著作者

小平 希

正看護師

小平 希

( 保健師 海外の看護師)

初めての方へ!プリセプター看護師の役割・指導方法・目標設定を解説。

小平 希
正看護師 小平 希
リセプター看護師の役割・指導方法・目標設定

新年度になり、今年から初めてプリセプターになった看護師や新人教育担当係りになった看護師もいるのではないでしょうか。

今回はプリセプター看護師の役割と目標設定について話していきます。新人教育に関わっている看護師にぜひ読んでもらいたい内容です。

1.プリセプター制度とは

プリセプター制度とは

プリセプター制度とは、プリセプターシップとも呼ばれ、厚生労働省の新人看護師研修ガイドラインによると、

プリセプターシップとは新人看護職員1人に対して決められた経験のある先輩看護職員(プリセプター)がマンツーマン(同じ勤務を一緒に行う)で、ある一定期間新人研修を担当する方法(新人看護職員研修ガイドラインより)

と定義されています。

また、プリセプターという用語は、教授者、教師を意味する英語「Preceptor」に由来しています。

 

プリセプター制度とその他の新人教育体制

プリセプター制度とはプリセプティ(新人)1人に対してプリセプター(先輩看護師)が1人つき、通常は1年間支援する制度です。

以下のように、新人教育体制はプリセプター以外に新人看護師の教育方法があります。

 

【その他の新人看護師教育制度】

  • チューターシップ:
    各新人に決まった相談相手(チューター)を配置し、学習方法、悩みごとなどの精神面、生活面など広範囲にわたり相談や支援を行います
  • メンターシップ:
    メンターは新人を援助、指導、助言を行い相談に乗る役割です。通常は直接的な実施指導ではなく、支援者的役割をしています
  • チーム支援型:
    特定の指導係を置くのではなく、チーム全体で新人を教育・支援する方法です

 

ほとんどの病院がプリセプター制度を採用

病院の募集や看護師転職サイトの求人を見ていると、ほとんどの病院で新人教育体制にはプリセプター制度が採用されています。

そのため、プリセプター制度が最も一般的に活用されている教育方法といえます。

個人的には一対一のプリセプター制度は、新人の離職防止に一番効果的だからではないかと考えます。

 

何年目くらいの看護師が一般的にプリセプターになる?

何年目くらいの看護師が一般的にプリセプターになる?

各病院、病棟によって異なりますが、プリセプターとなるのは3年目から5年目看護師が多いようです。

看護師として自立し、かつ新人と年齢が近く、新人にとって相談しやすい相手となるのが3から5年目看護師と言えるでしょう。

【体験談】プリセプターの看護歴について

私の病棟では同じ時期に私を含めて3人の新人がそれぞれプリセプターを持ちました。1人は4年目看護師、2人目は5年目看護師、私は10年目看護師と、かなりばらつきがありました。

当時、私の病棟には3年目看護師がおらず、このような配属になったようです。

私のプリセプターだった10年目看護師は幼稚園児の母親だったため、勤務後は子供の迎えのためすぐに帰ってしまい、勤務後に話せる時間があまりありませんでした。できればプリセプターは年齢が近く、同じような環境の看護師が適していると言えるでしょう。

 

2.プリセプター看護師の役割とは?

プリセプター看護師の役割とは?

厚生労働省はプリセプターの役割について、

プリセプターは自分の担当する患者の看護ケアを、担当の新人看護職員(プリセプティ) とともに提供しながら、仕事を通してアセスメント、看護技術、対人関係、医療や看護サービスを提供する仕組み、看護職としての自己管理、就業諸規則など、広範囲にわたって 手本を示す(新人看護職員研修ガイドラインより)

とされています。

プリセプター看護師に役割は様々ですが、新人を育てる看護師とってよいでしょう。

細かいプリセプターの役割を私の実体験から紹介します。

 

新人看護師の職場への適応を促す役割

新人看護師の職場への適応を促す役割

初めてのプリセプターとしての役割は、新人看護師の職場への適応を促すことです。

初めての就職で今までの大学生活とは全く違った環境にいきなり放り込まれた新人看護師は、すべてのことがとても新鮮であり、適応するまではストレスであり、特に新しい職場での人間関係はどんな人でも緊張するものです。

