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つみき

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つみき

( 看護師 )

禁煙外来で働く看護師の役割とは?転職する前に確認を。

つみき
正看護師 つみき
禁煙外来で働く看護師の役割とは

「タバコをやめよう」と思っていても、依存症によりなかなかやめられないという方は少なくはありません。

やめたいのにやめられない喫煙は、嗜好ではあなく、タバコに含まれるニコチンによるニコチン依存症という病気です。

禁煙外来とは、患者がニコチン依存症という病気に対して治療を行うという考えのもと、禁煙治療を行う外来のことを言います。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、受動喫煙防止対策がさらに強化されるものとみられます。また、最近では、病院やクリニックなどの医療機関だけでなく、一般企業でも禁煙の取り組みが積極的に行われる様になってきており、禁煙外来の需要は、今後ますます増えてくることが予想されます。

では、禁煙外来ではどのような治療が行われており、そこで働く看護師の役割とはどのようなものなのでしょうか。

私が禁煙外来で約7年間働いた経験を元に、働く看護師の役割と転職する場合に必要な知識について説明していきます。

1.禁煙外来で働く看護師の役割とは

禁煙外来で働く看護師の役割とは

禁煙外来は、禁煙したい患者さんを、医師が禁煙補助薬の処方・禁煙指導のなどのサポートを行い、支援する診療科です。

禁煙外来で看護師として働く際には、患者さんが禁煙成功できるよう、1人1人に合った細やかなサポートを心がけることが大切です。

では、禁煙外来における看護師の具体的な仕事内容と、看護師の役割についてご紹介していきましょう。

 

役割1.問診・情報収集とアセスメント

初回禁煙外来受診時には、禁煙治療を行うために必要な情報収集をするため、患者さんに「問診票の記入」をしてもらいます。

看護師は、足りない情報がないかどうか、問診票の内容の確認し、必要があれば、直接患者さんの問診をおこないます。

特に重要となる項目は患者の

  • 喫煙歴
  • 禁煙歴
  • 禁煙先敗の理由
  • 喫煙習慣
  • 家族・周囲の協力の確認
  • 既往歴

などです。問診票をもとに、これからの禁煙治療に問題となりうる情報がないか、アセスメントを行います。

問診時に 問題と感じられた点や、患者さんの印象などを医師へ申し送ることも、看護師の重要な役割のひとつです。

また、再診時には、 禁煙手帳の記入の確認と禁煙の状況、呼吸器症状の有無(咳・痰・息切れなど)、離脱症状(※下記参照)の有無、薬による副作用の有無、体重の増減などの問診を行い、前回受診時と比較し、医師に伝達します。

離脱症状とは、眠気、倦怠感 、イライラする、不安になる、ぼんやりする、集中できない、めまいや立ちくらみ、頭痛、眠れない、便秘などです。

 

役割2.日常生活の指導・禁煙に対するアドバイス

禁煙外来において看護師は、患者さんが禁煙を成功できるように、離脱症状に対応するための生活の仕方や、ストレスの解消法などのアドバイスを行ないます。

初回禁煙外来時に、アセスメントをもとにあらかじめ患者さんにアドバイスを行い、再診時にはその時の状況に応じて対処法を変更するなど、患者さんの性格や生活スタイルにあった方法を患者さん自身にみつけてもらいましょう。

看護師が行うアドバイスの具体的な例としては、以下の通りです。

喫煙と結びつく生活パターンを変える ・起床してからの行動や順序をそれまでのものと変える
・食事をいつもと違う場所でとる
・食後は早めに席をたつ
・コーヒーやお酒を控える
・過労やストレスを避ける
・夜更かしをしない
喫煙の誘因となる環境を変える ・タバコ、ライターやマッチなどの喫煙道具を捨てる
・タバコを買える場所に近づかない
・タバコを吸いたくなる場所(パチンコ店、飲み屋など)を避ける
・喫煙者になるべく近寄らないようにする
・喫煙専用スペースに近寄らない
・禁煙していることを周りの方々に宣言する
喫煙の代わりとなる行動をとる ・イライラしたり、落ち着かなかったりするときに深呼吸をする
・散歩や体操などといった軽い運動をしたり、シャワーを浴びたりする
・口が寂しい時にガムや干し昆布などをかむ
・水やお茶を飲んだり、歯を磨いたりする
・手持ちぶさたのときに身の回りを整理する
・手先を使う細かい作業をする
・タバコ以外のストレス対処法を見つける

