著作者

アンネ

現役看護師

アンネ

( 看護師 保健師 )

化学療法科で働く看護師の仕事内容とメリット・デメリット

アンネ
現役看護師 アンネ
看護師 化学療法科 仕事内容

化学療法科では、治療が長期に及ぶため、患者との関係も1回で終わらないことが多いです。つまり、長期にわたり患者の心身のケアを継続していける科でもあります。

今回は、化学療法科での看護師の仕事内容や、働くうえでのメリット・デメリットについてご紹介します。

1.化学療法科の特徴

病院と看護師

化学療法科には、

  • 単一・少数の疾患が対象の病棟
  • 多数の疾患を受け入れている病棟

以上の2種類があります。

化学療法は外来でもできる治療ですが、数日間連続で抗がん剤点滴治療が必要な患者や、体に大きく負担がかかる治療を受ける患者は入院となります。

 

患者とは長い付き合いであることが多い

入院期間は治療法や副作用により患者によって様々ですが、入退院を繰り返す患者もいるため年単位の付き合いになることもあります。

また、再発治療の患者が多いため、退院後も治療を継続することが多いことも特徴です。

 

2.看護師の仕事内容と必要なスキル

点滴をする看護師

仕事内容について  (1)治療の情報を責任持って確認する
 (2)他職種間とのコーディネートをする
 (3)点滴管理をする
 (4)副作用対策をとる
 (5)治療目的、患者の身体的・心理的状態を把握する
 (6)患者へ治療関連の説明をする
 (7)患者の価値観に沿い、決定を応援する
 (8)腫瘍に関連する症状緩和を行う
 (9)血液データの読解をする
必要なスキル  (10)小さな変化を見逃さない慎重さを持つ
 (11)新しいものに柔軟に対応する

上記が、化学療法科で働く看護師の仕事内容とスキルです。その詳細について詳しく説明していきます。

 

(1)治療の情報を責任持って確認する

抗がん剤のオーダーを出すのは医師ですが、薬の量が間違っていないか、治療の開始日が早すぎないか等の確認は、抗がん剤を投与する看護師の責任でもあります。化学療法は看護師が治療に大きく関わる分野です。

過去に抗がん剤のオーダーが多すぎて患者が死亡した医療事故もあるため、医師任せにせずに確認を怠らないことが重要です。

 

ポイント!

ポイント

患者の全身状態を把握せず、抗がん剤の量や特徴も分からず予測ができないまま点滴だけ落とすという行為は、「作業」であり「看護」とは言えません。

 

(2)他職種間とのコーディネートをする

化学療法科は他職種間とのコーディネートが必要となる職場です。

 

薬剤師との情報共有は必須

抗がん剤投与の際、オーダー量を確認したり、患者の副作用の状態を確認したりするため、安全に治療が進められるように薬剤師との情報共有は必須です。

 

栄養士と連携をとる

栄養士とは、吐き気のある患者、免疫力が低下している患者の食事について連携をとる必要があります。

化学療法を長く続ける患者も多く、体重が減ることによる体力の低下が治療の妨げとなることがあり、栄養は患者にとって大切な分野です。

 

(3)点滴管理をする

点滴ルートの確保も看護師の仕事であるところが多いと言えます。血管外に点滴が漏れた場合、点滴の種類によって対処法が異なるので、周りに速やかに助けを求めることが大切です。

 

副作用を防ぐために点滴の対策をとる

どんなに注意してもある一定の確率で起こる副作用ですが、

  • 点滴ルート確保時の血管の選び方
  • 投与の時間(長過ぎると副作用が強くでるものもある)

などに注意をすれば防げる場合もあるので、まずは対策をしっかりとることが重要です。

 

ポイント!

ポイント

種類によっては、血管の外に漏れると皮膚がひどく傷つく抗がん剤もあり、訴訟となった場合、看護師の過失となることもあるため注意が必要です。

 

いくつもの点滴を同時に正確に実施する

化学療法科では、患者の状態把握をしながら、数分~数十分単位の何人もの点滴を把握し、時間通りに交換していくスキルが必須です。点滴治療が始まると数時間動き回り続けることが多くあります。

 

(4)副作用対策をとる

副作用コントロールは看護師の腕の見せどころです。

副作用が強すぎると治療を変更しなくてはならない場合もあるため、予測をつけながら早めの対応が必要となります。

使用する抗がん剤によって出やすい副作用が異なるため、抗がん剤の知識は必須です。

 

(5)治療目的、患者の身体的・心理的状態を把握する

治療目的は患者によって様々あり、以下のように分かれます。

  • 治癒目的
  • 再発予防
  • 再発後の病勢コントロール

患者の年齢・体力の程度・疾患・病期・治療内容を把握すると、慎重に経過をみる必要があるかが分かるようになります。

 

患者によっては薬の量を減らす規定もある

高齢の患者や身体検査の結果によっては、あらかじめ薬の量を減らす規定もあり、把握せずに薬を投与すると看護師の過失になる可能性もあります。

そのため、治療開始前の一通りの検査結果も把握しておくことが大切です。

 

ポイント!

