著作者

こまき

執筆:看護師

こまき

( 看護師 )

看護師のサービス残業の実態!月の未払い賃金合計は3億円におよぶ?

公開:、更新:2018年05月08日

社会人経験がなく、看護師として初めて就職した先が病院などであると、就業時間前に職場に到着し情報収集を行い、勤務終了時間後に記録を書き始め、終了時は特に残業代の請求もせずに帰宅する。

私もそうでしたが、これが「当たり前」という感覚で過ごしている看護師は多いのではないでしょうか。

一般の会社員の友達に話すと「えぇ!」と驚かれることも多いです。

しかし、看護師の世界では、サービス残業(賃金不払い労働)は当たり前になっており、それを不思議な事だと思うことすらできない場合もあります。

実際、医労連の「2017年看護職員の労働実態調査」によれば、64.9%の看護師がサービス残業を行っていることが分かっています。

看護師のサービス残業割合

(看護師のサービス残業の実態:18,695名の看護師調査)

5時間未満 29.5%
5~10時間未満 19.0%
10~20時間未満 9.7%
20~30時間未満 4.0%
30~40時間未満 1.5%
40から50時間未満 0.7%
50時間以上 0.5%

この状況が改善されないのは、サービス残業に関して先輩が文句を言っていなければ、当然後輩も文句を言えないような風潮も背景にはあるのかもしれません。

実際には、サービス残業している看護師の労働時間合計は、164,128時間にも及び、時間当たり単価2,000円だとしたら、不払い賃金の総額は3億2,826万円になります。

このページでは、看護師のサービス残業の実態と残業が多い職場、少ない職場などを合わせてご紹介していきます。

サービス残業(賃金不払い労働)で悩んでいる看護師の方や、管理者の看護師の方は、ぜひ確認してみてください。

1.看護師のサービス残業の実態とは?

看護師のサービス残業の実態とは?

サービス残業という名前の通り、残業代をもらわずに働くことですが、看護師のサービス残業には力量も大きく関わっていると私は思います

というのも、新人や経験年数が低いスタッフは自分の能力が低いがために残ってしまう残務や、情報収集能力が低い為に早く病棟へ到着して、情報収集をするなど自分でもこれに対してお金は発生しない、ということを重々承知しているのです。

しかし、雇用側としては仕事が出来る、出来ないにかかわらず残業代を未払いにすることは良いことではありません。

では、実際にどのような看護師の仕事がサービス残業になるのでしょうか。

【看護師のサービス残業での主な業務】

記録 59.9%
情報収集 51.0%
患者への対応 42.2%
各種委員会 14.2%
研修 11.8%
機器の立ち上げ準備など 8.6%
その他諸会議 7.5%

(医労連の「2017年看護職員の労働実態調査」)

上記でも多い、「記録」「情報収集」「患者への対応」について説明していきます。

 

看護記録業務

サービス残業の中でも多いのが「記録」ですが、看護師として勤務時間内に記録を終えるのは困難です。

  • バイタルサイン
  • 清潔ケア
  • 点滴交換
  • 食事介助

など、もろもろ業務を行っていると記録は後回しになりがちです。

しかし、この記録も近年電子カルテを導入している病院も多く端的に記録できるようになってきたとはいうものの、ログインして入力している時間がないことや、パソコンがスタッフ人数分なく入力待ちをすることも良くあります。

また、看護記録業務を丁寧に書く看護師もいれば、さらっと書く看護師もおり、一概に早く仕事が終わったからといって、仕事が出来る看護師ということでもなかったりします。

そのため、残業代の請求を「この看護師は駄目」「この看護師は良い」と区別するのは難しいのも実際です。

 

患者等の情報収集業務

サービス残業で多いのが「情報収集」です。

こちらも看護師の個人差や病棟の特性にもよるかと思いますが、やはり経験年数が長ければ情報もスラスラと短時間でとれますが、新人や経験年数が浅い看護師は、間違いなく患者の情報を取らなければならない為、ゆっくり時間をかけての情報収集になってしまします。

