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アンネ

現役看護師

アンネ

( 看護師 保健師 )

血液腫瘍科で働く看護師1日のスケジュールとメリット・デメリット

アンネ
現役看護師 アンネ

血液腫瘍科の看護師の仕事は、とにかく感染症対策と出血させないことの戦いでした。

血液がんは、手術で治癒することはほとんどないため、化学療法単独か、化学療法+放射線治療が主です。疾患の種類や年齢によりますが、移植という強い治療が必要な患者もいます。

今回は、血液腫瘍科の看護師の仕事内容や1日のスケジュール、メリット・デメリットについてご紹介します。

1.血液腫瘍科で働く看護師の仕事内容

点滴を受ける男性

まず、血液腫瘍科で働く看護師の仕事内容についてご説明します。

 

(1)感染を予防し、重症化させない

治療にもよりますが、免疫力が長期間ゼロになり少しの感染症でも命に関わることがあります。患者の予防的セルフケアが重要になるため、動機付けをしっかり行うことが肝心です。

免疫力の低い患者に感染の兆候がみられたら抗生剤等の処置を行い、感染を重症化させないことが大切です。

 

(2)出血しないよう患者に細かな指導を行う

移植や強い化学療法を行うと止血機構の働きがとても弱くなります。

リンパ腫など、腫瘍部位から出血があると急激に命に関わる事態となることがあり、予防的セルフケアで防げることもあるため、日常生活上での細かな指導が必要となります。

 

(3)看護師が治療を実施する

侵襲の伴わない治療のほとんどを看護師が行います。

治療のオーダーを出すのは医師ですが、疾患・治療の基礎を知った上で適正量の抗がん剤や治療を予定通りに進めることが看護師の大切な仕事のうちのひとつです。

血液腫瘍科における治療は、何時間毎にこの薬を投与する、この薬剤投与後何時間で尿検査をする、など比較的細かく実施することが決められています。

 

ポイント!

ポイント

緊急入院の場合、状況によっては一刻を争うため、すぐに頭と体が反応するくらいの知識があった方が良いでしょう。

 

(4)患者への心理的支援を行う

血液患者の特徴として、無菌室に長期間入りっぱなしになる患者や、入院期間が長くなる患者がいます。

無菌室は外界との接触が遮断されがちで孤独になりやすい環境であるため、担当看護師との接点は患者にとって重要になります。

 

抗がん剤で脱毛が起こった患者を配慮する

血液腫瘍科では脱毛が起こる抗がん剤を使用することがほとんどであるため、特に女性患者への心理的配慮と情報提供は大切な仕事です。

 

2.血液腫瘍科で働く看護師の1日のスケジュール

点滴を行う女性看護師

次に、血液腫瘍科で働く看護師の1日のスケジュールを、日勤と夜勤の場合に分けてご紹介します。

 

日勤の看護師のスケジュール

8:30-8:35 患者の情報収集
8:35-9:00 夜勤からの申し送り、日勤者間で患者の情報共有
9:00-9:15 患者挨拶、患者の状態把握、清潔ケア
9:15-9:30 点滴の読み合わせ
9:30-9:30 バイタルサイン測定、症状対応、点滴開始
10:30-11:00 夜勤で採取した血液データの確認、必要時昼食以降変更のオーダーを栄養科へ
11:00-11:30 入院患者の対応、食前処置と配薬
11:30-13:30 昼休憩(交代で1時間ずつ)
12:00 時間があれば配膳の手伝い(看護助手中心)
13:30-14:00 患者ラウンド
14:00-14:30 病棟内ミーティング(必要があれば医師や薬剤師を呼んで実施)
14:30-16:30 患者の状態把握、患者指導、心理的ケア、清潔ケア、処置等
16:30-17:00 夜勤へ申し送り
17:00-17:30 翌日のスケジュールを患者へ伝える、記録の残りを記載

 

