著作者

つみき

正看護師

つみき

( 看護師 )

プライマリーナーシングとチームナーシングの看護方式10つの違いは?

つみき
正看護師 つみき

看護学生の時に学習したかもしれませんが、「看護方式」という言葉をご存知ですか。

「看護方式」とは、医療現場において効果的な看護を提供するために、看護師がどのような形態で活動するかを定める方法論のことを言います。

看護方式は、看護師の働きやすさや、仕事のやりがいに大きく関わる部分です。

もし、あなたが現在の職場に不満を抱えているとしたら、働いている病院の看護方式が、その不満を感じる原因の1つかもしれません。

看護方式には、いくつかの種類がありますが、採用されている看護方式は病院によって様々です。

その中で、多くの病院で取り入れられているのが

  • 「プライマリーナーシング」
  • 「チームナーシング」

の2つです。

▼【プライマリーナーシングとは?】
プライマリーナーシングとは、一人の看護師が1人の患者さんの入院から退院まで対応する看護方式のことを言います。看護師が担当する患者さんの人数は病院や病棟、診療科によっても変わりますが、2人~7人程度です。

プライマリーナーシングでは、一人の看護師が、担当となった患者さんの状態に合わせた看護計画を立案し、実施、評価していきます。プライマリーナースが休みの場合は、プライマリーナースが立案した看護計画に基づいて、他の看護師が代わりにその患者さんを担当し、ケアを実施します。

▼【チームナーシングとは?】
チームナーシングとは、1つの病棟を2つ以上のチームにわけ、各チームのチームリーダーのもと、チーム単位で一定数の患者を受け持ち、看護ケアを提供する看護方式のことを言います。チームはリーダーを中心として、複数の看護師で構成されています。1つの病棟に2つ以上のチームが設置してあり、リーダーやメンバーは定期的に変わります。チームナーシングの看護は常にチームで行います。

また、いくつかの看護方式を組み合わせて採用している病院もあります。

私が以前働いていた病院では、「プライマリーナーシング」と「チームナーシング」を組み合わせた「チームナーシング担当看護師制」という独自の看護方式を取り入れていました。

それぞれの看護方式の長所を活かし短所を補う看護方式だったため、新人看護師の頃から中堅看護師になるまでの10年間に渡り働きやすい体制でした。

では、主な看護方式である「プライマリーナーシング」と「チームナーシング」が、それぞれどのような看護の方式なのか、その特徴や、メリット・デメリットを見ていきましょう。

1.プライマリーナーシングとチームナーシングの10つの違い

プライマリーナーシングとチームナーシングの10つの違い

では、プライマリーナーシングとチームナーシングの看護方式の違いをみながら、それぞれの看護方式の特徴について確認していきましょう。

プライマリーナーシング チームナーシング
(1)看護の提供方法 1人の看護師が対応 看護ケアをチームで対応
(2)看護の質 ・きめ細やかな看護
・提供する看護の質が担当により変わる
・一定水準の看護を提供できる
・多方面から患者にアプローチできる
(3)患者との関係性 ・信頼関係を築きやすい
・患者は安心感が得られやすい
コミュニケーションが取れない場合がある
・患者は誰に相談して良いか分からない
(4)患者の変化への対応 細かな変化に気付く
・タイムリーに対応できない場合がある
・タイムリーな看護を提供できる
・小さな変化に気付きにくい
(5)看護師の責任・負担 ・責任・負担が重い
・質の高いケアが求められる
・不安や負担が比較的少ない
・チームリーダーは高い能力と責任がある
(6)看護師間の
コミュニケーション
・機会はあまり多くない ・コミュニケーションを頻繁に取る
(7)責任の所在 ・明らか ・不明瞭となる可能性がある
(8)やりがいや満足感 ・責任を持って働ける ・チームでの喜びを得られる
(9)看護師の成長過程 ・自らの学習が求められる ・適宜指導やアドバイスを得られる
(10)必要な看護師の数 ・看護師人員が数多く必要 ・必要とされる看護師数が少なくてすむ

以上の違いとなり、以下で詳しく説明していきます。

 

(1)「看護の提供方法」の違い

プライマリーナーシングの場合

1人の患者さんが入院してから退院するまでを、1人の看護師が対応します。

 

チームナーシングの場合

患者さんが入院してから退院するまでの看護ケアをチームで対応します。

 