ここに残業代をつけるとなると、ベテラン看護師と新人看護師では、同じ情報収集でも時間が異なるため、情報収集に対して残業代の発生とはいかないのも納得できます。

しかし、情報収集も含めて仕事なのにお金が発生しないのはおかしいことでもあります。

【体験談】サービス残業削減を行っていた病棟

以前私が働いていた病棟では、8時半の就業でしたが日勤は15分前からしかナースステーションに入ることは出来ず、情報収集は基本申し送りを終えてから8時半から9時までに行うという取り決めがありました。

あまりに早くナースステーションに日勤者がくると、夜勤者の邪魔になったりすることもあり、このシステムはとても良かったです。サービス残業削減にもつながるのはないかと思います。

 

患者対応業務

「患者対応」は、看護師としてサービス残業になりやすい業務のひとつです。

「夜勤もしくは日勤帯に変わる勤務帯の交代時、患者からのクレームや訴えなどにあたってしまった」なんて経験ありますよね。

その後もその患者からの訴えやクレームに対して医師や師長へ連絡し、記録に残しているとあっという間に勤務時間外労働。立派な業務なのになぜか残業手当はつけてもらえないなど、よくある話です。

 

2.看護師のサービス残業が多い職場とは

看護師のサービス残業が多い職場とは

看護師として働く職場は多様化しており、看護師資格を活かして働ける職場は多いといえます。

その中でも、サービス残業や賃金未払いになりやすい職場をご紹介します。

 

(1)集中治療室で働く看護師

集中治療室で働く看護師集中治療室は生命の危機状態の患者が多く、重症者が多数います。

そのため観察や高度な医療ケアも多いことや急変も日常茶飯事です。それに伴い急に起きた出来事への対応や記録などにより、看護師の残務も多くなってしまう傾向にあります。

 

(2)一般病棟で働く看護師

一般病棟で働く看護師一般病棟ではそれなりに病床数もあるため、受け持ち人数が多いです。記録・情報収集・患者対応で看護師は毎日バタバタしています。

経験年数の浅いスタッフも多いことから、上記の残業に対して自己申告して残業代を申告もしにくい雰囲気もありますし、先輩方が申告していないのに自分が文句をいえる立場でないことも分かっているためサービス残業は多くなってしまっています。

 

(3)外来で働く看護師

外来で働く看護師外来は定時で終わっているようなイメージがあると思いますが、来院した日の人数や患者の重症度等によってはサービス残業が多くなってしまうこともあります。

記録は病棟に比べたら少ないですが、

  • 緊急入院になった患者を病棟へ送り申し送り
  • 患者やその家族への対応

などがあります。

そして、時間を取られるのが一度帰った患者が電話で薬や自身の体調などを電話で相談してくることがあり、これにハマるとなかなか帰れません。

それらに対して残業代の請求はしにくくサービス残業となってしまうことが多いです。

 

3.看護師がサービス残業を避けるためには

看護師がサービス残業を避けるためには

サービス残業を看護師が避けるためには、責任者などに伝えるのが良いといえますが、なかなか難しいものです。

また、病院・病棟ごとにサービス残業について話し合えるような機会がもてれば1番良いですが、こちらも大きな声でいうことが難しいのも実際であり、言ったところで変えることは困難でもあります。

そのため、看護師がサービス残業を避けるための方法として2つご紹介します。

 

(1)仕事の効率をあげる努力をする

今いる職場でサービス残業を減らしたいのであれば、「記録」に対する取り組み方を変えるのが得策でしょう。

「記録」について一番大切なのは、起こったことをその場でタイムリーに記載することです。

これによって確実に記録も行え、あとで書き忘れたということにもならず、なによりも業務終了時刻後にまとめて書く手間が省けます。

看護計画に対しての評価が、受け持ちの患者で重なっていることよくありますよね。

「今日、評価いっぱいだ」なんてがっかりすることあると思いますが、評価の日が適切かもう一度考えてみましょう。

 

