みんな悩んでる?労災認定される「看護師の腰痛」原因から対策まで

みんな悩んでる?「看護師の腰痛」原因から対策まで

看護師の現場仕事は力仕事だとよく言われます。

「日本看護技術学会誌」の研究によると、265名の看護師男女の腰痛の割合は54.3%となります。

265名の看護師男女の腰痛の割合

約半数以上の看護師が腰痛に苦しんでいることがデータで分かり、もはや職業病とも言えるかもしれません。

また、現在看護師の仕事を行っており、腰が痛むと答えた144名に腰痛の程度を聞いたところ、以下の結果になります。

時々休憩しないと仕事が続かない2.0%
休憩するほどでもないがかなり痛い25.2%
時々軽い痛みを感じる程度44.8%
腰がだるい感じ28.0%

結果で分かるように”時々軽い痛みを腰に感じる程度”で「腰痛なんて」と諦めてそのまま看護師の仕事をしていると、病状が悪化することや治療のために退職するという可能性もあります。

実際に整形外科で診断を受け、看護師を続けるためにコルセットをして腰部を保護しながら働いている人も実際に多く、マッサージや整体などでメンテナンスしている看護師もいます。

「コルセットしてまで?」と思うかもしれませんが、一度傷めてしまうとコルセットをしていなければ痛みで看護師の業務ができないのです。

長く看護師として勤めるためにも、このページでは「看護師の腰痛」原因から対策までをお伝えしていきます。

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1.腰痛が原因で休む看護師は少ない?

腰痛が原因で休む看護師は少ない

約半数以上の看護師が腰痛で苦しんでいる中で、腰痛で休む看護師は少ないと言われており、「看護師の腰痛時にどれぐらいで仕事を休むのか?(日本医療総合研究所調査)」という質問に対し以下の回答結果が出ています。

鎮痛剤で軽減する痛みでは休めない60.4%
鎮痛剤で軽減する痛みでは休まない55.3%

(複数回答可 参考:日本医療総合研究所「急性期一般病棟における看護職員の腰痛・頸肩腕痛の実態調査 」

上記の結果で、鎮静剤を利用しても腰痛で休む看護師は非常に少なく、半数以下であることが分かります。

つまり、周りでも腰痛で悩む看護師が多いために「先輩も腰痛だけど休んでいないしこれくらい我慢して当たり前」「看護師なら腰痛はよくあること」と深刻に考えずに無理をしてしまう傾向があるのです。

しかし、腰痛で悩む看護師の本音では、

  • 「スタッフ・患者に迷惑がかかる」
  • 「体調管理が悪い、もしくはそう思われる」
  • 「上司に嫌味を言われる」

など、休みを申請しづらく、体調不良だけでも言いづらい雰囲気の職場環境も少なくないようです。

 

腰痛が原因で退職する看護師もいるって本当?

腰痛が原因で離職を希望する看護師は「日本医療総合研究所」の調査によれば、2割程度います。

半数以上の看護師が腰痛で悩む中、2割は少ないと言えるでしょう。

ただ、実際には職場に相談しながら看護師を続けるという人がほとんどです。

また結婚・出産などの人生のイベントで今後看護師としての働き方を考えたときに、腰痛もひとつの要因となって退職の決意を固める人もいます。

 

2.看護師の腰痛は労災認定されるのか?

看護師の腰痛は労災認定されるのか?

結論からお伝えすると、条件よって看護師の腰痛は労災認定されます。

厚生労働省が行った、「看護師の腰痛に関する調査(厚生労働省「腰痛の労災認定」リーフレット)」では、腰痛があっても労災申請しないその理由は「6割が労災申請できると認識していない」という結果でした。

労災認定の詳細については、最寄りの都道府県労働局、労働基準監督署へ問い合わせても教えてくれますので、悩んでいる方は活用しましょう。

 

労災(労働保険制度)とはなにか

労働保険制度は、仕事が原因で怪我を負うことや病気になったときに「労働災害」として国から保険金の支給を受けることができる制度です。
(詳しくは厚生労働省の「労働保険とはこのような制度です」を確認してください。)

看護師自身は掛け金を払っている自覚がないかもしれませんが、病院や施設、会社が働く看護師のために保険をかけてくれています。

間違えないでほしいことは、労災認定をするのは労働基準監督署であり、職場の上司や先輩看護師ではないことです。

例えば、「このくらい労災にならないよ」と言われても、申請してみれば労災認定されることもあります

 

