献血ルームで働く看護師の役割・仕事内容とは

献血事業は、日本赤十字社のみが行っているため、日本赤十字社の下で働くのが原則となります。

血液内科や手術室・ICU、癌患者が多い病棟の看護師は携わることも多い血液製剤ですが、血液製剤は人工では作れないため、献血で血液を集めていることは皆さんもご存知だと思います。

その血液製剤を作るためにも、献血ルームで働く看護師は重要な役割を担います。では、献血ルームで働く看護師はどのような仕事内容で、どのような役割を担っているのでしょうか。

私が献血ルームで働いた体験談を元に、メリット・デメリットも合わせてご紹介していきます。

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1.献血ルームでの看護師の仕事内容

献血ルームでの看護師の仕事内容

献血ルームでの看護師の仕事内容は主として採血です。

献血は、下記の流れに沿って進みます。

  1. 受付
  2. 問診票の記入
    (現在内服している薬。食事を摂取したか否かなど体調の状態の確認)
  3. 医師の問診
  4. 血液検査
  5. 採血

この流れの中で看護師は、「4)血液検査」と「5)採血の二手」に分かれて担当します。

 

血液検査について

血液検査は、検診担当者が行います。

検診担当者の看護師は、

  • 献血をする血管の選定
  • 血液データを確認するための採血
  • 血液データが基準値に収まっているかの確認
  • 血液に乳び
    (乳びがあると、成分献血の機械が赤血球と血漿の見分けが付かないことがあるため)

などがあるか否かの確認などを行うことが仕事内容になります。

 

採血について

採血について

採血は、「全血献血」・「成分献血」に振り分けられた献血者を席に案内し、採血を行います。

イベント会場などで見かける献血車は、血液をそのまま採取する「全血献血」のみを行っていますが、献血ルームでは主に「成分献血」という、血液の中に含まれる血漿と血小板のみを採取し、赤血球は抗凝固剤(クエン酸とクエン酸ナトリウム)を混ぜて体に戻すという献血を行っています。(ただし、必要時は全血献血も行います。)

 

その他の仕事内容

その他の仕事内容として、献血ルーム内の資材の出し入れや清掃、機械のチェックなどがあります。

病院とは違う業務が多いと感じるかもしれませんが、クリニック(診療所)の看護師の仕事内容と比較すると然程変わりません

 

献血ルームの仕事が向いている看護師とは?

献血ルームの仕事が向いている看護師とは?
  • 単純作業が好き

献血ルームでは、『採血のためのキットの組み立て→採血→終了』の繰り返しです。単純作業が好きな方にはとても向いているかと思います。

  • 採血が得意

献血ルームは採血をする業務がメインのため、採血が得意な方は歓迎されます。

  • 子供がいる看護師

献血ルームで働いている看護師の8割は子持ちです。お互い様なので、学校の行事がある際などはシフトの考慮をしてもらえます。

働いている看護師の年齢に幅がある為、子育ての相談も気軽にでき、共通点があることでコミュニケーションも取りやすいかと思います。

 

2.献血ルームで働く看護師の役割

献血ルームで働く看護師の役割

献血ルームでの看護師の役割は「商品を作っているという意識を常に持つ」、「安全な技術(採血)と快適な環境の提供」、「献血の啓蒙」のこの3つに尽きると思います。

これらの3つを正しく行うことで、血液製剤の安定供給につながり、献血ルームの看護師としての役割が果たせるのだと思います。

以下で詳しく説明します。

 

 (1)商品を作っているという意識を常に持つ

血液製剤の製造過程において最初の工程が採血です。

血液センターへ入職してから丁寧に指導される部分なのですが、皮膚の破片や表在菌の除去にとても神経を使います。

看護師として「血液」という商品を取り扱っているのだという意識は常に持つ必要があり、役割といえます。

 

