脳卒中の疾患が増加していることに伴い、回復期リハビリテーション病院の需要がますます高まっている昨今。特にお母さん看護師が働きやすい環境を整えているところが多い回復期リハビリテーション病院はお母さん看護師から支持を集めています。
しかし、支持を集めているというだけではなく、もちろん嫌われる部分、悪い点だって存在します。今回は、回復期リハビリテーション病院で働くことについての良い点、悪い点をお伝えしていきます。
1.回復期リハビリテーション病院で働くことの良い点は?
2.回復期リハビリテーション病院で働くことの悪い点は?
3.回復期リハビリテーション病院に向いている看護師
4.回復期リハビリテーション病院に向いていない看護師
5.回復期リハビリテーションの患者あるある
6.まとめ
1.回復期リハビリテーション病院で働くことの良い点は?

それでは、回復期リハビリテーション病院で働く上での良い点とはいったい何なのでしょうか。冒頭でもお話ししたように、母親業をしながら働く看護師に人気があるということが大きなポイントとなってくるかと思います。
どのようなところがお母さん看護師に人気があり、また、良い点となるのでしょうか。
ほぼ定時で終業でき、残業がない
回復期リハビリテーションの病院はやはり状態が安定している患者が多いため、急変などのリスクはかなり少ないです。そのため、記録物や看護の仕事による残業は他の診療科同様にあるものの、急変対応や急な薬剤の変更、追加といったことによる残業はまずありません。
そのため、効率よく仕事がこなせればほぼ残業なしで上がれると言っても良いでしょう。
ポイント!

リハビリテーション病院では扶養内のパート看護師や時短勤務希望看護師を積極的に雇っているところも多く、そういった看護師に外回り業務(受け持ちはせずひたすらケアをする)を任せているところが多いです。そのため、受け持ちをしない外回り業務の看護師はほとんど残業なしで帰宅ができます。
急な休みや早退にも対応できる
特にお子さんがいる看護師だと、急に子どもの体調が悪くなって休まなければならなくなった!でも急に休んでしまうと、みんなに申し訳ないと葛藤しながら休みを取っている方が多いのではないでしょうか。
回復期リハビリテーション病院は、現在、新しくオープンする病院が増えてきていることから、人材の確保に積極的になっています。そのため、一般的な病院に比べて割と人員が確保できている病院が多くなっています。
急な子ども体調不良等で欠勤をしてしまっても、その穴を柔軟に埋めてくれるため、精神的な負担を感じることなく、休みが取れるのも回復期病棟ならではの利点になるのではないかと思います。
夜勤の精神的な負担が少ない
病院で働くうえで、避けては通れないのが夜勤業務。そして、夜になると昼間とはまた違う忙しさ、豹変をする人が多くなるのが夜勤のつらさにもなります。まず、回復期リハビリテーション病院は夜に点滴を変えるというような医療行為がありません。それに加えて、回復期リハビリテーション病院に来る患者さんは皆、他の病院で急性期治療を受けてから転院してくる方がほとんどです。
そのため、病院慣れもしている上に、日中のリハビリでの疲労があるからか、夜間はぐっすりと眠ってくれる人がほとんどであるため、夜は静かに過ごすことができます。したがって、一般病院のように、夜間起きて暴れてはいないかなどといった心配もなく、夜の勤務時間を過ごすことができます。
ポイント!

症状が安定している、治療内容の変更などが無い、急変のリスクが少ないという3点のため他の診療科に比べれば夜勤は楽です。患者がみんな寝静まってくれれば、点滴交換や排液の処理などすることは早々ありませんので、ゆっくり過ごすことができます。
いろいろな職種のスタッフと親しくなる
回復期リハビリテーション病院の特徴としては、他の診療科よりも他職種のスタッフと密にコミュニケーションをとることです。
リハビリスタッフはもちろんのこと、ソーシャルワーカーやケアマネジャー、介護福祉士などたくさんのスタッフと常にコミュニケーションをとります。
診療科によっては医師と看護師だけで事足りるところが多い一方、完治で退院するのではなく自分の身体と向き合いながら在宅生活を送っていかなければならないという患者が多いため、他の診療科のスタッフの協力が無いと成り立ちません。
ポイント!

他の診療科からきた看護師からすると「こんなに毎日いろんな人と喋るのか」と少々驚かれることが多いのですが、慣れてくると逆にいろんな職種と話をしないと患者が理解できなくて不安となるようになります。また、いろんな職種と話すことでいろんな分野の知識がつくため、最終的に自分の成長にもつながります。
2.回復期リハビリテーション病院で働くことの悪い点は?

