リーダーナースとは、その名の通り看護師をまとめる中心的な役割を担う看護師のことです。
どこの病院であっても3年目になればリーダーナースを任されるケースが多く、病院の看護師として働く以上、避けては通れないものである考えておく必要があります。
そしてリーダーナースの役割が任せられたということは、看護師として「一人前」であることを認められた証です。
看護師としての責任は増え板挟みになって辛い思いをすることも多くなりますが、この経験は確実に看護師としての成長を促してくれます。
それでは、リーダーナースが具体的にどのような役割を担っているのか、詳しく見ていきましょう。
【目次】
1.リーダーナースの役割と業務
2.リーダーナースに求められるスキル
3.リーダーナースのやりがい
4.リーダーナースの負担とは
5.リーダーシップのスキルを磨くためには
まとめ
1.リーダーナースの役割と業務

実際の細かい業務内容は病棟によって異なりますが、主な役割は以下のようになります。
- 仕事の進行状況の確認とフォロー
- 患者の急変時の統括
- 病棟カンファレンスの司会・進行
- 医師からの指示受け
- 次の勤務帯への申し送り
- 他部門からの電話対応
基本的にリーダーナースが部屋持ちをすることはありません。
上記の役割を遂行し、全てのスタッフが円滑に業務を進められるようサポートしていきますから、経験やスキル、判断力も重要になってきます。
ただしリーダーナースを任せられるようになったからと言って、いきなり給与が上がるようなことはありません。
なお、リーダーナースの給与事情について知るには、リーダーを任せられるようになる3年目以上の看護師の給与を参考にすると良いでしょう。
なお、看護師3年目の平均的な給与は夜勤手当なども考慮すると、手取りで平均月収は25万円、平均年収は400万円です。
2.リーダーナースに求められるスキル

リーダーナース自体は特別な資格等が必要なわけではありませんが、リーダーとしてスタッフをまとめるには以下のようなスキルが求められます。
(1)リーダーシップのスキル
リーダーナースに求められる最も重要なスキルは、リーダーシップ力です。
リーダーナースを任された以上、年齢や経験が上の看護師に対しても臆せず指示を出し、スタッフをまとめていかなければなりません。
この記事の最後の項に、リーダーシップのスキルを磨くための方法を簡潔にまとめていますので、ぜひ確認ください。
(2)タイムマネジメントのスキル
リーダーナースには、タイムマネジメントのスキルも必要です。
タイムマネジメントとは、限られた時間を有効活用できるように時間管理することです。
タイムマネジメント(時間管理)の方法について
リーダーナースの仕事を「時間が決まっている仕事」「時間に幅のある仕事」「その他」の3つに分類し、チェックリストをつくります。
分類 | TO DO項目 |
時間の仕事 | ・患者の転棟準備
・カンファレンスの実施 ・患者や家族との約束・次の勤務帯への申し送り |
時間じゃない仕事 | ・退院準備
・入院準備 ・カンファレンス記録の整理 |
その他 | ・突然発生した仕事内容
・ベッドコントロール ・師長代行の仕事 ・スタッフからの相談対応 |
以上を紙などに書き出して仕事が終わったものは自分がわかるようにチェックして消していきます。そして、午前中が終わった時点で、一度、リストを確認し午後の仕事の流れを修正していきます。
リーダーナースは多くの仕事を抱えるため、それらの抜けが無いようにひとつひとつチェックしていくことで、効率化をはかることができます。
(3)コミュニケーションスキル
リーダーナースは、師長や医師や他職種のスタッフと常時、コミュニケーションをはかりながら、業務を遂行します。
また、リーダーナースは若手看護師の相談役となったり、患者・家族のクレームに対応したりするようなこともありますから、絶対的にコミュニケーションスキルは必要です。
アサーションのスキルを身に付けよう
アサーションとは、日本語訳にすると自己主張という意味になります。自己主張と言っても自分の言いたいことをなりふり構わず言うということではなく、自分も相手も大切にしながらコミュニケーションを取るということです。
- 自分の考えていることを相手に伝わるように整理する
- 自分の感情をはさまず、状況判断して考えた内容だけを伝える
- 相手の問題や感情に共感した自分の気持ちを表現する
- 考えた具体的な解決方法を相手に伝える
- 上記で解決できない場合は解決できる相手を探す
このように自分の意見を伝えながら相手の意見を取り入れ、お互いが丁度よいところで折り合いをつけられるようなスキルを身に付ければ、他のスタッフからの信頼も厚いリーダーナースとなれるでしょう。
詳しくは「看護師におけるアサーションのスキルの活かし方・身に付け方」の記事もチェックしてください。
3.リーダーナースのやりがい