ポイント

不安が強い患者は吐き気が出やすいこともあるため、心理状態の把握も大切です。

 

(6)患者へ治療関連の説明をする

医師から細かな説明を受けていることは稀であるため、初回化学療法の患者の場合、個々の治療に特徴のある副作用と対処法の説明が必要です。

 

初回化学療法の患者への説明は大切

誤った情報から、化学療法に対して誤解がある患者もいますが、初回説明の仕方で患者の認識が大きく変わり、その後の長い治療生活にも強く影響します

情報不足が患者の不安を強くすることは学術的にも証明されているため、分かりやすい説明の仕方が大切です。

 

ポイント!

ポイント

一度に全部説明すると非常に長くなり、覚えられない患者も多いため、副作用が出る時期にその副作用と対策について説明を加えるなどの工夫をすると効果的です。

 

(7)患者の価値観に沿い、決定を応援する

疾患の種類と病期によって、平均的な予後がどれくらいか、いくつ治療の選択肢が残されているのかが異なります。そのため、どこまで化学療法を継続するかは最終的には患者の意向に任せられます

「治療をやめる」という決断も「治療を続ける」という決断も患者が一人で行うと大きな負担となるため、患者の価値観に添いながら患者の決断を応援するという姿勢も大切な看護の仕事です。

 

(8)腫瘍に関連する症状緩和を行う

がんに伴う痛みやだるさなどの症状を抱えながら治療に臨む患者が多数いるため、緩和ケアに基づいた的確な症状緩和も大切な仕事です。

 

(9)血液データの読解をする

体に負担のかかる薬剤が多いため、患者の血液データとその変化を把握することが求められます。血液データは薬剤の影響により1日で大きく変化することもあるため、必須のスキルです。

 

(10)小さな変化を見逃さない慎重さを持つ

化学療法患者の多くは基礎体力が少なく、小さな変化でも急変につながる可能性があります。外科の患者では耐えられる状態でも、化学療法科では結果的に患者が死に至ることもあります。

 

「この程度なら大丈夫だろう」という考え方は危険

「この程度なら大丈夫だろう」という考え方は、急変の早期発見を送らせたり、副作用を悪化させたりする原因の一つとなります。

 

(11)新しいものに柔軟に対応する

1年前の治療が古い、ということがあるくらい、短い期間で新薬がでたり、治療法が変わったりします。

定期的に勉強会に出席し、積極的に新しい知識を身に付けていくことが求められます。

 

3.看護師の1日のスケジュール

カレンダーと砂時計

次に、化学療法科で働く看護師の1日のスケジュールを、日勤と夜勤の場合に分けてご紹介します。

 

日勤のスケジュール

8:30 患者の情報収集
8:35 夜勤からの申し送り、日勤者間で患者の情報共有
9:00 患者挨拶、患者の状態把握、治療可能かどうかのアセスメント
9:15 点滴の読み合わせ
9:30 バイタルサイン測定、症状対応、点滴開始
(数が多い日は、午前中は点滴交換でほぼ終わってしまう)
10:30 夜勤で採取した血液データの確認、昼食以降変更必要時、栄養科へオーダー
11:00 入院患者の対応
11:30-13:30 昼休憩(交代で1時間ずつ)
12:00 時間があれば配膳の手伝い(看護助手中心)
13:30 患者ラウンド
13:35 病棟内ミーティング(必要があれば医師や薬剤師を呼んで実施)
14:00 患者の状態把握、患者指導、心理的ケア、清潔ケア
15:30 医師と情報共有
16:30 夜勤へ申し送り
17:00 記録の残りを記載

 

夜勤のスケジュール

16:30 日勤からの申し送り、夜勤者間で患者の状態・災害時の対応を情報共有
17:00 患者ラウンド、点滴の残量チェック
(抗癌剤治療当日・輸液ポンプを使用している患者の点滴は日勤担当看護師とベッドサイドで共有)
17:30 交代で夕食休憩
18:00 時間があれば配膳の手伝い(看護助手中心)
19:00 患者のバイタルサイン測定、症状緩和、点滴交換等
21:00 患者の就寝準備
21:30 当直医・当直師長へ状態報告
22:00-6:00 ・1~2時間毎患者ラウンド、適宜点滴交換等、交代で仮眠
・担当患者の1日分の配薬
・時間があれば看護サマリー作成や看護計画の見直し等実施
6:00 患者ラウンド
(体重測定、採血、バイタルサイン測定等)
7:00 当直師長へ報告
8:00 配膳
8:15 記録
8:35 日勤へ申し送り

 

4.化学療法科で働く看護師のメリット

ガッツポーズする女性看護師

化学療法科で働く際のメリットをご紹介します。

 

(1)身体介助が少ない

化学療法は、自立度が高い患者が適応になります(血液腫瘍の患者は別です)。身の周りのことを自分でできる患者がほとんどであるため、清潔ケアを含め身体介助をすることはほとんどありません。

 

ポイント!