また、禁煙開始後は、体重増加の問題が発生することが多くあるため、体重増加のある患者に対 しては、食事指導(間食の内容・量、食事量)と同時に、適切な運動などについてのアドバイスも必要です。

 

役割3.患者への精神的なケア

禁煙外来において、最も大切な看護師の役割は、患者さんの精神面のサポートです。

患者さんが禁煙を続けられるよう、ストレスや不安・不満を和らげることができるようサポートする必要があります。

禁煙治療開始後は、思うように禁煙が進まないことから自己嫌悪に陥り、途中で禁煙治療を中断してしまう患者さんも少なくありません。

また、患者さんの中には、1か月禁煙ができたという理由で、禁煙に成功したと考えて、途中で受診をやめてしまう方もいます。患者さんが、禁煙外来にスケジュール通りに通院し、禁煙を達成できるよう、サポートすることが看護師には必要です。

 

看護師が行う精神的な患者へのケア

初回禁煙外来受診時 患者さんの不安や緊張を、できる限り和らげるように対応する。
再診時 (1)患者さんの訴えを聞き、 一緒に策を考えるなどの支援を行う。
(2)禁煙へのモチベーションを持続させる。
(3)患者さんの禁煙に関するストレスや、
なかなか成果が見えないという焦りに、きちんと向き合う。

以上のことが患者へのケアとして必要となり、看護師にとって患者さんとのコミュニケーションは非常に重要なものになります。

 

2.禁煙外来で看護師に必要な知識とは?

禁煙外来で看護師に必要な知識とは?

禁煙外来で働く看護師は、医師の補助を行うことはもちろんですが、患者さんへのフォローも大切な仕事です。

そのため、禁煙に対する知識はもちろん、禁煙外来ならではの検査や禁煙補助薬についての知識を持つことで、いつでも患者さんに、的確なアドバイスを行えるよう準備しておくことが求められます。

禁煙外来に看護師として転職する場合、以下のような知識が必要になると思いながら確認してみてください。

 

(1)保険適応に必要な条件に関する知識

禁煙の方法は大きく分けて3つあり、

  • 自力で禁煙する方法
  • 薬局・薬店で買える禁煙補助剤を利用する方法
  • 医療機関で医師の指導のもと禁煙補助剤を利用する方法

などです。

2006年からは、医療機関での禁煙治療に保険が適用されることになり、これまでより禁煙にかかる治療費負担が軽くなりました。ただし、保険が適用されるためには、下記の条件をすべて満たし、禁煙治療対象者となる必要があります。

  • 直ちに禁煙したい意思がある
  • ニコチン依存症診断用のスクリーニングテスト(TDS)を行い、その結果が5点以上となり、ニコチン依存症と診断されること
  • ブリンクマン指数(1日の禁煙本数×喫煙年数)が200以上であること
  •  治療内容に係る説明を受け、治療を受けることに文書で同意していること
  • 過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことのある場合は、前回の治療の初回診察日から1年経過していること
※上記に該当しない外来患者さんの場合は自費診療となります。
※平成28年4月から、35歳未満の人はブリンクマン指数の要件はなくなりました。

 

(2)呼気一酸化炭素濃度測定の知識

呼気一酸化炭素濃度測定とは、呼気にどの程度一酸化炭素が含まれているかを調べる検査です。

呼気一酸化炭素濃度測定は、喫煙状況の把握、喫煙・禁煙の客観的指標として重要です。 数値を測定することで、患者さんの禁煙開始の動機づけとなるだけでなく、禁煙を継続するための自信・モチベーションの持続に繋がります。

その他の検査として、施設によってはニコチン依存度の判定として、尿検査を行い、ニコチン代謝物の量を計測することもあります。

 

