看護師が「マタハラ」に遭わないために出来ること

看護師は女性が多い職場なので、妊娠中や妊活中の女性も多いです。

私は妊娠中も出産後も同じ職場環境で働いた経験がありますが、温かいスタッフもいる一方で、発言はなくても「マタハラ」のような雰囲気を感じることはありました。

妊娠が分かった後も仕事を続けるつもりなら、「マタハラ」に遭わないための予防策と、遭ってしまった時どうすれば良いかという対処法をしっかり押さえておきましょう。

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1.そもそもマタニティハラスメントとは

そもそもマタニティハラスメントとは

マタニティハラスメントとは、働く女性に対して妊娠・出産をきっかけに嫌がらせや精神的苦痛を与えることや、妊娠・出産を理由として降格や解雇などの不当な扱いをすることを言います。

しかし、マタニティハラスメントを定義する指標は、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントのように明確な定義はなく、「妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント」と言う言葉を厚生労働省は利用しています。

その内容は以下の通りです。

【妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント】

妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等を理由として、事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しない(契約社員の場合)といった行為を「不利益取扱い」といいます。
また、妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等に関して、上司・同僚が就業環境を害する言動を行うことを「ハラスメント」といいます。(引用:雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために

私の経験も含めて、妊娠・出産に関わる言動による精神的苦痛は、受け手が「不快だ」と感じればマタハラとなりますし、妊娠・出産を理由とした降格・解雇・自主退職の強要などは違法です。

マタハラは、被害を受けた妊婦自身の健康を害するだけでなく、流産や早産にも繋がることもあるので「セクハラ(セクシャルハラスメント)」や「パワハラ(パワーハラスメント)」以上にその後の人生に影響する可能性があると考えます。

 

マタニティハラスメントを定めている法律

マタニティハラスメントを定めている法律

職場において行なわれるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されること」(男女雇用機会均等法 第11条の2)

「職場において行なわれるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されること」
(育児・介護休業法 第25条)

引用元:一般財団法人 職場のハラスメント研究所

以上のように法律で対応できることは、

  • 雇用関係
  • 休業関係

以上の2つになります。そのため、精神的なマタニティハラスメント被害を法律で裁くことは、判例を見ても難しいものです。そのため、看護師はパワーハラスメントと合わせて考えていく必要があります。

 

注意しよう!看護師へのマタハラ4つのタイプ

注意しよう!マタハラの4つのタイプ

価値観押し付け型

  • 「子どものことを第一に考えて」
  • 「身体のことを心配している」

という優しい言葉のあとに、

  • 「だからこの仕事を担当させるのは可哀想」

と妊婦の気持ちや要望を聞かずに一方的に不利益を与えてしまうタイプです。

悪意がなく、相手の幸せを思ってしていることなのですが、余計なお世話という場合もあります。

 

いじめ型

  • 「免除してもらえていいよね」
  • 「ずっと座っていてやる気あるの」
  • 「妊婦様って何様?」

など、個人的な攻撃をするタイプです。

シフト制で業務を分担していることが多い看護師の世界では、妊娠・出産による業務のしわ寄せや穴埋めの負担が他のスタッフにかかってくるので、「なぜ同じ給料で業務を優遇されるのだ」という不満がこのような個人攻撃になることがあります。

独身者や子育て経験がない人に多いタイプですが、言葉で実際に受けなくても舌打ちや冷たい態度を取られて、雰囲気で肩身が狭く感じてしまうこともあるかもしれません。

 

パワハラ型

  • 「しっかり患者を診ることができて一人前」
  • 「時短で帰るなんて許さない」
  • 「妊婦でも特別扱いしない」

など、妊娠前と同様の勤務を強要するタイプです。

時短勤務を申請していても勤務終了時間に帰れるように、という配慮がない職場の雰囲気や前例がないことを理由に産休・育休・時短勤務制度を最大限活用できないという職場風土もよく聞かれます。

 

追い出し型

  • 「残業できないなら他の人に迷惑」
  • 「妊婦を雇う余裕はない」

などと言って辞めざるを得ない状況に追い込むタイプ。

看護師では追い出し型のマタハラは少なく、妊娠・出産後も復職しようと思えば叶えられる環境が多いです。

 

2.看護師の「マタハラ」の実態

看護師の「マタハラ」の実態

NPO法人であるマタニティハラスメント対策ネットワークの「マタハラ被害調査」の結果を見ると、マタハラの加害者は男性より女性が多く、小規模だけではなく数百人規模の団体でも起こっています。

