看護師が呼吸器病棟で学べる6つの看護技術について

呼吸器病棟 看護師

2016年、診療報酬の改定に伴い病院は急性期の傾向が強く、地域では在宅医療や訪問看護の充実が図られるようになる可能性があります。そういった時に、急性期から慢性期と幅広く経験することができる呼吸器病棟は今後注目される可能性があると考えられます。下記にその呼吸器病棟について説明してみました。

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1.そもそも呼吸器とは何を指すの?

看護師呼吸器とはなにか

呼吸と言われてイメージするのは、息を吸ったり吐いたりすること、酸素を吸って二酸化炭素を吐くことだと思います。専門的な言葉を使えば、息を吐くことを呼気、息を吸うことを吸気と呼びます。横隔膜や外肋間筋によって肺を覆っている胸腔を囲んでいる胸郭を拡張させたり、横隔膜や外肋間筋の弛緩によって胸郭を収縮することで呼気や吸気が生み出されます。

 

呼吸とは大きく分けて3つの過程から成り立つ

呼吸というと呼気、吸気だけではなく、肺に取り入れた酸素を肺胞で血液の中の二酸化炭素と交換することも含まれてきます。空気中の酸素を肺に取り込み、身体の中の一つ一つの細胞から生み出された二酸化炭素を、肺胞を介して空気中に排出するためにはいくつもの過程が必要になります。

 

正常な呼吸の過程1

酸素が肺胞にまで届くことができる。肺胞内の二酸化炭素を排出することができる。

 

正常な呼吸の過程2

肺胞内に届いた酸素が、【肺胞→肺胞の組織間質(肺胞の壁)→血管内】という道筋を通って肺胞の周りに張り巡らされている毛細血管内のヘモグロビンという赤血球の中の成分の一つと結合すること、その際に毛細血管内の二酸化炭素が肺胞内に移動することができる

 

正常な呼吸の過程3

酸素とヘモグロビンの結合が少ない肺動脈の血液が、肺胞にある毛細血管で酸素とヘモグロビンが結合した後、酸素とヘモグロビンとの結合が多い肺静脈の血液が心臓に達することができる。そして、その心臓が全身へ血液を送り出すことができる

以上、3つが順に行われて初めて正常な呼吸が成立するといわれています。

 

2.呼吸器病棟に入院する患者の特徴

呼吸器病棟入院患者どんな人が多い

呼吸器病棟に入院する場合、呼吸器に何らかの障害が起きて、健康的な社会生活を送ることができなくなっている患者が多いです。空咳が続いていたり、痰が多くなったり、息苦しさの出現など様々な症状が引き起こります。ウイルスや細菌の感染、炎症、がん細胞など様々な原因によって乾性咳嗽、湿性咳嗽、呼吸困難、発熱、倦怠感、胸痛などが引き起こります。そのため、入院している患者は肺炎、間質性肺炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がんといった呼吸器疾患を患っている場合がほとんどです。

呼吸器内科には検査入院中の患者もいる

呼吸器内科病棟は疾患に対する治療のために入院をしている患者だけでなく、在宅酸素療法の導入や呼吸機能検査をするための入院や睡眠時無呼吸症候群の検査、健康診断でレントゲン撮影をしたところ肺に陰影が見つかり、その精査のために気管支鏡検査を受けるための入院など治療以外でも呼吸器内科病棟に入院している患者はいます。

 

呼吸器外科には周手術期の患者が入院

今までは呼吸器内科病棟の話でしたが、外科病棟になると主に手術をうけられる患者や術後の患者が入院しています。何らかの原因によって肺に穴が開いてしまった気胸の患者、がん細胞の増殖によって呼吸が障害されることにより手術が必要になる患者など周手術期の看護が必要な人が入院しています。また、外科病棟には内科的領域での検査では精査が難しく、胸腔鏡下での生検をうけるために入院している患者もいます。

 

呼吸器病棟は人工呼吸器を装着している患者が多い

呼吸器病棟といえば、呼吸器内科や呼吸器外科を問わず、人工呼吸器を装着している患者に関わる機会は他の領域と比べると多いです。それから、胸腔ドレーンを挿入している患者、がん患者に対して化学療法や放射線療法を導入している患者など、様々な患者と関わることができます。

 

3.看護師として呼吸器病棟で学べることは?