良い点だけ見ていると、子育てやプライベートが充実できるという印象になりますが、やはり職場である以上、悪い点も存在します。それでは回復期リハビリテーション病院で働くことの悪い点とはいったいどのようなものなのでしょうか。
力仕事が比較的多く、身体への負担が大きい
リハビリの時期である患者さんがほとんどであるため、多少のことは自分でやろうとしてくれますが、やはり四肢に障害がなく、自分で動くことができる一般病棟の患者さんとは違い、手伝いを必要とする場面が多くなります。
そのため、車いすに乗せる、立たせるなどの大きな動作の介助や装具を着けるなどといった介助が必要となることが多く、力を要することが多くなります。特に、リハビリ病棟に入院する患者さんは、比較的身体が大きく、重量もある方が多い傾向にあります。
ポイント!

若い看護師ならまだ、体力的にも、力的にも難なくこなせる仕事ではありますが、経験年数の高い看護師や妊婦の看護師では、力的にも姿勢的にも負担が生じます。そういった理由から、仕事を続けていくうえで、腰痛の悪化、関節痛によって継続困難となり辞めていく看護師が多くいるのが現状です。
夜勤の看護師数に不安を感じる
一般病棟であると、看護師3人で夜勤を回すところがほとんどとなりますが、回復期リハビリテーション病院では、看護師2人、介護士もしくはヘルパー(今でいう介護所職員初任者研修修了者)との3人での勤務になります。そのため、1人の看護師が休憩中は、自分が全ての看護師業務を遂行しなければなりません。
このことが負担となり、夜勤から遠ざかってしまうという看護師もいます。
夜勤を避ける看護師が多い
特に、回復期リハビリテーション病院では夜間の転倒が特に多いため、介護職員との2人だけになる時間に転倒などがあった場合には、1人で医療的な対応をすることが不安であるという看護師も多いことも回復期リハビリテーション病院での夜勤を避ける人が多い一因となっているのではないでしょうか。
看護技術が向上できない
前述してきたように、回復期リハビリテーション病院はリハビリを目的として入院する医療施設です。そのため、高度な医療処置はせず、救急病院へ搬送するため、看護師が行う医療的行為はバイタル測定や経管栄養注入、点滴や採血、吸引といった程度となります。
こういった理由から、今後、総合病院や大学病院、または一般病棟での勤務を検討されている方は、医療技術の向上が見込めないため、転職した際に不利となる可能性が高くなります。
ポイント!

知識に関しても、リハビリ分野という特化された分野での知識となるため、今後、リハビリの分野、脳卒中の分野以外への転職を検討している場合は、転職後に少々ブランクを感じてしまうこともあり得ます。
3.回復期リハビリテーション病院に向いている看護師
実際に回復期リハビリテーション病院やそのほかの医療現場を見たうえで、回復期リハビリテーション病院でぜひ働いてほしいというお勧めしたい看護師の特徴をご紹介します。
将来ケアマネジャーの資格取得を考えている
回復期リハビリテーション病院では他の診療科よりも退院後も何かしらの援助を受けながら生活していくという人がほとんどで、入院時から退院後の生活、特に在宅で暮らしていくためのサービスの利用の仕方を考えていかなければならない場合が多くなります。
そのため、介護認定や、各種サービス関係の知識がかなりつきます。将来ケアマネジャーの資格取得を考えている看護師にはかなり学べる環境となるためお勧めです。
将来介護老人保健施設での勤務を考えている
回復期リハビリテーション病院で在宅への退院よりも多いのが介護老人保健施設への転院です。そのため、将来介護老人保健施設で働きたいと考えている看護師にとっては、介護老人保健施設に来る前の患者がどんな経過をたどっていたかが分かるためお勧めです。
患者の事情を知ることで信頼度も上がる
施設に来る前の実情をいろいろと知っているということで、回復期リハビリテーション病院を経由して介護老人保健施設の道へ進むと介護士やケアマネジャーからの信頼も厚くなります。老人看護の分野を極めたいということが明確になっている場合は、まず回復期リハビリテーション病院で一般病院と介護老人保健施設の間の患者の状態を勉強してみても良いでしょう。
ポイント!

実際に自分は介護老人保健施設に入職する前に回復期リハビリテーション病院を経験したことで急性期病棟にいた時にはわからなかった在宅での事情やサービスについてを学ぶことができ、その予備知識をもったまま介護老人保健施設へ就職したためかなり重宝されました。
4.回復期リハビリテーション病院に向いていない看護師
回復期リハビリテーション病院への入職をあまりお勧めできない、向いていない看護師についてご紹介します。あくまで参考程度に見て頂ければと思います。
経験年数が短い看護師
経験年数が極端に短い、看護師は実はあまりお勧めできません。
看護師転職を行う場合に転職エージェントは経験年数が短い職員が再就職するためのうってつけの場所として回復期リハビリテーション病院を推しますが、回復期リハビリテーション病院では医療行為が少ない上に急変などもあまりないため、医療的な技術を学ぶことができず、その次の看護師転職にかなり苦労する可能性があります。
ポイント!