ポイント

同じ治療のために繰り返し入退院する患者に対しては、薬剤管理と症状緩和がメインになることも多く、ほとんど時間を割かなくてよいこともあります。

 

(2)体液類に接する機会が少ない

感染予防・抗がん剤被爆の観点から、ドレーン類がついている状態で化学療法が行われることは稀です。ただし、頭頸部腫瘍の患者は喀痰吸引などが定期的に必要になる場合があります。

 

(3)全身アセスメントの知識がつきやすい

あらゆるがん疾患を扱うので、全身臓器、骨、筋肉等身体の基礎知識が身に付き、画像の読み方も分かるようになってきます。

化学療法科は体より頭をよく使う科だと言えます。

 

(4)急変対応に強くなる

化学療法科は予想が難しい急変が多くありました。

例えば、意識消失と言っても、治療後の身体の電解質バランスの急激な崩れや腫瘍に伴う低血糖であることもあり、化学療法科は外科よりも急変の原因が幅広いように感じました。

 

(5)薬に詳しくなる

抗がん剤をよく読み込むので、一般的な薬についての大事なポイントも分かるようになります。薬の添付文書についてもどこを読めば良いのかが分かるようになります。

 

(6)身にけたスキルは幅広い分野で役立つ

化学療法を受ける患者の病期は幅広く、がん看護を続けたい方は一度経験した方が良い科と言えるでしょう。

一度経験しておくと、外科に異動しても外科病棟で手術前化学療法というものをやるところもあり、緩和ケア科へ転向しても患者のこれまでの経過が容易に想像つくようになり、患者理解の上で有利となります。

 

(7)放射線治療、緩和ケア治療も学べる

抗がん剤に放射線を組み合わせた治療や、緩和的放射線治療、緩和ケア治療が必要な患者がいるため、これらについても学ぶことができます。

 

(8)患者の治療に積極的に関われる

副作用の強さ、セルフケアの度合いによって治療変更となる場合があり、看護師の指導の仕方で軽快することもあるので、看護師の関わりが治療を左右すると言ってよいでしょう。

 

5.化学療法科で働く看護師のデメリット

あごに手を当てる女性看護師

次に、働くうえでのデメリットをご紹介します。

 

(1)心理的疲労が大きい

完全治癒が少なく、現状維持もしくは悪化の経過をたどる患者が多く、医師からの病状説明も患者・家族にとってショックを受ける内容であるため、患者・家族に一番近い医療者である看護師が時間をかけてフォローしていくことになります。

落ち込んだ人々に寄り添うことはとても疲れるうえ、心理的ケアは可視化することが難しく、どんなにやっても評価しづらい側面があります。

 

ポイント!

ポイント

治療に関連して患者が亡くなった場合、治療に看護師が関わる部分が多いため、「自分があのときこうしていれば違ったかもしれない」と後悔することもあるでしょう。

 

(2)抗がん剤被爆する可能性がある

日々の業務を通して、気付かないうちに自分も抗がん剤を体内に取り込んでいる可能性があります。様々な対策はされているものの、完全に防げることではないでしょう。

 

(3)医療処置が少ないこともある

全身状態が悪すぎたり、感染症になる要因があったりする患者は治療対象外となるため、経験できる医療処置は少ないです。状態悪化の際、ときどき人工呼吸器が必要になる患者はいますが、あっても内科的処置数種類です。

 

まとめ

化学療法科で働く看護師には、常に新しい知識を吸収する姿勢と、臨床での慎重さが求められます。治療に看護師が関われる部分も大きいため、責任も重くやりがいのある科だと言えます。

がん看護に興味のある看護師の方は、ぜひ転職を検討してみてください。


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この記事を書いた人

がん専門病院で勤務後、がん・緩和ケア分野リーダーシップコース修士課程を海外で修了。その後、年300件以上の在宅看取り件数のある在宅緩和ケアクリニックで勤務。施設訪問も経験あり。現在は臨床研究をメインに活動中。少子高齢化に伴う経済状況の悪化、医療崩壊を懸念中。
看護師になった後も、どう仕事をしていくか選択肢は幅広くあります。道の作り方は自分次第だと思っています。嫌なことも、迷うこともたくさんあると思うので、皆さんに少しでも役立つような情報を発信できればと思います。


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この記事を書いた人:アンネ
(公開日:)(編集日::2017年06月21日)

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