著作者

林みずほ

現役看護師

林みずほ

( 看護師 )

余命を告知された患者への看護師の接し方について

林みずほ
現役看護師林みずほ
余命を告知された患者への看護師

病と闘う患者は常に死を意識しつつも、その苦悩を表出することは多くありません。

しかし、明確な死亡時期を医師から告げられることによって、一気に死が現実のものとなり、目を背けるわけにはいかなくなります。

余命という死亡時期を告知されたばかりの患者や、その家族と関わっていかなければいけないのも、看護師としての宿命です

このページでは、余命を告知された患者や家族と関わるうえで、看護師の重要なポイントをまとめました。

1.余命を告知されたばかりの患者に接する際のポイント

余命を告知されたばかりの患者
まずは、死の受容段階を理解することが大切です。

最も有名なのが、エリザベス・キューブラー・ロスの5段階モデル(死の受容モデル)です。

  1. 否認
  2. 怒り
  3. 取引
  4. 抑うつ
  5. 受容

上記の5段階となっています。

しかし、現場で経験を積んだ看護師なら分かることですが、余命を告知された患者が、すべてにおいてこの段階に当てはまるかというとそうとも限りません。各段階を行き来する患者もいます。

このような受容の段階があるということを念頭に置きながら看護にあたると、看護師として患者のことが理解しやすくなります。

 

余命を告知されたばかりの患者は混乱している

余命を告知されたばかりの患者は、受容段階の第一段階である「否認」の段階にいます。

「なぜ自分が?まさか嘘だろう?そんなことは信じない。」というような心境であることが多々あります。

「余命」という死の現実を突きつけられた患者は、とにかくその現実が認められず、心理的には混乱していることが多くなります。態度や言動に表れていなくてもそういった段階にいるということを忘れてはいけません。

 

患者と関わるときの2つのポイント

看護師として、余命を告知されたばかりの患者への関わるときのポイントを2つお伝えいたします。

 

(1)むやみに患者へ声をかけないこと

実際にそういった患者と関わるときのポイントは、むやみに声をかけずそっと見守ることが大切です。ナーバスになっている状態の患者にやたらとポジティブな声掛けや逆にネガティブな声掛けは余計な混乱を招きかねません

看護師として、相手が話し始めるのを待つことも大切です。

 

(2)非言語的コミュニケーションの使用する

コミュニケーションは言葉だけではありません。

  • 目を見て話すこと
  • 話を聞くこと
  • きちんと相槌を打つこと
  • 穏やかな声で話すこと

など、言葉以外で自分は患者の味方であることを伝える、非言語的コミュニケーションを行うことが大切です。

 

2.余命を告知された患者家族に接する際のポイント

余命を告知された患者家族
当たり前ですが、患者同様に家族も混乱しています。

患者とのかかわりが深い立場の家族にとって、余命の告知には2重の苦悩があります。

  • 家族である患者の死期を受け入れること
  • 死を間近に控えた患者本人を支えていかなければいけないこと

この2つです。

そのため、以下で患者家族に接する際のポイントについて説明していきます。

 

看護師は患者家族を支える気持ちで接することが大切

大切な家族の死期が近いことと、患者本人を支えなければいけない家族の負担はかなり大きくなります。もちろん、自らの死期を受け入れなければいけない患者本人も、非常に辛い思いを抱えているのには変わりありません。

そのため、看護師は必ず、患者だけではなく家族をまとめてケアすることが大切になります。

 

看護師が介入できる適切な時期を見計らう

余命を告知されたばかりの患者の家族に接する際に重要なことは、患者本人に関わるときのポイントと同様に、患者家族へもむやみに声をかけないことです。

混乱が落ち着けば、いずれは患者家族からサポートを願う場面が訪れます。看護師としてここぞというタイミングで介入できるよう、その時を待ちながら今後必要となる情報提供などの準備をしておきます。

 

3.看護師が患者・家族と信頼関係を築いていくためには

患者との信頼関係
患者や家族が、どのようなことで悩んでいるのかを聞き出すことで適切なケアができます。そのためには十分な時間が必要となります。

注意点としては、以下の通りです。

  • 決して焦らないこと
  • 勝手な思い込みで動かないこと

焦りは禁物になります。看護師が勝手な思い込みで動くと患者や家族の心は離れてしまいます

 

ただ聞くことだけでも大事な看護

患者や家族が抱えている苦しみや怒りなどを、ただ聞くだけということも大事な看護なのです。

時として患者や家族は医師には言えないような悩みも看護師に話してくれることがあります。そういったことを聞き出すことが今後の有効なケアに繋がります。

 

聞くことしかできないと悩む必要はない

「聞くことしかできない」と思い悩む看護師は多いのですが、その「聞く」ことが看護に繋がっているのです。今は聞くことしかできなくても、信頼関係を築く上では大切な時間であります。

 

安心感を与えることで信頼関係が構築できる

忙しい時間の中でも患者や家族と目線をあわせてじっくり話を聞くことは相手に安心感を与えます。「あの人は話をちゃんと聞いてくれる看護師だ」ということがわかると、患者やその家族は悩みを話しやすくなるのです。

余命を告知されたばかりの患者や家族はとにかく混乱していることが多いので、そういったときに安心感を与えられることは後の看護にも大きく影響します。

 

まとめ

余命を告知されたばかりの患者や家族はナーバスな状態であり、看護師としてどう接していいのか悩む人はたくさんいます

どういった声をかけたらいいのかわからない、という悩みや疑問が多く聞かれますが、この時期には無駄な声掛けは必要がないこと、言葉よりも大切な非言語的コミュニケーションを活用することのほうに重きを置きましょう。

まずは、きちんと患者の話を聞き、患者や家族がどのように余命告知を受け止めているのかを知ることが大切です。

 

最後までご確認いただきましてありがとうございました。

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看護学校卒業後、某有名企業が運営する病院へ就職。その後地元へUターン。
結婚・妊娠・出産・離婚という怒涛のような20代をおくり、転職ラッシュな30代を走り抜け、ようやく安定の40代を迎えることができました。
趣味はライブと旅行とダイビング。酒とロックと煙草をこよなく愛す不良看護師です。
総合病院で勤務する傍ら、現在は執筆活動に邁進中。
看護師歴20年の知識と経験・私の失敗を活かしつつ、若い世代にいろいろ伝えていきたいと思っております。


カテゴリー:患者への看護知識


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この記事を書いた人:林みずほ
(公開日:)(編集日::2017年04月28日)

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