訪問看護への転職は不安?現役訪問看護師からアドバイス

訪問看護への転職は不安?現役訪問看護師からアドバイス

今、在宅療養件数の拡大に伴い、訪問看護の求人はどんどん増えていますが、募集しているものの人材が集まりにくいのが現状です。

病院や施設とは環境が大きく異なるので、在宅療養や訪問看護に興味があるけどなかなか転職には踏み切れない、という方もいるのではないでしょうか。

このページでは、そんな訪問看護への転職にまつわる不安を抱えている方へ、現役訪問看護師からアドバイスを贈ります。

【初めに】訪問看護への「不安」は必ず解消できる

訪問看護への「不安」は必ず解消できる

訪問看護への転職が初めてだと、訪問看護はどういうことを仕事にして何を求められているのか漠然としていて、仕事自体が自分に務まるのか不安になる看護師が多いようです。

ただ、訪問看護は看護を提供する環境が自宅や生活をする場所というだけで、病院や施設での看護と根本は大きく変わりません

それでも、看護師に聞くと

  • 「訪問看護って難しそう」
  • 「訪問看護は私には無理だと思う」

など、ネガティブな意見が多く聞かれます。

 

訪問看護への転職が「不安」から「楽しい」への転換

訪問看護に対する不安な気持ちがあっても、

  • 「実際には心配するほどの困難な場面はほとんどありません」
  • 「フォロー体制がある事務所であれば初めてでも慣れるまで他のスタッフがしっかりフォローしています」

そのため、不安は必ず解消されるでしょう。

病院や施設での看護と違った訪問看護ならではの楽しさやメリットが沢山あるので、一度訪問看護の世界に入ってみると「思っていたより、なんとかなるし、楽しいんだ」と分かってきます。

だからこそ、最初に感じる様々な不安要素がとっつきにくさを生んでいて、転職の機会を失っているなら、とてももったいないことなのです。

それでは、今、訪問看護への転職で不安を抱えている人が少しでも解消されるように、一つ一つ具体的にみていきましょう。

 

1.「未経験」という不安がある看護師へ

「未経験」という不安がある看護師へ

看護師経験がある程度あっても、訪問看護は未経験という人は多いです。

病院や施設での看護はベテランなのに、訪問看護はまた違った特別な領域だと感じるのかもしれません。

よく聞かれるのは、

  • 「訪問看護は1人でケアして1人で判断しなければならない。」
  • 「病院や施設だと診療科や患者の疾患がだいたい決まっている中で看護するけど、訪問看護は疾患や病態が多岐にわたるから自分は対応できない」

ということです。

 

現役訪問看護師からのアドバイス

病院のやり方とあまり変わらない

訪問看護は1人で何でもやらなくてはならない、と思っていませんか。

確かに訪問は基本的に1人で行いますが、実際には事務所にいるスタッフと報告・連絡・相談をしながらケアを行っています。

病院ではナースステーションに帰って他の人を呼ぶことや報告しますが、訪問看護ではそれが電話連絡となり、病院のベッドサイドで行なっている患者ケアが訪問看護では自宅ベッドになっているだけ、とも言えます。

形式としては、病院のやり方とあまり変わりないのです。

 

大事なのは、知識よりも観察の目とコミュニケーションだけ

訪問看護では対象者を選びませんから疾患も病態も全ての方が異なりますが、その多くは病状が安定している患者です。

急性期のような観察項目を暗記する必要もありません。

安定していた病状が急変する兆候は、どんな疾患も同じ「全身状態・バイタルサインの変化」です。

ですから、特別に知識が求められる場面もほとんどありません

どんな診療科経験であっても、患者を観察する目と患者や家族とコミュニケーションがとれる力があれば、訪問看護はできます。

 

2.「看護師経験が浅い」という不安がある人へ

「看護師経験が浅い」という不安がある人へ

看護師としての知識も経験も浅いのに、色々な疾患を扱う訪問看護は務まらないのでは、と不安を感じるかもしれません。

特に若い看護師は高齢者とのコミュニケーションが苦手な人が多いので、訪問看護では患者の自宅で30分〜1時間ほどみっちりと同じ患者に向き合わなければならないことも不安材料でしょう。

 

現役訪問看護師からのアドバイス

教育体制が整った訪問看護ステーションは増えている

看護師としてのスキルやコミュニケーション能力が完成されていなければ訪問看護は務まらない、ということは決してありません

教育体制がしっかり整えられている事務所であれば、慣れるまで二人で訪問することで、直接先輩から観察項目やその患者・家族の特徴や生活背景なども教えて貰えます。

訪問した時に最低限何をケアするべきか、何に注意するべきか、その患者に合わせた会話のコツが分かっていれば、あとは慣れだけです。

教育体制が整った訪問看護ステーションは増えてきており、訪問看護の求人を見ても新人OK・看護師経験不問という求人は増えています。

 

