看護師が行う保健指導とは?仕事内容とメリット・デメリットについて

看護師が行う保健指導とは保健指導 仕事内容 メリット・デメリット

高齢社会に突入した日本にとって、いかに健康寿命を延ばしていくかということは重要な課題となっています。平均寿命が長くなったからといっても、寝たきり状態であったり、重度な疾病に罹っていたりということでは意味がありません。

健康に長生きできるようにと、いま取り組まれているのが、高齢者などを対象に行われている疾病の重症化予防のための健康指導および健康相談業務です。今回は高齢者を対象にした疾病の重症化予防を目的に行なわれる保健指導および健康相談業務についてお伝えしていきます。

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1.高齢社会を迎え今後期待される保健指導

高齢社会 期待 保健指導

生活習慣病が注目されるようになって、いわゆるメタボリックシンドロームへの対策として特定保健指導が行われるようになりました。訪問指導業務を請け負っている、雇い主側の企業の多くは特定保健指導も同時に行っています。特定保健指導はほとんどが企業に勤務する人を対象にしているのに対して、高齢者を対象に行われる保健指導および健康相談は企業に勤める社員の家族を対象に行われています。共に依頼主は企業ということになります。

 

看護師は疾病の重症化予防に携わる

疾病の重症化予防に対する指導は看護師と保健師が行いますが、特定保健指導については保健師と管理栄養士(栄養士)が基本的に行います。看護師が特定保健指導を実施することもありますが、その場合には過去に指導経験があるなどの条件が必要で、なおかつ指導経験を証明するための書類の提出が義務づけられています。

 

2.保健指導の特徴について

保健 訪問指導 特徴
業務の目的はもちろん病気の進行を予防することにあります。しかし、依頼主はあくまでも企業となるので、基本的には企業の要望に沿った内容で保健指導を行わなければなりません。私の経験からは、保健指導の目的としては企業の占める医療費の削減に向けたものが多いように感じました。依頼主となる企業は多数あるので、各企業の指導内容を十分に把握しなければなりません。

 

指導を行った分だけが報酬の対象となる

保健指導の仕事は業務委託という形態をとるため、指導を行った分だけが報酬の対象となります。保健指導は対象となる高齢者のご自宅に出向いて行います。対象の方のお住まいなどに関する基本的な情報については、所属する企業から提供してもらえので、その資料をみて対象者がどんな病気を持っているのか、既往歴や現在の健康状態はどうなのか、といったことのほか、家族の状況などについてもその資料をみることでわかります。

 

電話指導の場合は報酬が下がる

企業によっては電話での指導もOKという場合もあるので、その場合は電話で指導を行います。ただし、訪問する煩わしさはありませんが、電話支援の場合は報酬が下がって、通常の訪問の時の4分の1程度になります。
 

アポイントを取るのは一苦労

アポイントは自分で対象者に直接電話をかけて取らなければなりません。これが少し大変かも知れません。アポイントをとる時のポイントのひとつとしては、電話をかけるタイミングにあります。午前中がいい人もいれば、午後がいい人もいますので、そのあたりは対象者の生活パターンをつかんでかけることが重要です。高齢者といっても、みなさんいろいろ日替わりで病院に行ったり、地域の集まりに参加したりと忙しくされている方が少なくありません。

 

電話をかけてきてほしいタイミングは人それぞれ

何曜日にはどこに行くのかといったことを情報などから把握しておくとスムーズにいくようです。また、比較的若い方だと、平日は仕事をしているという人もいるので、そういう場合は土日がいいということもありますし、会社に電話をかけてほしいという人もいて、さまざまです。

 

ポイント!

ポイント

電話で訪問のアポイントが取れない場合は、報酬には至りません。そのため仕事の第一歩は、まずアポイントを取ることからはじまります。

 

アポイントがとれたら、仕事の半分は終わったようなもの

電話でお話ができたとしても、指導を拒否される場合も少なくありません。というのも、高齢者といっても若い人だと60代で、まだ元気に仕事をされている方もおられ、そういう場合は、健康指導といっても必要ないといって断られる方が結構いるからです。

何とか指導を受けてもらうよう必要性を説明して納得させるのも看護師としての腕のみせどころとなるわけです。アポイントを取るのは結構大変ですが、アポイントがとれたら、仕事の半分は終わったといっても過言ではありません。

 

3.保健指導は自分のペースで働ける仕事

保健 訪問指導 メリット

業務委託形態での仕事の一番いい点は、自分のペースで仕事を進めることができるということです。1週間に何件仕事を入れる(訪問する)のか、どの地域に出向くのかといったことについては、自分で調整して決めることができるので無理なく動け、家庭との両立も比較的やりやすいのではないかと思います。