そのため配属された病棟で、年齢が近いプリセプターは新人看護師がどんなことで困っているか想像がしやすいので、その分サポートもしやすいのです。

 

職場へ適応してもらうためのサポート例

例えば、新人がリーダー看護師に声をかけにくそうだというのをプリセプターは察知し、

「一緒にリーダーに聞きに行ってみようか。」「今日のリーダーさんはとても話しやすい人だから大丈夫だよ。1人で聞きに行ってごらん。何かあったら私にいつでも聞きに戻ってきもいいよ。」と言ってあげる。

小さなことですが、このような積み重ねが、新人が病棟の先輩看護師たちに上手く馴染んでいけるポイントなのです。

はじめに声をかける時は、緊張しますよね。

その時に、プリセプターが新人のそばにいてあげるだけでも新人はかなり楽に感じるでしょう。

 

新人看護師の精神面への支援を行う役割

新人看護師の精神面への支援を行う役割

プリセプターの一番の役割と言っても良いのが、プリセプティの精神面への支援です。

新人看護師はどうしても仕事に慣れないことや、先輩に指摘を受けたことで「自分は看護師に向いていないのではないか・・・。」と思ってしまいます。

新人看護師が直接口に出さなくても、プリセプターは新人看護師のしぐさや表情がなんとなくいつもと違うのは毎日一緒に働いているので気付きます。

その時にプリセプターから「どうしたの。今日はいつもよりも積極的じゃないね。何かあった?」「仕事の後にご飯でも行く?」など話を聞いてあげる場を持ちましょう。

大したことではなくても、新人は自分が落ち込んでいることをプリセプターが気づいて、心配してもらえたことはとても嬉しいものです。

 

補足説明!

ポイント

特に、初めてのインシデントがあった時は、新人はとてもショックです。フォローするときはインシデントの内容自体を話すのもいいですが、新人がどう感じたかという感情部分にフォーカスして話を聞いてあげましょう。

 

新人看護師の技術的な指導を担う役割

新人看護師の技術的な指導を担う役割

新人と一緒にケアに入ることが多いプリセプターですが、教育担当係やリーダーだけでなく、プリセプターも看護技術の指導を行います。

技術を指導するときは、まず新人の理解度を把握し、その新人にあったレベルで進めていきましょう。

 

言葉で説明せず実技を示し、評価してあげること

言葉で説明するだけではなく、実技を示すことが大切です。

また、新人にも実際に技術を施行してもらい、終わった後に必ず評価をしてあげましょう。

新人は自分がどのくらいできたか知り合いものであり、プラスの評価をもらうと次回も頑張ろうと前向きになることができます。

もちろん、プリセプターが技術に不安がある場合は先輩看護師にケアに入ってもらい、新人と一緒に学ぶこともいいでしょう。誰でも最初は未熟であり、練習して習得していくものだと示すことができます。

 

新人から頼られるお姉さん的な存在

新人から頼られるお姉さん的な存在

プリセプターは、新人と年齢が近い場合が多く、病棟内で一番信頼できる、「お姉さん的な存在」でいることが大事な役割です。

新人にとって、初めての就職、看護業務、医師など他の医療従事者との関わりなど分からないことだらけです。

それを一つ一つ教えてあげるのがプリセプターです。

 

上司から注意を受けるのもプリセプターの役目

プリセプターがどんなに厳しくしようと甘やかそうと、プリセプティが何かミスをしてしまった場合、上司はプリセプターに注意をしてきます。

それは、プリセプターとしての教育でもあり、振り返りを行いながら教育をしていきましょう。

 

3.プリセプターが押さえるべき指導方法について

プリセプターが押さえるべき指導方法

新人看護師(プリセプティ)を指導する際に、押さえておきたい指導方法について6つご紹介します。

 

