著作者

くくる

男性看護師ライター

くくる

( 看護師 保健師 )

睡眠時無呼吸症候群・専門外来看護師の仕事内容とスキル

くくる
男性看護師ライターくくる
睡眠時無呼吸症校訓 専門外来

2003年2月に山陽新幹線の運転手が、居眠り運転したまま時速270kmのスピードで走り続けたという事故がありました。幸い新幹線は自動停止し、乗客に怪我もなく重大な事故に至らず事態は収束しました。後の検証で運転手は睡眠時無呼吸症候群と診断され、この病名が広く世に知られるひとつのきっかけとなりました。

実は私はこの事故が報道されたとき、ある病院の睡眠時無呼吸症候群専門外来で働いていました。すると事故の報道以降、睡眠時無呼吸症候群を心配して検査を希望する患者さんが急増したのをよく覚えています。

それから複数の病院で約10年間睡眠時無呼吸症候群の検査と治療に取り組んできました。そこから得られた、睡眠時無呼吸症候群の専門外来で、看護師が必要とする知識とスキルについて述べたいと思います。

 

1. 睡眠時無呼吸症候群の定義と現状

睡眠時無呼吸症候群の定義

睡眠時無呼吸症候群は英語で、Sleep Apnea Syndrome(SAS)と表記します。今後は本記事においてもSASと表記します。

 

SASの定義とは?

SASの定義について簡単に説明すると、睡眠中に呼吸が止まったり、喉の空気の流れが弱くなった状態が、1時間あたりで5回以上続く状態をSASと定義します。

また1時間あたりの平均回数が多ければ多いほど重症度も高くなります。症状としては、起床時の頭痛や頭重感、日中の過度の眠気や倦怠感、またベッドパートナーが、睡眠中のいびきや、無呼吸を認知することなどがあります。

 

SASの現状について

最近はSASについても広く一般に認知されており、検査を希望する患者さんもかなり増えています。

疫学的には、症状があっても検査を受けずに未治療の方も多いため、正確な罹患者数は把握できていませんが、ある報告によると症状を有するSAS患者は200万人、無症状の人も含めるとこの数倍はいるとされています。

 

SASを扱う診療科目

SASを扱う診療科は特に決まりはありません。SASのみの専門外来もありますが、多くは一般外来と併設されています。

主に耳鼻咽喉科や呼吸器科、循環器科などの医師がSAS外来も合わせて診ることが多いようです。外来スタッフは医師、看護師と、臨床検査技師、臨床工学技師が担当します。

SASの確定診断のためには原則、PSGと呼ばれる一泊での検査入院が必要となります。この検査を施行するために、また検査結果を解析するために、臨床検査技師が必要となります。

 

ポイント!

ポイント

解析の結果、SASの診断が下ると、治療のひとつとしてCPAP(シーパップ)と呼ばれる治療器具が貸し出されます。その機器の保守点検やデータ解析等は臨床工学技師が行います。

 

2. SAS外来における看護師の役割

SAS外来における看護師の役割

外来看護業務を長く続けている看護師でも、SAS外来を担当するとなると、どうしても敬遠する場合が多いようです。理由として、PSG、CPAP、AHIなどの専門用語と、睡眠の質や状態を表す各パラメーター値など、覚えることが非常に多いことがあげられます。

 

アドヒアランス工場のための指導を苦手と感じる看護師は多い

基本的に毎月来院するSAS患者に、過去1ヶ月の睡眠データをいっしょに確認しながら、アドヒアランス向上のために指導していきます。この指導について苦手と感じる看護師が多いようです。

生活習慣の指導や、術後の創傷管理等についての指導は慣れていますが、CPAPという機器の管理について、消耗品の管理について、またCPAPマスクのフィッティングについて指導するのは、これまでの看護師の経験からは学んでいないものが多いのが現状です。

 

