総合病院は、常勤だけではなく、非常勤のパートの看護師も多いです。パートだから外来というわけではなく、病院によっては病棟にもパートの看護師がもちろんいます。
今回は、外来パート看護師と病棟パート看護師の違いについてご説明していきます。どちらに勤務するか悩んでいる場合は是非参考にしてください。
1.外来パート看護師と病棟パート看護師の仕事内容
2.外来パート看護師として働くメリットについて
3.外来パート看護師として働くデメリットについて
4.病棟パート看護師として働くメリットについて
5.病棟パート看護師として働くデメリットについて
6.外来パートと病棟パートに向いている看護師はこんな人
7.まとめ
1.外来パート看護師と病棟パート看護師の仕事内容
外来と病棟なので、仕事内容が全く違います。それぞれの仕事内容について説明していきます。
外来パート看護師の一般的な仕事内容
- 診療科の準備
- 診療の補助
- 処置の介助(もしくは実施)
- 検査の説明
- 外来オペ、検査の準備・補助
- 入院になった場合に手配、病棟看護師への申し送り
仕事内容は、患者に係わることが多いですが、病棟で行うような看護技術はほとんどありません。
外来パート看護師の1日のスケジュールについて
時間 | 仕事内容 |
8時半 | 外来全体の申し送り |
8時45分 | 各外来の診療準備 |
9時 | 午前中の診療開始 |
11時半 | 午前中の診療終了 |
12時~13時 | 休憩 |
13時 | 午後の診療開始 |
16時半 | 午後の診療終了 |
16時45分 | 記録、片付け、明日の外来診療の準備 |
17時半 | 退勤 |
上記のような流れで1日が終了します。
病棟パート看護師の一般的な仕事内容
- 清拭の準備・実施
- 排泄介助の準備・実施
- 移乗介助
- 食事介助
- 環境整備
- ナースステーションの整理整頓
仕事内容を見ても、直接的に患者に係わることは、少ないといえます。一般的に病棟パートの看護師は、雑用が多い印象になります(もちろん病院によって違うので確認しましょう)。
次に一日のスケジュールについて見ていきましょう。
病棟パート看護師の一日のスケジュール
時間 | 仕事内容 |
8時半 | 病棟の申し送り |
8時45分 | ・排泄介助準備 ・清拭の準備 |
9時~11時半 | ・排泄介助、清拭実施 ・常勤看護師のお手伝い |
11時半 | 昼食の準備 (移乗介助、昼食のセッティング) |
11時45分~12時半 | ・昼食の配膳 ・食事介助 ・口腔ケア ・下げ膳 |
11時45分~12時半 | 休憩 |
11時45分~12時半 | 午後のミニカンファレンス |
14時~16時半 | ・排泄介助準備 ・実施 ・病室内環境整備 |
16時半~17時半 | ・ナースステーション内の環境整備 ・包交車内の物品補充 ・常勤看護師のお手伝い |
17時半 | 退勤 |
当たり前ですが、パート看護師は「外来」「病棟」では、一日のスケジュールがかなり違います。
2.外来パート看護師として働くメリットについて
外来パート看護師として働く場合、メリットは沢山あります。病棟勤務の看護師と比べながらメリットについて説明していきます。
担当の診療科について理解を深めることができる
外来パートの場合は、担当の診療科は単科なので、病棟のような複数の混合科とは違い、その分野を詳しく知ることができることがメリットといえます。
例えば、疾患を疑った場合に
- どのような検査が必要か
- 検査結果からどのような処置や手術を行うのか
といったように、一連の流れを知ることができます。疾患も、その診療科特有の疾患しかない場合が多く、看護師としての知識を深めることができます。
医師と一緒にいる時間が多く様々なことを学べる
外来にいると、午前も午後も長い時間、医師と一緒にいることができるので、会話する時間が多いといえます。そのため、医師のそばで、医療の事を学べることがメリットといえます。
それ以外にも医師の意外な一面も見ることや、仲良くなれることも多いことが特徴です。
ポイント!

病棟で働くパート看護師の場合、処置や指示を出すときなど、長くても数十分くらいしか、一緒にいられる時間がありません。そのため、医師と話ができるのが限られており、聞きたいことの的を絞って聞く必要があります。
患者との信頼関係を築くことができる
患者は新患と定期的に受診をしている患者がます。外来の場合は、患者と顔なじみになれるので看護師としての信頼関係が築きやすいといえます。また、患者の方から声をかけられることも多くなります。
看護師として親身にかかわることによって信頼関係が生まれます。患者は治療に対して前向きになったり、後ろ向きになったりします。信頼関係があるとそのような時にも常に支えになってあげることができるのです。
残業がほとんどないこと
外来パートの看護師は、午後の外来も時間通りに終了するので、後片付けや明日の外来の準備をして、基本的に定時で帰ることができます。また、残業は年に数回程度の場合が多く、時間通りに帰りたい看護師には大変メリットあります。
ポイント!