(1)新人の現在の能力を把握すること

新人の現在の能力を把握すること

新人看護師が「いまの時点でどのくらい看護業務を理解しているか」「実践できているのか」を確認しましょう。

技術チェックリストは便利な評価方法の一つです。

どの項目が達成でき、どの項目が達成できていないかをプリセプターは把握し日々の指導に生かしましょう。

【体験談】技術チェックリストの活用

私の職場では、病院全体と病棟ごとの技術チェックリストの2種類がありました。

病院全体のチェックリストは感染予防や、基本的な看護技術で、病棟ごとはその病棟の専門的な看護技術のリストになっていました。私の病棟は整形外科と消化器外科の混合病棟であったため、病棟のチェックリストを埋めるのに時間がかかりました。

 

(2)新人が自ら考えられるように促すこと

新人が自ら考えられるように促すこと

新人看護師で居られるのは1年間だけです。

その1年で、できるだけ自立した看護師になってもらいたいので、プリセプターは全てを与えるのではなく、新人看護師が自ら考えられるような行動を促す関わりが必要です。

例えば、

  • なぜ自分の患者はこの点滴補液を使っているのか
  • 患者の血液データから言えることは
  • 既往歴で腎臓に問題がないか

など、少しヒントを与えて、答えは新人看護師に考えてもらうのです。

新人が調べても分からないといってきた場合は、調べかたが十分でなかった可能性があるので、どうやって調べたかを確認し、一緒に調べ方から行ってみるのもいいでしょう。

 

(3)他の新人と比べないこと

他の新人と比べないこと

同じ病棟に2人以上の新人看護師がいた場合は、どうしても比べられる対象になってしまいます。

私は他人(他のプリセプティ)と比べることに意味はないと考えています。

新人看護師が過去の自分と比べて、どう成長しているかが大切なのです。

私は自分の新人時代に、私の同期が先輩から悪気はなかったようですが「他の新人が〇〇(看護技術)ができるようになったのにね」と言われ、傷ついていました。

先輩の一言で、新人看護師は自信とやる気をなくしてしまいます。

 

(4)プリセプティと信頼関係を築くこと

プリセプティと信頼関係を築くこと

プリセプターとして大事なことは、プリセプティとの信頼関係です。

その信頼関係を築くための大切なポイントは4つになります。

  • プリセプティの能力に合わせてステップを明確にしてあげること
  • 一緒に成長する姿勢を見せてプリセプティに寄り添うこと
  • プリセプティのことを誰よりも見てあげること
  • プリセプターがプリセプティの話を聞ける相手になること

などを行うことで信頼関係を築きやすいといえます。役割と一緒の部分もありますが、指導には信頼関係をいかに築いていくか考えてみましょう。

プリセプティの不安を取り除き、自信をつけ、確実に育てるためにはプリセプターの存在はとても大きなものです。

 

(5)「振り返り」での指導方法と注意点

「振り返り」での指導方法と注意点

振り返りは、その経験に対して、新人看護師(プリセプティ)が自分の気持ちを表出する場です。

プリセプターは常に聞き役となり、新人がどう感じたか、どうしたら良かったのかという振り返りが自分でできるように促してあげると良いでしょう。

 

分からない事は新人看護師だけに任せず、一緒に調べてあげること

振り返りの中で、不安な看護技術や知識があれば、その場で一緒に調べてあげましょう。

「後で調べておいて。」というのは簡単ですが、新人は宿題が多くなり、仕事後に勉強しなければならないと、知らない間にどんどん負担になっていきます。

一緒に問題解決をする事で「調べればすぐに分かるという事」、「知らないという事は誰にでもあるのでストレスにしないという事」を伝えましょう。

 

(6)その他指導でプリセプターが注意すべきこと

その他指導でプリセプターが注意すべきこと

一番注意しなければいけないことは、自分の仕事とプリセプティへの指導にストレスが募ることもありますが、厳しく教育をしすぎないことが大切です。

過剰に厳しすぎる指導では、良い看護師は育ちません。

 

指導に気持ちを入れすぎないように注意する

プリセプターを任される看護師は、共通して責任感が強い、または仕事ができるタイプの看護師が多いです。

そのため、プリセプティに気持ちが入りすぎてしまい、に「私が責任を持ってこの新人を育てあげなければ!」と気持ちが入り、空回りする事態になりやすいです。

決してプリセプターの看護師1人でプリセプティを育て上げるわけではありません。

周囲の看護師と協力もしながら指導していきましょう。

 