先にも述べた通り、リーダーナースになれば様々なスタッフ関わる機会が増え、時には人間関係の調整を行うこともありますから、1年も立てばコミュニケーションスキルの向上が実感できます。
すると、看護師としての自信もさらにつき、やりがいを感じられるようになるのです。
他にも、以下のようなやりがいがあります。
(1)多くの考え・価値観に触れることができる
リーダーナースを任される前までは関わらなかったスタッフとも知り合うことができ、楽しいことや助けられることも増えてきます。
そして、多くの考え・価値観に触れることができるため、看護師としての視野を広げることができます。
そういうクラークさんは、本当に病棟のスタッフ全体のことをよく見てくれています。
時には「もっと新人の○○さんに目を向けてあげた方がいい」などとアドバイスをもらえることもあり、私は自分がいかに偏った視点でしか病棟のことを見られていなかったのかがよく分かりました。
(2)初心にかえることができ自分の成長につながる
リーダーナースは、新人看護師達のフォローも大切な仕事です。
新人看護師達の相談を聞いているうちに「私もこういうことで困っていたなぁ」などと思うことがあります。
また、聞かれた質問に上手く答えられないと、改めて今の自分に足りないことが明確となります。
このように、初心にかえりながら、結果的に自分の成長にもつなげることができるのも、リーダーナースのやりがいなのです。
(3)状況を俯瞰し冷静な判断ができるようになる
リーダーナースは、板挟みになる機会も多いので、客観的に状況を把握しつつ問題解決していくという姿勢が、培われるようになります。
客観的に見つめる姿勢を言い換えると「俯瞰(ふかん)する」と言います。自分のことだけではなく、周りの人たちのこと、出来事、思いなどを俯瞰して見ることができると、看護師としてだけではなく1人の人間としての成長も感じられるようになるのです。
4.リーダーナースの負担とは

リーダーナースは、業務が非常に広範囲に及ぶだけではなく、責任も増えるので、やはり負担も大きいものです。
(1)自分1人で判断しなければならないことが増える
リーダーナースは、患者のことでも新人指導ことでも、自分1人で判断しなければならないことが増えます。
そのため、リーダーナースになってすぐは「責任ある仕事をすることが辛い」と感じるケースが多いです。
ただ、裏を返せばこれは「1人でどうにかしよう」という気持ちが強すぎるが故の結果でもあるのです。
たくさんの人に支えられていることを忘れないで
当然のことですが、患者を取り巻く環境はリーダーナースだけで成り立っているわけではありません。
チームスタッフはもちろん、医師・理学療法士・検査技師・栄養士・薬剤師とさまざまな領域の人たちが協力しながら患者の治療を進めています。
そのため、困った時にはチームスタッフにも相談しながら仕事を行い、「ひとりじゃない」「たくさんの人に支えられている」という気持ちを忘れないようにしましょう。
(2)自分よりも先輩の看護師にも指示を出さなければならない
リーダーナースになったばかりの頃は、自分よりも先輩の看護師に指示を出さなければいけないことが負担に感じます。
時には「何でそんな指示出すの?」と言われてしまったり、あからさまに嫌な顔をされたりすることもあるでしょう。
しかし、「仕事だから仕方がない」と割り切って、強い気持ちを持って乗り越えていくしかないのです。
(3)スタッフの仕事が終わるまで帰れない
リーダーナースは自分の仕事が終わっても、他のスタッフの仕事が終わるまでは帰れないことがあります(すぐに帰ってしまう人もいますが)。
手を出せばすぐに終わるかもしれませんが、見守ることがその看護師を成長させるということもあります。
そのため、終了時間が過ぎてもなかなか帰れないことはザラにあります。
補足説明!

しかし、それは自分が新人のころにも先輩がしてくれていたことだと、ありがたく思う瞬間になるのではないでしょうか。
5.リーダーシップのスキルを磨くためには

最後に、看護師がリーダーシップのスキルを磨くために今から出来ることをご紹介していきます。
これからリーダーナースの役割を担う看護師の方は、要チェックです。
(1)自分の考えを相手に伝えること
リーダーナースはスタッフに対し指示を出す場面が多いため、日頃から「私はこう思う」と自分の考えを相手に伝えるようにしましょう。
「たぶん~と思う」という曖昧な態度では、スタッフはリーダーシップを感じることができず、ついていきたいとも思いません。
普段から「優柔普段」だという自覚がある人はなおさら、気を付けていきましょう。
(2)判断力を身につけること
リーダーナースは、判断を迫られる場面が多いため、的確な判断力を身に付ける必要があります。
そのためには、とにかく勉強してください。
そして、看護研究や事例に多く触れるようにしましょう。他の人の経験から学ぶことで、日々の仕事における判断のヒントにすることができます。
(3)後輩看護師も患者も「褒める」こと
リーダーシップを上手に発揮し、スタッフを統括できる人は「褒め上手」です。
ですから、普段から後輩看護師も患者も出来るだけ、褒めるよう心掛けてください。
先輩看護師に対しては「褒める」というよりも、先輩が喜ぶ言葉で「おだてる」ようにすると良いでしょう。
意外に思われるかもしれませんが、円滑に仕事を進めていくために、大事なことなのです。
まとめ
リーダーナースは業務の範囲が非常に広いため、多くの仕事や業務の知識を身につける必要性があります。
知識が豊富という事は、応用性が高いと言う事でもあり、転職時には「即戦力になりやすい」と判断されプラスに働きます。
今後の自分のためにも、リーダナースを面倒な仕事だとは思わず真摯に向き合っていくようにしてください。
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