著作者

ラビウサ

執筆:専門看護師

ラビウサ

( 看護師 専門看護師)

医療ミスが怖い看護師へ!退職するのはちょっと待って

公開:、更新:2018年04月05日

医療ミスは、看護師なら誰もが抱えている不安の1つであるため、「不安だから」「怖いから」等と目を背けるのではなく、不安を感じる理由をきちんと見極めることが大切です。

医療ミスは、誰もが怖いものであるため今回は、「医療ミスをしないための対応」「起こした時の心構え」「医療ミスが起こりやすい病院」等についてご説明します。

1.医療ミスが怖いのはベテラン看護師も同じ

医療ミスについて確認する看護師

医療ミスは、経験が浅い看護師だけの問題ではなく、ベテランの看護師であってもミスをする場合がある等、誰にでもあり得ることです。

誰もが医療ミスを起こすことがあることについて、以下に説明していきます。

 

誰もが医療ミスを起こす可能性をもっている

私の場合、看護師歴25年を超えていると同じ部署にいることで経験不足での医療ミスは減少していきますが、「思い込み」や「見間違い」などによって起こる医療ミスは自分が「起こすかも知れない」と意識化しないと増えていきます。

そのため、誰もが大なり小なりの医療ミスは起こす可能性があるということです。

 

いつ起こすか判らないからこそ、不安が付きまとうもの

私は、いまだに家に戻ってから「あの穿刺部位、問題ないか」「書類を間違って渡さなかったか」と不安になることがあるため、同僚の確認をお願いしたり、出勤したと同時にカルテを確認したりします。

医療ミスは、新人・ベテランに限らず、いつ起こすか判らないからこそ不安が付きまとうものです。

 

2.医療ミスが怖くて退職したら同じことを繰り返すだけ

医療ミスを相談する看護師

医療の現場では、自分だけが気を付けていても想定外な出来事が起こる可能性があるため、どんなに完璧に準備をしても医療ミスの危険はなくなりません。

医療ミスが怖くて退職したとしても不安はなくなりませんが、どのような行動が必要なのか見ていきましょう。

 

退職したところで医療ミスの不安が消えるわけではない

医療は、提供する処置やケアの間に「複数のプロセスが介在する」「患者自身が既往歴やアレルギーなどを申告し忘れる」等のことがあるため、医療ミスが怖くて退職しても医療ミスの不安が消えるわけではありません。

そのため、退職をしたところでミスを防ぐための行動を意識化しなければ、医療ミスを避ける解決には至らないため、医療ミスが起こる可能性があることを認識して行動することが必要です。

 

放射線治療室での忘れられないインシデント

私の場合は、放射線治療室に起こったインシデントですが、膀胱留置カテーテルにキャップをつけて自己排尿をしていた患者に医師がMRIをオーダーしました。

医師も慎重な方で泌尿器科の医師にMRI撮影をしても問題ないことを確認した上でのことでしたし、私も体内金属の有無を確認し、検査室に申し送りましたが、カテーテルのキャップに金属が入っており、検査中にはずれて検査着が尿汚染されてしまったのです。

再度、泌尿器科に確認したところ、答えた医師だけが患者が使用していたキャップではMRIを受けられないことを知らなかったのです。

結果としてインシデントレポートを書いたのは私と放射線科の医師でしたが、学びの多い事例でした。

 

3.まずは今の職場で医療ミスをなくす努力をすること

落ち着いて看護をすることで医療ミスを無くす努力をする看護師

ショックなミスを起こしてしまうと、思わず「退職」の2文字が頭をよぎってしまうこともありますが、まずは今の職場で医療ミスをなくす努力をすることが大切であることを忘れないようにしましょう。

以下で医療ミスをなくすためには、どのような努力をすれば良いかについて紹介していきます。

 

周囲に急かされても手順を順守する

「慌てること」「準備中に話しかけられること」「何かに呼ばれてその場を離れてしまうこと」等は、医療ミスにつながるため、医療ミスをしないためには、周囲に急かされた時でも手順を順守することが大切です。

 

話しかけられてもプロセス途中のままにしない

医療ミスをすることで傷つくのは、患者とミスを起こした自分であるため、何かを準備している時は、どんな相手から話しかけられたとしても「お待ちください」と声をかけてプロセス途中のままにしないことが大切です。

 

指さし確認、復唱が大切

書類や点滴でも、確認すべき内容を指先確認している看護師は、結果としてミスを未然に防ぐことができます

私は、内視鏡室に長く在籍していましたが、胃潰瘍からの動脈性出血の際には、医師も看護師も自分の与えられた役割だけに精一杯になってしまい、点滴や注射なども口頭指示で対応せざるを得ませんでした。

そんな時こそ、少しでも手の空いているスタッフに準備した薬品名と容量を確認してもらう、「〇〇(名前)、1A 静注します」と声を出すことを徹底していました。

 

確認を怠るとミスが発生する

「遠慮して声を出さない」「自分が準備したものに自信を持っている」等といったスタッフほど、量を間違えたり、他の薬を用意しかけたりする事が多いです。

そのため、声に出す・指先確認することは、結果として患者・看護師自身を守ることになります。

 

ミスよりも、その後の対応が大切

医療ミスを起こしたとしても多くの場合は、大きな問題になることは少ないため、きちんと報告して素早く対応することで、患者の負担を小さくすることができます。

ミスを起こした場合は、その後にきちんと対応して、対応できた自分自身を認めることが大切です。

 

ミスを客観的に振り返ることが大切

多くの病院は、ミスが起こった時の連絡系統が明確になっているため、看護師自身がスタッフの場合は、リーダーに報告した後、指示があるまで患者の状態を確認したり他の業務に集中したり、業務への支障を最小限にするようにします。

そして、後日ミスを客観的に振り返ることが大切です。

 

ポイント!