4.プリセプター自身の目標設定の方法と例

プリセプター自身の目標設定の方法と例

ここではプリセプターとプリセプティ(新人)それぞれの目標設定についてお話しします。なかなか分かりにくい目標設定の方法ですが、ポイントに絞り説明していきます。

私の病棟ではプリセプターの上にアソシエイト(シニアプリセプター)という5年目以上の先輩看護師が付き、新人と私の両方をサポートしてくれました。目標設定の立て方についても指導を受けることができました。

病院によって、新人教育体制は若干異なるため、自分の病院の体制を理解してみましょう。

自分の病院の看護部の教育目標、病棟の教育目標などを参考に、プリセプター自身の目標を立ててみましょう。

 

プリセプターの「月間」の目標設定方法と例

プリセプター自身の目標の具体例を挙げてみました。

1ヶ月目(4月) 新人が分からないことは毎日メモに書いてもらい、勤務が同じ日に確認して解決する
4ヶ月目(7月) 新人が病院全体の技術チェックを80%埋められるように毎日勤務の終わりにチェックリストを確認する

1ヶ月目の目標設定の補足

1か月目は新人にとって新しい環境に慣れることに必死な時期です。不安や疑問がどんどん湧いてくるでしょう。その不安や疑問をその時だけにしないで、できるだけ解決してあげましょう。

そうすることで、翌日の勤務は前日よりも少し自信がつきます。その積み重ねが自立した看護師を育てるのです。

 

4か月目の目標設定の補足

できていない技術はいつできるかリーダーと相談し、その技術を積極的に新人が入れるように考慮してもらう。

4か月目は少しずつ看護業務に慣れ、インシデントが起こり始める時期でもあります。

プリセプターは新人に看護技術をどんどん覚えてもらいたいという気持ちと、新人が一人でやったことがミスにつながるのではないかという不安もあります。技術チェックを確実にすることでインシデントを防ぐ対策の一つになります。

 

プリセプターの「年間」の目標設定方法と例

プリセプターの「年間」の目標設定方法と例

年間の目標は最終的に1年後にプリセプターとしてどう新人看護師に関わり、どのような新人看護師の変化を期待するかに焦点を当て、評価できるものにしましょう。

例として、

  • プリセプターが自信を持ち、自立した看護が行える
  • 夜勤業務を行えるようになる
  • 入院患者・オペ後の患者の受け持ちができる
  • 新人の悩みや相談を受け、新人が辞めないで1年間過ごせる

などになります。

 

プリセプターの目標設定のポイント

プリセプター自身の目標設定のポイントとしては以下の4つです。

  1. プリセプターの役割に合っているか
  2. 前向きな目標になっているか
  3. 具体的な目標になっているか
  4. すぐに行動可能な目標になっているか

など、現在目標を立てているプリセプターも一度チェックしてみましょう。

 

5.まとめ

以上の内容からプリセプター看護師の役割と、目標設定について理解できたでしょうか。

初めてプリセプターを行う看護師の方は、経験を通して教育の難しさを学び、先輩看護師達の思いを汲むことができるようになり、病棟運営の実態も見えるようになっていきます。

1年後の自分と新人看護師の成長ぶりを楽しみに、プリセプター制度を活用していきましょう。

記事の内容に関しては、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用をお願いいたします。


日本で看護師として3年間総合病院で働き、海外に住みたい夢を叶えるためオーストラリアに看護留学へ。2017年に念願のオーストラリアの正看護師になりました。日本の看護の良さを海外にもっと広めていきたいと思っています。海外看護師、海外医療に関する記事を中心に書いていきます。

看護師としての経歴

保有資格 ・正看護師・保健師
出身/年齢 ・群馬県/30歳・現在海外在中
職務経験 ・総合病院
診療科経験 ・整形外科・消化器外科・内科・腎臓内科・腫瘍内科
・デイサービス ・訪問入浴・イベントナース・検診車・旅行添乗ナース

看護師転職サイトの口コミ評価

カテゴリー:看護師の実情

(公開日:)(編集日::2018年05月08日)

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