午前診療もほぼ時間通りに終了し、午後は専門外来の診療科が多いため、患者数も少ない傾向にあります。
土曜は午前中のみ、日曜・祝日、大型連休は休みとなる
外来で働くパート看護師は、一般的に土曜日は午前中のみの診療となり、日曜・祝日、ゴールデンウィークなどの大型連休は外来もお休みになるので比較的休みが多いです。(病院によっては違うので注意・確認しましょう。)
小さい子供がいる看護師やダブルワークにはおすすめ
暦通りにしっかり休めるのは外来看護師のメリットでもあります。小さい子供がいる看護師やダブルワークをしている方など、自分の時間を有効に使いたい看護師は外来パートがお勧めといえます。
病棟ほど忙しくないため、ある程度休みが取りやすいといえます。固定の曜日で休む場合や、家庭の事情で希望休を出すときに、通りやすいのも魅力です。
3.外来パート看護師として働くデメリットについて
外来パート看護師の最大のデメリットは、症例も少なく、単科しかないため、自分で勉強をしていかないと病棟看護師と比べてレベルの差が出てきてくることです。
外来看護師は、病棟看護師と比べて、それほど知識がなくても、一日の流れがこなせれば何とかなってしまいます。そのため、自分自身で学ぶ意欲を持てないと、今後の看護師人生で必ず苦労する場合がありますので注意しましょう。
その他のデメリットは以下の通りです。
やることが少なく退屈、やりがいを感じない
外来のパート看護師は、病棟で働くことと違い、時間に追われて何かをするということが少ないです。そのため、淡々と時間が過ぎていくため、退屈で、看護師として「やりがい」を感じにくいことがデメリットといえます。
(救急外来以外)急変したり、患者自身に何かあるようなことも稀なため、忙しいのが好きな看護師は、物足りなくなってしまいます。
患者へ看護することが少ない
外来パート看護師は、患者に対して看護をする行為は少なく、「患者の話を聞いて、終了」ということがほとんどのため、看護の関わりがないことがデメリットといえます。
ポイント!

メインの仕事は、診療の補助となり、外来で医師と患者が話しているところに立って、医師から何か指示があった際に動くことが多いので、直接患者に触って何かできるというのが少ないです。
現場の緊張感を忘れてしまう
病棟にある独特な雰囲気の中仕事をしていると、常に緊張感のある状態働けるので、異常時の早期発見や早期対応ができますが、外来勤務を長く続けると、瞬時に判断をして対応する能力がかなり鈍ってしまいます。
外来はできる看護師とできない看護師の差が出やすい
外来では、「できる看護師」と「できない看護師」の差がはっきり出てしまうことが特徴です。差が出る理由としては「複数の診療科の知識があるかどうか」です。
そのため外来パート看護師として働く場合は、ある程度、複数の診療科経験があったほうが良いといえいます。
転職するときに若干不利なこともある
パートでも病棟で経験した看護師と、外来パート経験者の看護師を比べた時、採用者は、病棟で働いていた看護師の方が知識も豊富でしっかり動けて即戦力になるだろうと感じるケースが多く、転職時には不利に働くケースもあります。
4.病棟パート看護師のメリットについて
外来とは違い、病棟パートの看護師は、複数の疾患を持っている患者が入院していますので、疾患についての勉強ができます。もちろん、内科系・外科系とは違いますが、看護師としての知識レベルはキープすることができるのがメリットといえます。
自ら勉強する意欲があれば、常勤看護師と同等のレベルで判断できたり、患者を見たりすることも可能なので、やりがいがあるのも魅力です。
患者を受け持たないので責任が軽い
病棟パート看護師は、常勤看護師のように、患者の受け持ちがないため、責任が軽いことがメリットとして挙げられます。(もちろん、病院によって違いがあるので、転職の際は確認をしましょう。)
病棟パート看護師は依頼された仕事を行うのみ
パート看護師は、依頼された仕事をこなしていれば問題ありません。担当看護師の補助的な役割となるため、何か自分が考えてアクションを起こすというよりは、何か気づいた点を担当看護師に報告するような役割なため、仕事は楽とえいます。
ポイント!