 

アポイントが上手く取れれば必然的に報酬も増える

忙しい時には何十人も同時にアポ取りをしなければならないこともあるので、業務委託の仕事をする場合には、日程調整能力やスケジュール管理能力が必要になります。1日に何件か複数箇所訪問する場合には、比較的近くの対象者をまとめて訪問するようにするなど、ポイントをつかんでうまくアポが取れるようになれば、効率的な仕事が可能となります。そうなると必然的に報酬も増えていくことになります。

 

訪問場所が自宅から近ければ効率よく働ける

保健指導の仕事は基本的に1件につき1時間が原則で、帰宅後に報告書を作成して完了となります。自宅から直行直帰の仕事なので、訪問場所が自宅から近い場合は、非常に効率のよい仕事となります。一方、訪問場所が遠いと1日がかりとなることもあります。注意点としては、保健指導を完了するまでの期限が決められているので、その期限日までに終了しなければならないということです。

 

ポイント!

ポイント

期限日間近の人が多数重なってくると、どうしても精神的な負担が大きくなってしまうので、余裕をもって日程をスケジューリングするのがポイントです。

 

4.保健指導の内容

保健 訪問指導 実際 仕事内容

保健指導および健康相談業務で大切なことは、対象となる高齢者の方の現在の状況を把握して、最低限、現状を維持するための指導を行うことです。そのため、適切な医療が行われているかどうか確認しなければなりません。特に後期高齢者などでは、指示された薬を勝手な判断で中断していたり、受診しなければならないのに受診していなかったり、ということも稀ではありません。

特に薬については、手持ちの薬の量を確認することで、指示通りに飲んでいるのかどうか判断することができるので、忘れずに聞き取る必要があります。

 

自宅訪問時の確認事項(一例)

  • 病院に通う回数は適切か
  • 同じような疾患で重複して病院を受診していないか
  • 何科の病院に月に何回受診しているか
  • 処方されている薬は適切か(必要のない薬は処方されていないか)
  • 処方されている薬で重複しているものはないか。
  • 処方されている薬はきちんと服用しているか(飲み残しなどないか)

この他にも、企業によってさらに詳細に聞き取りを行わなければならないことがあったり、手渡す資料があったりすることがあります。また、業務委託という形態での仕事になるため、書類の保管は自宅になります。書類の保管に関しては決まりがあり、専用の保管場所に厳重に保管しなければなりません。 

 

進行性の疾患は適切な治療が行われているか要確認

進行性の疾患の場合などでは、決められた医療が行われていないと急速に病状が悪化してしまう危険があるので、その辺りの確認はとても重要になります。もし、必要な医療が行われていないことがわかれば、その時は雇い主である企業と依頼主である企業へ報告しなければなりません。
 

糖尿病や高血圧の指導が一番多い

指導は訪問時に聞き取りを行い、臨機応変に対応することが求められます。やはり多いのは糖尿病や高血圧でした。指導を行うにあたっては、指導の優先順位があるので、マニュアル通りに指導を行います。糖尿病の人であれば、血糖のコントロール、高血圧の人であれば、毎日の血圧測定とその値の記録など、対象者との話の中から必要な指導を自ら判断して行います。

 

健診結果を元に生活全般の指導を行っていく

健康診断を受けている人であれば、血液検査の結果などから食事を含めた生活全般の指導を行うこともあります。意外と多かったのが、コレステロール値を気にしている方でした。運動不足の人にはウォーキングを勧めたり、自宅でできるストレッチ運動を提案したりと、事前に提供されているパンフレットなども活用してアドバイスを行います。
 

健康に対する意識を高めてもらう対応が必要

高齢者は、健康に非常に関心を持っている人もいれば、全く関心のない人もいます。関心のある人は話をちゃんと聞いてくれますが、関心度の低い人はなかなか聞いてくれません。そういう方に対して、いかに意識を高めてもらうかといった工夫も看護師として必要となります。

 

5.訪問時の交通手段と訪問するにあたっての注意点

訪問時 交通手段
訪問はほとんどの場合、自家用車を使用します。公共機関を使ってもいいのですが、自家用車が便利です。1日に数件訪問する場合もありますし、訪問先によっては非常に田舎で公共交通網が発達していないところもあるからです。

 

自宅の場所は事前に十分調べておく

訪問するにあたっては、住所から訪問先を把握しなければなりません。昔は紙の地図を使って目的地を探していましたが、いまはスマホなどの地図検索機能を使って、簡単に探すことができるようになりました。

