必要は全くありません。

 

新人看護師に大切なこと

新人は、毎日通勤して看護師ユニフォームを着て職場に立つだけでも肉体的・精神的に疲労するものです。

そのため、初めは

  • 勤務開始から終了までの職場の雰囲気や流れに慣れる
  • 専門知識よりも院内各部署の場所やスタッフの名前と顔を覚える
  • 勉強時間よりも疲労回復のための休息をしっかり取り、翌日も遅刻せずに勤務する

等のことが大切です。

 

入職6ヶ月後の目標

入職6ヶ月では、包交車整備や救急カート整備などの外回りを含めた日勤業務がほぼ経験でき、いよいよ夜勤導入の時期です。

1人の患者を受け持ってバイタル測定をし点滴管理や酸素管理ができても、得られた情報から全身状態をアセスメントする能力は未熟であるため、

  • 自分の能力を把握してアピールする
  • 報告・連絡・相談を意図的に行える

を目標に掲げると良いでしょう。

 

具体的な受け持ち患者

具体的な受け持ち患者では、消化器疾患・肝疾患・整形外科疾患の全身状態が安定した患者が受け持てるように知識・必要な技術を経験することを目標としましょう。

 

経験を先輩にはっきりと伝える

入職6ヶ月の時期に大切なことは、「経験してできること」「経験したけれど自信がないので確認してほしいこと」「見学しかしておらず未経験であること」等、自分の経験をフォロースタッフにはっきりと伝えることです。

先輩達も進捗度合を情報共有していますが、「できるよね?」という雰囲気になったときに自分からアピールすることが大切です。

 

注意点!

ポイント

入職6ヶ月は、知ったふり・できるふりをすることでインシデントが起こるのが増える時期でもあります。

 

入職1年後の目標

ICUでは、3〜4年経験で一通りの業務を覚えて1人前まで5〜6年かかると言われており、1年では経験していない疾患・技術があって普通です。

そのため、目標を立てるとしたら、「日勤・夜勤ともに安定した患者を1人受け持てる」ということで十分でしょう。

 

具体的な受け持ち患者

具体的な受け持ち患者では、肺疾患(人工呼吸器管理)・脳血管系疾患・腎疾患(CHDF管理)などの全身状態が安定した患者が受け持て、急変などの緊急時対応ができるように知識・必要な技術を経験することを目標としましょう。

 

補足説明!

ポイント

心血管系疾患・ショック患者などの超急性期管理、IABP・PCPS等補助循環機器管理などは2年目以降の習得で十分であるため、1年目で全てを経験していないのは自分の能力不足だと思う必要はありません。

 

2.ICUの新人看護師の勉強方法

勉強するICUの新人看護師

ICUでは、対象となる疾患や病状が多岐に渡るため、勉強範囲は一般病棟に比べるととても広いですが、「何をどのようにすればよいか」という具体的な方法は、新人看護師の指導全般を任されたプリセプターや新人教育責任者がアドバイスしてくれます。

それでは、ICUの新人看護師の勉強方法について見ていきましょう。

 

ICU新人看護師の勉強の流れ

ICUでは、病院によって教育方針や入室患者の疾患・病態が異なりますが大抵は、チェックリストを元に毎月の勉強範囲をプリセプターと一緒に考えて、参考書などを用いて知識を深めていきます。

そして、予習をしてある程度の基礎知識を持った上で対象の患者を受け持ち、勤務後に振り返り、疾患・病態・治療・看護の根拠を考えて、実施した看護に対する疑問をその日のうちに解決します。

 

補足説明!

ポイント

ICUが「救命救急の後方病棟として連携している場合」「救命救急と別部署としてある場合」もあるため、所属するICUの中でのチェックリストや受け持ち患者の頻度に応じた勉強の進め方をしていきましょう。

 

学んだことをノートにまとめる

ICUの新人看護師は、日々先輩から教わることを必ずメモして、帰宅後に自分の言葉で自分が後から見たときに分かるように参考書やノートにまとめておくことが大切です。

 

補足説明!