(2)安全な技術(採血)と快適な環境の提供

採血時にしばしば起こるのは血管迷走神経反射・クエン酸反応(『成分献血』時に使用するクエン酸の溶液。クエン酸と体内のカルシウムが結びつき、一時的にカルシウム不足が起こり、唇や指などに痺れが出る現象)です。

献血者は、体格・服装・血液データ・献血前の過ごし方がそれぞれ違います。

そのため看護師は、採血前・採血中に環境を整えておくだけで採血時のトラブルを未然に防ぎ、献血者は安全で快適な献血の体験をサポートする役割があります。

 

(3)献血の啓蒙

献血の啓蒙

献血の所要時間は、「全血献血」は15分程度と短いのですが、「成分献血」は1時間程度かかります(更に時間がかかることもあります)。

その時間を使用して、看護師は献血者の様子も見ながら血液はどのようにして役に立つのかの説明をしたり、「成分献血」と「全血献血」の違いや年間にできる回数などの説明をしたり、事前に行った簡易の血液データを元に健康指導などをしたりすることもあります。

献血は如何に必要であるかを上手く献血者に説明し、リピーターに繋げるのが腕の見せ所でもあり役割です。

 

補足説明!

ポイント

血液製剤の使用期限はとても短く、血漿製剤・血小板製剤の使用期限は4日、赤血球製剤・全血製剤の使用期限は21日です(但し血漿分画剤は2年と長めです)。そのため、血液製剤は日々一定数の需要があり、且つ使用期限も短い為、リピーターの獲得は不可欠なのです。

 

3.献血ルームで働く看護師のメリット

献血ルームで働く看護師のメリット

当たり前ですが、献血ルームで働く看護師は、採血をする血管の選定や穿刺技術が飛躍的に向上することがメリットです。

1日に献血者が数十人〜数百人(勤務先のルームによって献血者の数も違います)となり、看護師として担当するのは1日10名、多くて20名程になります。

それでは、以下でその他の働くメリットについて説明します。

 

(1)採血技術を学ぶことが可能

採血時の起こりうるトラブルへの対処方法(血管迷走神経反射・クエン酸反応・血管神経損傷・動脈穿刺・内出血)も学ぶことができます。

採血の技術は、病棟・クリニック・検診センターなどに転職しても必要な技術です。

 

研修制度が整っており福利厚生もしっかりしている

献血ルームは「日本赤十字社」という大きな組織が運営母体ですので、研修制度もきちんと整っており、また福利厚生もしっかりしています。業務内容自体に向き不向きはありますが、合っている人にとっては安心して長く働き続けられる現場です。

 

補足説明!

ポイント

採用時の面接でも問われることがあります。看護師にとっては当たり前の技術ではあるのですが、自信を持って得意と言える武器を得ることは強みだと思います。

 

(2)他の日勤の仕事と比較すると給料が良い

他の日勤の仕事と比較すると給料が良い

正社員だと、公務員の給料体系と同じである為、年齢を重ねて(経験を重ねて)いくにつれて給料も上がっていきます。

そのため、20代の若い方は、パート看護師よりも月給は下がりますが、賞与を入れると年収は高くなります。

【体験談】献血ルームでパート看護師として働いた給料

私の体験談ですが、パート(月に20日前後の勤務)だと時給は平均的な金額ですが、献血ルームで働いた場合、手取りが25~26万は常に超えていました。

土・日祝の勤務だと時給で200円は上乗せされていたと思います。

また、寸志程度ですが、年に2回は賞与も出ました。

 

(3)正社員になれるチャンスがあり、かつ正社員になりやすい

正社員になるためには、同じ系列の赤十字病院からの異動ではない限り、全員パート看護師からのスタートになります。

正社員になりたいと希望する者は、1年間パート社員を経験した後、1年後に試験を受けます(面接だけか、面接と作文かは各都道府県で異なります)。

私の経験ですが、正社員の希望者は、ほぼ全員正社員で雇用されていました。

 