ポイント

「無かったことにしたいミスを報告できた」「ミスを引きずらずに対応できた」等がミスを活かすことにつながり、看護師として成長することにもつながります。

 

ミスを1人で抱え込まない

自分自身の不安や辛さを理解し、一緒に考えてくれる人は必ずいるため、「1人でミスを抱え込まないで話しやすい人に話をする」「メンタルケアを担当している人に相談する」等をお勧めします。

人は、誰もが大なり小なりの医療ミスを体験するため「できない自分はダメだ」と思う前に、辛い気持ちを言葉にして受け止めてくれる同僚や友人を見つけましょう。

 

賠償保険に入っておく

医療ミスに対する直接的な予防にはなりませんが、医療ミスを起こした場合に対応できる保険に入っておくことで、不安は多少軽減するでしょう。

例えば、誤薬をしたことで患者に障害を負わせてしまった場合、看護協会の看護師賠償積金保険では、1事故5,000万円までの対人賠償が可能で、針刺し事故などで感染した場合についても対応できます。

 

ポイント!

ポイント

医療ミスに備えて準備ができると、医療事故を必要以上に怖がらないで済むことにもつながるでしょう。

 

4.こんな職場ならすぐに退職して!

ミスを責められる看護師

現在勤めている職場が、

  • ミスを責める、ミスを隠す風土
  • 医療安全体制が整っていない
  • 看護師の身分保障がないクリニック

等である場合は、すぐにでも退職することをお勧めします。

それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

 

ミスを責める、ミスを隠す風土がある職場

「ミスを隠す」「ミスを責める」ことで、そのあとの解決策を見出そうとしない管理者や病院の風土がいまだに強い病院は、何かミスがあると「あなたが悪いから」と自分だけのせいにされてしまう可能性があるからミスが怖いと感じている場合は、退職を真剣に考えても良いでしょう。

 

医療安全対策の考え方に変えられない管理者もいる

ひと昔前、ミスは隠すものでミスをした人は「能力がない」「問題がある人」といった視線を浴びた時代がありました。

現在は、医療安全対策の考え方が普及して「起こるべくして起こった結果である」といった考え方が一般的になりましたが、1度受け付けられた思考は容易く変わらないため、一昔前の「ミスは本人の問題」「ミスを起こしてはいけない」と考える管理者はまだ存在するでしょう。

 

医療安全体制が整っていない職場

お金がない」「時間がない」「今までのままの方がやりやすい」といった考えが横行している病院は、大きな事故に潜むリスクに目を向けていない可能性があります。

そのため、現在の職場が「似たようなインシデントを繰り返している」「看護師がリスクを訴えても金銭的な面を理由に対応してくれない」等の場合は退職を考えてみるべきでしょう。

 

医療安全体制が整っている職場は医療環境に力を入れている

医療安全に力を入れている病院は、マニュアルだけでなく医療環境にも力を入れています。

「電子カルテの導入」「業務の明確化」等、車いすをはじめとする備品の管理についても定期的にチェックをしています。

 

看護師の身分保障がないクリニック

何か所かのクリニックを経験した上での私の考えですが、「看護師から勝手にやった」「看護師からそう報告された」といった言葉を口にする医師が院長の場合には、医療ミスを起こす前に退職をお勧めします。

 

看護師を守ってくれないクリニックには注意する

最近は、訪問診療などで看護師が医師を乗せて訪問先に車を運転することが増えていますが、看護師が運転途中に起こした事故等をクリニックで対応してくれない場合には、退職を真剣に考えましょう。

スタッフを守ってくれないクリニックに長居する際には、「医師から提案された業務であってもリスクが高いことは同意しない」「早期に退職する意向を伝える」ことも身を守る手立てになります。

 

ポイント!

ポイント

スタッフを大切にする院長は、原因も追究して患者に対しても自分の責任として謝罪をしてくれますが、そうでない場合は、看護師は頭数さえあれば良いとしている場合もあるため見極めが必要です。

 

5.まとめ

医療ミスの多くは、起こした本人というよりも多くの誘因が積み重なったことによる結果であるため、自分だけの問題と捉えず客観的な視点で物事を見ることで医療ミスの防止につながります。

また、「古くからの慣習が強い病院」「スタッフへの補償が明確でないクリニック」等は、医療ミスが起こった時に看護師を守ってくれないことがあるため、勤務先の医療安全対策が他と比べてどうであるのかを確認することも大切です。

医療ミスが怖い看護師は、正確な知識と情報から自分の不安が解消される方法を見つけましょう。


(編集・構成・管理者:亀岡さくみ

看護師をして20年以上になります。外来・病棟・検査室・クリニックなど、いろいろな場所での業務を経験しました。
ですが、一時は看護師をやめようと思ったほど、心身共に追い詰められた時期もあります。現在は、看護師も続けつつ、ライターやカウンセラーとしても活動しています。
今までの経験を生かして、いろいろな体験談も書いていこうと思っています。よろしくお願いします。

看護師としての経歴

保有資格 ・正看護師・専門看護師・消化器内視鏡技師・心理相談員
年齢 ・40代後半
職務経験 ・がん専門病院・クリニック・総合病院・訪問診療クリニック
診療科経験 ・消化器内科・腹部外科・透析室・内視鏡室 ・相談室
・放射線治療室・整形外科 ・一般内科・カウンセリング室

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