看護師で協力し体制を築く

記録は受け持った看護師でしか出来ませんが、手のあいたスタッフが記録以外の残務を手伝えるよう勤務終了1時間前くらいからスタッフに声をかけ、何が残っているのかを自己申告し、日勤リーダーや責任者がその残務を手の空いているスタッフに依頼するというような、協力体制によってもサービス残業は軽減されます。

実際、私の勤務していた病棟ではこれを実施し、単独で早く終える人、いつまでも残っている人の差がなくなりました。みんなで勤務時間内に終えられるよう協力もするという雰囲気になりました。

 

(2)そもそも残業の少ない職場へ転職する

全てがそうではありませんが、比較的残業が少ない看護師の職場は以下の通りです。

 

救急科の看護師

救急科の看護師緊急で入ってくる患者であるため、情報収集は一般病棟に比較すると少ないです。患者の容態も落ち着いたところで病棟に送ったり、帰宅させたり、患者を継続して看護することが少ないため記録も多くはありません。

そのため比較的残業は少ない現場であり、詳細は「救急の看護師は残業が少ないって本当?」を確認してみてください。

 

精神科の看護師

精神科の看護師急変や医療的処置が少ないのが精神科です。病棟も落ち着いた雰囲気でモニター音なども聞こえてきません。

長期入院の方も多く情報収集もしやすく、医療的処置も少ないです。清潔ケアなども自立している患者も多いため、勤務時間内に記録もできほぼ定時に退勤できます。

興味がある看護師の方は「精神科へ看護師転職する前に確認する9つの事」を確認してください。

 

保育園の看護師

保育園の看護師園児の体調管理がメインですが、基本保育園の登園基準(体温37.5度以下、嘔気嘔吐や腹痛など体調がすぐれないときには登園を控える)を満たしている子が通園してきているので保育士とともに保育に参加することも多いです。

そのため何も問題がなければ時間どおりに退勤できます。ただ、仕事内容が特殊なため「保育園看護師求人を探すときの5つの注意点」を確認しておきましょう。

 

老人福祉施設やデイサービス

老人福祉施設やデイサービス基本的に定時出勤・定時退勤です。

通所、入所されている利用者の健康管理がメインの仕事になりますが、状態は落ち着いた方がほとんどのため勤務時間外にすることはありません。

詳しくは「看護師が転職できる介護施設の種類と働く注意点!」を確認してみましょう。

 

4.まとめ

看護師のサービス残業については、上記でも述べたように経験年数や力量によっても仕方ないと思わざるおえない部分も正直あります。

しかし、この残業については手当がつかないのはおかしいだろうと思うような事柄があったときには、責任者へ自信を持って訴えることも必要です。正しいと思うことが言える環境でなければ、看護師のサービス残業は永遠に解決されない問題となってしまうでしょう。

せっかく頑張って行っている残業に対して、何かメリットがなければモチベーションも上がりませんし、仕事への不満ばかりがたまってしまいます。

そのため、自身で残業を残さないような対策をたててみるのも良いでしょう。

どうしても、サービス残業が苦痛と感じ、解決策が見つからない場合には転職も視野に入れ、看護師の仕事の中でもサービス残業が少ない職場を転職サイトなどで探してみるのもよいでしょう。不満をもったまま、働くことは自身の体調へも負担をかけます。自分の納得するような職場をぜひ見つけてみて下さい。


(編集・構成・管理者:亀岡さくみ

都内大学病院にて特別病棟(全科)と小児科病棟で7年間勤務。

結婚を機に退職。約10ヶ月休職し、その間スポット看護師アルバイトを経験。その後、横浜市内の国立病院へ再就職。外科病棟で働いていました。

第一子の産後育休から復帰し、外来へ復職。第二子出産とともに市外への転居も決まり退職。現在2人の子育てをしており休職中。

看護師としての経歴

保有資格 ・看護師
年齢 ・神奈川県/35歳
職務経験 ・大学病院 ・国立病院
診療科経験 ・特別病棟(全科) ・小児科 ・外科 ・訪問入浴
・デイサービス ・健診 ・ツアーナース ・イベントナース

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