夜勤の看護師のスケジュール

16:30-17:00 日勤からの申し送り、夜勤者間で患者の状態・災害時の対応を情報共有
17:00-17:30 患者ラウンド、点滴の残量チェック、食前処置と配薬
(抗癌剤治療当日・輸液ポンプを使用している患者の点滴は日勤担当看護師とベッドサイドで共有)
17:30-19:00 交代で夕食休憩
18:00 時間があれば配膳の手伝い(看護助手中心)
19:00-21:00 患者のバイタルサイン測定、症状緩和、点滴交換等
21:00 患者の就寝準備
21:30-22:00 当直医・当直師長へ状態報告
22:00-6:00 1~2時間毎患者ラウンド、適宜点滴交換等、交代で仮眠
担当患者の1日分の配薬
時間があれば看護サマリー作成や看護計画の見直し等実施
6:00-7:00 患者ラウンド(体重測定、採血・採尿、バイタルサイン測定等)
7:00-7:30 当直師長へ報告
8:00-8:15 配膳
8:15-8:35 記録
8:35 日勤へ申し送り

 

3.血液腫瘍科で働く看護師に求められる素質

勉強する女性看護師

次に、看護師が血液腫瘍科で働くうえで求められる素質をご紹介します。

 

難解な血液分野をマスターする気力がある

血液の分野を他科で専門的に学ぶことは少ないと思います。

機序も疾患の分類も非常に細かく、覚えることが大変かもしれません。しかしある程度の知識は日々の業務には欠かせないため、時間をかけて覚えていくつもりでいましょう。

分かり始めると面白いですが、面白くないと感じる方にはつらい科かもしれません。

 

血液ができるまでの過程を知ることは欠かせない

血液腫瘍は細かく分類されており、タイプによって治療が分かれます。患者の先を予測しながら看護していくうえで、血液のしくみを知ることは欠かせません。

 

治療がうまくいかなくてもめげない精神力がある

血液疾患は抗がん剤が比較的良く効く分野で、完治することもあります。急激に病状が悪化して緊急入院した患者に対しては、生死の瀬戸際で治癒を目指して治療をすることもあります。

また、腫瘍量が多いと抗がん剤後に急変することがあります。これは予測が可能な急変ですが、回復されない患者がいることも確かです。

 

抗がん剤を投与した看護師が一人で悩む必要はない

血液腫瘍科も化学療法科同様、看護師が治療に大きく関わる科であるため、うまくいかなかったときの心理的負担を乗り越えるスキルは必要です。

患者、家族、医療チームのコンセンサスを得て行っていることであるため、一人で悩む必要はありません。

うまくいく場合もあればうまくいかない場合もありますが、投与した看護師が自責の念に囚われる必要はないということを覚えておいてほしいです。

 

4.血液腫瘍科で働くメリット・デメリット

ガッツポーズする女性看護師

看護師が血液腫瘍科で働くうえでのメリットとデメリットをご紹介します。

メリット 患者と人間的な関わり合いがある
特殊な血液分野に強くなれる
身体介助が他の科より比較的少ない
血液以外の体液に触れる機会がほとんどない
デメリット 医療処置が特殊であるため他科で応用が利かない
閉鎖空間である無菌室とも付き合う

 

メリット(1)患者と人間的な関わり合いがある

血液腫瘍科では長期に渡って患者としっかり向き合うことができる科であると言えます。

仕事量軽減や一定の質を担保するためにクリニカルパスを導入しているところは多くあります。また、入院期間の短縮推進も相まって、患者の全てを知ることはより困難になり、機械的になりがちです。

血液腫瘍科でもクリニカルパスを運用しているところは多くありますが、入院期間が長い患者もいるため、クリニカルパス以上の対人間としての関わり合いができます

 

患者を通して生き方や選択等の人生勉強ができる

患者との付き合いが長くなるぶん、患者の生き方や選択の仕方等、患者を通して一人一人の人生を共に過ごすことができます

人が過酷な環境の中に置かれたときに示す反応や対処法はそれぞれ異なっていました。そこから学ぶことは多く、今でも自分に役立っていると感じます。

 

