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「特定行為に係る看護師の研修制度」の知りたい情報をまとめ。

公開:、更新:2018年09月14日
「特定行為に係る看護師の研修制度」の知りたい情報をまとめ

専門看護師や認定看護師、診療看護師など看護の世界もどんどん細分化され、専門的な知識を持つ看護師が増えています。そんな中、2015年に保健師助産師看護師法(昭和23年制定)に手が加えられた「特定行為に係る研修制度」について皆さんはご存知でしょうか。

特定行為とは、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる行為のことで、現在38行為が特定行為として記載されています。(引用:厚生労働省/)

▼「38の特定行為の詳細はこちらのスライドから」
1 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
2 侵襲的陽圧換気の設定の変更
3 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
4 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
5 人工呼吸器からの離脱
6 気管カニューレの交換
7 一時的ペースメーカの操作及び管理
8 一時的ペースメーカリードの抜去
9 経皮的心肺補助装置の操作及び管理
10 大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整
11 心 のう ドレーンの抜去
12 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更
13 胸腔ドレーンの抜去
14 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された 穿せん刺針の抜針を含む。)
15 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
16 膀胱ろうカテーテルの交換
17 中心静脈カテーテルの抜去
18 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
19 じょく そう 又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
20 創傷に対する陰圧閉鎖療法
21 創部ドレーンの抜去
22 直接動脈 穿せん 刺法による採血
23 とう 骨動脈ラインの確保
24 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析  過器の操作及び管理
25 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
26 脱水症状に対する輸液による補正
27 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
28 インスリンの投与量の調整
29 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
30 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
31 持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
32 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
33 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
34 持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
35 抗けいれん剤の臨時の投与
36 抗精神病薬の臨時の投与
37 抗不安薬の臨時の投与
38 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整

(出典:厚生労働省/特定行為とは

2015年10月からはじまった「特定行為に係る研修制度」に関して、2018年4月時点で分かる情報をまとめています。「特定行為に係る研修制度」を受講しようか迷っている看護師の方は、是非確認してみてください。

1.「特定看護師」という資格は存在しない

特定看護師とは、おそらく造語となり、「特定行為に係る研修制度」を理由した看護師のことを指しています。

また、「特定行為に係る研修制度」は研修のため「資格」にあたるものではありません。

現在「特定看護師」という言葉は使われておらず、「特定行為に係る研修制度」普及のために使われていることに限ります

今まで医師にしかできなかった医療行為を「特定行為に係る看護師の研修制度」を受けることによって、38項目の特定行為を手順書により実施することが可能になる制度です。

  • 2014年6月:「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設
  • 2015年3月:制度の詳細が定められた省令および施行通知が発出
  • 2015年10月:研修制度の開始

以上の流れで現在「特定行為に係る看護師の研修制度」が実施されています。

また、「特定行為に係る看護師の研修制度」を創設した理由としては、厚生労働省が運営する「看護師の特定行為研修制度のポータルサイト」には、チーム医療の促進、看護師の役割をさらに発揮するために「特定行為に係る看護師の研修制度」を創設した趣旨となっています。

 

特定行為に係る看護師の研修制度に対する厚生労働省の目的

厚生労働省は「看護師の特定行為に係る指導者育成等事業」として、平成30年度の予算約6,885万円をかけており、平成29年度の2,154万円と比べると3倍以上の力を入れています。

厚生労働省の目的としては、

  • 2025年問題に向けて特定行為を行える看護師を計画的に養成するため
  • 効果的な指導を行える指導者や指導者リーダーの育成を図るため
  • 特定行為履修修了者や特定研修機関数の増加を図るため

などを目的にしており、2025年までに約10万人以上の養成を目指しています。

 

特定行為に関する手順書について

手順書は、医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として作成する文書(又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう)のことです。(改正後の法第37条の2第2項第2号、特定行為研修省令第3条関係)

特定行為に関する手順書例については「特定行為に係る手順書例集」を確認してください。

 

2.特定行為に係る看護師の研修制度について

特定行為研修については、厚生労働省から以下のような基本理念を通知しています。

チーム医療のキーパーソンである看護師が、患者・国民や、医師・歯科医師その他の医療スタッフから期待される役割を十分に担うため、医療安全に配慮し、在宅を含む医療現場において、高度な臨床実践能力を発揮できるよう、自己研鑽を継続する基盤を構築するものでなければならない。引用: 厚生労働省医政局長通知0317第1号(平成27年3月17日)

以下で、特定行為研修に関わる事項をまとめています。

受講を検討している看護師の方は是非確認してみましょう。

 

(1)研修を受けるための条件はあるの

特定行為研修を受けるための受講資格や条件に付いては、正看護師であることが条件の1つに挙げられます。

その他の項目としては、

  • 受講申請書(推薦書や実践活動報告など)
  • 履歴書

などが必要となるため、現在医療機関で働いている看護師を対象にしていることが分かります。(受講する機関によって内容は異なります。)

 

(2)研修にかかる期間(時間について)について

特定行為に係る看護師の研修については、38行為区分のどれを受講するかによって大きく異なります。

そのため、看護師によってさまざまですが、1年から2年程度かけて研修を受ける場合が多いです。研修にかかる時間については、以下を確認しましょう。

 

(3)特定行為に係る看護師の研修制度の研修科目について

特定行為研修については、共通科目と区分科目を受ける必要があります。

共通科目 ・全ての特定行為区分に共通するものの向上を図る研修
・計315時間以上
・臨床病態生理学、臨床推論、フィジカルアセスメント、臨床薬理学、疾病・臨床病態概論
医療安全学、特定行為実践
区分科目 ・特定行為区分ごとに異なるものの向上を図るための研修
・1区分15~72時間以上

(厚生労働省第33号:平成27年3月31日)