業界別でみると、医療業界は全体の約12%報告されています。

医療業界は全体のマタハラ被害(出典:NPO法人マタニティハラスメント対策ネットワーク「マタハラ被害の実態」より)

「特に病院勤務の女性からマタハラNetへ寄せられる相談件数が多い。慢性的な人員不足で、1人欠けることが死活問題となることから、人が抜けることを良しとしない風土があると考えられる」と分析されています。

日本看護協会においても「職場のハラスメント対策」などの記事があり、ハラスメントの職場への影響やハラスメント対策について啓蒙しており、被害報告数が明確に数値化されていないものの看護師のマタハラ被害実態が一定多数あることが伺えます。

 

看護師のマタハラが起こる時期と事例

看護師のマタハラが起こる時期と事例

看護師のマタハラが起こる時期とマタハラ事例をご紹介します。嫌味や嫌がらせなどいじめタイプは妊婦・子育て中の看護師から被る業務負担増加への不満が多くの原因ではありますが、他にも妊娠に対する嫉妬やねたみからいじめをする人もいて、いつの時期でもマタハラが起きています。

また、看護師長や看護部長など上層部でも価値観押し付けタイプは妊娠判明後に多いですが、パワハラタイプでは妊娠中から復職後まで不当な扱いを受けることもあります。

 

(1) 妊娠判明(報告)後

契約社員が妊娠を報告したら、契約を打ち切られた。

 

「妊婦なんだから休んでいなよ」と休憩を勧められる一方、「ずっと座ってる」と嫌味な視線を受けることもあり、どうしたらいいのか困る。

 

妊婦健診に行きたいが休みを希望するといい顔をされない。

 

「私はつわりでも吐きながら仕事をした」と先輩に言われると休めない。

 

「無理に仕事をしていて急に倒れられたらスタッフが困るから、最初から休んでほしい」と言われた。

 

妊娠を報告したら役職を外された。

 

切迫流産・切迫早産で休暇を取り、これ以上迷惑をかけられないため職場復帰すると「そのまま休んで出産したら良かったのに」と言われた。

 

(2)育休中・産休中

「育休・産休中は働かなくても給料がもらえていいね」と言われた。

 

「なんでそんなに休むの?他の子は1年で復帰しているよね」と言われた。

 

産休・育休は権利だが「その休暇を貰えることは恵まれているのだから、貢献するために早く復帰しなさい」と上司に言われた。

 

子育てと仕事の両立に不安があるとき、「うちの病院には4人子供を産んでも正社員で働いている人もいるんだから、あなたは楽な方」と言われた。

 

(4) 復職後

子どもの急な病気で欠勤すると「子どものことなら仕方ない」という言葉がある一方でわざとため息をしたり「あーまた担当変えなきゃ」とあからさまに言われた。

 

時短勤務だがフルタイムの人と同じ業務をしているのに、終了時間にあがれるようにリーダーが業務分担を配慮してくれない。

 

基本的に冠婚葬祭だけしか休めないという暗黙の了解があるので、休暇を申請するたびに授業参観や保護者会など休暇の目的を申告しなければならず、プライベートが丸出し状態。

 

復職後は患者受け持ちをせず、どこにも属さないフリー業務となるなど、相談なく配置換えをされた。

 

3.妊娠した看護師が「マタハラ」に遭わないための注意点

妊娠した看護師が「マタハラ」に遭わないための注意点

(1)普段から信頼できる人間関係を築いておく

嫌がらせなどの個人的な攻撃や否定的な感情になるのは、多くはもともとの関係性が悪いものです。人間関係が上手くいっていて、普段の仕事ぶりがしっかりできていれば、妊娠したことも喜ばれ、むしろスムーズに出産できるよう配慮されるでしょう。

妊娠・出産を考えているなら、妊娠前にしっかりと人生計画を上司に話しておき、信頼できる人間関係を築いておくとよいでしょう。

 

(2)妊娠や出産の幸せオーラをあまり出さない

願っていればなおさら、妊娠したことは嬉しいことですし、出産の感動はみんなに伝えたいことかもしれません。

しかし、あまり妊娠・出産の幸せオーラを振りまきすぎると逆に「自分だけ特別のように思っている?」と嫌な印象を与えてしまい、反感を買います。

望んでも妊娠できない妊活中の人もいるかもしれませんし、職場では簡単な報告で済ませる程度にして、粛々と勤務することに集中することをお勧めします。細かいニュースは親しい同僚と休憩中やプライベートで話すようにしておきましょう。