3. SAS外来初診時の対応、PSG検査の準備

SAS外来初診時の対応

睡眠中のいびきや無呼吸を家族に指摘されて、あるいは仕事中の居眠りを上司に注意されたことをきっかけに、SAS外来を受診する方がいます。あるいはテレビの医療番組や講演会、雑誌、院内のポスターなどを見て心配になり相談にやってくる方がいます。

 

初診時のアセスメントで聞くこととは

初診時のアセスメントでは、一般的な既往歴や現病歴、家族暦などを聞きます。その他に睡眠習慣についての聞き取りや、ESS(Epworth sleepiness scale)と呼ばれる睡眠調査票を書いてもらいます。病院によってはレントゲンやMRIで顎の骨や鼻腔の通りを確認します。

しかし大事なのはSASに伴う自覚症状の有無をしっかり聞き取ることです。日中の眠気や起床時の頭痛といった随伴症状を問診表にしっかり反映させることが大事です。

 

SASの検査方法は大きく分けて二つある

またもうひとつ大事なのは、SASかどうか判断するためには、やはり検査をする以外ありません。検査は大きく分けて二つあり、自宅で睡眠中に簡易モニタリングをする方法と、病院へ一泊して、精密検査をする方法です。

 

PSG(終夜睡眠ポリグラフ)はSASの確定診断には必要不可欠

この精密検査をPSG(終夜睡眠ポリグラフ)といい、SASの確定診断には必要不可欠なものです。脳波や心電図、筋電図などを装着して練るだけの検査ですので、非侵襲的な検査であります。

しかし検査が夕方から朝までと時間の拘束が長いことや、検査料金も高く、患者さんにとってはどうしても躊躇してしまいがちな検査であります。自宅で出来る簡易検査もありますが、最終的な確定診断にはPSGが必要になります。

看護師は初診の患者さんに対して、SASの随伴症状の有無をしっかり聴取することと、病院がPSG実施可能な施設なら、ぜひPSGを勧めてください。

 

4. PSGの結果説明、CPAPの導入

PSGの結果説明

PSG検査が終わると、1~2週間ほどで結果が出ます。結果表には1時間あたりの無呼吸の平均回数(AHI)や無呼吸の最長時間、最低酸素飽和度などが記載されています。

主にAHIの数値で経過観察とするか、要治療とするか医師が決定します。結果説明は基本的には医師が行いますが、看護師は最低でもAHIの基準値は理解しておきたいところです。

 

CPAPについて

要治療と判断された患者に対しては、当日の夜からCPAPによる治療が開始されます。

CPAPとは鼻につけたマスクから強制的に空気を送り込み、気道にある一定の圧力をかけて常に気道を広げ、それにより睡眠中の呼吸を楽にする装置です。

 

看護師は患者に対して毎晩CPAPを装着するよう伝える

機器の説明については主に臨床工学技師が行います。看護師は患者に対して毎晩CPAPを装着すること、家族にも協力をお願いすること、何か気になることがあればいつでも病院に連絡するように伝えます。

多くの場合、装着したその日からいびきが軽減し、翌朝の頭痛の軽減や、スッキリ感を実感できます。

しかし最初の1週間はCPAP装着に関するコンプライアンスが最も低下しやすい時期です。可能なら貸し出し1週間後を目安に患者に電話して、使用に関する不具合がないか確認し、続けて使用できるように励ますことが、コンプライアンス向上に有効です。

 

CPAP治療は毎月来院し保険証を提示する必要がある

もうひとつ大事なのは、CPAP治療は通常の保険診療で行いますが、そのため毎月病院に来院し、保険証を提示することが必要であることを説明します。

病院によっては2~3カ月おきの来院でも良いとするところがありますので、それは病院の方針に従います。

しかしあまり来院間隔があきすぎると、コンプライアンス低下につながる恐れがありますので注意が必要です。

 