医療行為を行うためにはその技術だけではなく、医師の思考過程を学ばなければなりません。これは看護師のアセスメントや看護診断の考え方とは全く異なるものです。

 

(4)特定行為区分とは

先ほど説明した「38項目の特定行為」を21区分に分けたものになります。

▼区分の詳細はこちらのスライドから

(「灰色の部分」が区分になります。)

呼吸器(気道確保に係るもの)関連 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 侵襲的陽圧換気の設定の変更
非侵襲的陽圧換気の設定の変更
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
人工呼吸器からの離脱
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 気管カニューレの交換
循環器関連 一時的ペースメーカの操作及び管理
一時的ペースメーカリードの抜去
経皮的心肺補助装置の操作及び管理
大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整
心 のう ドレーン管理関連 心 のう ドレーンの抜去
胸腔ドレーン管理関連 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更
胸腔ドレーンの抜去
腹腔ドレーン管理関連 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された 穿せん刺針の抜針を含む。)
ろう孔管理関連 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
膀胱ろうカテーテルの交換
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 中心静脈カテーテルの抜去
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
創傷管理関連 じょく そう 又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
創傷に対する陰圧閉鎖療法
創部ドレーン管理関連 創部ドレーンの抜去
動脈血液ガス分析関連 直接動脈 穿せん 刺法による採血
とう 骨動脈ラインの確保
透析管理関連 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析  過器の操作及び管理
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
脱水症状に対する輸液による補正
感染に係る薬剤投与関連 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 インスリンの投与量の調整
術後 とう 痛管理関連 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
循環動態に係る薬剤投与関連 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
精神及び神経症状に係る薬剤投与関連 抗けいれん剤の臨時の投与
抗精神病薬の臨時の投与
抗不安薬の臨時の投与
皮膚損傷に係る薬剤投与関連 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整

参照:厚生労働省 特定区分とは

そのため、38項目の特定行為を科目として研修を受けるのではなく、21区分によって研修を受けることになります。区分によっては複数あるものがあり、「1区分15~72時間以上」という記載になります。

また、このような侵襲の大きな技術も医師の指示があれば看護師が行えるようになるのです。

逆を返せば看護師の責任問題が増えるということでもあります。これらの項目は今後、追加・修正されることもあります。

 

(5)特定行為研修を受講する研修機関について

特定行為研修を行う研修機関は主に、

  • 大学病院
  • 病院
  • 医療機関団体
  • 大学院・大学・短大

などになり、平成30年2月現在では34都道府県、69機関で受講することが可能です。

特定行為研修を行う指定研修期間の状況

厚生労働省の「看護師の特定行為研修を行う指定研修機関」を一覧を参照してください。

 

(6)特定行為研修にかかる費用について

特定行為研修にかかる費用については、受講する機関によって異なるため、上記で説明する機関へ費用の問い合わせが必要になります。

また受講期間や時間帯についても確認が必要になります。

 

実習以外はe-ラーニングで行える機関もある

指定研修期間の大学の1例では働きながら受講することを想定してプログラム作成されおり、試験や実習以外はe-ラーニングで行えるようになっています。早ければ受講開始1年で研修終了証がもらえます。

 

(7)特定行為研修後の活動事例について

特定行為研修後の活動事例(出典:日本看護協会 活動事例)

看護師が特定行為研修を受けた後の活動事例に関しては、日本看護協会が「協会ニュース」としてまとめています。

詳しくは「日本看護協会 活動事例」を参照にして下さい。

日本看護協会は主に、認定看護師や専門看護師に向けて特定行為研修を進めています。

 

3.特定行為研修制度に対する考えや意見について

医師の負担軽減や医師不足の地域への医療提供、超高齢化に向け在宅医療の推進などを目的に始まった制度ですが、これには反対する団体も少なくありません。

日本医師会や全日本民医連、日本医労連、日本麻酔科学会などが反対意見を出しています。

また、現役看護師からの意見も賛成派・反対派に分かれます。

特定行為研修制度については賛成か反対か

出典:m3.comより2016年12月10日(回答数は開業医148、勤務医562、看護師34、薬剤師210、その他の医療従事者35)

上記は2016年時のアンケート結果ですが、看護師の賛成派は71%と高いことが分かります。

 

賛成派・反対派の意見とは

賛成派の意見は以下の内容などがあります。

  • 「医師を待たなくて済む」
  • 「医師と円滑に協働できる」

反対派の意見は以下の二つの意見が主です。

  • 「医師不足の穴埋めを看護師がしなければいけないのはおかしい」
  • 「責任が重すぎる。今以上に現場を看護師任せにする光景が目に浮かぶ」

では実際に研修を受けた看護師はどのように思っているのでしょう。

 

研修を受けた看護師の意見

実際に研修を受けた看護師はどのように感じているのでしょうか。見ていきましょう。

  • 「患者さんの待ち時間が減り、スムーズな診療が行えるようになった」
  • 「医師の思考回路を理解することでその動きを予測してサポートできるようになった」
  • 「家族が受診するか迷ったときに的確なアドバイスができるようになった」
  • 「在宅医療の分野では真価を発揮できるのではないか」

などの意見があります。現場で早急にその必要性を感じている場合にはすぐに役立つものかもしれませんね。

 

4.まとめ

まだまだ始まったばかりの新しい試みなので、現場に定着するのかしないのかはわかりません。ただ2025年問題はもうそう遠い未来の話ではありません。国が対策を打ち出した今、特定行為のできる看護師が求められる場所はたくさんありそうです。

しかしこれは看護師だけにかかわる問題ではないため、医療業界全体がそのシステムをきちんと理解する必要があります。そして世間一般の人たちにも理解してもらう必要もあります。


こんにちは、看護師転職ジョブを運営しているスタッフのmasaです。
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