3.「1人で訪問する責任が怖い」という不安がある看護師へ

「1人で訪問する責任が怖い」という不安がある看護師へ

これまで病院や施設など、多くのスタッフがいる中でベッドサイドに訪室するというケアの仕方をしていると、すぐそばに相談できる相手がいないという訪問看護の環境は自分の責任が重いと感じるようです。

自分一人が処置やケアをすることや観察をした結果、次の日または翌週まで他の誰も確認することはないという環境は、病院ではあり得ないので、訪問した看護師の責任が大きいと感じるのかもしれません。

 

現役訪問看護師からのアドバイス

訪問した看護師の責任を問われるということはない

もちろん訪問看護では基本的に1人で訪問先をまわって、そのときに自分1人で対応して来なければなりません。

しかし、事務所には他のスタッフや上司がいます。

困った時や判断に迷う時は電話連絡などで指示を仰ぐので、全てを1人で背負うという訳ではありません

病院と違って、少人数のチーム体制なので、スタッフ間の情報共有も大切になってきますから、訪問後の報告・連絡も密ですし、カンファレンス等でケアの方向性も話し合っています。

皮膚の変化を共有することや創処置の変更を相談する時など、最近では画像を送信してメールで指示を仰ぐこともあります。

自分で判断するよりも、報告・連絡・相談の上で実施する内容を決定することが多いので、訪問した看護師の責任を問われるということはほとんどありません

 

4.「車の免許がない」という不安がある看護師へ

「車の免許がない」という不安がある看護師へ

訪問看護では半径5〜10kmくらいの範囲で患者の自宅・施設などを回ります。

多くは車移動をするので、

  • 車の免許がない
  • またはペーパードライバーで車の運転に慣れていない
  • 駐車が苦手

などの移動手段への不安を持つことがあります。

 

現役訪問看護師からのアドバイス

都内や都市部なら自転車でもOK

患者の自宅・施設への移動は遠方になると断然車移動が早いので、自動車免許が必須という訪問看護ステーションもありますが、東京都内など患者が近郊に集合している場合は自転車移動も可能という訪問看護ステーションもあります。

自転車の場合は電動自転車がほとんどなので、坂道なども楽々ですし、一件の移動に大体20分以内です。

ただ、悪天候の場合も含め自転車移動は体力を消耗します。

できれば、車の免許がある方がいいでしょう。

 

ペーパードライバー講習を受けるのも良い

ペーパードライバーの場合でも、大体同じ患者の訪問に同じ道を往復しながら1日数十km走るので、運転自体にも事故が起こりやすい道路のクセなどにも慣れてくるため問題ありません。

また、ペーパードライバー講習で自信をつけるまで、自転車訪問をしていたという訪問看護師もいます。

 

5.「人の家で仕事をすることに抵抗がある」という不安がある看護師へ

「人の家で仕事をすることに抵抗がある」という不安がある看護師へ

人の自宅といえば、色々です。経済的な違いもあれば価値観の違いもあるので、衛生的ではない家庭ももちろんあります。

古くからある家や、掃除や炊事をしっかりとできるような体力がなくなってしまい、家事をしたくてもできないという方は多いのです。

訪問看護は患者の生活する空間でケアをするので、その空間の中に入っていくことが仕事ですが、潔癖症ではなくともそこに抵抗を感じるという看護師もいます。

 

現役訪問看護師からのアドバイス

今、この訪問のときだけだけ っと思うこと

生活環境が不衛生な場合、専門家として改善の助言をすることはありますが、基本的にはその中で生活されていればその価値観を認めなければなりません。

しかし、どうしても抵抗があるというときは、直接触れないように手袋やスリッパ、靴袋(靴にかぶせるビニール袋)を利用することや、マスク2枚重ねやメガネをすることもあります。

ヘビースモーカーのお宅では匂いがユニフォームに付くので、衣類スプレーなどをして次の訪問に向かうこともあります。

人間ですから、全てが不快にならずに受け入れられるわけではありませんが、私の場合は「今、この訪問のときだけだ」と思って気持ちを仕事モードに切り替えるようにしています。

 

6.「看護技術が発揮できないのでは」という不安がある看護師へ

「看護技術が発揮できないのでは」という不安がある看護師へ

それまで先端医療の現場で働いてきた方には、訪問看護はあくまでも生活援助の面が強く、せっかく培ってきた看護技術や知識が発揮される場面がないのではないかと思われるかもしれません。

身につけた技術・知識が無駄になり、いつか忘れてしまうようでは自分の看護師としてのキャリアが止まってしまうような気持ちにさえなる看護師もいるのではないでしょうか。

 