(4)家庭と仕事を両立しやすい環境

献血ルームはもちろん最後の献血者が帰るまでは終わりませんが、残業になることはほとんどありませんし、当たり前ですが夜間は献血ルームも閉まっているため、夜勤も全くありません。

また、私が働いている献血ルームでは看護師の8割は子持ちの方でした。

そのため献血ルームで働く場合、看護師として家庭と仕事を両立しやすいのもメリットです。

 

4.献血ルームで働く看護師のデメリット

献血ルームで働く看護師のデメリット

私が献血ルームで働いた際に感じたデメリットについて説明していきます。

 

(1)献血に使用する針は基本的に全て17ゲージ

献血に使用する針は基本的に全て17ゲージ

献血に使用する針は、基本的に全て17ゲージです。

そのため、どんなに採血やルート取りの経験があったとしても、血管が細い人にあたってしまうと一気に難易度が上がってしまいます。

回数をこなしていけば、自然と上達するものではありますが、最初のうちは苦労することも多いでしょう。

 

採血に慣れるまでは毎回緊張が伴う

採血しかしないにもかかわらず、採血については高いスキルが必要になるのも献血ルームのデメリットです。もちろん慣れれば問題ありませんが、最初のうちは緊張する看護師が多いでしょう。

 

(2)病棟と変わらない勤務日となる

献血ルームで看護師が働いた場合、土・日祝の休みが特にありません。

そのため、献血ルームで働く看護師は、シフト制でお互いの必要な休みは譲り合いながら勤務をしています。

 

補足説明!

ポイント

血液製剤は4日しか日持ちしない種類もあり、毎日血液製剤を必要としている患者がいます。そのため献血ルームには年末・年始の数日以外の休みはありません。

 

(3)希望の勤務先を選べない

メリットで説明したように、血液ルームで働く看護師はパートとして初めは勤務します。

私の場合、自宅から比較的近い献血ルームを選んでもらえましたが、私が希望していた献血ルームには配属されませんでした。

献血ルームで働く正社員は更に勤務地の希望が通らないそうです。

 

(4)記録物が多い

担当をした献血者が血管迷走神経反射を起こした際や内出血などの穿刺時のトラブルの際に書く記録物が多いです。

また、月に1度採血技術の見直しのための記録物などもあり、丁寧に教えてもらえるのですが、慣れるまでに少し時間がかかりました。

 

まとめ

最近は、芸能人などが病気で血液製剤を利用している関係で献血者に感謝を述べているニュースを見かけることがありますが、献血は仕組みが分らないと中々足を踏み入れにくい場所ではあります。

献血ルームは直接的に一人一人の善意を感じられるという唯一の場所です。

病院では、「また来たよ、お世話になります。」という言葉を聞きたくないのが看護師の本音だと思います。献血ルームでの「また来たよ、今日もよろしくね。」の言葉は本当に前向きな気持ちにさせてもらえます。

きっかけは献血をすることによって貰える粗品だったり、震災時の献血の呼びかけだったり、単に時間が余ったからだったりと理由は様々ですが、私たち看護師の声掛けによってリピーターとなってもらえる時は喜びも一入です。

病院で得るものとは違いますが、『人の生死に寄り添う』仕事ではなく、『人が生きるためのものを作る』という仕事は献血ルームでしかできない、得難い経験だと思います。

献血ルームでの看護師求人は主に、各都道府県の赤十字血液センターの公式ホームページで見つけることができます。興味のある方は、まずお住まいの地域の血液センターのページをチェックしてみてください。

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はたらきナース

監修者

亀岡さくみ看護師
監修 亀岡さくみ看護師
  • 2011年3月:日本赤十字看護学校卒業
  • 2011年3月:看護師免許取得
  • 2011年4月:日本赤十字医療センター入社(3年間勤務)
  • 2015年3月:株式会社peko勤務
  • 2015年4月:はたらきナース監修

現在は、今までの経験を活かし「はたらきナース」を執筆・監修を行っています。

この記事は「」さんが執筆しました。

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