何かあった時に助けてくれるような知識豊富な看護師も一般診療科に比べると決して多い方ではありません。そのため、自分1人で考えて動けるくらいの知識と技術を身に着けてからの入職をお勧めします。
経験している診療科が少ない看護師
経験年数は長いが経験している診療科が少ない場合にも回復期リハビリテーション病院は向いていないといえます。
その理由は回復期リハビリテーション病院では様々な診療科から転院してきた患者がいます。受け持ち患者が脳外科、整形外科、内科、消化器外科なんていうこともあり、どれだけ色々な診療科の患者を診れるかというのも回復期リハビリテーション病院で求められる看護師のポイントとなります。
そのため場合によっては経験年数が長いにも拘らず新人と同様の扱いをされてしまうということがあり得ます。
ポイント!

学びたいという姿勢で入職していれば問題ありませんが、「これだけ経験が長いのに新人扱いするなんて・・・」と不満に思うこともあるかもしれないため、お勧めできない看護師として挙げています。実際に経験年数が長いベテラン看護師であるのに、今まで見てきた診療科が少ないことから経験年数が浅い看護師と同等の扱いをされ、それが不満で退職したという例も見たことがあります。
腰痛持ちの看護師
回復期リハビリテーション病院で働き始めてから腰痛持ちになったという看護師も多くいます。何かと力仕事の多く初めから腰痛持ちであると、仕事がきちんと遂行できないということもあり得ます。
実際に回復期リハビリテーション病院での面接は他の診療科よりも腰痛持ちなど自身の身体について聞かれることが多いです。
5.回復期リハビリテーションの患者あるある
近年「回復期リハビリテーション病院って楽そう」という理由で回復期リハビリテーション病院の転職を選ぶ看護師が多いと聞きます。しかし、病院である以上大変さは他の診療科と同等、もしかしたらそれ以上かもしれません。
ここでは、その理由が分かるであろう回復期リハビリテーション病院で本当に合った患者あるあるをご紹介します。
ほぼすべての患者が転倒転落歴あり
回復期リハビリテーション病院という患者の性質上、ほぼすべての患者が転倒転落歴を持っています。そのため、ほぼすべての患者に何かしらの対策が講じられています。
特に回復期リハビリテーション病院へ転院したての患者では自分の状態を把握しきれていないのか、動けると思っているのか普通の診療科ではありえない、予測不可能な行動を起こす人も多いため常に患者に目を配っていなければなりません。
看護師への八つ当たりは日常茶飯事
障害の受容をしきれていない患者が多いため八つ当たりは日常茶飯事です。ご飯が上手に食べられなくてイライラしてご飯を投げられる、思い通りに動けないことにイライラして叩かれるなんていうこともよくあります。
上手に作業療法が進まないことにイライラした患者に作業療法で使っていたおはじきを投げられたことがあります。
自殺未遂を起こす患者が実は多い
障害の受容過程で、回復期というのは1番精神的にも鬱になりやすく自殺願望の出やすい時期とされています。そのため、精神的に鬱傾向となっている人が多いのも事実ですが、それもあってか自殺未遂を起こす患者が結構多いです。
特に、リハビリの成果が出て自力で動けるようになってきている患者ほど目を離したすきに…ということが多いです。
ポイント!

実際自分が目撃したのは、非常階段へ1人で移動してタオルを階段の手すりにかけて自殺を図ろうとしている人、携帯電話の充電器をベッドサイドのランプにかけて自殺を図ろうとしている人を見たことがあります。
これらのことから、患者の精神的なケアも回復期リハビリテーション病院で働く看護師には求められるものとなります。
6.まとめ
回復期リハビリテーション病院で働くということは自分のライフスタイル、今後の展望によっては良い点にも悪い点にもなります。
しかし、冒頭にもお話ししたように、リハビリの分野が今後益々注目されると予測されているため、回復期リハビリテーション病院で働くことは少なからずプラスの要素にはなってくれるのではないかと思います。今後の自分の看護観、ライフスタイルに合わせた働き方をしてみてはいかがでしょうか。
回復期リハビリテーション病院を次の転職先に検討している方はぜひ何か少しでもやりたいことを明確にして志を持って転職活動へ踏み出してください。
コメントを残す