5. CPAP使用のアドヒアランス向上への指導

アドヒアランス向上への指導

CPAP使用中の患者が来院すると、CPAP内に蓄積されたデータを抽出し、使用日数、使用時間、平均AHIなどの数値を患者と一緒に確認します。

データの抽出方法として、以前はCPAP本体を持参してもらっていましたが、最近は本体内に記録用のSDカードが挿入されており、SDカードを外して病院に提出するという方法が主流となっています。

 

指導が機械的になってしまわないよう注意する

目標としては毎日4時間以上の使用を推奨します。しかし注意しなければならないのは、「毎日毎晩使いましょう、4時間以上使いましょう」と機械的な指導になってしまいがちになることです。

生活パターンは人それぞれです。交代性勤務や出張が多い方もいます。物理的なコンプライアンスをあげることだけに指導が集中すると、患者のモチベーション低下につながります。

患者のライフスタイルに合わせてCPAPの使用方法を提案します。夜間仕事をしているなら、日中にCPAPを使ってもかまいません。そして必ず、CPAPを使用することによって、いびきや、日中の眠気などの随伴症状がどう変化したか確認します。

 

アドヒアランスを向上させるために

CPAPの使用が症状の低下につながることを実感していただければ、それがアドヒアランスの向上につながるのです。

1日でも1時間でも多く使用するように励まし、続けて使用できるような環境を整えることが非常に大事です。

またアドヒアランスの低下につながる原因として、マスクの違和感が強い場合があります。これには慣れも必要です。最初の1週間をしっかり装着させること、そして慣れるのには数か月かかることを説明します。

 

ポイント!

ポイント

またマスクのサイズが合わない場合や、マスクを固定するベルトの締め付け具合などの要素も原因となります。必要なら定期的にマスクを持参してもらいフィッティング調整します。

 

6. SAS外来看護師が持っていると役立つ資格・スキル

SAS外来 看護師 役立つスキル

SAS外来を担当するに当たり、特に必要な資格はありません。しかし現在、一般社団法人日本睡眠教育機構が、睡眠健康指導士の養成と資格認定を行っています。これには初級、上級とあり、SAS外来に携わるすべてのスタッフが認定を受けるように推奨されています。

睡眠についての正しい知識を身につけ、良い睡眠が良い健康につながるということを人々に教えることが出来ます。機構のHPで試験日などを確認し、ぜひ初級から取得していただきたいです。

また可能なら、PSG検査を見学してみたり、解析方法について学ぶことも大切です。そうすることでPSGの結果説明により説得力が増します。

 

CPAPを実際に装着してみることでより患者の立場に立てる

またCPAPを実際装着してみることもお勧めします。

マスクをつけて眠ることの違和感、空気が気道に入ってくることの息苦しさ、手入れの必要性など、より患者の立場に立って指導することが出来るようになります。

 

まとめ

どの外来でもそうですが、SAS外来もかなり専門性の高さを要求されます。そのため敬遠する看護師も多いのも事実です。

しかし外科的な処置がないこと、急変時の対応がないこと、ほぼルーティンワークのみであることを考えれば、精神的な負担はかなり軽い業務だと思います。患者指導がメインとなりますので、覚える知識量は多いですが、やりがいも非常に大きいです。

日勤のみ、あるいは定時上がりを希望している看護師にとっては、とても最適な部署です。現在働いている病院にSAS外来がある場合、あるいは就業を検討している病院にSAS外来が設置されている場合は、ぜひ積極的に勤務を検討してみてください。


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この記事を書いた人

アラフォーの男性看護師です。国立大学の看護学科を卒業し、看護師と保健師を取得しました。卒後は脳外科病棟で急性期看護を学び、数回の転職を経て、現在は民間の総合病院で保健師として働いております。
看護師としてのキャリアアップと、ワークライフバランスとの両立に関心があります。妻と息子2人の4人家族で、焼肉とチョコレートが大好きです。


カテゴリー:看護師の実情

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この記事を書いた人:くくる
(公開日:)(編集日::2017年03月25日)

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