呼吸器病棟経験ができること

ここでは呼吸器病棟は他の病棟と違い、どのような経験ができるのか紹介していきたいと思います。簡単にまとめると以下6つの項目に分かれます。

  • 呼吸器疾患
  • 人工呼吸器
  • 胸腔ドレーン
  • 化学療法
  • 放射線療法
  • 在宅酸素療法

ここでは、上記の6つの項目について詳しく説明していきます。

呼吸器疾患の知識や看護方法

呼吸器というだけあって、肺炎、間質性肺炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がんといった呼吸器に障害を持った患者が多く入院しているため、呼吸器疾患に対する知識や看護を経験することができます。フィジカルアセスメントはどの領域においても必要な知識でありますが、聴診の技術は様々な呼吸器疾患に関わる上で向上することができます。

 

参考書や文献ではわからない知識が身につく

例えば、間質性肺炎は主に下肺において、吸気時に肺胞が拡張することで発生する捻髪音という髪を耳元で捻った時に聞こえるような音が聴診できる、といった参考書や文献には疾患に応じた特徴的な呼吸音が記載されています。しかし、やはり実際に自分で聴診し、経験しなければわかりません。

 

人工呼吸器の管理方法

呼吸器病棟では人工呼吸器を利用している患者に出会う確率は、他の病棟と比較すると多いので、その看護や管理方法を経験することができます。

人工呼吸器とは呼吸器疾患によって呼吸器をすることが難しい患者に対して、もしくは呼吸器疾患以外の原因であっても自ら呼吸をすることが困難な患者に対して使用されるもので、患者の肺に酸素を送り込む機械です。

 

人工呼吸器は吸気しかできないことを知っていますか?

世間のイメージでは、人工呼吸器を使用されていれば呼吸は大丈夫と感じる人がいるかもしれませんが、実は人工呼吸器は患者の肺に酸素を送り込むことしか行っておりません。つまり、私たちが体の外から酸素を取り込む時に行う「吸う」という行為を、人工呼吸器が行っています。そのため、私たちが行っている息を「吐く」という行為は、人工呼吸器を使用している患者であっても、患者自身で行ってもらいます

 

呼吸器は患者ごとに異なるモードを設定

人工呼吸器は患者の状態に合わせて様々な「モード」と呼ばれる酸素を送り込む方法が存在します。これは人工呼吸器のメーカーによって呼び名は様々ではありますが、大事な部分は同じです。そういった、疾患、人工呼吸器を使用している患者の状態、人工呼吸器のモードに合わせた管理方法、人工呼吸器特有の合併症など多くのことを考え、アセスメントを行いながら看護を行っていきます

 

胸腔ドレーンの管理方法

胸腔ドレーンを挿入している患者も、呼吸器病棟では出会う確率が他の病棟と比べると多いです。そもそも、胸腔ドレーンとは胸腔という空間に、ドレーンと呼ばれる管を留置してドレナージを行うものです。もっと嚙み砕いて表現をすると、胸腔とは肺をしまっている空間のことです。細く言えば臓側胸膜とか壁側胸膜とか出てきますけど、今回は肺をしまっている空間とイメージしてもらえれば大丈夫です。

 

肺や胸に溜まった水をドレナージ

肺に穴が開いてそこから空気が漏れたり、何らかの原因で胸水が多く作り出されると、胸腔という肺をしまっている空間に空気や胸水が溜まります。その空気や胸水が溜まれば溜まるほど、胸腔は小さくなり、肺が広がる空間が狭くなります。そして、肺が広がる空間が狭くなれば、呼吸困難感、胸痛や胸部不快感など様々な障害が出現し、日常生活を送れなくなります。そういった時に、原因となる空気や胸水を体外に排出する方法が胸腔ドレーンを使った治療法なのです。

 

きちんとドレナージが出来ているか適宜チェックしていく

治療法がわかっただけでは胸腔ドレーンの看護は難しいです。加えて必要となる知識として、胸腔ドレーンで使用される3連バックと呼ばれる物品を扱えなければなりません。キューインワンとかチェストドレーンバックとか、商品名はいろいろありますが、胸腔の気密性を保つことができているか、きちんとドレナージできているかを観察することができなければなりません

 

ポイント!

ポイント

他にも、呼吸器の解剖学、胸腔の生理学的知識を理解している必要があり、様々な知識と呼吸器の解剖学に沿った胸腔ドレーンの観察を行う必要があります。

 

化学療法に関する知識や看護方法

呼吸器疾患の中で、化学療法が必要になると言えば肺がんです。日本人の死因第1位はがんと言われており、男女別でみても男性が1位、女性が2位とともに多い数となっています。そのため、呼吸器病棟で見かける機会も多いと思います。そんな肺がんの治療法のひとつが化学療法です。

 

抗がん剤・分子標的薬

肺がんには大きく分けて、小細胞がんと非小細胞がんになり、それぞれに応じて抗がん剤や分子標的薬を使用して治療されます。抗がん剤や分子標的薬の使用により、がん細胞の増殖を抑制したり、がん細胞の成長を遅らせたり、がん細胞の転移を予防する狙いがあります。また、血液やリンパ液に乗って全身に転移しているかもしれない小さながん細胞に対しても有効な治療になります。

 