メリット(2)特殊な血液分野に強くなれる

血液は少し特殊なので犬猿されがちですが、一度知識を身につけておくとプライマリケアや緩和ケアのような多様な疾患を扱うところで知識が役立ちます

 

メリット(3)身体介助が他の科より比較的少ない

血液疾患の種類によっては病的骨折を起こしやすく寝たきりの患者もいますが、他科と比較すると身体介助は比較的少ないです。

 

メリット(4)血液以外の体液に触れる機会がほとんどない

血液腫瘍科では、ドレーン類がつくことはほとんどありません。

なぜなら、血液疾患であること、また、感染を極力避ける、血小板が減少するという特徴のある治療をするためです。

 

補足説明!

ポイント

中心静脈カテーテルはありますが、ドレーン類がつくとしたら尿道カテーテルくらいだったと思います。

 

デメリット(1)医療処置が特殊であるため他科で応用が利かない

侵襲のある処置を学ぶ機会はあるものの、腰椎穿刺や骨髄穿刺等、他科で応用がきかない処置がほとんどです。

 

デメリット(2)閉鎖空間である無菌室とも付き合う

無菌室患者の担当になると、ほぼ1日閉鎖空間にいることになります。もっと長くそこにいる患者の、計り知れない苦痛を少しだけ共有することになります。

 

5.血液腫瘍科で働いて楽しかったこと・辛かったこと

談笑する女性看護師と男性患者

私が血液腫瘍科の看護師として働いて、楽しかったことと辛かったことをご紹介します。

 

楽しかったこと(1)知識を身に付け、「呪文」が呪文でなくなる

横文字の頭文字をとった治療が多いため、最初は全てが呪文のようでした。

働くうちに徐々に分かるようになり、理解する過程は楽しかったです。

 

楽しかったこと(2)患者への化学療法の効果が見られる

年齢や疾患にもよりますが、血液腫瘍科の治療は比較的アグレッシブな化学療法が多いです。治療も長期にわたり、患者の体力も奪われます。

その結果として寛解へ至ると、患者の苦労を近くで見ている分、患者と一緒に苦労を分かち合い、職業の垣根を越えた信頼関係を築けるように思います。

 

辛かったこと(1)あらゆる粘膜から出血するところを見る

出血を経験するのは血液腫瘍科だけの特徴ではありませんが、あらゆる粘膜から出血するという現象は血液腫瘍科が多かったと思います。

効果的な対症療法もなく、清潔を保つことが唯一できることでした。

 

辛かったこと(2)患者からの答えられない質問にベストを尽くす

治療的な特徴から、自分から進んで知識を得てセルフケアをするようになる患者が多くいました。生活に関する内容を細かく聞かれるものの、エビデンスで明らかになっていないことが多々あるのも事実です。

自信をもって回答できないことが多々あったことが辛かったです。

 

まとめ

血液腫瘍科は、化学療法や移植などの一連の治療で治癒が期待できる診療科です。保守的な一面もある反面、アグレッシブな一面も備えています。

血液の理解という難解な部分もあるかもしれませんが、患者と長期にわたり人間的な付き合いのできる科でもあります。


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この記事を書いた人

がん専門病院で勤務後、がん・緩和ケア分野リーダーシップコース修士課程を海外で修了。その後、年300件以上の在宅看取り件数のある在宅緩和ケアクリニックで勤務。施設訪問も経験あり。現在は臨床研究をメインに活動中。少子高齢化に伴う経済状況の悪化、医療崩壊を懸念中。
看護師になった後も、どう仕事をしていくか選択肢は幅広くあります。道の作り方は自分次第だと思っています。嫌なことも、迷うこともたくさんあると思うので、皆さんに少しでも役立つような情報を発信できればと思います。


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この記事を書いた人:アンネ
(公開日:)(編集日::2017年06月26日)

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