(2)「看護の質」の違い

プライマリーナーシングの場合

1人の患者さんが入院してから退院するまでを、1人の看護師が対応するため、ひとりひとりの患者さんに合った、きめ細やかな看護を提供することができます。

しかし、その一方で、プライマリーナース(担当看護師)の看護観・知識・技術により、看護の質が変わることも考えられます。入院から退院までの間、患者さんにより良い看護を提供できるかどうかは、プライマリーナースに左右されるといってもよいでしょう。

そのため、経験の乏しい看護師が担当となった患者さんは十分な看護ケアを受けることが難しくなります。

 

チームナーシングの場合

経験年数、能力、専門分野などが異なる看護師を、能力ごとに均等に各チームに配置するため、看護師間に能力の差があっても、一定水準の看護を24時間365日すべての患者さんに提供することができます。

また、患者さんに対して複数の看護師が関わることで患者さんに多方面からアプローチすることができるため、偏りのない看護ケアができるのも特徴の一つです。

 

(3)「患者さんとの関係性」の違い

プライマリーナーシングの場合

1人の看護師が入院から退院まで一貫して患者さんの看護を担当することになるので、看護師と患者さんとの間において信頼関係を築きやすくなります

患者さんは、担当の看護師が「自分の一番の理解者である」という安心感を得ることができます。

また、プライマリーナースは「私の担当患者さん」として看護の喜びを感じることができます。

 

チームナーシングの場合

看護師は複数の患者さんを担当するので、患者さん一人ひとりとのコミュニケーションがしっかり取れない場合があります。

また、患者さんにとっては、複数の看護師に担当されることで、誰が自分の担当看護師なのか分かりにくいことがあり、自分の体調が悪い時などに、誰に相談すればいいのか判断できない場合があります。

 

(4)「患者さんの変化への気付きと対応」の違い

プライマリーナーシングの場合

プライマリーナースは一貫して患者さんの看護を担当することになるので、担当患者さんの細かな変化に気付くことができます。

しかし、自分の看護師が担当している以外の患者さんのことは詳しくないため、担当外の患者さんの体調不良時は援助が難しくなることが考えられます。

 

補足説明!

ポイント

また、プライマリーナースが不在の時は、アソシエートナースが看護にあたりますが、何か変化があったとしても、気付くのが遅くなりタイムリーに対応することができない可能性があります。

 

チームナーシングの場合

チームメンバーの誰かは必ず勤務するようなシフトが組まれるので、患者さんに何か変化があった場合も、いつでもタイムリーな看護を提供することができます。

その一方で、看護師は複数の患者さんを担当するため、患者さん一人ひとりとのコミュニケーションがしっかり取れず、小さな変化に気付きにくいことがあります。

 

(5)「看護師の責任・負担」の違い

プライマリーナーシングの場合

1人の患者さんを1人で受け持つということで、プライマリーナースの責任・負担が重く、より質の高いケアが求められます。

プライマリーナースとして看護過程の展開も1人で行うため、責任を持って働くことになります。経験の浅い看護師や復職者にとっては、大きな負担となるでしょう。

 

チームナーシングの場合

チーム内に必ずチームリーダーがおり、チームリーダーがメンバーを取りまとめながら日々の看護業務を行っていきます。

看護過程の展開もカンファレンスなどを通してチーム単位で行います。

メンバーとなる看護師は、チームリーダーの指導・支持の下に業務を遂行するため、経験の浅い看護師や転職・復職者でも、不安や負担が比較的少ない状況で日々の業務に当たることができます。1人ではなくチームで看護を行うことも、精神的な負担の軽減に繋がっています。

しかしその反面、チームリーダーはチーム全体の状況を把握し効果的な仕事の割り振りを行う必要があるため、チームリーダーには高い能力と責任が求められます

 

(6)「看護師間のコミュニケーション」の違い

プライマリーナーシングの場合

患者さん一人ひとりに担当する看護師が決まっているので、看護師同士の間でコミュニケーションをとる機会はあまり多くありません

困った時に先輩看護師に相談しても、「それはあなたの受け持ちでしょ」と言われてしまうことがあるかもしれません。

 

チームナーシングの場合

チーム全体で看護を行うため、チーム全体で情報を共有することが重要となり、看護師間のコミュニケーションを十分にとる必要があります。

看護計画や仕事のことで迷うなど困った時はチーム内の先輩看護師に相談できるというメリットがあります。チームリーダーには、リーダーシップを発揮してより良いチームにするためのチーム運営を行うために、高いコミュニケーション能力が必要となります。

 

補足説明!