受け持ちを持つと、その患者に対しての看護過程を立案したり、さまざまなことを担当の看護師が行わなければならず、残業も当たり前のようにありますよね。
細かい仕事をサポートするとスタッフに喜ばれやすい
常勤看護師は、何人もの患者を受け持っていますし、自分自身が担当である患者もいるので、細かいところまで手が届かないのが事実です。
そのような忙しい常勤看護師の出来ない細かい仕事をサポートすることで、喜ばれることが多いことも「やりがい」につながります。
ポイント!

私の経験として、患者に爪切りを頼まれていたのですが、優先順位としてはかなり下の方だったのでなかり待たせてしまっていました。そんな時、パートの看護師が「私やっておくから、いいわよ。」と声をかけてくれ、対応してくれた時にはかなり助かったことを覚えています。このような小さい事柄をやっていくことで病棟看護師からも「いてほしい存在」と見てもらえることにつながります。
5.病棟パート看護師のデメリットについて
病棟パート看護師のデメリットについて説明していきます。病棟パート看護師は、良いところも沢山ありますが、なかなか難しい部分もありますので理解していきましょう。
定時になっても帰れない雰囲気がある病棟が多い
パートなので、定時に仕事が終われば、帰宅しても良いのですが、ほかの看護師が忙しそうにしています。
そのため、忙しい仕事を横目に帰ってしまうのは気が引けてしまうことがあり、定時になっても帰りにくい病棟は多いといえます。
ポイント!

割り切ってしまえばいいのかもしれませんが、心無い看護師は「この状況でよく帰れるね。」と嫌がらせを言ってくる人もいます。そうなるとなおさら帰りにくくなってしまいますので、働く病院はしっかりと選びましょう。
メインの看護師の仕事をやらせてもらえない
点滴の作成や指示受け、対応など、患者に対することについては、常勤の担当看護師がメインで行いますので、なかなか看護師の仕事をさせてもらえないことが多いです。
どちらかというと、排泄介助や清拭、洗髪、環境整備などのヘルパーさんや助手さんのような仕事に近いことをさせられます。
常勤とパートの扱いが違う
常勤の看護師はパートの看護師に対して上に立っているような態度で接してくる人がいます。
「パートなんだから。」が口癖のように言われてしまったり、自分の名前で呼んでもらえず「パートさーん」と呼んでくる看護師もいます。
そういう扱いをされてしまうことでだんだん辛くなり、耐えられなくなってしまうこともあります。同じ看護師なのに、常勤かパートかでこんなにも差別されてしまう病院もあるのです。
外来と比べて、常に忙しく、休みも取りにくい傾向がある
パートだからと言っても病棟で働いているわけですから、忙しさは外来看護師と比べ物になりません。病院によって大きく異なる部分ですが、一般的にはゆったりとした時間もなく、常に時間に追われて働いているような状態です。
看護師の人数はどこの病院も足りていない状態が続いているため、外来と違い休み希望も取りにくいこともデメリットとして挙げられます。また、常勤看護師の穴埋めの要員という目線で見られているので、常勤者より休み希望が取りにくいこともあります。
6.外来パートと病棟パートに向いている看護師はこんな人
メリット・デメリットを踏まえた上で、所感ですが外来パートに向いている看護師と、病棟パートに向いている看護師の説明をいたします。
外来パート看護師として働くのに向いている人
- 忙しいのは苦手な看護師
- ゆったり仕事をしたい看護師
- 時間内(定時)で絶対に帰りたい看護師
- 休みの融通が必要な看護師
- 専門分野を極めたい看護師(診療科による)
- チームで働くのが苦手な看護師
- 言われたことだけしか、動けないと感じている看護師
- 勉強する時間が少ない看護師
上記の看護師に外来パートは向いているといえます。次に、病棟看護師を確認しましょう。
病棟パート看護師として働くのに向いている人
- パートだけど病棟の感覚を忘れたくない看護師
- 患者に対して直接介助をしていきたい看護師
- 医療について勉強していきたい看護師
- 将来的に常勤に戻ろうと思っている看護師
- 転職するのに、困らないようにしたい看護師
- 気づきができる看護師
- 割り切って仕事ができる看護師
メリット・デメリットより上記の方が病棟パート看護師に向いているといえます。
どちらが良いか決めかねていた方は参考にしてください。
7.まとめ
外来パート看護師と病棟パートの看護師には同じパートの看護師ですが違いがあります。
パートに看護師として転職する理由は様々ですが、今の自分のライフスタイルを中心に、「外来」と「病棟」どちらが合っているのか、どちらが長続きできそうなのかよく考えて求人を探してみてください。
メリット、デメリットをしっかり押さえて、ぜひ無理のない働き方をして行けるようにしてください。
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