 

(3)配慮したもらったときに感謝を示す

妊娠中の身体に気遣ってもらうことや、重い患者の移乗や体位交換を代わってもらうなど他のスタッフへ負担をかけたときには、感謝の気持ちをきちんと示しましょう

「配慮してもらって当たり前」のように堂々とした態度をしていると、スタッフの中から必ず不満が出ます。

それが集団的なマタハラになることや、居心地の悪い雰囲気にもなるので注意しましょう。

 

4.「マタハラ」に耐えられないと思った時の相談先

「マタハラ」に耐えられないと思った時の相談先

マタハラを受けても我慢しなきゃ、と受け流している人は多いかもしれません。

しかし妊娠中であれば、高いストレスが長くかかると胎児の成長を妨げることや、流産や早産の危険性も高まるということをよく考えてください。妊娠中も産後もしばらくはホルモンバランスが不安定なので、ちょっとしたことでも気になってストレス、精神的にダメージを受けやすいのです。

ストレスの原因となることがマタハラであれば、後悔する前に早めに対処することが必要です。

 

(1)職場の先輩

嫌がらせや勤務状況のストレスがあれば、まずは身近な先輩に相談してみましょう。休暇や勤務時間の短縮などは看護師長・看護部などを通さなければなりませんが、個人的な攻撃を受けている場合は部署内での雰囲気にも関わります。

職場スタッフ全員の教育や認識の改善が必要になるので、それらを考えてくれそうなリーダーや主任などの立場のある人に相談しましょう。

いきなり看護師長に相談すると、リーダー・主任が何も報告や相談を受けていないのか、と今後の人間関係も悪くするので、まずは身近な人に相談するのが良いです。

 

(2)職場の相談窓口へ報告

勤務先が大きな組織であれば、職場環境での困ったことを相談する窓口があるはずです。

本来は、職場の身近な先輩や看護師長に報告するべきところですが、それらの人がマタハラ張本人ということもあります。

また看護部では圧力で揉み消されることもあるかもしれませんし、別の相談窓口があればそちらに相談したほうが解決しやすいでしょう。

 

(3)日本労働弁護団ホットライン(無料電話相談)

日本労働弁護団という団体の、マタハラを含めた女性専用の無料電話相談です。

受けたマタハラが違法行為なのかを確認したい場合は、ここへ相談しましょう。法律の専門家である弁護士が相談に応じてくれます。

→ 日本労働弁護団ホットライン

 

(4)日本労働組合総連合会「なんでも労働相談ダイヤル」

通勤ラッシュを避けた勤務に対応してくれない、不当な降格・過剰勤務の強要など、労働に関する相談があれば「なんでも労働相談ダイヤル」に相談してみましょう。

全国どこからでも、かけた地域の連合につながります。地域の連合により、電話相談の他、面談による個人相談もできます。

連合なんでも労働相談ダイヤル

 

(5)女性ユニオン東京(無料電話相談)

会社に労働組合がない場合は、合同労働組合(ユニオン)という団体に個人で加入できます。(月会費がかかります)

労働組合に所属すると、労働組合が会社側と様々な交渉をしてくれます。

そのユニオンの女性限定で東京都限定の相談窓口が「女性ユニオン東京」です。ここでは無料電話相談の他、面談による個人相談もできます。

女性ユニオン東京

 

(6)東京都労働相談情報センター(無料電話相談)

東京都労働相談情報センター(TOKYOはたらくネット)は、東京都産業労働局の出先機関で、東京都に6つの事務所があり労働に関しての相談を行なっています。

東京都以外でも各都道府県に「しごと情報センター」や「労働110番」など労働に関する相談窓口があるので、検索してみてください。

TOKYOはたらくネット

 

5.まとめ

「マタハラ」は職場の人間関係と妊娠・出産への理解が大きく左右します。

「マタハラ」に遭わないために、また遭ってしまったときに1人で悩まないように、日頃から周囲と良い人間関係を築き、相談する窓口を知っておきましょう。

監修者

亀岡さくみ看護師
監修 亀岡さくみ看護師
  • 2011年3月:日本赤十字看護学校卒業
  • 2011年3月:看護師免許取得
  • 2011年4月:日本赤十字医療センター入社(3年間勤務)
  • 2015年3月:株式会社peko勤務
  • 2015年4月:はたらきナース監修

現在は、今までの経験を活かし「はたらきナース」を執筆・監修を行っています。

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