ポイント

また、チームメンバーにも、チーム間で十分な情報交換を行い、メンバーシップを十分に発揮するためのコミュニケーション能力が求められます。

 

(7)「責任の所在」の違い

プライマリーナーシングの場合

1人の看護師が担当するため、責任の所在が明らかです。

 

チームナーシングの場合

複数の看護師が担当するため、責任の所在が不明瞭となる可能性があります。

 

(8)「やりがいや満足感の種類」の違い

プライマリーナーシングの場合

プライマリーナースとして1人の患者さんを1人で受け持つということで、責任を持って働くことができると同時に満足感を得られます。

看護師はやりがいを持って業務にあたることができます

また、看護師が自分の実力を発揮しやすいことも、やりがいの一つとなります。

 

チームナーシングの場合

チームで連携して看護を行うことで、喜びを得られ、仕事への意欲が高まります

 

(9)「看護師の成長過程」の違い

プライマリーナーシングの場合

基本的に自ら学習することが求められます。

1人の看護師が1人の患者さんの入院から退院までの看護を担当することで、看護専門職としての自己の成長へと繋がります。

 

チームナーシングの場合

経験豊富な看護師とチームで看護を行うことで、適宜指導やアドバイスを得ることができるため、キャリアの浅い看護師の成長速度が速まります。

チームで働くことで協同意欲が高まり、個々の成長に期待できます。

 

(10)「必要な看護師の数」の違い

プライマリーナーシングの場合

担当制の看護ケア方式となっているので、チームナーシングなどといった他の看護方式と比べて看護師人員が数多く必要となります。

看護師が少ない病棟では、チームナーシングでないと現場を回せないことがあります

 

チームナーシングの場合

プライマリーナーシングと比べ、必要とされる看護師数が少なくてすみます

 

2.プライマリーナーシングのメリット

プライマリーナーシングのメリット

プライマリーナーシングのメリットは、看護師と患者さんが信頼関係を構築しやすいこと、看護師が患者のニーズを把握しやすいこと、看護師が専門性を発揮しやすいこと、責任の所在が明らかになることなどが挙げられます。

 

きめ細やかな質の高い看護を行える

1人の患者さんが入院してから退院するまでを、1人の看護師が対応するため、ひとりひとりの患者さんに合った、きめ細やかな看護を提供することができます。

 

患者さんとの信頼関係を築きやすい

1人の看護師が入院から退院まで一貫して患者さんの看護を担当することになるため、看護師と患者さんとの間において信頼関係を築きやすくなります。

 

患者さんは安心して看護を受けることができる

1人の看護師が入院から退院まで一貫して患者さんの看護を担当するため、患者さんは、プライマリーナースが「自分の一番の理解者である」という安心感を得ることができ、安心して看護を受けることができます。

 

仕事の充実感・満足感が得られる

プライマリーナースとして、1人の患者さんを1人で受け持つため、看護師は自己の能力を十分に発揮することができ、責任を持って働くことができると同時に満足感を得られます。また、看護師はやりがいを持って業務にあたることができます。

 

看護師の主体性、自立性が育つ

プライマリーナースとして1人の看護師が1人の患者さんの看護を、責任を持って一貫して担当するため、看護師としての主体性・自律性が育ち、看護専門職としての自己の成長へと繋がります。

 

3.プライマリーナーシングのデメリット

プライマリーナーシングのデメリット

プライマリーナーシングのデメリットは、看護師の能力によって患者に提供する看護の質が変わること、看護師の負担が大きくなりやすいこと、看護師間で情報共有がしにくいことなどが挙げられます。

 

担当する患者数が多くなる

病院や病棟、診療科によっても変わりますが、2〜7人程度です。

 

看護師への負担が大きい

1人の患者さんを1人で受け持つということで、プライマリーナースの責任・負担が重く、経験の浅い看護師や復職者にとっては、大きな負担となるでしょう。

 

看護師間のコミュニケーションが不足しがちになる

患者さん一人ひとりに担当する看護師が決まっているので、看護師同士の間でコミュニケーションをとる機会はあまり多くありません。

 

看護師の能力によって看護の質が変わる

プライマリーナースの看護観・知識・技術により、看護の質が変わることも考えられます。

入院から退院までの間、患者さんにより良い看護を提供できるかどうかは、プライマリーナースに左右されるといってもよいでしょう。

そのため、経験の乏しい看護師が担当となった患者さんは十分な看護ケアを受けることが難しくなります。

 

援助要請しにくい

自分の看護師が担当している以外の患者さんのことは詳しくないため、担当外の患者さんの体調不良時は援助が難しくなる可能性があります。

 