ポイント

学んだことをノートに羅列するのではなく、「教科書に書いていない根拠・観察項目」「忘れてはいけないポイント」等を付け足していくことで自分だけのノートになります。

 

根拠を明らかにして勉強する

ICUでは、看護師の観察や管理のミスが命に直結することもあり、根拠を考えて看護技術を実施することが特に求められるため、「なぜこの観察をするのか」「なぜこの手順なのか」と突き詰めて勉強していきましょう

その結果、見落としや手順の間違いなどのインシデントも減るはずです。

 

3.ICUの新人看護師におすすめの本

本を読むICUの看護師

ここでは、ICUの新人看護師におすすめの本をご紹介します。

 

「ICU・CCU Nursing Note−集中治療室看護手帳」

ICUCCUNursingNote

画像引用元:www.amazon.co.jp

タイトル ICU・CCU Nursing Note−集中治療室看護手帳
監修 関口敦
出版社 メディカ出版
出版日 2007年3月1日

 

「Heart Nursing Note−心臓疾患看護手帳」

Heartnursingnote

画像引用元:www.amazon.co.jp

タイトル Heart Nursing Note−心臓疾患看護手帳
監修 大西哲
出版社 メディカ出版
出版日 2006年5月

この2冊は、内容も必要最低限に濃縮されているため本当におすすめです。

まずポケットに入る大きさで、毎日持ち歩き、ふと忘れてしまったポイントをベッドサイドで開いて見ることができます。

amazon.co.jpの口コミ】
解剖図、血流図が載っているので、何番が狭窄、閉塞したかみるのに役立ちます。
12誘導心電図の測定方法、ペースメーカー波形。よくみる不整脈波形など、最低限の情報は書かれてあるので、確認用に白衣のポケットに忍ばせてあります。
勉強用ではありません。あくまで確認程度の知識があると捉えた方がいいでしょう。
値段も手頃です

 

「ICU・CCU・心臓血管外科・循環器病棟の看護のポイント147」

ICUCCU心臓血管外科循環器病棟の看護のポイント147

画像引用元:www.amazon.co.jp

タイトル ICU・CCU・心臓血管外科・循環器病棟の看護のポイント147
監修 関口敦
出版社 メディカ出版
出版日 2007年10月1日

「新人ナースもこれだけ知っていれば大丈夫!」と謳っているだけに、基本的なケアのポイントを写真や絵を多く使って解説されており、目で見て分かりやすいです。

 

「3stepで学ぶ 消化器外科 Lesson (消化器外科ナーシング2004年春季増刊)」

3stepで学ぶ消化器外科lesson

 

画像引用元:books.rakuten.co.jp

タイトル 3stepで学ぶ 消化器外科 Lesson (消化器外科ナーシング2004年春季増刊)
著者・編集 消化器外科ナーシング部
出版社 メディカ出版
出版日 2004年4月15日

「step1・消化器外科の基礎知識を理解」「step2・術後の観察&合併症対策をマスター」「step3・ベーシックケアの基本」を学ぶというように3stepに分かれてQ&Aのように書かれています。

HCUや術後ICU入室が多い場合におすすめです。

 

「脳神経ナースのためのSCU・NCU看護力UPマニュアル」

脳神経ナースのためのSCU・NCU看護力UPマニュアル

画像引用元:www.amazon.co.jp

タイトル 脳神経ナースのためのSCU・NCU看護力UPマニュアル
編著 国立循環器病センター看護部
出版社 メディカ出版
出版日 2008年3月1日

脳神経外科での疾患別看護・治療別看護・症状別看護に分けて解説されています。

解剖生理も要所で載っているため、初心者には分かりやすいです。

amazon.co.jpの口コミ】
中規模の一般病院にはSCU(脳卒中ケアユニット)やNCU(神経疾患ケアユニット)がないと思いますが、
神経疾患患者を看護するにおいて標準的かつ必要不可欠な内容が網羅されています。
”特別な疾患”だと敬遠せずに病棟に一冊おいておくだけで、看護師さんの安心感が違うはずです。
また、これらの専門病室を有する病院スタッフにおいても、
標準テキストとして詰所においておけば、教育に実践にかなり便利な一冊だと思います。

 

「イラストでわかる 脳神経外科手術と術式別ケア(BRAIN Nursing 2008年夏季増刊)」

脳神経外科手術と術式別ケア

画像引用元:www.amazon.co.jp

タイトル 脳神経外科手術と術式別ケア(BRAIN Nursing 2008年夏季増刊)
監修 藤井清孝
出版社 メディカ出版
出版日 2008年7月29日

この本は、写真やイラストが多く、脳神経外科手術での体位から皮膚切開の位置やドレーンについてまで詳しく載っています。

 

補足説明!