薬剤の種は患者の状態に応じて判断

化学療法に使用される薬剤は、錠剤やカプセル剤など内服による方法と、点滴で静脈に直接抗がん剤を体内に投与する方法があります。どちらを選択されるというと、がんの種類、転移があるかないか、がんの病期の他に、患者の年齢、既往、治療に耐えられるだけの身体状態かどうかなどを考慮して選択されます。

 

化学療法はクールが決められいる

治療が開始されると、点滴にて化学療法を実施する場合、「治療を行う日」と「治療をお休みする日」を1週間程度の周期として治療されます。この期間を何回行っているかを「○コース」、同じ薬剤を使用して何回化学療法を行っているかを「○クール」などと言われます。呼吸器病棟に入院中に、化学療法の効果や副作用の様子を観察しながら治療を継続していきます。万が一副作用が強く出た場合は、抗がん剤の量を調整したり、治療を休止あるいは中止することもあります。

 

放射線療法と関連する専門的知識

放射線療法とは、がん細胞に放射線を当てることで、がん細胞の消滅や縮小、増殖の抑制を狙った治療法です。また、骨転移による痛みや脳転移による症状を和らげるなどの緩和的治療の側面もあります。放射線療法は、呼吸器病棟で言えば肺がんに対する治療法のであり、治すことを目的として単独で行われることもありますが、化学療法との併用や術前や術後の再発予防のために併用して行われる場合があります。

 

患者の状態に応じて放射が可能であるかを判断

肺がんだからすぐに放射線療法を行うといった簡単な話ではありません。化学療法や手術も同様なのですが、がんには腫瘍の大きさ、リンパ節や他の臓器に転移しているかどうか、患者の年齢や既往歴など様々なことを考慮して治療法を決定していくため、治療の進め方については、主治医が判断することがあれば、病院によっては化学療法を担当する腫瘍内科医、放射線療法を担当する放射線科医、外科医など、それぞれの専門家が集まって検討されることもあります。

 

放射線治療で手術よる負担が軽減される

放射線治療が選択される場合は、その利点としては放射線をがんに直接照射して治療を行うため手術による患者への負担が少ないことが考えられます。手術を行えば臓器を切除する必要がありますし、全身麻酔に対する身体への影響もあり、放射線療法と比較すると患者への負担は大きいです。

 

呼吸器系に副作用が及ぶ場合も

放射線療法も身体への影響があり、がんの種類によって放射線治療の効果は大きく異なり、放射線を照射する場所によって副作用の起こり方は様々です。肺がんの場合、胸部に放射線を照射するため、どうしても呼吸器に影響を与えます。胸部に発赤やヒリヒリした感じが出現する軽度なものから、喉のつっかえ感や咳嗽の出現、放射線肺臓炎の出現など中度から重度なものまで幅広く副作用が挙げられます。

 

在宅酸素療法という新しいケアシステムが学べる

2016年、診療報酬の改定が行われました。その内容の一部に「地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点」という項目がありました。今後は在宅医療や訪問看護の充実が図られるようになる可能性があり、在宅酸素の需要も増すことが考えられます。その在宅酸素療法の導入は入院している段階で行われたり、導入のために入院をする患者がいます。そういった患者の看護を経験することができるのも呼吸器病棟の一つの強みと言えるでしょう。

 

在宅酸素療法の主な対象疾患

在宅酸素療法の主な対象疾患は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎、慢性呼吸不全、肺高血圧症などで医師が在宅酸素療法を必要であると認めた者が導入されます。

 

在宅酸素療法の目的

在宅酸素療法が導入することで、低酸素血症の改善や運動耐容能といった運動する時に身体にかかる負荷を少し強くすることができるなど、QOLの改善のために導入されます。

 

まとめ

呼吸器病棟で経験できることは、少しはイメージできましたでしょうか。呼吸器に特化した病棟であるため、他の病棟では経験できないことがあるのは職場としては魅力に感じる部分だと思います。呼吸器病棟ならではの看護、治療、検査、処置、介助などは他の病棟では経験することが少ないでしょう。

今後、ジャネラリストが求められる看護師の中で、何か一つでも自分の武器になるものがあると、自分の強みになるかもしれませんね。また、呼吸器はどこの病棟に配属になったとしても、必要になる知識であるため経験しておくことは、今後の看護師としてのキャリアにおいても活かせると思います。

監修者

亀岡さくみ看護師
監修 亀岡さくみ看護師
  • 2011年3月:日本赤十字看護学校卒業
  • 2011年3月:看護師免許取得
  • 2011年4月:日本赤十字医療センター入社(3年間勤務)
  • 2015年3月:株式会社peko勤務
  • 2015年4月:はたらきナース監修

現在は、今までの経験を活かし「はたらきナース」を執筆・監修を行っています。

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