4.チームナーシングのメリット

チームナーシングのメリット

1人の看護師の能力に依存しない方式なので、チームナーシングには常に一定水準以上の看護を提供できるメリットがあります。

また、チームで協力して計画を立てて実施していくため、チーム間のコミュニケーションも増え、仕事に対するモチベーションを高めやすかったり、個々の看護師の成長を促せたりといったメリットもあります。

 

一定水準の看護を提供できる

経験年数、能力、専門分野などが異なる看護師を、能力ごとに均等に各チームに配置するため、看護師間に能力の差があっても、一定水準の看護を24時間365日すべての患者さんに提供することができます。

 

協同意欲が高まり、個々の成長に期待できる

経験年数、能力、専門分野などが異なる色々なタイプの看護師とチームで働くことで、協同意欲が高まり、個々の成長に期待できます。

 

患者さんに質の高い看護を提供できる

チームで看護にあたるため、一定水準の質の高い看護を継続して患者さんに提供することができます。

また、患者さんに対して複数の看護師が関わることで患者さんに多方面からアプローチすることができるため、偏りのない看護ケアができます。

 

キャリアの浅い看護師の成長速度が速まる

経験豊富な看護師とチームで看護を行うことで、適宜指導やアドバイスを得ることができるため、キャリアの浅い看護師の成長速度が速まります。

 

看護師個人の不足している能力をチームで補うことができる

チーム内に必ずチームリーダーがおり、メンバーとなる看護師は、チームリーダーの指導・支持の下に業務を遂行します。

1人ではなくチームで看護を行うため、経験の浅い看護師などの不足している能力を、先輩看護師が補うことができます。

 

5.チームナーシングのデメリット

チームナーシングのデメリット

チームナーシングのデメリットは、患者からは担当看護師が分かりにくい、チームリーダーにかかる負担や責任が大きいことなどです。

 

患者から見て自分の担当者がわかりにくい

患者さんは、複数の看護師に担当されるため、誰が自分の担当看護師なのか分かりにくいことがあります。

そのため、自分の体調が悪い時などに、誰に相談すればいいのか判断できない場合があります。

 

チームリーダーに高い能力と責任が求められる

チームリーダーはチーム全体の状況を把握し効果的な仕事の割り振りを行うため、チームリーダーに課せられる責任や、求められる能力が大きいです。

 

患者さんにとって担当の看護師がいない

複数の看護師が患者さんを担当するため、患者さんにとっては自分だけの担当看護師はいないことになります。

 

患者さんの情報をチーム全体で共有する必要がある

チーム全体で看護を行うため、チーム全体で情報を共有することが重要となります。

そのため、看護師間で十分なコミュニケーションをとることが必要となります。

 

患者さんの小さな変化に気づきにくい

看護師は複数の患者さんを担当するので、患者さん一人ひとりとのコミュニケーションがしっかり取れず、小さな変化に気付きにくいことがあります。

 

6.まとめ

まとめ

プライマリーナーシング、チームナーシングの2つの看護方式をご紹介しました。この2つの看護方式のどちらがいいかは、看護師の能力によっても変わってくるものです。

しかし、どのような看護方式にしても、一人一人の看護師が患者さんにとってより良い看護が提供できるように努めることが大切です。

看護方式や看護配置は、働きやすさや仕事のやりがいに大きく関わってくる部分です。看護師として自分らしく働くためにも、「自分にはどの看護方式の病院が合うか」一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。

記事の内容に関しては、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用をお願いいたします。


看護師となってから約20年になります。都内の大学病院で約10年勤務し、管理職も経験しました。その他にCRA、クリニックでの勤務経験があります。4年間のブランクを経て、現在はパート看護師として クリニックに勤務しています。
結婚・出産・子育てをしながら働いた経験と、ブランクから復帰した経験を活かし、皆さんのお役に立てるような情報を発信していきたいと思います。

看護師としての経歴

保有資格 ・正看護師
年齢 ・東京都/40歳
職務経験 ・大学病院 ・CRA(臨床開発モニター) ・クリニック
診療科経験 ・整形外科 ・一般外科 ・ペインクリニック ・内科
・耳鼻咽喉科 ・眼科 ・皮膚科 ・泌尿器科 ・小児科 ・訪問入浴

看護師転職サイトの口コミ評価

カテゴリー:看護師転職に必要な知識

(公開日:)(編集日::2018年05月07日)

関連記事

応援メッセージまたは記事へのコメント

メールアドレスが公開されることはありません。