(3)禁煙補助薬の知識

禁断症状は、ニコチンが体から抜け出すために起こるものです。この症状はニコチンが再び体内に補給されると消えます。

この仕組みを利用して、タバコの代わりに薬剤で体内にニコチンを補給し、禁断症状をやわらげる方法をニコチン代替療法といいます。

ニコチン代替療法には、「ニコチンパッチ」 と 「ニコチンガム」 という2つの禁煙補助薬が使われ、2008年からニコチンを含まない飲み薬である「バレニクリン(チャンピックス)」が使えるようになりました。

この薬は、禁断症状をやわらげるとともに、タバコをおいしいと感じにくくするという効果があります。

現在、保険適用による薬は、ニコチンパッチとチャンピックスがあります。

▼ニコチンパッチ(ニコチネル TTS)の詳細について
ニコチンパッチは、皮膚に貼るニコチンを含んだ薬剤です。毎日1枚上腕やお腹、背中などに貼り、皮膚からニコチンを吸収させてニコチン切れ症状を抑制します。従来から処方されてきたニコチンパッチ(ニコチネル TTS 30,TTS 20,TTS 10)は,医療用医薬品として投与でき,保険適用となっています。一般的にはニコ チネルTTS 30から開始し,1日1回1枚を24時間貼付します。通常,この高用量を 4 週間使用して,次に中用量 のTTS 20を2週間,低用量のTTS 10を2週間と減らしていきます。副作用としては、貼った部位の皮膚の紅斑,かゆみなどの局所症状が多く,全身性の副作用には嘔気,頭痛,不眠などがあります。皮膚のかぶれを防ぐために、毎日ニコチンパッチを貼る部位を変えるよう患者さんに指導しましょう。しかし、皮膚症状が強く現れる場合は直ちに使用を中止することが必要です。非喫煙者、妊婦、授乳婦、急性期の心筋梗塞や不安定狭心症を抱えている方、ニコチンパッチに対して過敏に症状が現れたことがある方は禁忌とされています。
▼バレニクリン(チャンピックス)の詳細について
チャンピックスは、中枢性に作用してニコチン離脱症状を緩和する、ニコチンを含まない内服薬です。禁煙時に感じるイライラや落ち着かないなどのニコチン切れ症状だけでなく、喫煙時に感じる満足感も抑制します。チャンピックスは、禁煙と同時に使用するニコチン製剤とは異なり,禁煙開始日を決めて、その1週間前から飲み始め、12週間飲み続けます。副作用を予防するため、徐々に服用量を増やし(1〜3 日目:0.5 mg 錠を1日1回食後、4〜7日目:0.5 mg錠を1日2回朝・ 夕食後),2 週目から維持量(1 mg 錠を 1 日 2 回朝・夕 食後)とします。薬剤を投与しやすいようにスタート用パックが用意されており,投与期間は 12 週間となっています。チャンピックスは、肌の弱い方、義歯や職業上の理由でガムをかめない方でも使用することができます。条件を満たしている場合は、健康保険の適用となります。主な副作用は、吐き気、便秘、頭痛、不眠症などがあります。なお、重度の腎障害がある方や血液透析を受けている方には投与を慎重にする必要があり、バレニクンを使用した際に過敏に症状が現れる方には禁忌とされています。
▼ニコチンガムの詳細について

ニコチンガムは、ニコチンを含んだガム製剤で、口の中の粘膜からニコチンが吸収されます。タバコを吸いたいと感じた時に1粒をゆっくりとかみ、ニコチン切れ症状を抑えます。禁煙の開始日から使用して12週間の使用期間を目安に、使用する個数を徐々に減らしていきます。タバコが吸いたくなった時に決められた使用量の中で使用でき、タバコを吸わないことで感じる口寂しさを紛らせることができます。ニコチンガムのかみ方は、普通のガムと異なるので使用する前に十分な理解が必要です。ニコチンガムは、保険適応の対象とはなりません。薬局や薬店で購入することができます。

副作用としては、顎の筋肉や関節の痛み、口の中のひりひり感などがあります。その他にも、使用初期は、連続して必要以上に噛んでしまい、吐き気、胸焼け、胃の不快感を感じることがあります。

ヘビースモーカーの方の場合は、1日に噛む個数が多くなるので、これらの副作用が現れやすいです。ニコチンパッチに挙げた禁忌例と基本的に同じですが、ニコチンガムでは顎関節障害の方も禁忌とされています。