腰痛の労災認定要件

認定基準では、腰痛を以下の2種類に区分し医師に療養の必要があると診断して貰った腰痛が対象になります。

  • 災害性の原因による腰痛:仕事中の突発的な出来事によって生じた急激な力が腰を負傷させたとき。または、腰の既往症を悪化させたとき。
  • 災害性の原因によらない腰痛:日々の腰に負担がかかる作業が原因で筋肉疲労(3ヶ月以上従事の場合)や骨の変化(10年以上従事の場合)が生じ、腰痛を発症したとき。

(※ただし、俗に言われる「ぎっくり腰」(病名は急性腰痛症など)は、日常的な動作の中で生じるので、たとえ仕事中に発症したとしても、労災補償の対象とは認められません)

労災認定された看護師には、腰痛に関わる医療費が給付されることになります。

また、看護師自身が腰痛で休業した場合は休業(補償)給付金や休業特別給付金が支払われます。

 

3.看護師が腰痛になる原因を知っておこう

看護師が腰痛になる原因

看護師業務に腰痛はつきものであり、少し体重の重い患者の移乗やベッド上での持ち上げの際に勢いよく「よいしょー」と力を込めた後に腰が痛くなったという経験は、看護師なら誰でもあるのではないでしょうか。

看護師の腰痛は「看護職についてからの腰痛になった」という意見が8割強あり、

看護職についてから腰痛になった73.3%
腰痛は看護職になる前からあった26.6%

(看護師1921人に調査:日本医療総合研究所「急性期一般病棟における看護職員の腰痛・頸肩腕痛の実態調査 」

上記のような結果になります。

そのため、看護職についてから腰痛になった原因としては、人の持ち上げや移乗動作が多いことが頭に浮かびますが、他にも様々な要因が重なっています。

看護師が腰痛になる原因を詳しく説明していきますので、すでに腰に違和感がある方は確認していきましょう。

 

(1)動作要因で看護師が腰痛になる原因

  • ベッド上で姿勢を直すために患者を持ち上げる
  • ベッドから車椅子などに移乗するときに患者持ち上げる
  • 長時間腰をかがめて上半身を乗り出し、爪先立ちでベッド上の患者にケアをする
  • ベッドサイドから腰をひねってケアをする
  • 複数人で移乗する場合、息が合わず急激に負荷がかかる

などです。

看護師の仕事として重いものを持ち上げる動作だけでなく、「腰をかがめたり」「ひねったり」する不自然な姿勢を繰り返すことも腰痛の原因になっています。

 

(2)環境要因で看護師が腰痛になる原因

  • 体への振動
  • 床面の状態
  • 作業空間の狭さ
  • ベッドの機能
  • ベッドの高さ
  • ベッド柵の位置
  • ベッドサイドテーブルやテレビ台等設備の配置、
  • 勤務条件

など、環境が原因で看護師が腰痛になるケースもあります。

看護師として「働く環境が整備されているか」「いないか」でも、無理な姿勢で力をかけることになったときに一部の筋肉や腰部に負担がかかることがあります。

 

(3)個人的要因で看護師が腰痛になる原因

  • 年齢や性別
  • 体格
  • 筋力
  • 持病

などでも看護師が腰痛を感じる原因になります。

また、看護する患者に対する体格・身長差が相応でないと、解除する側に大きな負担がかるのは当然のことであり、腰痛の原因になります。

 

(4)心理・社会的要因で看護師が腰痛になる原因

  • 上司や同僚からの支援不足
  • 職場での対人トラブル
  • 長時間労働
  • 慢性的疲労

など心理的、社会的な要因で看護師として腰痛の原因になるケースがあります。

「同僚の看護師に支援を求めたくても求めにくい」または「求めても適切な支援をして貰えない環境・職場」も「自分でなんとかしよう」と無理をしてしまい、腰痛になる要因になります。

また、看護師として健康で元気な時と連続勤務などによる疲労で体力が落ちている時では、同じ負荷でも腰へのダメージが大きく異なります。

 

4.看護師として実践したい腰痛対策

看護師として実践したい腰痛対策

一般的な腰痛の対策は様々な雑誌や本、Webサイトで紹介されています。

一般的な腰痛対策としては、

  • イスに姿勢よく正しく座ること
  • 腹筋や背筋を鍛えること(筋肉のコルセットを作る)
  • 正しい立ち姿勢を心がけること
  • 睡眠時は胎児姿勢を心がけること

などが挙げられます。(サワイ製薬健康推進課 参照)

上記の腰痛対策も、もちろん大切ですが、以下で看護師が実践したい腰痛対策を説明していきます。

 