そのため、住所から目的地を探すのはさほど苦労しなくなりました。それでも、地図に載っていない辺鄙な場所もあるので、事前に十分に調べてから向かうことが必要です。

 

車を置く場所の確認

車を置く場所についても事前の確認が必要です。マンションなどでは路上駐車できないことがほとんどです。中にはマンション内に訪問客用の駐車スペースが確保されているところもあるので、車を止める場所については対象者に必ず確認しておくことが必要となります。駐車違反などをきられると報酬はマイナスになってしまいます。 

 

車の事故に遭っても自己責任となる

自分の車を使用するので、保険などについても自分のものを使います。事故があれば全て自己責任で処理しなければなりません。業務委託なので、万が一事故などが起きても保証はありません。そのため、安全だけは十分に注意しなければなりません。

 

時間に余裕を持って出掛けること

地理に詳しくない地域に行くことが多いので、渋滞に合うかもしれませんし、道を間違えるかもしれません。時間は十分に余裕をもって出かけることをお勧めします。約束の時間に間に合わないとあせってしまって事故のもとになります。仕事とはいえ、まずは自分の身の安全を守ることが最優先事項です。

 

近所の喫茶店やファミレスで会うのもアリです

対象者のご自宅に訪問するにあたっては男性のひとり暮らしという方の場合もあります。いくら高齢者といっても、男性宅にひとりで訪問するのはちょっと・・・と思うこともあるでしょう。そういう時は、自宅ではなく、近所の喫茶店とか、ファミレスなどでお会いするといいでしょう。その辺はあまり遠慮せずに、自分の意向を伝えて構わないと思います。私の場合は、対象者の方が気を遣って、自ら外で会うことを提案して下さいました。

 

6.保健指導のやりがいとは

保健 訪問指導 やりがい
訪問指導では、高齢者のお宅に伺うことが多く、訪問を楽しみにしている方も少なくありません。訪問を喜んでもらうと、やはりうれしいものです。おいしいお茶を入れて待っていてくれたり、お菓子を用意してくれていたりすると歓迎されていると感じます。

そんな中でコミュニケーションをとりながら、医療者として必要なアドバイスを行う訪問指導は相手の顔を直接みながらお話ができ、また反応をダイレクトに感じることができるので、楽しくもあり、やりがいも多いと思います。

 

心がホッと癒される瞬間がある

超スピードで移り変わる現代社会の中で、穏やか時間を高齢者と過ごせるので、心がホッとするひとときでもあります。高齢者に癒されることも少なくありません。

 

7.保健指導のメリット・デメリット

保健指導 メリット・デメリット
最後に、訪問指導の仕事のメリットとデメリットについてまとめてみましたので、参考にして下さい。

メリット

  • 病院や会社などに出向く必要がない
  • 業務委託として受けるので、仕事の量をある程度調整できる
  • 自宅で自分のペースで日程を調整することができる
  • 人間関係などで悩む必要がない
  • 頑張れば頑張るほど(訪問件数を増やすほど)、報酬が上がる
  • 家庭と仕事の両立ができる

 

デメリット

  • アポイントをとるのが結構大変
  • アポイントがとれなければ報酬はゼロ
  • 1件訪問の報酬単価が低いので数をこなさなければまとまった報酬にはならない
  • 受け持ち制なので途中でやめることがむずかしい
  • 移動は自分の車を使用するため、保険などの負担がかかる
  • 個人情報を扱うため書類などの保管場所が必要
  • 孤独な作業が多い

いずれにしても、訪問始指導は看護師の中でも特殊な仕事であることは間違いありません。地域で活躍する訪問指導に興味のある方は、これらのメリット・デメリットを踏まえた上で慎重に検討していくことをオススメします。

 

まとめ:特殊な仕事だからこそ適性を考えて

保健指導の仕事は病院やクリニックとはまた違ったやりがいを感じられますが、当然向き・不向きもあります。訪問看護師の場合、スケジュール管理能力やコミュニケーション能力に自信のある人は適性がありますが、安定した報酬を希望する人であったり、ルーティーンな仕事内容が好きな人には向いていません。

転職を検討される際は、ここに書いてあることを踏まえ、まずはこの仕事が自分の性質に合っているのかを冷静に判断していきましょう。

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はたらきナース

監修者

亀岡さくみ看護師
監修 亀岡さくみ看護師
  • 2011年3月:日本赤十字看護学校卒業
  • 2011年3月:看護師免許取得
  • 2011年4月:日本赤十字医療センター入社(3年間勤務)
  • 2015年3月:株式会社peko勤務
  • 2015年4月:はたらきナース監修

現在は、今までの経験を活かし「はたらきナース」を執筆・監修を行っています。

この記事は「」さんが執筆しました。

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