ポイント

術後管理をする場合、前述の「SCU・NCU看護力UPマニュアル」と合わせて勉強すると脳神経外科の基本的な看護がよく分かるでしょう。

 

4.新人看護師がICUで勤務するときの心構え

ICUで勤務する心構えを考える新人看護師

ICUは、重篤な患者が多く緊張感があり求められるレベルは高いです。

そこで、新人看護師に忘れて欲しくない心構えを以下に紹介していきます。

 

他部署の新人と比較しない

ICUは、「対象が広範囲で覚えることが多い」「重症度が高い」ことから独り立ちにも時間がかかるため、一般病棟の同期と比べて焦る必要は全くありません。

なぜなら、全身清拭のケア1つ取っても「全身状態が安定している患者」と「体位交換をするだけで循環動態に変調をきたす患者」では方法も観察も全く異なるためです。

 

補足説明!

ポイント

自分の目標とする姿をしっかりイメージしていれば、他人と比較して焦らなくても着実に成長していけます。

 

機器に頼らない観察力を磨く

ICUでは、全身管理のため全ての患者にベッドサイドモニターがついており、心拍数やサチュレーションが表示されていて、自動血圧計はスイッチ1つですぐ測定できます。

しかし、ICUの環境に慣れてしまうと表示されている数値だけを見て記録するようになってしまうため、機器の数値やアラームだけに頼らず、「実際に目で見て触れて観察する」という看護の基本を忘れずに観察力とアセスメント力を磨きましょう。

 

注意点!

ポイント

急変したときは、真っ先にモニターの心電図を確認するのではなく患者本人の顔色や四肢の色や冷たさ、脈の強さは目で見て触れることが大切です。

 

非言語コミュニケーションや笑顔を大切に

重篤な患者の場合、「意識がない」「気管内挿管によって会話できない」等が多く、看護ケアが機械的なものになりがちですが、非言語コミュニケーションや笑顔を大切にすることが大切です。

患者が意識朦朧として返答ができなくても、心では感じているということを忘れないでください。

私は長期間の挿管の末、抜管ができた患者から「毎回すごく手荒に吸引された。苦しかった。モノのように扱われ屈辱だった。」と聞いたことがあります。

言葉がなくても、意識がなくても、コミュニケーションは信頼関係を築く上で大切なものであるため、患者からのサインを見逃さないよう、普段から非言語コミュニケーションを大切にし、尊重して向き合ってほしいと思います。

 

補足説明!

ポイント

緊張して表情の固い新人看護師が多いですが、緊張した顔は患者にも不安を与えるため、リラックスした表情でにこやかに挨拶できるようにしましょう。

 

5.新人看護師がICUに合わないと感じた場合の対処法

ICUが合わないと感じてプリセプターに相談する新人看護師

新人看護師が「頑張ってもどうしても緊張してしまうし環境に慣れない」「自分に向いていない」等と考える場合の対処法には、どのようなものがあるでしょうか。

以下で確認していきましょう。

 

プリセプターや新人教育責任者に相談してみる

新人看護師が「一時期モニターのアラーム音が空耳で聞こえる」「救急車の音にドキドキしてしまう」「勤務時間以外でも過緊張がとれない」等がある場合は、プリセプターや新人教育責任者に相談してみることで「何が不安なのか」「どうしたら不安が取れるか」等、対策を一緒に考えてくれるはずです。

 

人に話してみることが大切

悩みを人に話してみると自分の気持ちも整理されるため、「本当に続けるのは無理なのか」「ただつらい現実から逃げようとして言い訳しているだけなのか」明らかになるでしょう。

私が新人看護師のとき「責任が重くて患者をみることが怖いです」と先輩に相談した際に、「怖い?怖いよね、命を預かっているんだから。でも怖いと思うのはあなたが未熟で予測できないから。勉強して知識があれば、予測ができるから対応もできるし準備しておくこともできる。だから、これから勉強して沢山経験していくんだよ。」という言葉を貰いました。

補足説明!

ポイント

1人前になるまでは長い道のりですが、もしもその中で苦しい思いがある場合、経験豊富な先輩に相談してみることで、負担にならないような具体的な対策や対応を取ってくれるでしょう。

 

まとめ

ICUで新人看護師が成長していくためのポイントについて紹介してきましたが、いかがでしたか?

ICUで働いている新人看護師は、是非参考にしてみて下さい。

あおいロワイヤル

【神奈川県/40歳・資格:看護師、ACLSプロバイダー】

看護専門学校卒業後、大学病院の集中治療室(ICU・CCU)で8年間勤務。出産・育児休暇を経て復職しましたが、夫の転勤のため退職。その後、興味のあった在宅看護に携わりたいと考え転職し、現在は看護師が立ち上げた小規模訪問看護ステーションに在籍する現役訪問看護師2年目です。

転職に迷っている方、病院選びや就きたい仕事選びでリアルな現場の実状を知りたい方への情報を分かりやすくお伝えし、お役に立てればと思います。

運営会社 ・記事等に関する問い合わせ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。