現役訪問看護師からのアドバイス

違った視点での在宅ケア

訪問看護においては、先端医療を扱う病院とは病状が違うため、先端の医療機器や治療方法、それに対する看護技術や知識は必要としません。

ですから、実際にはその技術や知識を直接発揮することはできないでしょう。

しかし、その技術や知識があれば、患者が病院で受ける治療について説明できることや苦痛を理解することができます

他の訪問看護師とは違った視点での在宅ケアができるはずです。

 

病院看護から訪問看護を経験した後、また病院看護にも戻れる

そして、看護師としてのキャリアを考えれば、訪問看護によって病院看護とは違ったケアの技術や家族看護を学び経験することができます。

患者・家族の生活を通した療養と看護の位置付けを学べば、その後病院看護師として戻ったとしても訪問看護の経験がきっと活かされると思います。

 

7.「訪問時間内にきちんと終われるのか」という不安がある看護師へ

「訪問時間内にきちんと終われるのか」という不安がある看護師へ

訪問看護は一件の訪問時間が決められていて、次の訪問もある中で「その時間内にやるべきことを一人でこなすことができるのか」という不安もよく聞かれます。

病院や施設などでは重症度・看護度が高かったり体格が大きい患者に対しては看護師二人でケアをしたり、移乗を数人で行うことも多いので、どんなに看護度が高くても1人でケアをすることに不安を覚えやすいのです。

 

現役訪問看護師からのアドバイス

終わらせることを要求されない

重症度・看護度が高かったり、抵抗が強く1人では対応しにくい患者のケアでは、家族の協力を得たり、看護師2人体制で訪問することもあります。

処置が多くて訪問時間内に業務を終えることが難しい場合は、上司に連絡報告し、次の訪問を他の人が回るように調整することや、次回から訪問時間を長く設定するなどの対応をしてもらう場合もあります。

どちらにしても、絶対に1人で全てを終わらせなければならないということは要求されないので、心配することはありません。

 

8.安心して働ける「訪問看護」求人の見分け方

安心して働ける「訪問看護」求人の見分け方

訪問看護の離職者のほとんどは、「思っていたのと違った」という想像とのギャップが離職理由となります。

病院などの看護と根本的には同じと言っても、環境が違うということはどういうことなのか、実際に体験してみないと分からないこともあります。

最近では、転職前に訪問に同行して業務体験できるという訪問看護ステーションもあります。

実際に業務を目の当たりにして、働くスタッフの対応を見てみると事務所の雰囲気を知ることもできますし、おすすめです。

 

給料だけでなく1日の訪問件数を比較すること

訪問看護ではパート給料が高いというところもありますが、高給与だと1日の訪問件数が多いことや、患者受け持ち制で事務作業や医師への報告連絡も受け持ちが1人で行うため残業が多いという場合があります。

訪問看護師として心の余裕を持って一人一人の患者と対応し、時間的な余裕を持って移動するには、1日の訪問件数が4〜5件程度の訪問看護ステーションが良いでしょう。

 

補足説明!

ポイント

それ以上の訪問件数になると時間に追われ、精神的なストレスが高くなり患者のケアも十分行えなくなります。安心して働くためには、給料や条件ばかりでなく訪問件数に着目して見分けて欲しいと思います。

 

教育体制がなるべく整っている訪問看護ステーションを選ぶこと

初めての訪問看護への転職の場合は、必ず教育体制を確認しましょう。

小規模、大規模に限らず、教育体制が整っていない訪問看護ステーションは多いです。

そのため、

  • どれぐらいの間(期間)、同行してもらえるのか
  • 初めての場合の教育方法はどのようなものなのか

など、あらかじめ確認しておきましょう。

中には病院のようにプリセプター(相談役)がいることや、教育カリキュラムが2年先、3年先まで決められている場合もあります。新人看護師を募集しているような訪問看護ステーションであれば、中途採用でも安心できるでしょう。

 

まとめ

訪問看護は需要が高まっているとはいえ、不安があるとなかなか踏み出せない職場かもしれません。

もしも在宅ケアや訪問看護に興味があるけれど二の足を踏んでいるという方がいたら、この記事で不安が少しでも解消されれば幸いです。

あおいロワイヤル

【神奈川県/40歳・資格:看護師、ACLSプロバイダー】

看護専門学校卒業後、大学病院の集中治療室(ICU・CCU)で8年間勤務。出産・育児休暇を経て復職しましたが、夫の転勤のため退職。その後、興味のあった在宅看護に携わりたいと考え転職し、現在は看護師が立ち上げた小規模訪問看護ステーションに在籍する現役訪問看護師2年目です。

転職に迷っている方、病院選びや就きたい仕事選びでリアルな現場の実状を知りたい方への情報を分かりやすくお伝えし、お役に立てればと思います。

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