 

(4)禁煙外来スケジュールに関する知識

禁煙外来での治療は、基本的なスケジュールが決まっており、初診時を含めて5回、3か月間のプログラムが通例です。具体的には、初診時、初回診察から2週間後、4週間後、8週間後、12週間後の合計5回診察を受けます。

初回の診察では、ニコチン依存症の有無をチェックして、健康保険等を使った禁煙治療ができるかどうかを調べます。

2回目以降の診察では、

  • 診察:喫煙(禁煙)状況の確認、体調チェックなど
  •  一酸化炭素量の測定
  • 禁煙を継続するためのアドバイス(ニコチン依存症の対処法など)
  • 禁煙補助薬の効果の確認、副作用の対応など

の4点について確認します。

 

3.禁煙外来への転職がおすすめの看護師

禁煙外来への転職がおすすめの看護師

私が禁煙外来で働いた経験を元に、転職がおすすめの看護師の特徴をご紹介します。

 

(1)キャリアアップを目指す看護師

最近では、禁煙外来を設けている病院も増えてきており、専門的な認定資格として、特定非営利活動法人 日本禁煙学会が認定している「禁煙支援専門(認定)看護師」「禁煙サポーター」という資格があります。

これは、キャリアアップを目指す看護師におすすめしたい資格であり、看護師として禁煙外来で働くことでキャリアアップを目指せます

また、看護師としてのスキルアップだけでなく、転職にも有利となるでしょう。

 

(2)夜勤なしの仕事、残業の少ない仕事をしたい看護師

禁煙外来は、専門外来として設けている医療機関と、一般内科・呼吸器科・循環器内科の一部として行なっている医療機関があります。どちらにしても外来診療で行いますので、診療時間が決まっているため、夜勤はありません。

禁煙外来では、基本的なスケジュールも決まっており、予約外来を行なっている場合もあるため、残業も少ないでしょう。

しかし、デメリットとしては、夜勤がなく・残業が少ないため、収入は少なくなることがあります。

 

(3)コミュニケーション能力の高い看護師

役割で説明したように、禁煙外来において看護師は、患者さんが禁煙を成功できるように、離脱症状に対応するための生活の仕方や、ストレスの解消法などのアドバイスを行ないます。また、最も大切な看護師の役割は、患者さんの精神面のサポートです。

一人一人の患者さんが禁煙外来にスケジュール通りに通院し、禁煙を達成できるようサポートするため、禁煙外来で仕事をするには看護師に高いコミュニケーション能力が求められます。

 

補足説明!

ポイント

様々な精神状態や性格の患者がいるため、患者さんの立場になって一生懸命考えることができること、素直に患者さんの話を聞くことができることが大切です。

 

4.まとめ

禁煙外来では、看護師は医師のサポート、検査や補助役の説明、日常生活の指導・アドバイスを行うのが主な仕事になりますが、禁煙を成功させるうえで「患者さんの精神面のサポート」を行うという重要な役割を担っています。

そのため、看護師は患者さんが禁煙を続けることができるよう、十分なコミュニケーションを取っていく必要があります。禁煙外来で看護師として働く際には、禁煙が成功できるよう、1人1人に合った細やかなサポートを心がけるようにしましょう。

記事の内容に関しては、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用をお願いいたします。


看護師となってから約20年になります。都内の大学病院で約10年勤務し、管理職も経験しました。その他にCRA、クリニックでの勤務経験があります。4年間のブランクを経て、現在はパート看護師として クリニックに勤務しています。
結婚・出産・子育てをしながら働いた経験と、ブランクから復帰した経験を活かし、皆さんのお役に立てるような情報を発信していきたいと思います。

看護師としての経歴

保有資格 ・正看護師
年齢 ・東京都/40歳
職務経験 ・大学病院 ・CRA(臨床開発モニター) ・クリニック
診療科経験 ・整形外科 ・一般外科 ・ペインクリニック ・内科
・耳鼻咽喉科 ・眼科 ・皮膚科 ・泌尿器科 ・小児科 ・訪問入浴

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カテゴリー:看護師仕事内容の転職

(公開日:)(編集日::2018年04月17日)

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