(1)正しいボディメカニクスを再確認すること

腰痛はもはやボディメカニクスでは予防できないと言われていますが、正しいボディメカニクスは身体への負担を大きく軽減させます。

  • 腰を落としてお腹に力を入れること
  • 力ずくではなくテコの原理や体重移動による力の分散をうまく使うこと

など、頭で分かっていても実際にうまく出来ている看護師は少ないかもしれません。

もう一度意識して改めてみましょう。

 

(2)看護師が全て介助せず、患者に協力してもらう

患者の病状や状態にもよりますが、患者の持つ機能や筋力をうまく利用して、看護師が介助することも日々の仕事では大切です。

患者を介助してしまえば早く済むことも多いのですが、

  • 患者に柵を握って体勢を維持していてもらう
  • 腰を持ち上げてもらう
  • 看護師の肩にしっかり手を回してもらう

など、協力をしてもらえば少しでも重量感は減りますし、全介助しなくても一部介助で済むこともあります。

 

(3)手間を惜しまず職場環境を整える

看護師の仕事で急いでいると、患者のベッドの高さを変える時間が惜しいと感じることや、ベッド柵を外すとまたつけるのが面倒と思うこともあります。

しかし、その一手間を惜しむと腰に無理な姿勢で負担をかけてしまい、それが続くと負担は蓄積されてしまいます。

毎日、毎回の一手間が看護師の仕事では腰痛の予防になることを覚えておきましょう。

 

(4)他の看護師・スタッフに支援を依頼する

患者の体位交換や移乗など力が必要な業務は、1人で行うよりも複数の看護師、またはスタッフで行った方が負担は少ないです。

職場の人間関係が良好でなければ声をかけづらいこともあるかもしれませんが、看護師1人では腰に負担がかかると思ったときには、勇気を持ってお願いしましょう。

 

補足説明!

ポイント

また、自分以外の看護師が同じ状況になっているときに、まず自分が率先して協力し、「大丈夫?」と声をかけましょう。

そうすることによって、相手が今度自分を助けてくれますし、周囲との関係性を築いていくことも大事です。

 

(5)仕事で「できること」「できないこと」を隠さず伝える

実際に現在痛みがある腰痛を抱えているときは、腰に負荷がかかる業務はなるべく避けたいという要望を率直に職場に伝えることです。

もちろん、伝えたとしても看護師の現場ではうまく行かないこともありますが、「腰の痛みを分かっている看護師だからこそ」ある程度の考慮は期待できます。

 

(6)転職が腰痛対策に良いとも限らないので注意する!

腰に負担がかかりにくく、看護師が転職できる職場といえば、下記が挙げられます。

  • デイサービスの看護師
  • 産業看護師(企業の保健室)
  • 検診センター
  • 病院の外来勤務看護師
  • 中腰の介助が少ない眼科や皮膚科クリニック

など、病棟勤務の看護師に比べたら、腰への負担が少なくて済むイメージがありますが、実際の仕事内容をよく確認する必要があります。

例えば、「デイサービス」は直接身体介助は介護福祉士やヘルパーなどが行うため、看護師の仕事は健康管理なりますが、実際には入浴時に手伝いしたり、ベッドに寝かせられた全介助の利用者に前かがみで話しかけながら処置を施すこともあります。

1日を通してみれば、看護師はデイサービスで無理な姿勢の連続になる可能性もあるのです。

さらに、産業看護師や検診センターの看護師は、ほとんど座った状態ですが、腰痛によっては坐位でじっとしていることが痛みを悪化させることもあります。

腰痛で転職する場合には業務内容を確認すること

一括りにすれば負担がかかりにくいとされる看護師の職場でも、職員の配置や業務の分担方法が一般と異なっていたりして負担がかかってしまう場合もあるので、転職する対処法を取る場合には、業務内容はよく確認しておきましょう。

 

まとめ:(参考文献)

半数以上の看護師が腰痛に悩んでいる中で、原因や対処方法を説明してきました。

過度な回数夜勤を行う不規則な生活や、仕事でのストレスや疲れが原因になり、看護師として腰痛を引きおこす場合もあります。

是非上手に看護師の仕事と腰の負担を考えながら、長く看護師を続けられるように努力しましょう。

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はたらきナース

監修者

亀岡さくみ看護師
監修 亀岡さくみ看護師
  • 2011年3月:日本赤十字看護学校卒業
  • 2011年3月:看護師免許取得
  • 2011年4月:日本赤十字医療センター入社(3年間勤務)
  • 2015年3月:株式会社peko勤務
  • 2015年4月:はたらきナース監修

現在は、今までの経験を活かし「はたらきナース」を執筆・監修を行っています。

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